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株式会社山形ビルサービス

人事DX推進によりBCP対策を実施。社員が個性と能力を発揮できる職場を目指す

2022.01.04
人材情報の共有
  1. 「従業員の幸せを願う? 顔と名前も覚えていないのに……」と言われて絶句
  2. 主力メンバーの顔と名前、スキルを一覧で把握
  3. 配置換え・テコ入れが必要な部門がひと目で分かる
  4. アンケート機能で多拠点の社員からの情報収集も簡単
  5. 集めたデータを基に、戦略的な人事にもチャレンジしたい

東北初のビルメンテナンス企業として1959(昭和32)年に創業した株式会社山形ビルサービス。「ビルを資産に育て上げる」を目標に、ビルオーナーに代わってビル清掃、設備管理、警備、レンタル、環境衛生分析といった幅広いサービスをワンストップで提供し、県内最大規模のビルメンテナンス会社に成長しました。人材育成に対する思いとカオナビ導入の経緯について、2019年に43歳の若さで社長のバトンを引き継ぎ、人事戦略も統括する與田(よだ)貴博様と、実務を担当する総務部の菅原啓介様に伺いました。

*本記事の掲載内容は全て取材時(2021年12月3日)現在の情報に基づいています

「従業員の幸せを願う? 顔と名前も覚えていないのに……」と言われて絶句

――カオナビ導入のきっかけを教えてください。

與田様:
2019年5月に社長に就任し、これからどんな経営をしていくべきかを考えたとき、一人ひとりの従業員がその個性や能力を生かして活躍し、幸せになれる会社でありたいと強く思いました。どうしたらそんな経営ができるのかと思い、ある経営者の先輩に相談したところ、「理想を語るのもいいけど、従業員の顔と名前が頭に入っているか? 1000人規模の会社じゃ難しいよ」と言われてしまったんです。

悔しかったけれど、何も言い返すことができませんでした。当社には、グループ会社を含め、当時すでに2000人近い従業員がいましたし、本社以外にも6つの支社や営業所があります。しかも、ビル管理の現場で働く従業員の多くは担当ビルに直行直帰するので、従業員と顔を合わせる機会は極めて限られています。

しかし、それを言い訳にするべきではありません。従業員の幸せを願う気持ちに嘘はありませんが、社員の顔と名前すら覚えられない社長に言われても……と思いますよね。一人ひとりの仲間を大切にする企業になるには、経営者であり、人事戦略の実質的な責任者でもある私が変わる必要があると痛感しました。まずは従業員を知るために、現場をしらみつぶしに全部回ろうか、それとも全員に写真付きの自己紹介シートのようなものを作ってもらおうか、などといろいろ考えましたが、非効率な方法しか思い浮かびません。

そんな時に目についたのが、カオナビでした。DMだったか、広告だったのか、どこで見かけたのかは思い出せないのですが、1000名規模の企業でも利用実績のある、顔と名前など従業員の情報を一覧する機能があるクラウドシステムがあると知り、「これはいい」と思って、2年ほど前から利用しています。

代表取締役社長 與田(よだ)貴博様
代表取締役社長 與田(よだ)貴博様

主力メンバーの顔と名前、スキルを一覧で把握

――社員の顔と名前や情報をビジュアル的に一覧できるのは、カオナビの代表的な機能です。どのように活用されているんですか。

與田様:

まずはグループ各社の主任以上の役職者と、特に力を入れて育成していきたい有望な若手人材に絞って160名ほどを登録。名前と年齢、顔写真に加え、入社年月日、異動や役職の履歴、保有資格など入力し、人材データベース機能「プロファイルブック」で一覧できるようにしました。登録した社員たちの顔写真や情報を眺めていると、これまで顔と名前が一致しなかった社員を把握できたのはもちろん、以前から知っていた者についても、思いもよらなかった経歴やスキルを持っていることが分かったりと、うれしい発見もありました。

菅原様:
カオナビを導入したのはちょうど名刺を刷新した直後で、名刺用にプロに撮影してもらった顔写真がそろっていたので、その人らしさが出ている、良い写真を登録できました。

総務の業務では、従業員の資格更新手続きや社員を派遣する取引先とのやりとりなどで、従業員のフルネームが必要になる場面が多くあるのですが、カオナビを使うと正確な漢字表記を簡単に確認できるのがとても便利です。ちょっとしたことではありますが、動作が重かったり、いくつものファイルを見なければならないExcelと比べて格段に早く探せて、スマホアプリでも確認できるのでとても役立っています。

総務部 主任 菅原啓介様
総務部 主任 菅原啓介様

配置換え・テコ入れが必要な部門がひと目で分かる

――新社長の下での新しい人事戦略には役立ちましたか?

與田様:
カオナビを契約したのが2019年の年末で、使い始めたのは2020年になってからです。その直後にコロナ禍に見舞われたので、まずは長期の欠勤を余儀なくされる者が出てくることを想定したBCP(事業継続計画)の見直しを行いました。ビル管理の仕事には、ビルクリーニング技能士をはじめとして必要な資格がいくつかあり、誰が欠けたとしても、同等の資格を持つ社員をすぐに配属できる状態にしなければ、という危機意識があったんです。

まず活用したのは、組織図機能「シナプスツリー」です。カオナビのおかげもあり、社員のプロフィールはだいたい頭の中に入っていたので、シナプスツリーで現状の配属状況を俯瞰で見て、「この現場、3年後には定年で2人も抜けるじゃないか」「この部署はもう少し若手育成に力を入れたほうがいいかもしれない」など、手当ての必要な現場を洗い出しました。

欠員が出た場合の配置シミュレーションは、縦軸・横軸を自由に設定できるマトリクス表示機能「シャッフルフェイス」で何通りも行いました。

当社には、警備やレンタルなどを手掛ける3社のグループ会社があり、提供するサービスは多岐にわたります。必要とされるスキルの種類は幅広いのですが、シャッフルフェイスで見れば、今どの職場にどんな人材がいるのか、手薄な組織や余裕のある部門がひと目で分かります。全体のバランスをならしたり、今後どういった資格の保有者を増やしていくべきかという観点で配置検討ができるのがいいですね。

幸い、現状誰も欠けることなく、シミュレーション結果を配置に活かしたケースはまだありません。ただ、中高年のベテラン社員が多い中で、若手育成などは後手に回りがちで、経験を重視した属人的な配置になりがちだったことを、こうした作業を通して改めて実感させられましたね。

菅原様:
シナプスツリーをなんとなく見ているだけでも配置換えやテコ入れが必要な部署が浮かび上がってくるというのは、おもしろい体験でした。人材配置のバランスが取れている部署もあれば、ベテラン社員に偏っていたり、若手が育っていない部署があるな……などと、ありありと分かります。うすうす感じていたことでしたが、写真が並んだ状態で見て、現実を改めて認識しました。

與田様:
採用活動や育成等の実務については各部門のリーダーに一任しているので、普段、滞りなく業務が進んでいると中長期的な課題を先送りしがちですが、菅原が言うように、シナプスツリーで顔写真入りの組織図を見ていると各部門の数年後の姿が容易に想像できます

次世代が育っていない部署はいずれ、技術やノウハウの承継で大きな問題が生じることになりますから、そんな部署が見つかると一刻も早く配置転換や採用によって手を打たなければならないと痛感します。一方、引き続き現場に任せておけそうな、年齢層やスキルのバランスが取れている部門が確認できるのもメリットの一つです。

顔写真入りの組織図が見られる「シナプスツリー」のイメージ。部署ごとの顔ぶれを把握できるほか、カーソルを合わせれば詳細情報画面がポップアップする
顔写真入りの組織図が見られる「シナプスツリー」のイメージ。部署ごとの顔ぶれを把握できるほか、カーソルを合わせれば詳細情報画面がポップアップする

アンケート機能で多拠点の社員からの情報収集も簡単

――人材戦略を立てるための現状認識にお役立ていただいているんですね。こうした人事業務以外でもカオナビを活用されているようですが……。

菅原様:
総務の仕事でアンケート機能「ボイスノート」を利用しました。取引先とのお付き合いで先方の商品を購入する機会があるのですが、希望有無や購入点数などのヒアリングで使いました。メールでやり取りするよりシステム上で一覧できたほうがラクですし、アンケートフォームの設定も簡単ですぐに作れるので、重宝していました。

與田様:
そのほか、コロナ禍の収束めどが立たないので、リモートでの研修に活用できるかなと最近感じています。

以前は全社員を集めて一斉に実施していた社員研修を、今年は拠点ごとに少人数で開催したのですが、かなり多くの回数をこなさなければならず、講師を務める私自身もなかなかきついなと……。なので、今後は研修に動画を活用したいと考えていて、その受講状況確認をボイスノートで実施できればと思っています。

2000人分の動画研修の受講把握と考えると気が遠くなりますが、アンケートフォームを工夫すれば、各拠点や部門のリーダーに部下の受講状況をとりまとめて報告……といったやり方も簡単にできそうです。

アンケート機能「ボイスノート」では、テキストボックス、ラジオボタンといった基本的な項目からファイル添付フォームまでさまざまな回答項目が設定できる
アンケート機能「ボイスノート」では、テキストボックス、ラジオボタンといった基本的な項目からファイル添付フォームまでさまざまな回答項目が設定できる

集めたデータを基に、戦略的な人事にもチャレンジしたい

――働く場所が自社に限らないビル管理の会社では、クラウドならではの利点が活きるシーンも多そうです。今後、カオナビでさらに推進していきたいことはありますか。

菅原様:
今後は社長による個別面談を定期的に行うことを検討しており、そちらでもカオナビを活用していきたいと考えています。面談で把握したデータをカオナビで蓄積していくことで、それをシャッフルフェイスの軸に設定し、配置転換の参考にしたり、重点的に育成する人材のピックアップに活用したりすることなどを考えています。

與田様:
個別面談というと社員に身構えられてしまいそうですが(笑)、目の前の仕事をこなしていくだけの毎日にならないよう、長期的にどんなキャリアを築きたいのか、どんな仕事をしていきたいかを考えるきっかけにしてほしいと思っています。中途採用社員が大多数を占める中で、現状のスキルだけでなく、前向きな気持ちや意欲をどの程度持っているかということも受け止め、社員の今後を考える基礎情報としていきたいところです。

また、これまでグループ4社間での人事異動はほとんどありませんでした。しかし、業務としては日々かなり密接に連携していて、人材育成の観点でも、本当はもっと活発にやるべきだなと考えていました。

今後は、面談記録などのカオナビ上のデータを充実させ、グループ間で戦略的な配置転換を進め、適材適所の人員配置と業務の効率化を実現していきたいと思っています。先日、まずは手始めに、スキルの汎用性が高い経理部の社員を親会社に異動させたので、今後さらに進めていきたいですね。

日本全体に言えることですが、地方では労働力不足がより顕著であり、この傾向は今後も加速していくでしょう。カオナビの力も借りて、従業員一人ひとりが能力と個性を最大限に発揮し、お客さまに貢献できるやりがいや満足感を感じながら楽しく働ける職場を目指していきたいと思います。

設立
1957年1月
資本金
9,800万円
社員数
1,941人(グループ会社含む、2021年12月23日時点)
事業内容
ビルディング総合管理・改修工事・公害防止関連事業
  • ※インタビューの内容は取材時のものになります。

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