課題
- 社員のスキルやキャリア志向が掴みにくく、適材適所の配置ができなかった
- 面談記録などExcel管理の情報もあり、人事の作業工数が多く、人財活用に手がまわらなかった
- 社員情報の蓄積・共有ができていなかった
活用法
- ボイスノートでキャリア志向を調査
- プロファイルブックに社員情報を集約
- スマートレビューで「戦略人財」をピックアップ
効果
- カオナビに集約することで人事の工数削減が叶った
- スキルの可視化とキャリア志向の聴取ができた
- 適材適所の配置と育成に注力できるようになった
創業1885年の南海電気鉄道株式会社(2026年4月から社名を株式会社NANKAIへ変更)は、2025年度で創業140周年を迎えます。鉄道事業のみならず、不動産、レジャー、サービス等のグループ企業約70社を抱えるなか、経営統合や分社化を含め、近年大きな変革の時期を迎えているといいます。変革を支える人財マネジメントの取り組みについて、人事部 人財・組織開発担当 課長 中村美紗子様、課長補佐 小島晴子様、上級主任 田頭亜佳音様にお話しいただきました。
※本記事は2025年10月9日開催のユーザー会の内容をもとに構成しています。掲載内容は全て当日時点の情報となります。
※南海電気鉄道株式会社は2026年4月に鉄道事業を分社化し、会社名が「株式会社NANKAI」となります。
変革していく事業には「人財戦略」が必要
──はじめにカオナビ導入の経緯についてお聞かせください。
中村様:
近年、当社は大きな変革期を迎えています。泉北高速鉄道との経営統合を果たし、鉄道事業と不動産事業や街づくり事業も分社化を予定。事業で多くの変化が見込まれるとともに、社員の働き方や人材育成についてなども、さまざまな面で変化の機運が高まっています。
そうしたなかで、2024年に経営戦略と連動したNANKAIグループ人財戦略を策定しました。多様な人財がイキイキと働ける環境を構築することが、さまざまな取り組みを実現させ、NANKAIグループのより良い企業像につながっていくと期待しています。
小島様:
経営戦略の変化に合わせて人財戦略を見直す必要があると再認識したのは、2021年頃です。そこから、採用、配置、育成、離職防止といった人財政策の再整理に取り組み始めました。
まずは従業員のエンゲージメントを高める施策を考え、配置・キャリアのミスマッチについて取り組みました。適材適所の人財配置を実現するには、まず一人ひとりのスキルや志向を可視化する仕組みが必要と考えたのです。
また、人事業務の効率化も重要な課題です。人事データの蓄積・活用が不足していた状態では人財戦略を十分に推進できないため、まず既存の業務をスリム化する必要がありました。
──人財の可視化と業務効率化のためにタレントマネジメントシステムが必要だったということですね。
小島様:
その通りです。2022年始めに検討を開始し、複数のシステムを比較検討した結果、同年末にカオナビの導入を決定しました。運用開始は2023年4月からです。
運用開始までには、マニュアル配布、社内誌での広報説明会、ユーザー登録、社内向けオリエンテーション等、周知につとめました。人事内でのマニュアルと役割分担も同時並行で進行。カオナビ専属担当というものはありませんが、人財・組織開発担当の3名と人事担当チームなど10人ほどで、現在およそ1,500人のカオナビアカウントを管理運用しています。
社員を知り、志向を把握して適材適所の配置と育成を実現
──現在ではカオナビをどのように活用いらっしゃるのでしょうか。
小島様:
現在は大きく3つの軸でカオナビを活用しています。人財情報の収集・蓄積、社員の志向調査、戦略人財の可視化です。
1点目は人材情報の収集・蓄積です。「プロファイルブック」で社員が任意に自分のプロフィールを登録しており、所属や趣味、中にはSNSアカウントを公開している人もいます。
顔写真の登録を促進するため、趣味に「写真」と入力している社員の協力を得て、社内で撮影会を開催しました。その結果、登録数が増加し、顔写真や趣味といった人となりがわかる情報は一般社員・管理職問わず重宝されています。
2点目は、評価です。毎年行っている目標設定面談(年度始め)と達成確認(上期末・下期末)も、「スマートレビュー」で記録・蓄積しています。以前のExcel管理と比べ、カオナビへの集約により社員・人事双方の工数が大幅に削減されました。
3点目は、スキルの可視化です。職務経歴や保有資格、外部研修歴なども登録を進めています。テンプレート入力やリストチェックだけで完結するシンプルな設計にしたことで、当初の目的であった個人スキル情報の収集を進めています。
自由にフォーマットを編集できるスマートレビュー(※上図はデモ画面。実際の南海電鉄様のフォーマットとは異なります)
──社員一人ひとりの希望やキャリアの方向性は、どのように把握されているのでしょうか。
小島様:
人財育成と活用の観点から、カオナビ運用を開始した2023年からキャリア志向調査を始めました。社員一人ひとりの興味や得意分野を活かすため、キャリアコースを3つに分けています。マネジメントコース、エキスパートコース、鉄道プロフェッショナルコースの3つで、それぞれ期待する役割や異動範囲が異なります。コースに優劣はありません。
調査は「ボイスノート」を使い、基本的には管理職を含む本社部門のカオナビユーザーを対象に実施しています。業務のやりがいや満足度、興味の方向性、長期的なキャリアビジョン、そのビジョンに向けて取り組んでいること、昇進・昇格の希望など、多岐にわたる項目を聞き取ります。
年に一度実施しており、今年で3回目です。今後はデータを整理・分析し、さらに活用していきたいと考えています。
──人財情報を集め、志向を把握したうえで、それをどう戦略的に活かしていくのでしょうか。
田頭様:
経営戦略と事業戦略の実現には、それらを担う人財の育成と配置が重要です。そこで当社では、戦略をリードする人財を「戦略人財」と位置づけ、求められる職務スキルを明確化した「戦略人財像」を設定しています。
戦略人財の特定プロセスですが、まず「ボイスノート」で社員の業務経験と戦略人財像への興味を調査。その回答を「プロファイルブック」の情報と併せて「スマートレビュー」で参照し、戦略人財像に合致する候補者を把握します。年1回実施し、データを蓄積しています。
スキル可視化の目的は2つです。1つは戦略人財の計画的な確保。成長戦略に必要な人財を計画的に確保・育成し、継続的にサポートすることが事業推進に不可欠だからです。
もう1つは、育成と配置の最適化です。これはカオナビ導入の主目的でもありました。戦略人財に限らず全社員の情報を可視化することで、適材適所の配置と計画的な育成を実現する基盤が整います。この取り組みには今後も力を入れていきます。
全社で積極的に使えるデータベースが可能性を広げる
──これからの展望はどうお考えですか。
中村様:
カオナビ導入により、人財情報の一元化と可視化が進んだことは大きな成果です。戦略人財の運用や社員の配置に活かせる貴重な情報が蓄積されています。
一方で、個人情報を多く含むため、取り扱いには慎重さが求められます。開示範囲の設定など、悩む場面は少なくありません。安心して使い続けるためには、人事自身がシステムへの理解を深め、安全な運用体制を整えることが不可欠です。現在は人事中心の活用ですが、将来的には他部署でも積極的に使えるデータベースを目指しています。
戦略人財については、仕組みは整い情報も蓄積されてきましたが、実戦配備はこれからです。各部門長への情報公開を進め、戦略的な配置・育成に本格活用していきたいと考えています。
カオナビによって社員のリアルな声を直接把握できるようになり、人事としてできることが広がりました。これからが真のタレントマネジメントの本番だと思っていますし、大いに期待しています。
- 設立:
- 1925年3月
- 従業員数:
- 2,717人(2025年3月31日時点)