課題
- 会社の規模が拡大する中で、人材情報を効率的に共有する仕組みが必要だった
効果
- 経営層への情報共有やIRに活用し、社内のコミュニケーションコストを削減
インターネット黎明期にレンタルサーバー事業で創業し、顧客ニーズの変化に応じてサービスの軸足を柔軟に移しながら成長を続けてきた、さくらインターネット株式会社様。
同社が提供する「さくらのクラウド」は、2023年度にデジタル庁が募集した「ガバメントクラウド整備のためのクラウドサービス」において、2025年度末までに技術要件をすべて満たすことを前提とした条件付きの認定を受けました。また近年は、生成AIの急速な普及に対応し、GPUクラウドサービスの提供にも取り組んでいます。
今回は、他システムとの検討の結果、カオナビの利用継続を決めた理由について、ES本部 人事総務部 部長 川村 貴宏様、ES本部 人事総務部 人事労務グループ 伊藤 祐介様にお話を伺いました。
※本記事の掲載内容は全て取材時(2025年1月20日)現在の情報に基づいています。
高まるタレントマネジメントニーズと機能の乖離
──カオナビを導入した背景を教えてください。
川村様:
元々、カオナビを導入した2014年当時の従業員数は300名ほどで、人事考課の効率化が目的でした。
そこから時が経ち、人事基幹システムへ集約するに留まっていたデータの利活用を目的に、ここ数年はさらなる活用を進めてきました。
伊藤様:
コロナ禍がカオナビ活用の大きな契機になりました。働き方がフルリモートに切り替わり、人事に対する個別の問い合わせも増加。それも、似たような依頼が違う部署から多発していたんです。
タレントマネジメントシステムで情報を共有できるようにしておけば、問い合わせ工数を削減できる。そうした背景から、カオナビの活用を積極化しようという流れが生まれました。
実際に近年は、社員データベース機能「プロファイルブック」を基盤とした情報集約や、それに伴う社内への共有による利活用でカオナビを活用していました。
──そこから、一時期はカオナビを解約しようと考えた理由について教えてください。
川村様:
伊藤さんの話にもあったように、人事情報のスムーズな利活用が大前提にありました。特に、経営からのオーダーで人事情報をまとめたダッシュボードをつくることになりまして。当時のカオナビにはダッシュボードの機能が充実しておらず、別システムの検討が議論に上がりました。
伊藤様:
当時検討していた別システムは、ダッシュボード機能が優れていました。また、権限設定が優秀で、特定のレイヤーに対して見せたい情報の範囲を細かく、かつ一括で設定できるなど、当時欲しいと考えていた機能が充実している印象でした。
また、別システムは機能が多く、「あれもできそう、これもできそう」と活用に対して夢を持てたんです。リモート主体の働き方に変わった中で、人事としても何か起爆剤が欲しいと感じていたことも、少なからず理由になりました。
ES本部 人事総務部 部長 川村 貴宏様
システムに必要なのは機能の数より使いやすさ
──その後、システムの検討はどのように進めていきましたか?
川村様:
別システムの導入を決め、運用に向けて基本設定などを進めていきました。データを整えて集約したり、ダッシュボード機能や評価機能の検証を行ったりしました。ただ、なかなかスムーズに運用することができなかったんです。
伊藤様:
一言で言えば、当社にとっては多機能かつ複雑すぎた、というのが結論です。
必要な時に必要なことが十分にできるシステムでしたが、必要な時以外には持て余しがちで、複雑な機能を把握・運用するリソースが当社にはありませんでした。
また、さまざまな機能を運用するとなると、人事側はもちろん、使う社員側もリソースを割かれます。本当に割いたリソースに見合うメリットが得られるのかというのは、システム導入時に重要な検討ポイントだと感じました。
──使いやすさはシステム運用において重要な観点だったのですね。
伊藤様:
そうですね。いくら機能が多くても、使いこなせなければ意味がありません。効率化を目的に入れたはずのシステムなのに、かえって効率が悪くなってしまっては本末転倒です。
川村様:
カオナビであれば、社員データベース機能「プロファイルブック」に人事情報がまとまっているため、導線がシンプルですし直感的に使えます。
人材情報は全ての人材活用の基礎になる部分ですので、情報へのアクセススピードは重要です。
それは社員からしても同様で、事実として、カオナビ運用時は社内に向けて説明資料を作ることはありませんでした。それほど分かりやすく使えるシステムということだと思います。
──そうした中で、カオナビ継続を判断した理由を教えてください。
川村様:
カオナビでもダッシュボード機能が使えるようになったことが大きいです。
機能について日々改良されており、当社が必要としている情報が出力できるようになっています。ダッシュボード自体の種類も増えていて、今後ますます増加していく社内からの情報ニーズに対応できそうです。
ダッシュボードの情報は経営層にも公開していて、IRにも一部活用されています。今後は一般の社員が活用できるようなダッシュボードも作成していきたいですね。
カオナビのダッシュボードの画面イメージ
自社にとってどのようなシステムが最適か?
──サポートの体制についてはいかがでしょうか。
川村様:
現在も、カオナビのサポート担当者には都度スピード感をもって対応していただいています。伴走していただける安心感があるので、カオナビの社内活用もより進めていけると感じます。
機能としては「もっとこうなったら」という要望がないわけではありませんが、要望をあげさせていただく機会も多く、細かなアップデートも多い。また、開発ロードマップの共有など展望を示してもらえるのもうれしいです。
カオナビの継続利用を決定した理由として、ダッシュボード機能の実装についてお話ししましたが、両システムを使う中で「秘匿性の高い人材情報だからこそ、シンプルで使いやすいシステムで運用した方がいい」と感じた点も大きな理由となっています。
──改めてカオナビでリスタートするにあたって、人事担当者として取り組みたいことがあれば教えてください。
川村様:
決してもう一つのシステムが悪かったというわけではなく、カオナビと比べても一長一短あると思っています。システムというものは、やりたいことを実現するための手法でしかありません。当社としてやりたかったことにカオナビがフィットした、という話です。
そのうえで、やはり機能の使いやすさ・シンプルさというものは重要な指標なのだと再確認できました。
今後は会社の規模もどんどん拡大していきますので、情報を一元・一括管理しやすい機能がカオナビに追加されていくのが理想ですね。また、AIの利活用などにも大いに期待しています。
伊藤様:
会社の規模に応じた機能を社員に提供できるか、ユーザー目線でUIが分かりやすいか、管理者目線で他システムとうまく連携できているかなどは、常に見極めていきたいと思っています。
そのうえでカオナビに対しては、今後も機能を拡張してほしいです。最初から全マシのアップデートではなくても構いません。一歩ずつ地に足の着いた開発で、確実にためになる機能追加をこれからもお願いしたいですね。
- 創業:
- 1996年12月
- 職員数:
- 811名(単体・2025年3月時点)