課題
- グループ内の情報管理が各法人に委ねられ、情報が散在していた
- 職員の情報を得るためにその都度人事部へ問い合わせ、紙ベースで受け取る手間があった
活用法
- 滞留年数や役職、人事考課の結果などの人事情報をカオナビに集約
- 6パターンに細分化したシートを作成し、それを基に人事考課を実施
効果
- 人事部へ問い合わせせずとも、即座に必要な情報が引き出せるようになった
- データの取り出しや移行、マスタ登録などにおける大幅な工数削減を実現
救急から高度専門医療、外国人対応、災害医療まで多岐にわたる機能を備え、24時間救急医療体制のもと年間約6,000件もの救急受け入れを行っている武田病院グループ様。複数の法人で構成され、京都府内で9病院、健診センター・介護・福祉・在宅など70以上の事業を展開しています。
今回は、医療機関向け「カオナビ Medical Cloud」を導入した効果や活用法について、本部 企画管理部 部長 北原 裕充様、本部 医療情報管理部 部長 大木 達雄様、本部 経営分析部 課長代理 橋田 佳世子様にお話を伺いました。
※本記事の掲載内容は全て取材時(2025年7月11日)の情報に基づいています。
業界特化型「カオナビ Medical Cloud」で人材管理へ投資
──はじめにカオナビ導入の経緯についてお聞かせください。
北原様:
元々すべての情報を人事システムや紙媒体でバラバラに管理していたため、個人情報の蓄積や履歴の確認ができていない状況でした。医療業界では、医療関連を優先してバックオフィスへの投資を控えがちですが、当院では人材への投資も大切と考え、人材管理と人材マネジメントを一挙に行えるカオナビを導入しました。
大木様:
実は、過去にもシステムの導入を検討したことがありましたが、十分な費用対効果が期待できず、導入には至りませんでした。そんな中、医療機関に特化した「カオナビ Medical Cloud」が展開され、費用面における導入のハードルが一気に下がったことが、導入の後押しになりました。
本部 企画管理部 部長 北原 裕充様
──数あるシステムの中から、なぜカオナビを選んでいただいたのでしょうか。
大木様:
グループ全体の人材情報を一元管理、かつ可視化できる点が魅力でした。当時はシステムの都合上、その都度人事部へ問い合わせ、目的の人事データをデータを担当者が送信、時にはプリントアウトして紙として手渡す必要があったため、部下の評価履歴一つ確認するにも手間がかかっていました。
また当初から、職員の勤務歴や人事評価履歴などを把握した上で配置検討したいという意向があり、カオナビであれば配置シミュレーションができそうと感じたことも理由の一つです。
橋田様:
以前のシステム利用時は各法人に情報管理を委ねていました。しかし、法人ごとに入力方式や運用が異なることによる不具合が生じてしまい、それを解決できるという点でも、情報を一元管理できるカオナビが最適だと感じました。
北原様:
また、評価や管理だけでなく、職員のモチベーション向上にも役立つのではと期待しています。元々、面談したり評価後にフォローしたり、といった習慣はありませんでした。しかし、カオナビで仕組みをつくることで、今後の戦略的な人材育成にもつなげられると感じています。
本部 医療情報管理部 部長 大木 達雄様
人材情報を集約──その先のタレントマネジメントを見据えて
──現在、ご活用いただいている機能について教えてください。
橋田様
導入時より、評価ワークフロー機能「スマートレビュー」を活用しています。一般・役付・副看護師長・看護師長以上・年俸者・非常勤の6パターンに細分化したシートを作成し、それらを基に常勤職員は年2回、非常勤職員は年1回の人事考課を行っています。
また、グループ企業内で行われる調理部門の新人研修にも「スマートレビュー」を活用中です。紙ベースでやりとりしていた研修の記録や評価、マニュアル配布をカオナビに集約することで、現場からも作業が効率化できたという声が挙がっています。
──人材データベース機能「プロファイルブック」もご活用いただいていますが、どのような効果がありましたか?
橋田様
職員情報を即座に確認できるようになったことで、業務効率が大幅に向上しました。一般職員は自身のデータにのみアクセス可能ですが、理事長、専務、人事担当者に加え、各法人の事務長は、すべての情報を閲覧できる設定で運用しています。今後は組織マトリクス図機能「シャッフルフェイス」と組み合わせて異動シミュレーションにも活用していく予定です。
本部 経営分析部 課長代理 橋田 佳世子様
──「シャッフルフェイス」は、具体的にどのようにご活用いただく予定ですか。
橋田様:
異動を検討する際、同じ職種の人を比較するにあたって、滞留年数や役職、人事考課などを考慮した異動シミュレーションを行う想定です。また、産休・育休含め休職者については、負担の少ない復職・配置の検討にも役立つと思います。
北原様:
従来は、評価者の経験のみに基づいて異動を判断していました。しかし、カオナビで多様な情報が数値化され、データとして把握できるようになったことから、今後は部署ごとのマンパワーバランスなどを加味した、より効果的な異動検討が行えるようになっていくと思います。
「シャッフルフェイス」の画面イメージ。任意の項目でマトリクス図を作成できる
──選択情報ビュー機能「セレクトビュー」も、一部ご活用いただいていると伺いました。
大木様:
昇格候補者と、昇格検討に必要な情報を一覧表示できるようになったことで、検討会議の効率が大幅に向上しました。対象者名をクリックすれば、過去の評価結果や役職での滞留期間などがまとめて閲覧できますし、今後は昇格の可否を検討するツールの一つとしてさらに内容を充実させたいです。
北原様:
今後についてですが、例えば上司が昇格対象者を推薦する場合、カオナビ上で推薦書を提出し、集約された複数の候補者データから「セレクトビュー」を使って昇格の可否を検討していく、といった使い方が理想です。
また、カオナビ上に優秀人材の情報を集約し、適切な育成やつながりを支援することも視野に入れています。集約した情報を活用して施策につなげていく、これこそがタレントマネジメントの本質だと考えています。
「セレクトビュー」の画面イメージ。カオナビ上の各情報を選択して一覧にできる
人事考課の効率化をはじめ、作業工数を4割削減
──カオナビ導入後に感じた効果について教えてください。
北原様:
以前の人事評価は、人事システムから抽出したデータをExcelで加工。各人事担当者の確認後に、人事マスタやワークフローへ登録し、評価結果を人事が取りまとめるという複雑な流れでした。カオナビ導入後は、システム上で人事考課や評価履歴の一元管理が実現し、精確に計測したわけではありませんが、作業工数を40%近く削減できています。
橋田様:
以前のシステムはその都度承認ルートのマスタを設定する必要がありました。しかし、カオナビは社員IDを入力するだけで承認ルートの設定が完了するため、マスタ登録の手間もありません。職員の登録についてもCSVで一括登録できることから、多角的に工数が削減できていると感じています。
大木様
カオナビのスマホアプリ利用率が8割近くにのぼるなど、グループ全体としてカオナビが浸透しており、職員間でも「人事考課=カオナビ」が共通言語となっています。
また、管理職の方からは「評価業務が楽になった」「候補者検討がしやすくなった」という声がある一方、現場からは要望も増えてきています。それだけ期待値が高くなっていることの表れだと思うので、応えられるよう工夫していきたいです。
──最後になりましたが、今後のカオナビ活用について教えてください。
大木様
カオナビとは別に導入している人事給与システムとの自動連携によるデータ統合・分析がしたい、という願望があります。カオナビ内のデータとその他のデータを連携させて、情報活用や情報運用の補完を充実させたいです。
また、今後は現場の職員のアイデアでカオナビを活用してほしいという気持ちもあります。カオナビは、少しの説明で誰でも運用できるほど手軽な上、現場のほうが具体的なアイデアが多いので、今後も柔軟に権限設定を行いながら活用の幅を広げていければと思います。
武田病院グループのご担当者様一同とカオナビ関係者(左端)で撮影
- 設立:
- 1961年7月
- 社員数:
- 約5600人(2025年4月20日時点)