課題
- 人事データがシステムやExcelに散在し、一元管理ができていなかった
- 従業員数が約3倍に急増し、効率的な業務システムが必要に
- 育成、評価、配置が個別に運用され、一体的な機能が不足していた
活用法
- 目標設定から評価・フィードバックまで、全プロセスをカオナビで一元管理
- キャリア宣言や挑戦期待ポイント制度で、社員の自発的なキャリア形成を支援
- タレントパイプラインで人財情報を管理し、育成・評価・配置を一体的に運用
効果
- 外部委託費が0円に、評価担当者の作業時間を約40時間削減
- 多数の評価会議体における資料作成・回収・集計作業を大幅に効率化・過去の評価履歴を表示する機能により、マネージャーが変わっても公平な評価を実現
「感じ良い暮らしと社会の実現に貢献する」。この企業理念のもと、国内外で1,400超(2025年8月時点)の店舗を展開する株式会社良品計画。
良品計画は「人が一番、ビジネスが二番」という優先順位を大切にしています。短期の数字を追う前に、社員が安心して挑戦し成長できる環境を整える。そうして人と組織が強くなれば、結果として業績はついてくると考えています。
その理念を“言葉”ではなく“仕組み”として実装するために活用しているのが、タレントマネジメントシステム「カオナビ」です。本記事では、人事データが散在していた状態から、育成・評価・配置を一体で回す仕組みをどのようにつくり、どんな成果が出ているのかを、実際の運用目線で伺っています。
今回は、株式会社良品計画のカオナビ活用について、人事部ビジネスパートナー課の竹田美知子様にお話を伺いました。
※本記事の内容は、2025年11月28日のセミナー登壇時点の情報に基づいています。
企業理念
「人と自然とモノの望ましい関係と心豊かな人間社会」を考えた商品、サービス、店舗、活動を通じて「感じ良い暮らしと社会」の実現に貢献する。
二つの使命
1. 日常生活の基本商品群を誠実な品質と倫理的な視点から開発し、使うことで社会を良くする商品を、手に取りやすい価格で提供する。
2. 店舗は各地域のコミュニティセンターとしての役割を持ち、地域の皆様と課題や価値観を共有し、ともに地域課題に取り組み、地域への良いインパクトを実現する。
育成・評価・配置の一体化により「人が第一」の理念を実現できるのが魅力
──はじめに、カオナビを導入された背景について教えてください。
当社がカオナビを導入した背景は、人事データがシステムやExcelに散在していたことです。
人財に関する情報を正しく把握するために、人事部だけでなく現場のマネージャーにも大きな負荷がかかっていました。また、事業拡大に伴い組織規模が大きくなる中で、人財情報を経営の意思決定に活かせる状態にすることも重要なテーマになっていました。私はカオナビ導入決定のタイミングで良品計画に入社しましたが、導入当初は、人事データの一元管理を主な目的として活用を行っていたんです。
そこから、さらなる活用へと舵を切るきっかけになったのが、当社が2021年9月に「第二創業」を掲げ、新たな中期経営戦略と新たな企業理念と二つの使命を打ち出したことでした。
以降、成長スピードの加速とともに従業員数も増加し、これまでの評価業務の仕組みやプロセスでは立ち行かない状況に。
その際、育成・評価・配置を個別に運用するのではなく一体として回す仕組みが必要だと考え、カオナビの活用を本格化させました。
──数あるシステムの中から、なぜカオナビを選んでいただいたのでしょうか。
当社がカオナビを選んだ理由は、導入のスピードと容易性です。
従業員数の増加に合わせて評価プロセスもカスタムする必要がありましたが、カオナビは導入決定から約4か月後には最初のリリースとして「最終評価プロセス」を実装することができました。
その後も評価スケジュールに合わせて段階的に機能改修を行い、9か月後には評価全般へ適用。11か月後には、目標設定から評価・フィードバックまで、すべてのプロセスをカオナビ上で実装という形で、無理なく移行できました。また、人事部内に専門的なシステム人材がいない中でも、設定・運用を自分たちで行える点も大きな決め手です。その結果、導入時・運用時ともに外部委託費ゼロで構築・運用できています。
──評価ワークフロー機能「スマートレビュー」の活用方法について教えてください。
当社の評価は年2回、約4,000名の正社員を対象に実施しています。
目標設定から評価、フィードバックまでの全プロセスを、評価ワークフロー機能「スマートレビュー」で一元管理しています。
評価を最終的に決定する会議は、以前は資料作成・回収・集計に多くの時間を要していました。
カオナビ導入後は、これらの作業が大幅に効率化され、評価担当者の作業時間を約40時間削減することができています。
また、評価シート上に過去3期分の評価や前回の行動評価点数を表示することによって、たとえ上司や評価者が変わっても、評価の連続性と公平性の担保が可能に。評価訂正時も、カオナビ上で更新すれば全員が同じ情報を確認できるため、情報更新漏れも解消されています。
──人材データベース機能「プロファイルブック」は、どのような背景からご活用いただくことになったのですか。
「プロファイルブック」は、社員の基本情報だけでなく、当社独自の制度もすべて集約することを目的に活用しています。
・キャリア宣言※1
・挑戦期待ポイント※2
・タレントパイプライン※3
評価データとこれらの情報を同じ基盤で管理することで、育成・評価・配置を自然につなげることができています。
※1:社員が自身のキャリアについて定期的に考え、上司と共有・相談する仕組み
※2:高いレベルでの挑戦と進捗に応じ、退職時に自社株へ変換可能なESOPポイントを付与する制度
※3:将来の同社グループを支えるリーダーや、各専門分野で活躍する高度な人財を、計画的・継続的に育成・確保・配置していくための仕組み
──組織ツリー図「シナプスツリー」や組織マトリクス図「シャッフルフェイス」といった組織図機能のご活用について教えてください。
組織構造の可視化には、組織ツリー図「シナプスツリー」を活用しています。
HRBP(HRビジネスパートナー)が役員や部長と人材について議論する際も、評価データと組織構造をあわせて確認できるため、対話の質が大きく向上しました。
当社では「情報の透明性と対話」を大切にしています。人事データを「管理情報」ではなく「経営資源」として扱うことが、今回の取り組みの本質だと考えています。そういった意味でカオナビは、全員が同じ情報を見て議論するための基盤として、重要な役割を果たしています。
プロファイルブックでは社員一人ひとりの顔を見ながら直感的に操作・管理が可能
──カオナビ導入後、どのような効果を実感されていますか。
コスト面では導入期間だけではなく、運用フェーズにおいても外部委託費用をゼロにすることができています。毎月のように機能改修・アップデートが行われていますが、単に機能を使うのではなく、どう活用するのかをカオナビの社員の皆様と定期的なディスカッションをすることができていますので、私から上司に「今度カオナビでこんな機能が使えるようになったのですが使ってみませんか?」と提案できるようになりました。
運用面では「情報の透明性確保」です。みんながカオナビにアクセスして同じ情報を見て語り合うことで意思決定の質が高まります。カオナビはその基盤として、非常に重要な役割を果たしています。
スカウティング制度や生成AI活用で、さらなる人財戦略の高度化を目指す
──最後になりましたが、今後のカオナビ活用について展望を教えてください。
大きく3つの目標があります。
1つ目は、育成・評価・配置の一体化をさらに深めることです。評価や育成、配置を単体ではなく一体化していくことで戦略実行を加速していくことに貢献したいです。
2つ目は、スカウティング制度の実現です。現在は社内公募制度のみ運用していますが、各部署が求める人財に主体的にアプローチするスカウティング制度が実現できれば社内における双方向の人材マッチングシステムが完成すると考えています。
3つ目は、生成AIの活用です。異動の配置案シミュレーションやスキルや経験に基づく、個別の研修コンテンツをレコメンドなど、人事部が未来を描く戦略部門へと変革するためにカオナビと一緒に成長していきたいと考えています。
私たちが常に意識しているのは、「人事制度はゴールではなく、理念を実現するための手段である」ということです。人が成長し続ける組織こそが、企業の持続的成長を支える基盤になります。
「人が一番、ビジネスが二番」。この理念を実装し続けるために、これからもカオナビを活用し、育成・評価・配置が一体となった人財戦略を推進していきます。