課題
- Excel管理で評価に工数がかかっていた
- 人材情報が分散していた
活用法
- スマートレビューで人事評価を一元化
- 人事基幹システムから社員情報をリアルタイム更新
- 権限設定を見直し、カオナビ内のデータを整理
効果
- カオナビ上のデータの信頼性、および情報連携スピードが向上した
- 評価以外でもカオナビを使ってできることが増えた
歴史ある角川文庫をはじめ、ライトノベル、コミック、児童書、実用書など多岐にわたる書籍出版事業と、アニメ・実写の映画、ゲームなど、エンターテインメントの分野で総合的にコンテンツを提供する株式会社KADOKAWA様。
社内に広がった「評価のカオナビ」のイメージを覆し、タレントマネジメントにシフトしていくにはどうしたらいいのか。グローバルにグループ会社を多く抱えるなかで何が必要なのか。株式会社KADOKAWA様の取り組みについて、今回はグループ人事局 人事サービス課 課長 佐藤 良介様にお話を伺いました。
※本記事の掲載内容は全て取材時(2025年11月18日)の情報に基づいています。
「評価のカオナビ」のイメージがついてしまっていた
──はじめにカオナビ導入の経緯についてお聞かせください。
人事基幹システム導入前は評価をExcelで管理していましたが、「社員情報がバラバラな状態を解消し、システムで一元管理して活用しやすい状態にしたい」という考えから、導入の検討を始めました。カオナビを選んだのは、直感的なUIの分かりやすさと、顔写真で人物を視覚的に把握できる利便性が大きかったです。
ただ、これまではどうしても評価業務メインでの運用となってしまっており、社員にとっても「評価の時期だけ使うシステム」という認識でした。人事基幹システムとのデータ連携の精度にも課題があったため、一元管理という本来の目的に対して、得られる効果がかなり限定的になってしまっていました。もっと色々な使い方ができるはずなのに活かしきれていない、という課題感が正直ありました。
グループ人事局 人事サービス課 課長 佐藤 良介様
データの信頼性を上げ、棚卸しでブラッシュアップ
──そこからどう変わっていったのでしょうか?
まず着手したのは、人事基幹システムからカオナビへデータ連携をタイムリーに連携することで、情報の信頼性を担保することでした。
その上で、カオナビをより良いシステムに改善していくための地盤固めとして、権限とデータの見直しを行いました。導入当初はスピード感や利便性を優先して担当者それぞれに広い権限を持たせてフラットに運用していましたが、今後システム全体をさらに高度に活用していくために、あらかじめ「誰がどのデータを管轄するべきか」という管理責任をクリアにしておく必要がありました。そこで改めて、人事内での役割の整理に踏み切りました。
また、プロファイルブック等に蓄積されていた既存データも、その役割の整理に沿って棚卸しを実施しました。すぐに削除はせず、復旧可能な別枠へ移動させるなど工夫しつつ、データの中身も整えてきています。
──運用面ではいかがですか。
長く安定して回せる運用体制づくりを心がけました。日々寄せられる要望をそのまま設定に落とし込むアプローチだと、システム全体の構造としては最適解にならないケースが出てきます。だからこそ今は、私たち人事内のシステム担当が設計に入り、人事基幹システムとの連携を見据えて「全体としてどうあるべきか」を整理しています。実現したいことのコアな部分をすり合わせながら、一時的な使いやすさにとどまらない、人事の根幹をしっかり支える仕組みづくりを目指しています。
また、設定変更の流れを整理し、知見があちこちに散らばらないようにしました。これまでは「担当者ごとにカオナビの仕様理解にばらつきがある」という状態になりがちでしたが、今は情報がきちんと集約されるため、全体として矛盾やブレのない設定が可能になっています。日々の変更内容の記録やマニュアル化も運用に組み込み、人事システムに関するノウハウが自然と集約されていく体制基盤ができたと感じています。
システムとしてのカオナビはすでに社内に浸透しています。そのため現在のテーマはカオナビの浸透ではなく、「カオナビの役割の変更」です。これまでのデータ整理により、単なる評価ツールから人材データベースへと役割を変えるための準備が整いました。ですので、この新しいカオナビの価値を社内に定着させていくのは、まさにこれからのフェーズだと捉えています。
今は評価だけではない 信頼できる人材データの構築で広がるカオナビ活用法
──カオナビでできることが広がったということですね。実際にプロファイルブックはどのように活用されていますか?
主な用途は、入退社・異動の把握、報酬の通知、そして退職金情報の開示です。
入退社については、人事基幹システムからデータを取り込み、カオナビ内で一括管理しています。当社は組織構造が複雑で変更も頻繁なため、所属変更も日常的に発生します。そのため、人事基幹システムからCSVデータを連携して更新できる仕組みを構築しました。
人材データベース機能:プロファイルブック。企業にあわせたオリジナルのデータベースを作成できる。
退職金情報については、当社独自の活用をしています。当社の退職金はポイント制を採用しており、社員が自身の保有ポイントを確認できる開示ツールとして機能させています。
──評価ワークフロー機能「スマートレビュー」はどのように活用されていますか?
スマートレビューは主に評価で活用しています。
当社は雇用形態が多様で、正社員、契約社員、継続雇用などで評価のタイミングが異なります。そこで、スマートレビューのイベントを雇用形態ごとに分けて作成することで、通知や進捗管理をスムーズに行っています。カオナビはイベント作成件数に上限がないため、この運用が実現できています。
また、派遣社員の方の契約更新確認もスマートレビューで管理しています。
評価ワークフロー機能:スマートレビュー。イベントを作成し、ワークフロー機能で進捗状況を管理できる
さらに、やや変わった使い方として、契約社員から正社員へ登用する際の試験エントリー受付にも利用しています。これは本来の評価機能とは異なる、ワークフロー的な利用方法です。具体的には、評価のミッションシートを応用してエントリーシートを作成してもらう形です。現場で効果的に機能しているため、継続して活用しています。
──社員アンケート機能:ボイスノートも活用されていると伺いました。どのように活用されていますか?
ボイスノートは、現在大きく2つの用途で活用しています。
1つ目は、言語スキルや資格情報などのスキルアンケートです。当初は本人に随時プロファイルブックを更新してもらう方法も検討しましたが、ただ箱(システム)を用意するだけでは、従業員側が自発的にデータを更新する動機づけがなく、そのまま放置されてしまうという課題がありました。そのため、ボイスノートでアンケートを実施し、回答内容をそのままプロファイルブックに連携させる仕組みを構築しています。
社員アンケート機能:ボイスノート。自由度の高いアンケート作成ができる。
2つ目は、簡易的なパルスサーベイです。継続的な実施ではなく、新入社員や出向者など環境変化があった社員を対象に、状態を確認する取り組みとして活用しています。具体的には、モチベーションなどを5段階評価で自己評価してもらう形式です。まだ試行段階ですが、効果的なモチベーションマネジメントにつながることを期待しています。
タレントマネジメントには、信頼できる整備された人材情報が必要
──カオナビの今後の活用展望としては、どのようにお考えですか?
データが整理され、信頼できる人材情報の基盤ができたことは大きな財産です。現在、「それをどう戦略的に活用していくか」というフェーズにおります。グループ会社を含めた横断的なタレントマネジメントも将来的には取り組めればと考えています。
例えば、新しいプロジェクトを立ち上げる際や、海外拠点に向けて語学力のある人材を探す際、これまではどうしてもベテラン社員の記憶や、マネージャーの頭の中にある情報に頼りがちでした。社員一人ひとりが持つ「過去のプロジェクト経験」や「今後挑戦したいキャリアの希望」といった貴重な情報が、可視化されていませんでした。
だからこそ、人事基幹システムでは追いきれないこうした「定性的な人材情報」をカオナビにしっかりと蓄積し、意思決定に活かせる状態を作ることに価値があると考えています。KADOKAWAが大切にしている「自律的に働く」というカルチャーを、人事データという裏側から力強く後押ししていきたいと考えています。
- 設立:
- 2014年10月
- 社員数:
- 8,526人※グループ連結(2025年3月末時点)