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韮崎市

評価、申請、職員録――韮崎市がフル活用するカオナビの多機能性

2022.06.28
ペーパーレス化
人事評価の効率化
人材情報の共有
  1. システム入れ替えありきで評価運用をExcelでしのいだ1年間
  2. 人事評価にとどまらない多機能性が組織内で評価を得た
  3. 職員への浸透を最優先に、機能の導入順も“戦略的”に
  4. 「マニュアル不要」の評価シートですぐに職員に浸透
  5. スマホアプリで、勤務場所を問わずに手軽に入力
  6. 更新負荷の軽いカオナビを「マスター」として業務効率化に役立てたい

甲州街道の交通の要衝として栄えた歴史をもつ韮崎市。およそ3万人の市民に対する行政サービスを担う韮崎市役所には、約400名の正職員と約300名の会計年度任用職員が在籍しています。人事評価業務効率化に向け2022年1月にカオナビを導入した同市は、契約からわずか1カ月で新年度の評価実施に向けた運用を開始。評価以外の活用にも着手しているといいます。秘書人事課で導入時の主担当を務めた横森護様(現・総合政策課 地域戦略担当リーダー 副主幹)と同課課長の樋口治元(はるもと)様、課長補佐兼人事行革担当リーダーの清水秀樹様に、導入の経緯や活用状況について詳しく聞きました。

*本記事の掲載内容は全て取材時(2022年4月6日)現在の情報に基づいています

システム入れ替えありきで評価運用をExcelでしのいだ1年間

――契約からわずか1カ月とかなり短期間で評価運用を開始されたとのこと。それだけ急がれた理由があったのでしょうか。

樋口様:
導入検討を進めていた2021(令和3)年度は、ちょうど使っていた人事評価システムがリースアップ(リース契約終了)して1年の空白期間に当たる年だったんです。その評価システムについては、評価結果の経年表示機能がないことや評語の自動算定ができないといった課題がいくつか挙がっていたので、リースアップしたタイミングで入れ替えていくつもりでした。しかし準備がなかなか追いつかず、この1年は2022(令和4)年度の別システムへの移行を前提に、主担当の横森が評価シートをExcelで独自に構築してしのいでいました。

もうひとつ課題だったのは、以前のシステムがLGWAN(エルジーワン、総合行政ネットワーク)内のみで運用可能で、評価対象にできたのはLGWAN内となる本庁舎に勤務する正職員だけだったことです。職員の勤務先は本庁舎のほか、市立病院や学校などLGWAN外となる拠点にもあり、そうした場所で勤務する会計年度任用職員も含めた約700名分の評価運用が可能なシステムへの移行が急務だったわけです。

横森様:
移行期は新システムの検討と並行して“Excel対応”を担当していて、「このExcel、使いやすいね。来年以降もこれでいいのでは?」という職員の声も聞いていました。しかし、属人スキルへの依存度が高いExcelでの評価業務運用は、数年程度で職員が異動となる組織ではリスクが大き過ぎますし、Excelのマクロで処理する量として700人分の評価ファイルというのは限界に近いと思っていました。

新システムの情報収集を始めたのは「Excel対応」が一段落した夏ごろでしたが、本格的には11月頃から翌年1月までの間で、集中して検討・契約まで進めました。急いだ背景には、自身の4月の異動もある程度予想していたという要因もありました。

総合政策課 地域戦略担当 リーダー 副主幹 横森護様
総合政策課 地域戦略担当 リーダー 副主幹 横森護様

人事評価にとどまらない多機能性が組織内で評価を得た

――期日が決まっていたからこそのスピード導入だったんですね。とはいえ、予算取りなど時間のかかる工程もあったのではないですか。

樋口様:
短期間で検討・契約ができたのは、次年度からの移行を目指し、別の人事評価システムを想定して2021年度に見積ベースで予算を取っていたからです。ところが、システムの世界は日進月歩。半年も経つと当時想定していたものよりよいものが出てきます。カオナビと出合ってから新システムの利用イメージを固め直し、12月の補正予算段階での予算確保を経て、新年度からの運用に向けて1月下旬には契約を結びました。

横森様:
カオナビを知ったきっかけは、早稲田大学マニフェスト研究所・人材マネジメント部会という研究会への参加でした。全国の自治体の職員が集まる会で、「評価まわりならカオナビが有名」「スキル管理や各種申請、職員録の電子化もできる」と、雑談の中でカオナビのことを聞き、うちの課題解決にマッチするかもな、と感じました。調べていくうちに、全職員対象の評価業務のシステム化という課題だけでなく、中長期的な人材育成や庁内申請の電子化等の効率化にも活かせそうなことが分かってきました。また、重要視していたスマホアプリ対応や分かりやすいインターフェースも決め手となり、導入することとなりました。

清水様:
市役所という組織では、システムの導入目的が「業務効率化」のみとなると、業務負担が軽減される=極論、職員が楽をしたいだけではないかと捉えられ、予算が通りにくいんです。また、「人事評価システム」だと利用機会は年に数回、触るのも主に人事と評価者だけ、ということになりますが、カオナビは評価機能だけでなく、職員録や組織内の申請機能も実装されているシステム。全職員が分け隔てなく使えるという特徴が、財政側を説得する材料として大きな追い風になりました。こうして最終的な予算取りがスムーズに進んだのも、早期導入を実現できた要因の一つだったと思います。

秘書人事課 課長補佐兼人事行革担当リーダー 清水秀樹様
秘書人事課 課長補佐兼人事行革担当リーダー 清水秀樹様

職員への浸透を最優先に、機能の導入順も“戦略的”に

――1月に契約され、2月にはさっそく、課題だった評価業務の“再デジタル化”を実現されました。

清水様:
人事課としての課題は評価業務だったんですが、まず着手したのはデータベース機能「プロファイルブック」への顔写真登録でした。

導入の際、最も気を遣ったのは「職員への浸透」です。カオナビというくらいなので、まずは情報管理のキーとなる顔写真の登録が必要になりますが、顔写真の登録に抵抗感のある職員も一定数いました。また、評価業務は顔写真がなくてもできますから、「評価運用をシステム化する。ついては、顔写真を登録してほしい」と言っても納得感が得られにくいわけです。

そこで、職員に導入目的を周知する際は①評価運用の再システム化②庁内申請のシステム化③社員情報の一元管理――という人事側の優先順位から、①職員録の電子化(社員情報の一元管理)②評価運用の再システム化③庁内申請のシステム化――と順番を変えました。評価よりも、「職員録を電子化するから、顔写真を使う」と言ったほうが腹落ちしやすいですよね。それでも「恥ずかしい」といった抵抗感のある職員はいましたから、あの手この手で顔写真をアップするよう説得して、4月初頭時点で実質90%程度の職員が登録を終えてくれています。

横森様:
当座、カオナビでやりたいことは「顔写真の整備(登録)」と「会計年度任用職員の評価業務」、そして「正職員の評価業務」の3つでした。入力内容・項目数や利用対象者数、人事側での準備といった作業の“重さ”に鑑みても、この順番で運用を始めると良さそうだ、ということで、職員の“初めてのカオナビ体験”は顔写真登録作業としました

顔写真の登録は、時間に余裕があれば人事課でもできたのですが、とにかく1回触ってもらえれば抵抗感はなくなる、との考えもあって、最低限必要となる内線番号と顔写真は職員各自で登録してもらいました。2月半ばから3月半ばと契約間もない時期でしたが、さほどマニュアルを作り込まずとも、大方の職員が登録を終えることができました。

顔写真つきで組織図が見られ、各職員の情報ページへもリンク遷移できる「シナプスツリー」の権限は全職員に開放し、デジタル職員録として皆が見られる状態にしてあります。職員の写真が出そろって半月ほどですが、「同期のあの人の顔を久しぶりに見た」とか、「隣の課のあの人の顔、カオナビで初めて知ったよ」とか、早くも話題になっているようです。内線番号ひとつ検索するのでも、顔写真も載っていると、こうして記憶に残るのかもしれません。コロナ禍の上、複数の拠点を抱える組織なので、お互いの顔が分かることで、職員の風通しが少しでもよくなればと思っています。

データベース機能「プロファイルブック」の基本画面。写真登録は、右上の「基本情報の編集」クリック、顔写真のドラッグ&ドロップの2ステップと簡単にできる
データベース機能「プロファイルブック」の基本画面。写真登録は、右上の「基本情報の編集」クリック、顔写真のドラッグ&ドロップの2ステップと簡単にできる

「マニュアル不要」の評価シートですぐに職員に浸透

――「浸透」に対して、かなり工夫されていますね。とはいえ、年齢もITリテラシーもさまざまな職員の皆さんに新しいシステムを使ってもらうのは、やはり大変だったんではないでしょうか。

横森様:
入庁以来約20年、システムに関わる機会が多かったので痛感しているのですが、新しいシステムを入れるとすぐ「説明会を開いて」「マニュアルを作って」などと言われます。気持ちは分かるものの、システム導入の労力のうち、相当な割合を占めているのがマニュアル作成なんですよね。その手間をなるべく省きたかったので、利用者が画面内で作業を完結できるよう、工夫して評価シートを作成しました

不思議なもので、「システム」と言われるとマニュアルが欲しくなるんですが、Excelにマニュアルを欲しがる人っていないんですよね。ならば、昨年度につくったExcelの評価シートを模して、あとはシステム特有の「ボタン押下」などについて画面上で補足すればいいじゃないかと。

急いでいるのに分かりやすくレイアウトを作るというと遠回りにも見えますが、自分が理解した内容をゼロから図式化するよりははるかに早く対応できます。カオナビのサポート担当の方の力も借りつつ、どうにか2月下旬の運用スタートに間に合わせました。

実際、それで特に混乱はしませんでしたし、被評価者として利用した職員に感想を聞いてみると「なんとなく画面に従っていったら終わっちゃいました」という声が多かったのでほっとしました。シートの工夫もそうですが、赤いアラートマークや編集可能な入力欄を見つけて操作すればよい、という分かりやすいユーザーインターフェースが効いたんだと思います

また、シートのほか、先ほど触れた「導入順」の工夫をしました。顔写真登録で全職員にカオナビに慣れてもらった後、正職員のうち評価者(64人)と全ての会計年度任用職員(約300人)がカオナビ利用者となる「会計年度任用職員の評価」を2月下旬に開始しました。会計年度任用職員や評価者からフィードバックを先に集めておいて、5月ごろ開始予定の「正職員の評価業務」の評価シートや評価運用フローに反映する流れにしたのです。

評価者からのフィードバックも、被評価者同様「さほど迷わず評価入力ができた」「他の被評価者の内容と見比べながら評価が入れられて便利」などと高く評価するものが多く、急いで導入した割には問い合わせも少ないので助かっています。

樋口様:
当初の狙いだった人事側での業務効率化も図れています。

会計年度任用職員の評価をExcelと紙ベースで運用していたころは、各職員が記入する評価シートを印刷し、35カ所ほどの送付先をリスト化、それを精査・確認して、封筒に入れて送付。記入が終わった後も、戻ってきたシートをチェック、取りまとめ……と、職員の記入期間を除いても、評価シートの配布・回収だけで1週間はかかっていました。

カオナビに切り替えてから、配布・回収は丸一日あればできるようになりましたし、送付先を間違えたり、紙を紛失したりというリスクもゼロになりました。さらに、未対応の人が何人いるかタブ表示ですぐに分かるので、対応や提出が遅れている人への催促がすぐできるのもありがたいです。

スマホアプリで、勤務場所を問わずに手軽に入力

――スマホアプリも積極的に活用されているようですね。

清水様:
病院勤務の看護師や保育園勤務の保育士など、デスクワークでない職種が多い会計年度任用職員は全員にPCが貸与されているわけではありません。手間をかけずにさっと入力してもらうために、操作に慣れている個人所有のスマホも活用できるルールにしました

カオナビのインターフェースは比較的分かりやすいとはいえ、活用浸透の妨げとなる要素を可能な限り排除すべく、利用端末の選択の幅を広げたというところです。ですから、PCのほうが楽であればPCからでも、タブレット端末が配備されている職場であればそこからの入力でも問題ありません。

 ――なるほど。導入目的には各種申請機能「ワークフロー」で実現できる電子化も掲げられていましたが、どのように進めていく予定ですか。

横森様:
本格導入するとなると条例の改正など規則まわりの整備が必要になってくるので、まずはトライアルを進めています。

この4月の異動で通勤ルートが変わる職員数名向けに通勤手当の変更申請フローをつくり「紙かカオナビ、どちらで申請しても良いから」と伝えてみたところ、全員がカオナビでの申請を選び、使用感の評判も上々です。

申請様式の作成も簡単だったので、いずれは住宅手当や産休、育休といったライフイベントの申請書類、あとは毎月の時間外の報告といったこともカオナビに移行させたいと思っています。

各種申請機能「ワークフロー」の設定画面。申請様式をテキスト・プルダウン・ラジオボタンなど多様な入力形式を選んで簡単に作成できる
各種申請機能「ワークフロー」の設定画面。申請様式をテキスト・プルダウン・ラジオボタンなど多様な入力形式を選んで簡単に作成できる

更新負荷の軽いカオナビを「マスター」として業務効率化に役立てたい

――分かりやすいUIやアプリなど、カオナビの特徴を最大限に活用いただいていますね。今後、こう使っていきたいといったビジョンはありますか。

横森様:
評価、申請業務を軌道に乗せたら、データベースとしても活用の幅を広げられればと思っています。

カオナビには配属日を待たずに所属先情報の書き換えをできる機能があるので、以前よりデータ更新が容易になりました。また、他システムで発行・管理している各種コードも簡単にインポートができるので、後任の者には、カオナビをマスターとして業務の効率化を進めていこう、と伝えています。

清水様:
カオナビ上で受けられる特性診断「エニアグラム」機能に興味がありますね。

職員の特性を把握するためにはスキルや所属年数といった客観情報が必要ですが、そうしたものとは別の切り口で個々の個性を捉えることも重要ではないかと感じています。将来的に、多面的な切り口で人材の分析ができれば、人材配置の視点が増えるのではないかと期待しています。

樋口様:
業務や局面を問わず常に効率化を求められる時代にあって、限られた人材の中で職員のポテンシャルを引き出す人材育成や最適配置のニーズは切実さを増しているように感じています。職員の情報をカオナビに集めて職員の力を可視化し、より適性に合った職務を担当できるようにするなどして、職員が健やかに、能力を発揮して働ける環境をつくっていきたいと思います。

秘書人事課 課長 樋口治元様
秘書人事課 課長 樋口治元様
設立
1954年10月
職員数
約700名(正規職員400名、会計年度任用職員300名)
人口
28,458人(2022年5月1日現在)
  • ※インタビューの内容は取材時のものになります。

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