課題
- スプレッドシートによる人事評価の業務効率化
- 評価情報のやりとりミスを防ぐ仕組み作り
- 評価に集中できる環境の構築
活用法
- システム内で職員の自己評価から最終評価まで完結する仕組みに
- 人事情報の一括管理でやりとりの手間をなくし、誤送信も防止
- 評価情報の一元管理で比較検討がしやすい環境を実現
効果
- 評価ファイルのやりとり・取りまとめにかかる作業を半分に圧縮
- ファイルのアップロードが不要な一元管理でミスの起きない環境を構築
- 評価の比較検討や面談時のフィードバックに評価情報を活用
世界の国・地域、日本各地から学生が集う国際基督教大学(ICU)様。幅広い分野を横断的に学ぶ「リベラルアーツ教育」と、入学後に専門分野を決める柔軟なカリキュラム、日英バイリンガル教育を軸にした国際的な学習環境を提供しています。基督教の精神に基づき、自由にして敬虔なる学風を樹立し、国際的社会人としての教養をもって、神と人とに奉仕する有為の人材を養成し、恒久平和の確立に資することを目的に掲げています。
紙による人事評価からスプレッドシートに切り替えたものの、業務負荷の大きさは変わらなかったため、業務の効率化を図り、評価そのものに時間を割ける環境を作るべく、カオナビを導入。
今回は、教育機関を運営する大学における活用方法について、事務局長 理事 川合 直之様と、学務部長(前人事・財務部長)地石 雅彦様、人事・財務部長 楠葉 香月様にお話を伺いました。
紙による人事評価をスプレッドシートに切り替えても、非効率かつ神経を使う業務の大変さは同じだった
──最初に、カオナビ導入に至った背景についてお教えください。
地石様:私は当時、人事・財務部長として導入を担当しておりました。本学では、事務方を担う一般職員と嘱託職員を合わせ、130名超の人事評価を行っています。当初は紙による運用からスタートし、その後、スプレッドシートを使う方式に切り替えたものの、回収や整理に大きな手間がかかっている状況がありました。取りまとめを行う人事部門だけでなく、入力する本人や評価を行う管理者にとっても大変に非効率な作業となっていたので、システム上で管理しようと考えました。
──そもそも紙による運用は、どのように行われていたのでしょうか?
川合様:紙にて運用していた時代には、私が人事部長を務めていました。以前は、Excelで作成した評価シートへ自己評価の記入後に上司へ提出、個別面談を経て上位職へと順に引き継ぐ運用を行っていたのです。評価内容の機密保持のため封筒での受け渡しを徹底しており、取り違えが起きないよう細心の注意が必要な状態でした。
また、人事部長は各部門の評価結果の取りまとめを行いますが、これが実に大変で……。誰にも見せるわけにはいかないので、一人で会議室にこもって大量の紙に向き合い、数日かけて個々の評価を一覧表にまとめていくのです。ダブルチェックは誰にでも頼めるというわけではありませんので、各者の評価が記載された書面と一覧表を突き合わせ、記載内容や書き込んだ欄に間違いがないか、何度も目視で確認することが必要で…。とても神経を使う作業でしたね。
事務局長 理事 川合様
──面談を行う際にも、評価シートを活用されていたのでしょうか?
川合様:面談は、自己評価を書き込んだ各職員の評価シートを見ながら行うので、事前に人事部がシートを取りまとめ、上司の皆さんにそれぞれお渡しします。面談後には評価結果をシートに書き込んでもらい、こちらに戻し回収するといった流れです。
川合様:紙で運用していたころは、上司も評価シートの取り扱いに困っていましたね。デスクの上などに置いておくわけにもいかないので、鍵のかかる引き出しなどに入れて保管していました。また、グループ長の場合は、次に面談を行う部長のもとに直接出向いて評価シートを手渡すことが必要でしたし、部長の場合も同様に、事務局長まで持参することになります。一方、職員本人も、評価シートを手元に置いておけないため、自分が何を書いたのか確認するために、コピーを取っておくなどの手間がかかっていたようです。
──その後、スプレッドシートによる運用に切り替えられたそうですが、実際に効率化できたのでしょうか?
地石様:ペーパーレスにはなりましたが、結局のところ、各部門の部長とやりとりをしたり、取りまとめたりする大変さに変わりはありませんでした。職員それぞれの評価は個別のファイルで管理するため、例えば一部門に10名の職員がいたなら、部長は10個のファイルを取り扱います。さらに、最終評価を行う事務局長のもとには、約10人の部長から130超ものファイルが届くことになるのです。
──スプレッドシートの管理方法は具体的には、どんな方法だったのでしょうか?
地石様:部門ごとにフォルダを作り、管理職の皆さんにアクセス権限を付与する形ですね。もしも間違えてほかの部門のファイルをアップロードしたら、関係ない職員が見てしまう可能性もあります。そのため、毎回しっかりと確認することが必要でした。本学では苗字をベースにしたメールアドレスを使用しているため同じ苗字の職員がいる場合は非常に似通ったアドレスになり、うっかり違う職員に権限を付与してしまわないよう、アドレスを細かくチェックする手間もかかっていました。
また、評価コメントの修正依頼などで何度も出し戻しをしていくうちに複数のファイルが溜まっていき、どれが最新のバージョンかが分からなくなってしまうこともありました。各職員の評価を一覧表に転記する作業も全て手入力で、1行でもずれた欄に評価を入力した場合、例えば「A評価だったはずの職員に、ほかの職員のB評価が反映される」などの事態を招く可能性も…。そのため、記載ミスがないよう慎重に何度も確認していました。結果、評価シーズンには残業が増え、精神的なプレッシャーも大きかったですね。
学務部長 地石様
川合様:正直、評価の時期になると毎年重たい気持ちになっていましたね。それだけ神経を使って評価を実施しても、職員が満足する評価を全員に与えきれているのか、という点でもプレッシャーは感じていました。本学においては、「職員の成長や意欲を支えていくために評価を行う」という考え方がベースとなっています。評価者の立場にある職員は「どうすれば本人の成長につながる評価へとつなげられるのか。この評価で本当に良いのだろうか」と真剣に考えているため、誰もが少なからぬプレッシャーを感じていると言えるかもしれません。
感覚的に操作でき、ノーコードで仕組みを作れる。担当者の丁寧な説明が最後の決め手に
──カオナビの導入を検討された背景についてお教えください。
地石様:スプレッドシートでの人事評価管理に課題を感じ、タレントマネジメントシステムの導入を検討し始めました。現場の職員にとっては「こういうものだ」と受け止めていたかもしれませんが、評価シートを取りまとめるグループ長や部長は、10〜30件にのぼるファイルを一つひとつ開いて確認する必要があり、負担は少なくありませんでした。デジタル化の恩恵を本当の意味で活かすには、単なるペーパーレス化にとどまらず、業務そのものを効率化できる仕組みが必要だと考え、システム導入の検討へと踏み出しました。
──ほかのサービスと比較検討はされたのでしょうか?何を軸に検討されたのかもお教えください。
地石様:2社のサービスを検討しました。一番大切にした観点は「感覚的に使えるか否か」ということでした。カオナビはウェブ上にQ&Aが充実しており、評価レイアウトを組む際も自己完結型で進められます。サンプルのフォーマットを若干修正するだけでスプレッドシートのフォーマットにかなり近づけられること、いわゆる「ノーコード」でIT知識がなくてもシステムを組んでいける機能そのものにも魅力を感じました。最終的な決め手になったのは、カオナビの担当者の方がとても丁寧に対応してくださった点ですね。こちらの要望に対して具体的な方法まで提案してくれたうえ、レスポンスも迅速で、導入後も安心してお任せできると感じたことが、最終的な決め手になりました。
職員のさまざまな情報を一元管理できるカオナビシステム(画面はイメージ図)
スムーズな移行の鍵は「変えないこと」。フォーマットや評価の流れをできる限り踏襲した
──導入時には、どのようなことに注力されたのでしょうか?
地石様:職員の使い勝手を考えて、なるべく評価シートのフォーマットをそのまま踏襲するようにしました。評価の流れ自体も極力変えることなく、今までのやり方にシステムが入っただけ、という形にしています。「確定ボタン一つ押せば、それでOK」という仕組みにし、職員への案内は「ここからログインしてください」「提出する際には、このボタンで確定してください」程度のマニュアルを提供するのみで済みました。
カオナビは操作感が非常にスムーズであり、サービスとして使いやすいことを実感しています。導入直後には使い方がわからないという職員も一定数はいましたが、比較的早く馴染み、特にクレームもなく今までの評価制度をそのまま移行できましたね。
──カオナビの機能を使って、どのような評価運用の流れを構築されたのかをお教えください。
地石様:毎年、期初となる4〜6月に業務目標の設定を行い、期末となる2〜3月に目標達成度を踏まえた評価を行っています。各自が評価ワークフロー機能『スマートレビュー』に必要なことを記載して確定ボタンを押せば、それを確認すべき上司のもとに通知が届きます。グループ長、部長、事務局長といった評価者を経て、最終的に全ての評価が確定したら、人事・財務部長が確認を行ってから締める、という流れになっています。
無駄な作業を5割削減でき、精神的な負担も軽減。評価そのものに時間を割けるようになった
──人事評価作業の負担感はどのくらい軽減されたのでしょうか?定量的な効果がありましたらお教えください。
地石様:ファイルの出し戻しや取りまとめ、一覧表の作成・転記など、一連の作業がなくなったので、業務負荷を削減できていると感じます。体感的には、作業量は5割減くらいになっていますね。もちろん、より納得感ある評価を行うことへのプレッシャーはありますが、ファイル管理におけるミス防止に神経を使うことがなくなったおかげで、精神的な負担も7割ぐらいまで削減できています。
──川合様、楠葉様は、導入当初に評価者としてカオナビを使われたとき、どのような効果を感じられたのでしょうか?
川合様:事務局長の立場で触れてみた印象としては、「とても使いやすい」と思いました。それまでスプレッドシートの運用では、やりとりも管理も大変だと痛感してきました。そうした無駄な作業がなくなったおかげで、肝心の「評価について検討すること」に、より多くの時間を割けるようになっています。
楠葉様:私は他部門の部長としてファイルを取りまとめる立場でしたが、ファイルをアップロードしなくて済むようになったため、かなり楽になったと感じていました。また、スプレッドシートの運用をしていた時期は、人事が決めたルールに従って、個々のファイル名を書き換える作業も必要だったけれど、そうした手間もなくなりました。システムの流れに沿って確定ボタンを押せば、自動的にやりとりを進めることができます。
人事・財務部長 楠葉様
──ファイル管理などの面でも、作業を効率化できているのでしょうか?
楠葉様:まず、画面上で各自が入力するため、ファイルを管理する必要がなくなりました。最新バージョンを探したり、取りまとめたりする必要がなくなった上に、誤ったファイルをアップロードしないようにと神経を使うこともありません。評価対象者が自己評価を入力したのか、グループ長が評価を行ったのかも全て画面上に表示されるので、進捗状況を一目で確認できるのも便利です。私自身がファイルを送り忘れることもなくなりましたし、部長やグループ長の作業量はかなり減ったのではないかと思います。
地石様:取りまとめる側としても、全体の進捗を管理しやすくなっています。管理者権限によって、どの部門がどこまで進んでいるのかを把握できますから。
──評価を行う際に、カオナビが役立っていることはあるのでしょうか?
地石様:評価対象となる職員の情報をタブで並べることができるのは便利ですね。以前は、個々のファイルを開いて確認しなくてはならなかったけれど、今は一人分ずつ見るのではなく、画面上に並べて比較検討することができます。
川合様:最終の評価を行う立場からすると、グループ長や部長が同じ人物に対してどのような評価コメントを記載しているのかを一目瞭然で確認できるので、比較がしやすいと感じます。また、自分が評価をつけた後に数日置いてからまた見返すことができるので、より客観的に評価ができます。紙やスプレッドシートのように、いちいちめくって開いて内容を確認するのとは違い、カオナビならログインして『スマートレビュー』を見るだけでいい。自分が見るべき情報をサッと確認できるので、再確認もしやすいです。
楠葉様:私自身は、職員と面談を行うときに、お互いに同じカオナビの画面を見ながら話せることがとても良いと思っています。職員は何を書き込んだのかを思い出せますし、自分としても、この評価をつけた理由を説明しやすくなりました。
川合様:私は楠葉の面談も行っていますが、本人の評価面談だけでなく、楠葉が職員に対して行った評価の意図もその場で確認しています。「この職員には、なぜこの評価をつけたのか」「この評価コメントは、どのような意味なのか」など、同じ画面を見ながら評価の背景や理由などをパッと聞くことができて便利です。
楠葉様:意図を伝えた結果、「評価された職員がより納得できるよう、コメントをもう少し具体的に補足してほしい」といった修正依頼を受けることもありますが、カオナビの場合はリジェクトして書き換えるだけで済みます。再アップロードの手間もなければ、バージョン違いのファイルが溜まっていくこともないので、そうした面でも使い勝手がいいですね。
地石様:『スマートレビュー』のフォーマットには、面談でフィードバックしたコメントを入れる欄も追加したのです。これまで面談で何を話すのかは評価者に任せてきましたが、「本人に何を伝え、どのような反応があったのか」まで書き込んでもらうようにしました。評価の記入から面談の記録まで一貫してシステム内で完結できるため、情報の抜け漏れがなく、人事部門が全体の状況をリアルタイムで確認できる点が大きなメリットだと感じています。職員本人も「去年こう書いたから今年はこうしよう」という継続的な振り返りができるようになりました。カオナビのシステム内に個々のデータを蓄積していけるので、将来的にはより適切な人材配置への活用が期待できると考えています。
会話した内容を蓄積できるため、過去の状況の振り返りや関係者との共有が可能なスマートレビュー(画面はイメージ図)
人材配置のシミュレーションや、役員を対象とする360度評価にも活用
──現時点で、そのほかに活用されている機能はありますか?
地石様:組織ツリー図の『シナプスツリー』は使っています。今のところはまだ、「どこの部門にどのような人材がいるのか」を確認する程度ですが、人材配置のシミュレーションにも使えると感じています。「仮にこの職員を動かすなら?」「新しい人材が入るなら、どこに配置したらいいか?」など、組織の全体像を見ながら検討してみたこともありました。部署ごとに、年齢層や性別などを一目瞭然で把握できるのは非常に便利だと感じます。また、資格情報などの情報を軸にフィルタリングできる機能も活用しています。
──大学などの教育機関では、なかなかDX化が進まないケースも少なくはないように思いますが、その理由についてはどのようにお考えでしょうか?
地石様:教育機関をはじめとする公的機関には、「これまでの流れを踏襲すること」を目的としている方もいらっしゃると思いますが、そうではない部分もあります。DX化を通して、職員の働き方を改善し、より働きやすい環境を作ってあげることもできると実感しています。また、ペーパーレス化を進めているケースもあるかもしれませんが、それはDX化とは全く違う考え方だと思っています。DX化とは、紙を削減することではなく、「今までの作業を、より楽に、より効率的に進めるための仕組み」だと思いますので、まずはそこを意識されることが大切かもしれません。
──最後に、カオナビの活用を検討されている方に向けて、メッセージをお願いします。
地石様:他の大学の方とお話ししたとき、「タレントマネジメントシステムを入れたはいいが、なかなか使いこなせていない」という状況もあることを実感しました。しかし、導入するならさまざまな面で使っていくほうがいいと思いますし、タレントマネジメントシステムは、データを蓄積してこそ活用できるものです。私たちも、データを積み上げて、それをこれからどんどん活用していくことが大切だと考えています。
楠葉様:私は地石とは違い、ITにすごく詳しいというわけではありませんが、人事・財務部長になった今、管理者として使っていても、カオナビは本当に直感的で使いやすいと感じています。ITに特化した能力がなくても使いこなせるシステムだということを強く実感しました。本学でも、さまざまなシステムを導入した結果、うまくいくこともあれば、失敗することもありました。カオナビはその中でも成功していますから、そもそも使いやすいシステムだということを実感しています。
川合様:何でも変えればいいわけではないと思いますが、DX化にほんの一歩踏み出すだけで、本来やるべきことの時間が確保できると感じています。人事評価を行うのであれば、余計な作業を短縮してくれるシステムを導入すれば、評価そのものに使う時間をより多く確保できるようになるはずです。
和やかな雰囲気でお話しくださった、左から楠葉様、川合様、地石様(敬略称)
- 創立:
- 1949年6月15日/開学:1953年4月1日
- 常勤数:
- 122名(2026年5月1日現在)
- 事業内容:
- 大学機関の運営