課題
- 全国にいるビューティーアドバイザー(店舗スタッフ)の顔と名前を一致させ、円滑なコミュニケーションをさらに活性化させたい
活用法
- 社員データベース機能にビューティーアドバイザーの情報を掲載
- 通勤経路サーチ機能で対象店舗への異動候補者をピックアップ
- 評価ワークフローで店舗スタッフも含めた評価業務を実施
効果
- 顔が見えるコミュニケーションで従業員同士の信頼関係を構築
- 異動検討業務にかかる工数を90%削減
- 自己申告書にかかる業務工数を半減
女性用下着のパイオニアとして、長きにわたり業界を牽引してきた株式会社ワコール様。その根幹を支えるのが、全国各地で活躍するビューティーアドバイザーの存在です。
今回、人事総務本部 BA人財戦略部 部長の山本 純也様にお話を伺い、同社がいかにして「カオナビ」を活用し、その人財戦略を進めているのか、その全貌に迫ります。
※本記事の掲載内容は全て取材時(2025年4月25日)現在の情報に基づいています。
カオナビで「店舗スタッフの顔が見える」を実現
──はじめにカオナビ導入の経緯についてお聞かせください。
当社には店頭販売職のビューティーアドバイザー(以下、BA)という職種があり、全国の店舗で約2,500名が働いています。
私のようなBAの人事担当者はもちろん、役員や一部の社員が店頭に出向いてBAと会話をする機会も多いのですが、拠点も人数も多いためどうしても初対面の方が多くなります。そこで、顔と名前を一致させ、相互の信頼関係を築きたいという思いから、タレントマネジメントシステムの導入を検討しはじめました。
──複数のタレントマネジメントシステムの中から、カオナビを選んだ理由はなんでしょうか?
一番の理由は、従業員の情報が見やすく、UIが分かりやすかったことです。「顔が見たい」という当社のニーズに、直感的に利用できるカオナビの機能が的確に応えてくれた点が大きかったです。
──具体的にどのように運用していますか?
現在、社員データベース機能「プロファイルブック」には約4,000名が登録されています。所属や役割といった基本的なデータ、評価、研修受講履歴、過去の自己申告や面談記録などを集約しており、2025年の4月からは、課長職だけでなく、内勤社員全員のユーザーも作成し、ログインのしやすい環境を整え、さらなる活用に向けて取り組んでいます。
元々給与計算システムでも人事情報は確認できましたが、少し硬い印象であることや、専門的な知識がないと設定が難しいという課題がありました。一方、カオナビはUIが分かりやすく、直感的に操作できるため、管理職メンバーが人財マネジメントに必要な情報をプールするのに役立っています。
人事総務本部 BA人財戦略部 部長 山本 純也様
面談記録管理で「本人の思い」も共有・把握
──評価ワークフロー機能「スマートレビュー」の活用状況はいかがでしょうか?
「スマートレビュー」機能は、主に以下の目的で活用しています。
・評価:コンピテンシー評価、成果評価、360度評価
・情報収集:異動申請書の回収、各部門からの情報収集など
全社員対象でコンピテンシー評価が年1回、成果評価が年2回(上期・下期)、BAに関しては360度評価を年1回実施しています。
特にコンピテンシー評価に関しては、職種と等級ごとにコンピテンシーを定めており、30種類ほどのシートを作成しています。
当初は30種類近くのシートを課長職に管理してもらっていたのですが、それでは煩雑すぎるということで、カオナビの機能内で、職種や等級に応じたシートを自動表示する形に変更しました。手作業で関数を組む必要はありましたが、カオナビの直感的な操作性とカスタマイズ性の高さのおかげで、運用しながら改善して最適な形にできたと思っています。
「スマートレビュー」では複数のシートを一括で管理できる
──面談管理もカオナビで行っているとのことですが、具体的に教えてください。
面談管理は、上司との1on1ではなく、人事担当者が行った面談のデータ登録を「プロファイルブック」で行っています。昇格時や入社時など、さまざまなフェーズで面談記録を残すことで、過去の相談内容や本人の思いを人事内で共有・把握できるようにしています。
また、キャリアコンサルタントの資格を持つBA職の「キャリアコーディネーター」がBAのキャリア面談を行い、育児や介護との両立、人間関係の悩みなど、さまざまな相談に対応して、退職を未然に防ぐなどの取り組みも行っています。
「プロファイルブック」での面談記録イメージ。フォーマットは自由自在
通勤経路サーチ機能で従来の業務時間を90%削減
──通勤経路サーチ機能「ロケーションサーチ」の活用についてはいかがでしょうか?
主には私が管轄するBA人財戦略部と、店舗を管理する販売課長が利用していて、対象店舗は750近くに及びます。
BAは自宅から90分圏内の店舗に勤務するというルールがあるため、住所が変わると通勤可能な店舗も変わります。定期異動を検討する際に、課長によっては200名にも及ぶBA全員の住所と店舗の組み合わせを考慮するのは非常に大変で……。以前は、路線図を印刷して手書きで通勤可能圏を調べている課長もいました。
「ロケーションサーチ」の導入により、カオナビ上で検索するだけで効率的に異動の検討ができるようになりました。部門をまたぐ異動調整の際に、その店舗に通える人がいるのかをピックアップしたり、ピックアップした候補者を他事業部に提案したりするのに役立っています。候補者や各要件が一覧で可視化されるため、説得力のある交渉材料にもなりますね。
「ロケーションサーチ」で複数名の社員の通勤経路をまとめて検索可能
──「ロケーションサーチ」の効果はどう感じていますか?
異動候補店舗までの通勤経路を一人ずつ検索していた担当者によれば、数時間かけていた候補者選出がたったの5分で済むようになったとのことで。諸々の異動検討業務が90%も削減されたそうです。機能リリース時のメンバーの喜びようは今でも覚えています(笑)。
また、アシスタント的に課長の補佐をしている一般職のメンバーからも、業務負担の軽減や他の業務に時間を割けるようになったという声が上がっています。
最近は機能アップデートがあり、従来の店舗を軸とした検索だけでなく、個人を軸に通える店舗を検索できるようにもなりました。不定期の異動をはじめとして、個別の状況に応じた異動先の検討も可能になり、非常にありがたいアップデートだと感じています。
「ロケーションサーチ」は人・店舗のどちらからも異動先を検索できる
「カオナビ」が縦割り組織に横串を刺すきっかけに
──カオナビ導入によって、どのような効果を実感されていますか?
情報の一元化や先ほど申し上げた「ロケーションサーチ」の効果はもちろんですが、そのほかにも自己申告書の業務負荷が半減したと感じています。以前は複写式の紙に記載してもらい、Excelに入力して取りまとめをしていたため、記入漏れや回収の遅延、データの紛失リスクなどがありました。
カオナビであればシステム上で自己申告を登録できるため、100%の回収率が担保され、情報の抜け漏れを心配する必要もありません。
──「カオナビならではの良さ」を感じた点はありますか?
カオナビの最大の強みは視認性の高いUIだと感じています。当社は今、大きな変革期にあり、人事制度も大きく変わるため、システム対応のスピードが求められます。その点、カオナビはシステムに精通していない人事担当者でも直感的に使えるため、運用や改善に着手しやすく、人事変革のスピード感を担保できています。
──今後のカオナビに期待すること、展望をお聞かせください。
現在、本社ビルが改装され、フリーアドレス制を導入しています。これにより、社員間のコミュニケーションを強化し、情報交換を活性化させたいと考えています。そのために、お互いを知るための情報インフラとして、「カオナビ」をさらに活用していきたいです。
将来的には、「プロファイルブック」をさらに活用し、顔写真だけでなく、公開可能なパーソナルな情報を社員が入力し、共有できるようにしたいと考えています。これは内勤者からテスト運用を開始しており、2025年度中には確実に行う予定です。将来的にはBAも含めた全社員で利用できるようにしたいですね。
この「顔が見える」コミュニケーションがさらに高まり、縦割り組織に横串を刺すような組織活性化につながっていくことを期待しています。
- 設立:
- 1946年6月
- 職員数:
- 3,830名(2024年3月末時点)