課題
- 評価業務だけでなく、付随するExcel・メール作業も効率化したかった
- 評価履歴、研修履歴、スキル情報などの人材データが複数サーバーに分散し、「誰が何を得意としているか」を横断的に把握できなかった
活用法
- 雇用契約の意思確認や360度フィードバック(以下、360°評価)、スキル情報の収集にもスマートレビューを活用して、カオナビ上にデータを取りこんだ
効果
- 評価集計が約2日→1時間に短縮。スマートレビューを契約更新・スキル調査・360°評価にも活用し、業務効率化とマネジメント力向上を実現
- 社員情報をもとにした対話が可能となり、面談やフィードバックの質が向上
- スキルデータの蓄積により、電動化など事業環境の変化に対応できる人材を横断的に検索できる環境が整いつつある
1999年設立で、自動車用変速機や電動パワートレインの開発・製造・販売を手がけるジヤトコ株式会社。子会社を含め約11,700名が在籍し、国内外で事業を展開しています。
同社では、5,000枚にのぼるExcelシートで社員の評価を部署ごとに管理し、評価履歴・研修履歴・スキル情報などは複数のサーバーに分散していました。2019年にカオナビを導入し、現在は国内関連会社を含む約5,000名のデータを一元管理。評価機能「スマートレビュー」を評価以外にも応用し、嘱託社員の契約更新、360°評価、スキル調査へと活用領域を広げています。今回はカオナビ運用について、人事総務部の佐藤 真琴様にお話を伺いました。
※本記事の掲載内容は、セミナー時(2025年12月12日)および取材時(2026年4月27日)の情報に基づいています。
社員情報や評価・研修履歴が点在していた
──これまでのご経歴についてお聞かせください。
私は1985年にジヤトコに入社後、開発部門や広報部を経て人事部に異動。現在は嘱託社員としてカオナビの運用をメインで担当しています。
左から人事総務部の飯田様、佐藤様、鈴木様
──カオナビ導入に至った背景として、どのような課題があったのでしょうか。
カオナビ導入以前は、社員1名ごとにExcelのシートで評価を管理し、マクロでデータを取り込んで給与計算システムへ連携するフローが定着していました。しかし5,000枚にのぼるシートを部署ごとに管理する運用は、想像以上の負荷を生んでいたのです。
加えて、評価履歴、研修履歴、TOEICスコア、スキル情報などが各サーバーに分散し、必要な情報を横断的に確認することが難しい状態でした。「こういったスキルを持っている人を探したい」と思っても、5,000人もいる組織の中から適切な人材をサーチする手段がなく、担当者の頭の中にある記憶に頼るしかありません。もっと適性のある社員がいるかもしれないのに、それを確かめるすべがない——そういった課題を、ずっと抱え続けていたのです。
こうした状況の中、オンプレミスで運用していた評価用サーバーが更新期限を迎えたことが、見直しの直接的な契機となりました。
カオナビ導入後は、これらの情報を一元化し、社員情報を同一プラットフォーム上で参照できる体制を整えています。
評価、スキル、経験などあらゆるデータを一元管理できる、カオナビの『プロファイルブック』
直感的でわかりやすい操作性が魅力
──数あるタレントマネジメントシステムの中で、カオナビを採用した決め手を教えてください。
弊社は、もともと給与計算やタレントマネジメントのシステムを自社開発していましたが、このタイミングで「外部のシステムを活用しよう」という方針に切り替えることになりました。複数のサービスを比較検討しましたが、最終的にカオナビを選んだ決め手は「人」と「システムの柔軟性」の2点です。
「人」の面では、カオナビの営業担当者が複数名で来訪して下さり、弊社と真摯に向き合う姿勢が印象的でした。「システム」の面では、人事担当者自身が外部ベンダーを介さずに評価シートやプロセスを設計できる点、専門知識がなくても画面上で設定を変更できる柔軟性が、決定的なポイントです。
「外部ベンダーに頼まなくても、自分たちで運用できそうだ」という感覚を持てたことが大きかったと思います。
CSVでの入出力による既存データとの連携のしやすさ、導入後のレスポンスの速さも含め、「長く使い続けられるシステムだ」という確信を持って導入を決めました。
──社内ではどのような体制でカオナビを運用しているのでしょうか?
私を含む人事総務部の4名が管理者権限を持っています。このメンバーで社員管理、『スマートレビュー』の設計や基幹システムからのデータ取り込みなどを担当しています。さらに部門の担当者からも「カオナビのデータを活用したい」という声が挙がり、部門担当者約10名にCSVダウンロード権限のみを付与し、データの出力・加工を許可しました。管理者権限は渡さず、部門から「こういう目的でシートが欲しい」などリクエストがあれば、その都度人事がシートを用意しています。
また、私はカオナビが運営する資格制度『Talent Management Professional』を受験して、最高位であるDoctor(博士)を取得しました。タレントマネジメントについての視点や考え方、カオナビ機能の理解にもつながるので、資格取得はおすすめです。
導入1年後には5,000人の情報を集約
──カオナビを導入し、どのように社内で活用を広げていったのでしょうか。
2019年の導入当初は、まず管理職数百名を対象に登録し、人事総務部が操作や設計に習熟するところから開始しました。操作性を確認しながら段階的に対象を拡大。「小さく始めて大きく育てる」方式です。
データ数が少ないうちは、所属ツリーの設計やシートへの情報の持たせ方など、試行錯誤がしやすい段階でもあります。翌年には国内関係会社を含む約5,000名規模のデータを登録し、RPAを活用した基幹システムとのデータ連携の仕組みも構築しました。
2021年からは、『スマートレビュー』で一般層の評価を開始。開始にあたっては、PCを持たない現場社員の入力をどうするかといった課題や、Excelからカオナビにやり方が変わることへの抵抗感がありました。そのため、導入メリットの説明やスクリーンショット付きのメール案内、オンラインミーティングでの解説など、現場への丁寧なフォローを意識。1年目はいろいろな問い合わせもありましたが、2年目からはスムーズに運用できるようになったと思います。
カオナビの活用が定着してくると、続々と社員から「カオナビでこういうことができるらしい」「社員のこんな情報を集めたい」「こういう情報をカオナビで管理したい」といった問い合わせが増加。2023年からは部門ニーズに応じた活用も開始しました。
「自分たちで運用できる」という確信が、全社展開の原動力に
『スマートレビュー』を評価以外にも活用
──どのようなシーンで『スマートレビュー』は役立ちましたか?
『スマートレビュー』は評価運用のための機能ですが、プロセスごとに閲覧・編集権限を細かく設定できる柔軟性から、弊社では評価以外にも3つのシーンで活用しています。
『スマートレビュー』を運用するうえで悩んだ時には、カオナビ担当者のサポートやセミナーを適宜活用し、運用を軌道に乗せることができました。
1つ目は「嘱託社員の雇用継続確認」です。
従来はExcelで「継続意思確認票」を起票し、メールで上司・人事総務部・担当役員へ展開して承認を得るフローでした。その都度、社員番号や氏名を手入力していたため、数字や所属の誤りといったケアレスミスが発生しやすく、どのファイルが最新なのか分からなくなることもありました。
『スマートレビュー』を活用することで、参照パーツで社員情報をプロファイルブックから自動反映しています。計算式や判定式の設定により入力ミスがなくなり、半角・全角の統一など入力ルールも担保できるため、データの整合性が向上しました。確認帳票の電子メール添付及び回付や、紙への印刷などのオペレーションも廃止でき、また進捗もスマートレビュー上での可視化を実現。人事総務部側で最新情報を即時に把握が可能です。
『スマートレビュー』では、プロセスごとにパーツ単位で閲覧・編集権限を設定できるため、複数の関係者をまたいだ承認業務にも適しています。
社員情報をプロファイルブックから自動反映し、進捗をスマートレビュー上で一元管理している
2つ目は、管理職に対して実施している「360°評価」です。
従来は別システムで運用していましたが、システム終了を機にカオナビへ移行しました。当社では、360°フィードバックを単なる評価ではなく、管理職のマネジメント力向上と行動変容を促す施策と位置づけています。
『スマートレビュー』のテンプレートを活用することで、多人数が関与する評価でもスムーズに運用でき、人事側の帳票作成・配付回収・進捗管理の工数は従来比で約3〜4割削減されました。また、フィードバック実施後に本人が「気づき」と「今後のアクションプラン」を言語化し、データとして蓄積する仕組みへと設計を見直しています。
これにより、「受けて終わり」の評価ではなく、次回評価や上司との対話に接続される継続的な育成サイクルを実現しました。
実際に管理職からは「部下との向き合い方を見直すきっかけになった」「マネジメントの引き出しが増えた」といった声が上がっており、当事者意識の向上やエンゲージメント強化にもつながっています。
「自分で決めたアクション」という構図が、管理職の当事者意識を高める
3つ目は、各社員の「スキル調査」です。
業務に関連する専門スキルについて棚卸しを行い、本人および上司が3段階で評価した情報を蓄積しています。スキル項目は、事業環境の変化を踏まえて見直しており、特に電動化に関連する技術領域など、今後必要となるスキルを中心に定義しています。
収集した情報はカオナビ上で一元管理され、特定のスキル保有者を横断的に検索できるため、
①プロジェクトへの最適配置
②リスキリング対象者の特定
③育成施策の優先順位づけ
といった意思決定に活用しています。
なお、スキル情報の収集には『アビリティマネージャー』ではなく『スマートレビュー』を採用。評価機能として社員に定着しているため入力ハードルが低く、開閉パーツによるスキル項目の整理も運用面で有効に機能しています。
これにより、従来は属人的に把握していたスキル情報が可視化され、データに基づいた人材配置・育成検討の基盤が整いつつあります。
当初開閉パーツは実装されていませんでしたが、カオナビに要望を伝えたところ、罫線や開閉パーツの追加など、こちらが「ほしい」と思った機能を対応していただけました。自分たちの運用に合わせてシステムが進化していく実感は、長く使い続けるうえでの大きな安心感につながっています。
豊富なパーツを組み合わせて、自社ニーズに応じた設計が可能な『スマートレビュー』
業務効率化が進み、社員間コミュニケーションも活性化
──カオナビを導入し、社内にどのような変化がありましたか?
まず業務効率の面では、管理職の評価集計にかける時間が大きく短縮されました。以前は2日ほどかかっていた作業が、およそ1時間程度に削減されています。嘱託社員の契約更新や評価管理のプロセスが可視化されたことで、入力ミスの削減や進捗確認の負担軽減にもつながりました。
また、評価履歴を上長が直接確認できるようになり、面談の抜け漏れ防止や継続的な育成フォローがしやすくなっています。「3年連続でA評価を取っている人材を抽出したい」といった、これまでは手作業でしか対応できなかったデータ活用も、現実的な取り組みとして視野に入るようになりました。
さらに、360°評価の集約結果と本人のアクションプランをあわせて活用することで、経営層・人事での配置・育成検討の質も変わってきています。「なぜこの人を次のポジションに推すのか」「どの点が期待でき、どこがリスクか」といった問いに対し、感覚論だけでなく複数の立場(部下・同僚など)からのフィードバックデータをもとに具体的な議論ができるようになりました。360°評価を単なる評価イベントで終わらせず、管理職の気づきと行動変容につなげる仕組みとして定着させられたことが、大きな成果だと感じています。
人材情報が一元化されたことで、部門からのデータ活用ニーズも増加しました。人事以外の部署でも活用が進み、蓄積データを前提とした議論が行われる場面が増えています。アンテナの高い社員からは「こういう情報をカオナビに登録してもらえないか」といった問い合わせも来るようになりました。カオナビをタレントマネジメントのプラットフォームとして活用するという発想が社内に広がりつつあります。
──今後の活用はどのようにお考えですか。
「データを蓄積できた段階」から、データドリブンな適所適材の実現へ
情報の分散という課題は一定程度解消できましたが、現状はまだ「データを蓄積できるようになった段階」だと捉えています。今後は、評価履歴やスキル情報を横断的に分析し、人材配置や育成施策の意思決定により積極的に活用していきたいと考えています。
特に、自動車の電動化など事業環境が大きく変化する中で、必要なスキルを持つ人材を迅速に把握し、適切な配置や育成につなげることは重要です。そのためにも、単なる情報管理にとどまらず、データを活用したタレントマネジメントの実践へと発展させていきたいと考えています。
歴史の長い企業ほど、人材データは部門ごとに分散しがちです。まずは情報を一元化し、事実に基づいた対話ができる環境を整えること。それが、組織変革を進めるうえでの基盤になるのではないでしょうか。
- 設立:
- 1999年6月28日
- 従業員数:
- 11,700名(2025年3月31日現在│関係会社含む)
- 事業内容:
- ・自動車用変速機、電動パワートレインおよび部品の開発・製造・販売
・実験受託・エンジニア派遣