課題
- 職能別組織ごとに評価制度のデータが点在していた
- 組織再編に伴い、グループ全体で共通利用できる評価フォーマットと、一元管理の仕組みが必要になった
活用法
- 『スマートレビュー』(評価ワークフロー)で複雑な評価フローのロジックを再現し、開発職・営業職から段階的に全社展開
効果
- 評価シート作成・権限管理の工数が削減され、「事業特性に応じた評価運用に対応出来る時間」が増加
- 設定対象の『スマートレビュー』数を43個(2019年)→15個(2026年上期)に削減
合同会社DMM.comをはじめとする多数の事業会社を擁するDMMグループ。エンターテインメント、教育、金融、テクノロジーと幅広い領域で事業を展開するグループ全体の人事管理を担う人事部では、カオナビを約10年にわたって活用してきました。
グループ各社・各事業部の評価制度をいかに一元化し、変化し続ける組織をどう支えているのか。人事統括/人事企画部でチームリーダーを務める瀧田 愛様に話を聞きました。
※本記事の掲載内容は全て取材時(2026年3月19日)の情報に基づいています。
職能別組織が抱えた評価の分散問題。組織再編を機にカオナビ活用へ
──現在のご担当業務と、カオナビとの関わりについて教えてください。
人事部でチームリーダーとして指示や監修を担当しています。実際の運用は他のメンバーが中心になって動いているんですが、カオナビの活用全体を見ているのが私のチームです。
カオナビ自体は私が人事部に来る前から導入されていて、もう10年近くになりますね。私が『スマートレビュー(評価ワークフロー)』の導入検討に関わり始めたのは2018年ごろのことで、当時の組織課題と向き合うなかで本格活用が始まりました。
──2018年当時、どのような課題があったのでしょうか?
当時は事業組織、エンジニア組織、デザイナー組織など、職能別に組織が分かれていて、それぞれが独自の評価制度を持っていたんです。各組織がExcelやスプレッドシートで評価を管理しているので、情報がバラバラの状態で。誰がどのような評価を受けているのか、横断的に把握することが難しい状況でした。
その時期に、全社的に組織を再編しようという動きが起きました。私は再編後に適用する人事制度設計に関わっていたのですが、従来のExcelやスプレッドシートを用いた管理方法では対応しきれないということになって。決まったフォーマットで運用できる仕組みが必要だと判断し、『スマートレビュー』の活用を検討し始めました。
組織管理本部 人事統括/人事企画部 HROfficeグループ HROffice・制度運用チーム チームリーダー 瀧田 愛様
3社比較の末に決めた決定打は「『スマートレビュー』の柔軟性」
──数あるタレントマネジメントシステムの中で、カオナビを選んだ決め手を教えてください。
3社のサービスを比較検討しました。カオナビ自体はすでに社内で使われていたんですが、『スマートレビュー』の導入にあたり、改めて他社サービスとの比較を行いました。
決め手になったのは、『スマートレビュー』の柔軟性です。当時、評価フローのロジックをかなり複雑に組んでいたんですが、そのロジックをそのまま再現できたのがカオナビだけでした。他社のサービスでは機能が足りなかったり、再現しきれない部分があったりして。
加えて、設計が難しくないというのも大きかったですね。ある程度手を動かせば自分たちで作れるし、工夫次第でかなりのことができる。その柔軟性と「自分たちでコントロールできる感覚」が、カオナビを選んだ理由です。
──導入初期、現場からの反応はいかがでしたか?
スプレッドシートでの評価運用に慣れていたメンバーが、カオナビの参加者設定などの操作に戸惑うことはありました。ただ、10年近く運用してきた今となっては、従業員の皆さんもだいぶ慣れてくださり、そうした問い合わせは大幅に減っています。
開発職からスタートし、1年ごとに拡大。グループ会社にも自然と波及
──『スマートレビュー』の展開はどのように進んでいったのでしょうか?
最初はすべてに一気に展開するのではなく、部分的なところから始めました。最初に開発職へ導入し、翌年に営業職へと広げて、そこから徐々に対象を拡大していくかたちです。1年ごとに少しずつ範囲を広げながら、安定した運用ができるよう調整していきました。
その規模感を数字で見ると、2019年は『スマートレビュー』の評価ワークフロー数が43個でした。2021年には96個まで増え、最も多い時期には142個に達しました。計算式が複雑になりすぎてシステムが重くなってきたため、当時は本部単位で評価ワークフローを分割して負荷を軽減していました。その後、カオナビ側の動作改善が進み、評価ワークフローを統合できるようになったこともあって、2026年上期では15個にまでコンパクトになっています。
──グループ会社への展開はどのように進めたのでしょうか?
実は、こちらから積極的に働きかけたというよりも、グループ会社側から「使いたい」と声が上がってくることが多かったんです。同じオフィスの中にグループ会社が一緒に入っていて、日常的に仕事をしているので、カオナビを使っていることが自然と知れ渡っていく。そこから「うちも導入したい」という話になり、導入に至るケースがほとんどでした。
能動的な働きかけよりも、まずは使ってもらう環境があって、その実態を見て興味を持ってもらうという流れが、うちのグループにはフィットしていたのだと思います。
1環境で複数法人を管理。フル活用するアクセス設定と月次更新の運用術
──ひとつの環境で複数の法人を管理するという手法を選ばれた理由を教えてください。
私たちの人事部の業務範囲として、グループ会社が対象に含まれているので、1環境で複数法人を管理するというのは、ごく自然な発想でした。人事の業務の性質上、まとめて見られる環境のほうが圧倒的に便利なんです。
──他社の情報が混在しないよう、権限設計はどのように工夫されていますか?
ロールを会社単位で分けているところもあれば、分けていないところもあります。利用実態に合わせて拡張しているという状態ですね。A社には見えてよいが、B社には見えてはいけないという情報もあるので、カオナビの拡張アクセス設定をフル活用して除外設定を細かく組んでいます。
ユーザー管理の更新は月に一度行っています。設定用のスプレッドシートで関数を組んで、一括アップロードするかたちをとっています。例外が多いので、一括設定機能だけでは対応しきれず、独自のスプレッドシートでの管理を続けている状況です。
──権限の線引きはどのように判断されているのでしょうか?
部長以上の閲覧権限については可能な限り対応しますが、それより下位の役職については、細かくなりすぎてしまい、安全な運用が難しいため見送っています。現場からの要望に対しては、「本当に実現したいことは何か」をヒアリングして、カオナビでなければできないのか、工数をかけてでもやる必要があるのかを個別に判断しています。すべての要望に応えようとすると際限がなくなってしまうので、そこの判断は慎重にしています。
現場の裁量を尊重しながら推進。時にはあえてカオナビ以外を選択
──最初の本格運用開始時、現場への展開はどのように進められたのでしょうか?
2018〜2019年にかけてが最も説明が多かった時期です。本部長、部長、そして現場のメンバーへと段階的に説明回りをしました。1ヶ月ほど集中して各本部や部署を回り、カオナビでダミーデータを作って画面に投影しながら操作方法を説明しました。2018年がトライアル運用で、2019年から本運用が始まったタイミングでしたね。
──現場からよく上がってくる要望にはどのようなものがありますか?
最も多いのは「スキル一覧の管理がしたい」という相談ですね。各部署が持っているスキル項目を、メンバー一人ひとりに紐付けて管理したいというニーズです。『スマートレビュー』で提供することもあれば、『プロファイルブック(人材データベース)』の中で対応することもあり、その都度判断してアドバイスをしています。場合によってはスプレッドシートのほうが適していることもあるので、カオナビ一辺倒にこだわらず、最適な手段を提案するようにしています。ほかには、『ラーニングライブラリ(研修管理)』への関心を寄せている部署もありますね。
──評価制度について、組織ごとに独自のやり方を続けているところもあるとのことですが、そこはどのようにお考えですか?
カオナビでフォーマットは用意しているのですが、組織によってはあえてカオナビの評価フォーマットを使わず、独自のフォーマットやGoogleドキュメントで管理しているところもあります。
最初はそこを統一しようとも考えたのですが、管理しきれないですし、むしろそれぞれの組織の成長を阻害しないように委ねたほうがいいと今は思っています。人事の仕事は、その時々でやるべきことが変わります。期初に立てた目標通りに期末が迎えられることなどほぼなくて、必ずイレギュラーが発生する。だからこそ、ロジックに当てはめるよりも柔軟に対応できる形を重視しています。
「日本一変化に強いバックオフィス」へ。事業の意思決定を支える人事基盤として
──カオナビの活用によって、組織や人材に関して新たな気づきはありましたか?
組織や人の違いが、想像以上に大きいということを実感しました。カオナビを導入して評価結果が集まるようになると、「うちの組織はこういうカスタマイズが必要だ」という声が届くようになってきて。全社で統一されたフォーマットを作ったつもりでも、現場の実態はそれぞれ異なる。そのことに気づかされましたね。
グループ全体での評価基準の完全統一には至っていませんが、等級という共通指標をベースに、ある程度目線が揃ってきているのは成果だと思います。ただ、DMMのような会社の場合、グループ全体を一律に見るよりも、「この本部、この事業の中でどうなっているか」を見ていく方が価値が高い。各事業がどうやって強くなっていくかを重視しているので、その動きを阻害するような共通の縛りをかけることはしないようにしています。
──将来的に、カオナビをどのように活用していきたいですか?
弊社はとにかく変化が激しくて、異動や組織再編が頻繁に起きる会社です。年間で1万件程度の発令が発生します。組織がなくなることもあれば、新しい事業が立ち上がることもある。そういう環境の中で、一人ひとりが能力を発揮できる場所に配置できれば、事業にも従業員にも良い、強い会社になれます。
ずっと同じ部署にいるけれど、他の部署でも活躍できる能力を持っている人がチャンスをつかめるように。あるいは組織の変化の中で自分の場所を見失わずにいられるように。そのための「適材適所」を支えるデータを蓄積し続けていくツールとして、カオナビを位置づけていきたいと考えています。
──最終的に、貴社が目指す「理想の人事・組織」の姿をお聞かせください。
組織管理本部として掲げているのが、「日本一変化に強いバックオフィス」を2027年までに実現するというビジョンです。DMMは常に変化し、複雑で、カオスな会社です。それを支え、より豊かにしていくことがバックオフィスの使命だと思っています。一般的な人事部のイメージとは少し異なりますが、弊社の場合、役職への発令や異動の発令は各事業部から出てくるものです。人事権は各事業部が持っている。そういう会社だからこそ、人事部は現場の意思決定を支えるデータとインフラを提供する役割を担うことが大事だと考えています。
カオナビはそのひとつの重要なツールです。変化の激しい環境の中で、人と組織をつなぐデータを蓄積し続け、適材適所の実現を後押ししていきたいと思っています。
- 業種:
- インターネット関連・情報通信
- 設立:
- 1999年11月17日
- 従業員数:
- 2,730名