課題
- 各種申請や人事異動、人事評価を紙で運用していたため、管理業務に限界を感じていた
- 人材情報が点在していたため、必要な情報を探すのに多くの手間と時間がかかっていた
活用法
- 申請業務と人事評価をシステム上で完結できる環境を構築
- 正職員には業務用スマホにカオナビアプリをセットアップ
効果
- 散在していたデータをカオナビに集約し、全職員の人材情報を整備
- 効率的に承認や評価作業が行えるようになった
JAぎふ管内に50の支店と49の施設を展開し、正規・パート合わせて約1,200名の職員を抱えるぎふ農業協同組合様。以前は全職員の人材情報が各所に点在しており、管理に課題を感じていました。
この問題を解決するため、2021年に「カオナビ」を導入。その結果、各種申請業務や人事考課のDX化に成功しました。
今回は、この取り組みについて、総務部 人事労務課 次長の丹羽 研二様、同課の武藤 嘉威様にお話を伺いました。
※本記事の掲載内容は全てセミナー時(2025年6月12日)現在の情報に基づいています。
承認フローの進捗を瞬時に把握!コメント機能で、スムーズな承認・回覧を実現
──はじめに、カオナビを導入した背景について教えてください。
丹羽様
導入前は、評価や各種申請業務を紙ベースで行っていたため、データ管理や進捗状況の把握に限界を感じていました。
また、約1,200名分の人事異動をExcelで管理しており、異動のたびに膨大な作業が発生していました。
加えて、人材情報が各所に散在していたため、必要な情報を探すのに多くの時間と手間がかかっていたのです。
こうした複合的な課題を解決するため、カオナビを導入しました。
──数あるシステムの中から、なぜカオナビをお選びいただいたのですか。
丹羽様
主に2つの理由があります。
ひとつは、今まで手間がかかっていた異動や配置の作業が、組織マトリクス図機能「シャッフルフェイス」を使えば簡単に行えそうだと感じ、興味を持ったことです。
ふたつめに、職員の情報を蓄積して活用できることです。
また、ちょうど導入の2カ月後に、正職員約900名に業務用スマートフォンを配ることが決まっていました。
スマホで各種申請ができれば、事務作業がぐっと楽になるだろうと感じたことも決め手となりました。
──カオナビの運用はどなたが行っているのでしょうか。
丹羽様
導入当時は運用マネージャー、運用サポート、そして実務担当者の3名で運用を始めました。
導入を決めた当時の人事労務課長が運用マネージャーとして全体の管理と方針決定を行い、運用サポートである私は、その方針を具体化し、実務担当者へ伝える役割を担っていました。
現在は、新たな運用マネージャーと、運用サポートの私、担当者の武藤に加え、業務が特定の個人に偏らないよう、サブ職員1名も加わり、4名で運用しています。
──カオナビを導入した後、どの機能からご活用いただきましたか。
丹羽様
まず人事データベース機能「プロファイルブック」を使い、職員の情報整備を始めました。
プロファイルブックには、入組日や所属、等級、号俸、所属年数といった個人の基本情報に加え、評価履歴、異動事例、資格情報などをまとめています。
役員や総務部長、人事労務課長はすべての情報を閲覧できますが、所属長は自分の部署の職員情報のみ、一般職員は自分自身の情報のみを見られるようにしています。
集約した情報は、毎月のコーチングや年3回の人事考課などで活用しています。
当JAでは、昇格に必要な資格や考課結果、等級の滞留年数などが人事評価制度で細かく定められています。
そのため、プロファイルブックを見れば、昇格に何が足りないか、これまでの評価履歴はどうだったかなどをすぐに確認できるようになりました。
──その後、どのように活用の幅を広げられたのでしょうか。
武藤様
2022年9月から、「ワークフロー」機能を使って各種申請の受付を始めました。
現在、通勤手当の申請、住所や氏名などの変更届、貸与備品の破損・紛失届、給与振込依頼、給与振込口座変更届、そして結婚届といった申請が、カオナビ上でできるようになっています。
申請画面には氏名や住所の入力例、必要な添付書類の種類を明記するなど、誰もが迷わず操作できるような工夫をしています。
また、承認者が入力内容に間違いがないかを確認するため、職員には住民票や運転免許証など、最大2点の公的書類を添付してもらっています。
──どのような承認フローを設定されていますか。
武藤様
申請が行われると、所属長、人事労務課担当者、人事労務課次長、人事労務課課長、総務部長の順に承認が進みます。
入力内容に間違いがあった場合、コメントを残して差し戻すことで、申請者はどこに不備があったかすぐにわかります。そのため、その後の修正や再申請もスムーズです。
また、もし承認が止まってしまっても、管理画面から進捗状況をすぐに把握できます。わざわざ個別に確認しなくても、誰の承認が滞っているか分かるため、承認フローが大幅に効率化されました。
時間や場所を問わず作業できるスマホアプリのおかげで利便性が大幅アップ
──ワークフローを活用して申請業務を行った結果、どのような効果を感じていますか。
武藤様
カオナビ上で業務が完結するようになり、紙のコストを削減できました。
また、申請から承認までが正確かつスピーディーに進むようになり、同時に進捗状況も確認できるようになったのは大きな成果です。
承認する側も、スマホアプリのおかげで時間や場所を問わず承認作業ができるようになり、利便性が大幅に向上しました。
──申請業務に続き、人事考課のデジタル化にも取り組まれたと伺いました。
武藤様
人事考課の実施にあたり、以前はExcelで職員900名分の考課結果を管理していました。
特に課題だったのは能力考課で、職種や等級別に18種類ものシートを使い分けていたため、選択ミスや入力ミスが多発。加えて、未提出者の確認作業にも時間と手間がかかっていました。
そこで、評価ワークフロー機能「スマートレビュー」を活用し、個々の職員に合った考課シートと承認ルートを割り当てました。
これにより、シートの選択ミスが解消し、また入力項目をプルダウン式にすることで、入力ミスを減らすことにも繋がりました。
──その他、カオナビを活用した施策はございますか。
丹羽様
上司から部下、部下から上司など、複数の立場から多角的な評価を行うため、「スマートレビュー」を活用した360度評価を実施しています。
現在は試験導入の段階ですが、管理職の今後の成長に役立ててもらうことを目的として、部下からの評価結果をレポートとして配布しています。
また、職員のプロフィール情報には「所属長メモ」というシートを新たに作成しました。
異動後の新しい所属長が円滑に業務を引き継ぎ、より良い職場環境を整備するための取り組みです。
このメモは総務部長と人事労務課課長、各所属長のみが閲覧・編集できる形で運用しています。
これからも職員にとって使いやすく、わかりやすい仕組みを作っていきたい
──最後になりましたが、今後の展望についてお聞かせください。
丹羽様
職員が業務用スマホを活用できるように、データ整備をはじめ、申請業務や評価運用など、デジタル化施策を段階的に進めてきました。
まずは各種申請業務をデジタル化し、業務用スマートフォンが現場に浸透した段階で人事考課での活用を進めたため、スムーズな導入に繋がったのだと思います。結果として、「人事考課はカオナビで」という意識も定着しました。
今後も担当者同士が協力し、職員にとって使いやすく分かりやすい仕組みを構築していきたいと考えています。
- 設立:
- 1963年9月
- 正職員数:
- 872人(2025年5月時点)