課題
- スタッフのデータが複数の場所に保存されていた
- 店舗にPCが1台しかなく、評価の入力などが店舗スタッフの負担になっていた
活用法
- カオナビにデータを一元化。経営層や役員などもスタッフの情報を見れる環境を構築
- 各店舗スタッフがスマホアプリで、自己評価を入力
効果
- 店舗に訪問する前に、スタッフの情報を確認するのが容易になった
- 各店舗スタッフが、本来の業務に集中できるようになった
1978年に創業した日本を代表するアパレル企業のひとつである株式会社トゥモローランド様。現在は、基幹ブランドTOMORROWLANDのほか、CABaN、SUPER A MARKETなどを展開しています。国内外合わせて100店舗以上を運営しており、現場で働くスタッフの採用や人材育成は、会社の成長に欠かせない要素になっています。
今回は、多店舗展開されている小売業ならではの人事課題とその解決にあたりカオナビを導入した理由、さらに現場での活用シーンについて、人事総務部 採用課の小熊貴恵様に聞きました。
※本記事の掲載内容は全て取材時(2026年1月22日)現在の情報に基づいています。
紙やExcelの管理に限界…。テスト運用でスマホの操作性が好評だったため導入へ
──これまでのご経歴についてお聞かせください。
私は2007年に新卒でトゥモローランドに入社しました。2年ほどの店舗勤務を経て、3年目に人事総務部に異動して、それ以降はずっと人事や採用に携わっています。個人的には、その間に産休と育休を2回取得しており、現在も時短勤務をしています。
もともと洋服が好きで、アパレル業界を志望しました。仕事として捉えたときに、30代や40代になっても着られるブランドで長く働きたいと考え、トゥモローランドを選びました。当時、説明会で登壇していた先輩社員に魅力を感じたのも決め手になりましたね。前任の採用担当の先輩が社内公募で新ブランドの部署に異動になったタイミングで、部長から声がかかり、人事の配属になりました。
──現在の担当業務について、教えてください。
人事に異動した当初は、当時の人事担当の方と一緒に新卒採用のためのフローづくりや学生さんの対応をしていました。選考に携わるというよりは、採用を円滑に進めるための事務関連と学生対応が多かったですね。就職説明会で司会をすることもありました。
とはいえ、人事担当になった今も年末年始などには店舗に立っています。自分が採用した店舗スタッフの先に大切なお客様がいる。お客様をそのスタッフに任せられるか……というのが、自分の中での採用基準のポイントになっているように思います。最初は手探りの状態で採用を繰り返しながら、徐々に自分の中で採用基準ができていきましたね。採用以外では、内定者のフォローアップや入社後の研修関連の業務、さらに出産後に復職した女性社員のフォローなども行なっています。
──カオナビの「スマートレビュー(評価ワークフロー)」を導入した経緯も、お聞かせください。
もともと社内の人材情報や評価結果は、紙やExcelで集めて、CSVに落として、CSVからマクロを組んで自分たちのシートをつくって……という作業フローで行っていました。Googleフォームで社員アンケートを行って、それをCSV化するような作業もありました。
当時はマクロを組んでくれる別部署の方がいたのですが、その方が退職するタイミングでその業務を引き継ぎました。ただ、毎回半年に一度これを自分でつくるのは物理的に難しいと判断し、何か効率的なツールはないかと探していたときに、カオナビの提案をいただき、社内で試験的に試してみようと導入を決めました。最初は、都内の数店舗でテスト運用をしたところ、スマホの操作性が好評だったので、全社的な導入に至りました。
スタッフ一人ひとりがスマホアプリをダウンロード。店舗訪問前にカオナビも閲覧
──カオナビ導入前の人事課題というと、どのような点が挙げられますか?
まず人事に関しては、人事総務部のほかにショップの配置を担当する「ショップ人事」という別部署があって、そちらのマネージャーが全体を統括しているんです。ただ、ブランドごとに「ショップ人事」があって、そこを束ねるマネージャーと私たち人事総務部の情報共有がなかなか難しいのが実状でした。
例えば、スタッフの方が研修を受けたり、留意すべき事案があったりしたときに、その人の記録が残る場所がバラバラでした。ある研修を受けたレポートはこっち、別の研修を受けたフィードバックはあっち……という状況が至るところにありました。各スタッフに関する蓄積された情報を一元化して管理するシステムやツールを探していましたね。
──人事課題を解決するために、カオナビをどのように活用していますか?
カオナビの機能を活用し、スタッフ一人ひとりの情報が一か所に蓄積されている状態にして、何か相談があったときや異動のタイミングで、そのスタッフのステータスが一目で確認できるようにしたいと考えています。
・今回、テスト運用を経て、特に人事評価制度の運用で使う「スマートレビュー」を活用しており、各店舗のスタッフ一人ひとりがカオナビのアプリをダウンロードして、スマホで評価を入力できる状態を実現できました。
ほかにもカオナビの活用方法としては、現在は、店舗の採用を担当する「ショップ人事」や本社の役員が各店舗を視察する前に、そこにどのようなスタッフがいるのかを確認するために、「プロファイルブック」を使っています。名前だけでなく顔写真があることがやはり大きいですね。実際にどの人という認識を持った上で、店舗での活躍ぶりを確認して、今後の配置などを検討することができます。
スキマ時間で自己評価を入力。接客に集中できるように
──カオナビ導入によって、具体的な成果はありましたか?
アンケートや各種申請が店舗にいるスタッフのスマホからできるようになったのは大きいですね。以前は、店舗にパソコンが1台しかない状態で、ストックでパソコンを順番に使わなければならない状況でした。これまでは、スタッフ個人が評価入力し、それを評価者である店長がまとめて評価をしていくという流れでした。そうすると時間や工数がかかり、店頭で接客をしながらパソコンで入力する作業自体がストレスになっていました。
その点、スマホだと各スタッフが空いている時間に自由にデータ入力できるようになり、パソコンの取り合いがなくなりました(笑)。以前使っていたWebアンケートのフォームは、内容が下書き保存されずに消えてしまうのが問題でした。「スマートレビュー」の自動保存機能によって、それが解決されたことで、負担が軽減され、より接客に集中できるようになったのではないかと感じます。
各店舗の店長からも、「入力がだいぶ楽になった」という声が上がっています。以前は、Excelをダウンロードして入力し、またクラウドサーバにアップして…という作業フローがあって、個人のITリテラシーにかなり依存する状況がありました。それが、スマホのアプリで指示通り操作していけば、入力完了ということで、かなり好評です。
経営層や役員も頻繁にログイン。「どこに誰がいる」を事前にキャッチ
──マネジメント層の皆さんは、カオナビをどう活用されていますか?
先ほども申し上げた通り、「ショップ人事」やショップの担当者が店舗に行く前には「プロファイルブック(人材データベース)」を見ているほか、各店舗のマネージャーも見られるように設定しています。特に店舗スタッフの異動を検討する際に、これまで所属してきた店舗やスタッフの最寄り駅の確認をするのに特に重宝しています。店舗勤務の場合、「通えるか」というのは重要な情報なのです。
また現在、人事サイドでは、「プロファイルブック」に入力した情報、実際に店舗で見て確認した情報を合わせ、別途「配置表」のようなものをつくっている状態です。配置シミュレーションを行う「シャッフルフェイス」の機能を使い、写真と年齢、名前、雇用形態などをセットにして、誰をどこに配置するかを検討しています。
一方、経営層や役員も頻繁にログインしている状態で、やはり店舗に行く前に「どこに誰がいる」という情報を事前に得てから行ったり、気になるスタッフの名前を確認したりという用途で活用しているようです。具体的には、店舗から何か相談があったら、その店舗の状況の確認やどんなスタッフがいるかを「プロファイルブック」で確認するような流れですね。
ジョブローテーションにもっとカオナビを活用したい
──将来的に、カオナビをどのように活用していきたいですか?
従業員の“声”を集めるアンケート機能「ボイスノート」を活用し、きちんと店舗スタッフのキャリアの蓄積ができるようにしていきたいと考えています。スタッフ個人が自分の目標を立て、それをきちんとカオナビ上で確認ができてというのが、人事評価も含めて回っていくといいなと思っています。そういう活用の仕方なので評価のときだけ開けるものではなく、日常的に開けてデータの確認ができるようになるといいですね。
もちろん、カオナビを人材育成にも活用していきたいです。例えば、トゥモローランドでは「兼務」という考え方をすごく大事にしています。1箇所でずっと同じ仕事をしていても新しいアイデアは生まれないので、多様な仕事に関わることで新しいアイデア、人脈ができるという考え方をしているためです。例えば、普段は店舗にいるスタッフが、週に2回SNS広報の部署で仕事をするといったことが行われているんです。
また、ジョブローテーションも盛んで、「やってみたい!」と声を上げたスタッフには、できる限りチャンスを与えます。ジョブローテーションで、1〜2か月間、週3回本社に来てみようかといったことを比較的柔軟にやっていますね。本社側もそういうやる気のあるスタッフを常に探しています。
最近、ある部署から「ジョブローテーションに興味ある人はいない?」と聞かれたときに、「スマートレビュー」の中にある「今後チャレンジしてみたいこと」の項目で出してもらった希望をソートにかけ、候補者を伝えたこともあります。私と「ショップ人事」とその部署のリーダーで、候補者リストを共有し、ジョブローテーションを検討することもあります。
──人材育成の面では、貴社は従業員の自律的なキャリア形成を支援するユニークな制度があるそうですね。
トゥモローランドでは、従業員一人ひとりの自律的なキャリア形成を支援するために、「トゥモローランドカレッジ」という社内研修制度を設けています。これは、スタッフが自身の役割や成長段階に応じて必要なスキルを身につけられる学びの場です。社内には評価時の「期待役割水準」が定められており、それぞれのレベルに応じてどのような研修を受けるべきかの指針が設計されています。
キャリアプラン|株式会社トゥモローランド 採用サイト
カレッジの運営は、本社に所属する部長を除き、実際の店舗スタッフが担っています。現場で活躍するスタッフが自ら研修内容を企画し、講師として登壇する。この「現場発信型」の仕組みが、「トゥモローランドカレッジ」の大きな特徴です。現場で成果を出しているスタッフが、自らの知識や経験を共有し、次世代を育てる。そして学ぶ側も、自らのキャリアを主体的に描いていく。そんな「学び合う文化」を育てる仕組みです。この社内研修制度においてもカオナビの機能を活用していきたいですね。
──最終的に、貴社が目指す「理想の人事」の姿とはどのようなものでしょうか?
やはりスタッフが、やりがいを持って笑顔で仕事ができる環境をつくりたいというのが1番の目標です。そこに対してできていること、例えば、キャリアを築いていくためにスタッフに何かを提案するという取り組みが、全員に行き渡っているとは言い難い状況です。スタッフ一人ひとりが、夢を持ちながら高いモチベーションで働ける仕組みを考えたいと思っています。また、自分自身がキャリアコンサルタントの資格を取得したので、それを活かしてスタッフたちの夢を実現するサポートをできたらいいなと考えています。
現在、カオナビの細かい設定をするのがまだ私とシステム担当者しかいない状況なので、管理者側にカオナビに精通しているスタッフをもっと増やしたいですね。今後、「適材適所」の仕組みを考えていくときに、各スタッフの強みや配置図がわかれば、異動やジョブローテーションの提案もスムーズになるのではないかと考えています。
- 創業
- 1978年
- 従業員数
- 1,389名(2024年4月時点/契約社員、アルバイト含む)