課題
- 別会社が集まった組織で人材データの管理が難しかった
- 店舗で働く社員が多く、人事側で情報を把握するのが難しかった
活用法
- 毎月のパルスサーベイで健康状態やモチベーションの変化を観察
- 必要な社員に関しては1on1や人事面談でフォロー
効果
- 定点的な観察で客観的に社員の状態を把握できるようになった
- モチベーションの変化をいち早くキャッチし、突発的な退職が減った
ヨーロッパ最大の自動車販売会社であるPorsche Holding Salzburgが、日本におけるディーラーネットワーク開発および事業運営の拠点として設立したPAIG Japan Automobile Investment様。現在フォルクスワーゲンディーラーを11店舗、アウディディーラーを12店舗、ポルシェディーラー2店舗を展開しています。
今回は、店舗ごとの人材のモチベーション管理にカオナビをどう活用しているのか、人事部の田尻三記子様にお話を伺いました。
※本記事の掲載内容は全て取材時(2024年7月16日)現在の情報に基づいています。
ブランドごとに異なる人材情報の管理に苦戦
––カオナビ導入を検討されていた当時、どんな課題を感じていらっしゃったのでしょうか。
カオナビ導入前、人事評価は個人ごとにExcelシートで管理していました。自動車販売や修理の現場では一人ひとりにPCが貸与されているわけではなく、従業員が手書きで作成した評価シートの内容を確認しつつ入力するなど、人事側の負担が問題になっていました。
他にも、従業員満足度調査や360度評価、ストレスチェックなど、別々のシステムで管理しているものもあり、情報更新の手間もありました。
ブランド別に人事担当マネージャーとサポート人員がついていましたが、査定会議用の資料をつくることだけでも大変な負担がかかっていた状態です。
––数あるシステムの中からカオナビを選んだ理由を教えてください。
脱Excelとデータの一括管理を目指し、いくつかのシステムを比較検討したなかで、カオナビは分かりやすさ・使いやすさが優れていました。
ユーザビリティが高く、顔写真が表示されることで社員一人ひとりに親近感を持てる点もうれしかったですね。煩雑だった情報管理もカオナビを入れることで一つのプロセスで完結できるようになりました。
現在は、現場の管理者が評価、1on1の記録を入力していて、部下の人材情報も閲覧できるようになっています。
パルスサーベイで社員の状態を定点観察
––社員の状態を把握するためにパルスサーベイを活用されているそうですね。
カオナビで特に効果を感じているのが、2021年から導入しているパルスサーベイです。
従業員満足度調査で「人事と現場の間に壁がある」「人事に気軽に話しにくい」といった意見が上がったことから、人事と社員の間をつなぐツールが欲しいと考えての導入でした。
人事としても店舗の状況をリアルタイムで把握しにくいという悩みがあり、従業員のモチベーションや健康状態を可視化できれば、従業員の定着率も上げられると考えました。
––具体的な運用方法を教えてください。
全社員に毎月一回、一週間の期限で、体調・人間関係・モチベーションを点数づけしてもらう3問のみ回答してもらっています。
導入当初は50~60%程度の回答率でしたが、現場責任者の方たちにも回答を促してもらい、最高で90%、通常でも80%程度の回答を得られるようになりました。
パルスサーベイの点数が急に下がった人には「点数が下がっていますが、状況を聞かせてもらえますか?」と声がけをしています。まずメールでフォローし、希望があれば面談もして、ポイントが下がった原因を聞き取ります。
また集団の結果を店長などからなる責任者会議で開示し、平均よりスコアが下がっているなどの場合は注意を喚起しており、現場と人事の二重体制でフォローアップしています。
モチベーション把握は突然の離職防止にも効果的
––パルスサーベイの効果はどう感じていらっしゃいますか?
人事に相談する、というアクションは社員の皆さんからするとハードルが高く思われがちで、特に遠方の店舗や現場ではなおさらです。
ところが、パルスサーベイを導入したことで、人事から各店舗の声を拾いにいけるようになりました。面談希望の有無にチェックをつける欄があり、希望をいただくこともありますし、社員の皆さんの声が人事に届きやすくなったと感じます。
また、人材の定着にも役立ってくれています。
たとえば現場で急な退職があると、人事では具体的な退職理由がわからなかったり、人員補充に困ったり、しこりが残るようなこともあります。問題点や不満がある場合に事前にヒアリングできれば、解決できることもあるでしょうし、退職されるにしても準備やフォローができ、それが次の退職者を防ぐことにもつながります。
––退職兆候のある社員のフォローについて教えてください。
管理職と部下の1on1はスマートレビューで管理していますが、パルスサーベイの点数が下がっている場合、人事で面談結果を確認します。担当マネージャーが店舗に行った際に話を聞くなどのフォローをすることもあります。
新入社員は人間関係やモチベーションに潜在的な不安を持っているもの。それらの数値が一度下がってしまうと、また上げるのは難しいですから、予兆を察知して事前にサポートをすることが重要です。
もちろん今年度の新卒社員約10名の回答も継続して注視しています。パルスサーベイで状況を把握することで、新入社員が組織に馴染んでいるかを観察できていると言えます。実際に、導入後は予期しない突然の退職が減っています。
人の目だけに頼らない人材情報の可視化を目指す
––カオナビならではのメリットを感じることはありますか?
カオナビの担当の方は親身で距離感も近く、いろいろな相談に乗ってもらえるので助かっています。
パルスサーベイの導入時にも、中途入社や異動した社員など一部を対象に考えていたところ、人事発令から自動で対象者にできるよう設定を手伝ってもらったこともありました。
担当者のフォローの手厚さはカオナビならではのメリットだと思います。
––今後活用していきたいとお考えの機能はありますか?
私は主にパルスサーベイ関係を担当していますので、より客観的な視点でデータを観察していきたいです。人の目では偏った見方になってしまうので、ツールを活用してより従業員に寄り添う形で人材情報を見ていきたい。その他の機能との掛け合わせなど、やり方次第で人事に集まる社員の声を拾いやすくなるのではないかと期待しています。
別々の組織が集まって、ひとつの組織としてリスタートしてからまだ年数が経っていない会社ですから、エンゲージメントを上げるためにどうすればいいかについては試行錯誤中です。カオナビという便利なツールを活用しながら、いい方法を模索していきたいと思っています。
- 設立:
- 2018年8月
- 社員数:
- 709名(2024年8月1日現在)
- 事業内容:
- 自動車販売、部品・用品の販売および整備