課題
- 人財育成に必要な情報が分散され、管理が煩雑になっていた
- 人事情報が個人管理されており、引き継ぎがうまくいかないケースも多かった
活用法
- 氏名、所属、役職、資格取得状況、異動履歴・希望などの人事情報をカオナビに集約
効果
- 人事評価会議におけるスムーズな情報共有や議論を実現
- データが蓄積されることで異動時の引き継ぎが不要となった
- 顔写真を見ながら会議を行うことで、育成責任を持った会議運営を実現
ホームセンターチェーンとして全国展開するカインズ様。「くらしDIY」をブランドコンセプトに、日用品からインテリア、園芸用品、ペット用品など、くらしを豊かにする価値ある商品・サービスを開発し、お値打ち価格で提供しています。2025年には設立から37周年を迎えました。
同社は「本人の成長支援」「上司の部下育成支援」を人財育成の柱とし、必要な情報を集約するためのツールとしてカオナビを導入。今回は、全国で多店舗展開している企業のカオナビ活用について、人事本部 組織人財開発部 人財開発室 兼 HRBP室 HRBP 橋本 剛様と、人事本部 人事戦略室 企画マネージャー 山田 晶子様にお話を伺いました。
※本記事の掲載内容は全てセミナー時(2025年5月14日)の情報に基づいています。
効率的・継続的な人財育成を実現するための情報開示ツール、それがカオナビ
──はじめにカオナビ導入の経緯についてお聞かせください。
橋本様:
当社では、今期の経営戦略の一つとして「店舗ごとのファン作り」を掲げているなど、「人財育成」を会社全体で推進しています。一方でカオナビ導入以前は、人財育成に必要な情報が社内で十分に共有されず、情報の保管場所が分散しており、管理も担当者に依存してしまっている状況でした。
その上、全国チェーンであることから、毎月200名にも上る人事異動が発生。紙ベースでの情報管理・引き継ぎに限界を感じていました。そこで、より効率的かつ継続的な人財育成を実現するためにも、必要な情報を開示するツールとしてカオナビを導入しました。
──数あるシステムの中から、カオナビを選んだ理由について教えてください。
橋本様
カオナビを選んだ理由は、とにかくシンプルで使いやすかったことです。当社の従業員は年齢層や雇用形態が幅広く、ITスキルにも差があります。また、一部の正社員以外には、メールアドレスを付与していません。そのため、メールアドレス不要で、誰もが簡単に利用できるツールというのが必須条件でした。加えて、コスト面を考えた時、基幹システムを活用するより運用コストを抑えられるというのも大きかったです。
当日のご登壇の様子。左から山田様、橋本様
──カオナビ導入後の流れについて、簡単にお聞かせください。
山田様:
カオナビを導入するにあたって、まずEXジャーニー(従業員が入社から退職までにさまざまな経験を通し成長する道のり)を描き、入社後に発生しうる出来事や、その出来事を経てどういった感情を抱いてほしいか、など入社から退職までの全体像を可視化しました。
その上で、人財育成の観点から特に重要視している「異動(配転)」の支援を中心に、カオナビを設計したいと考えました。
数ある育成施策の中で、まずは上司と部下の1on1を記録することから開始。その後、店舗での育成会議、昇格試験における情報管理、キャリア開発など、徐々に活用の幅を広げています。
カオナビ導入が評価者側の責任意識醸成につながった
──活用している機能について、活用シーンと方法を具体的に教えてください。
山田様:
当社では、組織マトリクス図機能「シャッフルフェイス」と見せたい情報をまとめて表示する「マイボード」を活用したタレマネ会議を実施しています。
事前に、社員データベース機能「プロファイルブック」に、評価点やスキルレベル、異動可能な店舗といった情報を入力。HRBPと事業部長以上のメンバーが、それらの情報を「シャッフルフェイス」上でクロス分析しながら異動などを検討できる環境を構築しました。あわせて、個人情報をまとめた「マイボード」を活用しており、顔写真をクリックすればその場で人物像の把握が可能です。
顔写真があることで、単なるデータではなく、個人への明確なイメージを持って評価できるようになり、「しっかり評価しなければ」という動機づけにもつながります。カオナビの導入を機に、評価者側もこれまで以上に責任意識を持って人財育成に取り組める仕組みが構築できたことをうれしく思っています。
橋本様:
以前は会議中に顔と名前が一致しない、イチから人物像を説明しなければならないといった課題がありました。しかし現在は、カオナビにあらゆる情報が集約されているため、情報共有や議論が非常にスムーズになり、適材適所の人財配置ができるようになりました。
人財情報の集約で、引き継ぎ効率が格段にアップ
──ほかにも、ご活用いただいている機能はありますか。
山田様
昇格試験には、評価ワークフロー機能「スマートレビュー」を活用しています。以前は全てExcelと紙で管理していましたが、カオナビ導入に合わせてペーパーレス化を実現しました。事前に対象者が提出した課題の回答をカオナビに取り込み、試験当日は2名の面接官がそれぞれ「スマートレビュー」に評価を入力。それらの合計点から自動的に合否判定され、「スマートレビュー」を通じて本人に通知されるという仕組みです。
橋本様
運用面がスマートになったのはもちろんですが、面接官が入力した言葉を、そのまま本人にフィードバックできるのは大きな魅力です。また、システム上にデータが残ることから、その後の課題解決、フォローにまで活かせるというのも人財育成に非常に有用だと思います。
──「プロファイルブック」はどのようにご活用いただいていますか。
山田様
キャリア開発用のツールとして活用しています。一般的に、キャリアや働き方について希望があったとしても、上司に口頭で伝えるのはハードルが高いものです。そこで、「プロファイルブック」を通して、各自が希望を伝えられる環境を構築したところ、会社の意向と本人の希望のすり合わせがしやすくなりました。
また、それまで個々の頭の中に合った人財データベースがカオナビに集約されたことで、異動などで生じる引き継ぎが格段に楽になったと実感しています。
カオナビ浸透・定着のカギは人事担当者やHRBPの啓蒙活動にあり
──カオナビを導入するにあたって、社内での反応はいかがでしたか。
山田様:
導入当初は情報公開に不安の声もあり、顔写真の提出は約半数に留まりました。とはいえ、顔写真があるからこその「カオナビ」なので、未提出の従業員については、まずは入社時の写真データを利用してもらうようにしました。
その後、徐々にカオナビの利便性の高さが認知されたことにより、不満や反発の声がなくなり、定期的に顔写真を更新してくれる従業員も増えてきています。
──カオナビを社内で浸透・定着させるために行っている工夫などがあれば教えてください。
山田様:
当社には店舗を巡回する人事担当者がおり、現場でタブレット端末を使って人財情報を確認しながら話すことで、カオナビの啓蒙活動につなげています。
また、本部ではHRBPが積極的にカオナビを活用し、本部長や部長クラスの方に、カオナビの利便性や有用性への理解を深めてもらう機会を増やすという工夫も行なわれています。
──組織の情報管理について教えてください。
山田様
当社ではカオナビの登録対象を正社員のみとしています。しかし実際、店舗勤務者の8割が非正規社員であり、その方たちの管理が大きな課題となっていました。そこで、店舗を1人格と捉え、店舗アカウント(メンバー)を作成。
店舗の基本情報のほか、非正規社員の情報などを「プロファイルブック」のシートに集約することで、正社員以外の従業員情報も把握しやすい環境を作っています。
──最後になりましたが、今後のカオナビ活用と展望について教えてください。
山田様
今後は、一連のカインズキャリアにおいて、「人財育成」の観点で最大限にカオナビを活用していきたいです。
具体的には、採用から退職までの一貫した人財情報管理や1on1記録活用の促進、目標管理と評価の一元化、異動・配置業務のさらなる効率化などに活用できればと考えています。
- 設立:
- 1989年3月
- 社員数:
- 13,486名(2025年2月時点)