ユーザー会レポート
人事が思うよりずっと、管理職はデータを使いたがっていた。初の「人事×現場管理職」交流会
2026年9月7日

「現場は、何を求めているんだろう?」
「データを活用してほしいのに、現場に使ってもらえない」「そもそも現場は何を求めてるんだろう…?」——そんなすれ違い、心当たりはないでしょうか。
2026年7月3日、カオナビキャンパスでは初めての試みとなる「人事担当者と現場の管理職の方にセットで参加いただく交流会」を開催しました。テーマは「現場管理職のデータ活用」。人事担当者と現場の管理職の方が2名1組で参加する、少人数制の会です。
参加いただいたのは3社6名とカオナビの人事メンバー。少人数だからこそ生まれた本音の対話から見えてきた新たな視点を、当日の様子とともにお届けします。
※以下の内容は2026年7月3日開催イベントに基づくレポートです。
「管理職」の方を巻き込んだワケ
タレントマネジメントの推進は、人事担当者だけでは完結しません。現場の管理職の方がその意義を理解し、自分ごととして取り組んでこそ、組織全体に根づいていくものです。
カオナビはこれまで、人事担当者の皆さまと一緒に「タレントマネジメント」について考えたり、データ活用を進めるための学び合いの場を運営してきました。でも、もう一歩先を考えたとき、見えてきた問いがありました。
「現場の管理職は、どんなデータを必要としているのだろう?」
人事がデータを整備しても、現場で使われなければ意味がない。逆に、現場が必要としているデータを把握できなければ、整備の方向性もずれてしまう。
そこで企画したのが、今回の交流会です。人事と現場の管理職の方が課題や本音を持ち寄り、他社との交流を通してヒントを見つける。そんなチャレンジを込めたイベントとなりました。
ワークシートで自身に向き合ったあと、45分間の本音トークへ
まず各自がワークシートに向き合い、自身や自組織の課題、理想の状態を書き出す時間を設けました。「自分の言葉で整理する」というひと手間が、その後の対話を深めることになります。
そしていよいよ、人事グループと管理職グループに分かれての交流タイムへ。タイマーをセットして、45分間。それぞれのテーブルで、他社の同じ立場の人たちと本音を語り合います。
今回は、皆さまにリラックスして参加いただきたい!という想いから、冒頭からお酒も飲みながらのカジュアルな会に。普段なかなか社外イベントへの参加機会がない方も、肩肘張らずお話しいただくことができました。

管理職テーブル:「必要な武器が揃っていない」だけだった
管理職グループのテーブルで共通して浮かび上がったのは、「現場にいるからこそ感じるもどかしさ」でした。
「若手を中心に離職が続いており、キャリアの不透明さを解消したい」
「経験豊富な部下にWillを問うのが難しい…」
「間に落ちた仕事を拾うことを推奨したいけど、評価方法がわからない」
悩みの中身は会社によって違います。しかし「部下のことをもっと支援したいのに、できていない。何とかしたい!」という前向きな姿勢は皆さまに共通していました。
特に印象的だったのは、時間ギリギリまで議論が絶えなかった前のめりなディスカッションタイム。「なるほど!そんなアプローチがあるんですね?!」「これってカオナビでできたりするんですか?」と、お互いの取り組みを聞きながらヒントを探ります。
・1on1の内容をAIで分析し、客観的なフィードバックを得る
・話したいテーマをメンバーに事前に選択させる仕組みが有効
・アサイン時、経験/スキルなど条件に合ったメンバーをピックアップしたい!
管理職の皆さまは、「データを使いこなせない」のではありません。そもそも「手元にデータが届いていない」「チームメンバーから引き出す術が見つかっていない」のです。
カオナビも含め、システムはあくまでツール。だからこそ、まずは人と人がどのように対話し、どんな仕組みを整えるのか?そのうえで、どんなデータがあるとよいのか?を考える必要があるのだな、と改めて実感した時間でした。

人事テーブル:データを渡すことへの、見えない壁
一方、人事グループのテーブルでは、別の課題感が浮かび上がっていました。
管理職がデータを求めているのは知っている。でも、渡すことへのハードルが高い。個人情報の取り扱い、社内の承認フロー、何をどこまで開示すべきかの判断——。人事側には人事側の、見えにくい壁があったのです。
「データを整備してはいるが、管理職に渡すことを決断できていない」
「何から開示すべきか、優先順位がつけられていない」
カオナビにデータが蓄積されていても、現場に届けられない。その状況に、人事担当者自身がもどかしさを感じていました。
そして後半の「各テーブルからの共有タイム」で、人事と管理職が互いの話を聞いたとき、その場に静かな驚きが広がりました。
「管理職の方は、私たちが思っているよりもずっとデータを活用したがっていた…!」
この一見「逆転現象」とも見える事実こそが、今回の交流会で得られた最大の気づきでした。

各社の「これやる!」宣言
交流タイムの後は、各社の人事と管理職がペアとなり「自社として次に取り組むこと」を一緒に考える時間を設けました。
他社の話を聞いたうえで、自社に持ち帰れることは何か。人事と管理職が向き合い、それぞれの視点で得たアイデアを共有し合います。
そして最後に、一人ひとりがネクストアクションを紙に書き出し、宣言しました。
- 「“マイボード(個人のデータを集約して表示できる機能)”でデータを小出しに公開していく。まず1つ決めて実行する!」
- 「1on1の中身をAIで評価してみる」
- 「”三遊間を拾う行動”を評価項目として加えてみる」
- 「月に1度はキャリアの話題で1on1をする」
自分だけで考えていたら、なかなか踏み出せなかったかもしれない。でも他社の方と話し、同じ悩みを共有し、アイデアをもらったことで、「やってみよう」という気持ちが自然と生まれていたのではないでしょうか。
また、人事と管理職の方が一緒に参加したことで、「宣言したことを一緒に動く」という約束と、力強い味方ができた。この場ならではの、大切な時間になりました。

参加者の声
自社の現場管理職と、普段なかなか話せないことを議論できました。また、他社の人事や管理職の方の話も聞けて、課題感を持って解決しようとしている方と同じ土俵で話せてよかったです。
同じ悩みを抱えている会社がいることに安心感を持ちました。新たな視点も得られたので、参加してよかったです。
同じ立場・役職での意見交換で共有できることが多く非常によかったです。
他社のマネジメントに対する考えが聞けました。自分の考えが少し閉塞的だったと気づかされた部分もあって、刺激になりました。

企画者へインタビュー|株式会社ウィルグループ 松原さん
今回の交流会の実現に、企画メンバーとしてご協力いただいた株式会社ウィルグループの松原さんにお話を伺いました。
Q. 今回の交流会を一緒に企画しようと思ったきっかけや背景を教えてください。
もともとデータドリブンのタレマネを推進するには、「より多様なデータを集めること、そして現場のマネジメント層を巻き込むことの両方が必要だ」と感じていました。また、4月からHRBPに就任したため現場に近くなり、データの需要はあるが、データは人事しか知らない・触れられない状態であることを改めて痛感しました。
そこで現場社員とのより深い連携が必要だと考えたのですが、他社にも同じ課題を持つ人がいれば、お互いの気づきが増え、データ活用のイメージも広がるはず。いろいろなアイデアに触れてもらいたいという思いもあり、他社と共同で学べる場があるとよいなと考えました。
Q. 当日参加してみて、印象に残ったことや気づきを教えてください。
人事側は、データを開示しようとしても、全体最適の点でNGになることが多いと感じました。ただ、大変ではあるものの、まずは巻き込める仲間を見つけて、部分最適の範囲でテストしていく機会があると良いなと思いました。
現場側は、データを実務にどう活用するかを議論してくれました。一方で、一足飛びには進められない課題があることも理解した上で、人事側に協力してもらえると、より早く前に進むのだろうなと思いました。
「うちの人事って、結構色々やってくれてるんだな」
管理職テーブルで各社の取り組みを共有していると、こんな嬉しい気づきが聞こえてきました。
普段、外からはあまり見えないかもしれない人事の皆さまの試行錯誤や、施策の数々。
その裏側にあるたくさんの悩みと熱い想いに触れたとき、人事と現場との距離がグッと近づき、心強い仲間になったのを感じました。
いつもは別々の場所で別々の悩みと向き合っている二人が、同じテーブルに座り、率直に話す。それだけで、お互いへの理解はこんなに変わるのだと、運営として強く感じた1日でした。
「現場はデータを使ってくれない」——そう考えていたとしたら、それは思い込みかもしれません。
今回の交流会で見えてきたのは、管理職の皆さまもマネジメントにおけるデータ活用に対して強い関心と意欲を持っているということでした。
タレントマネジメントは、人事だけで完結するものではありません。現場の管理職がデータを受け取り、自分ごととして活用してこそ、組織全体に広がっていきます。
カオナビはこれからも、人事と現場をつなぐ場をつくっていきたいと思っています。
次回の開催も、ぜひご期待ください!
ユーザー会レポート|2026年7月|東京開催
文:カオナビ コミュニティグループ 三枝 この実
