ユーザー会レポート
マネージャーが部下のことを「もっと知れたら」と思いながら、面談が始まっていた。株式会社チノー様が1年半で変えたこと。
2026年6月30日

面談の30分、ちゃんと使えていますか?
突然ですが、こんな場面、思い当たりませんか?
マネージャーが部下と1on1をする。でも、事前に部下のキャリア志向も、今の仕事への手応えも、なかなかぱっと出てこない。限られた時間のなかで、「そういえば、最近どう?」から始まる面談。
計測・制御機器メーカー株式会社チノー様にて、人事企画室でカオナビ運用を担当される山林 秀幸さんが話してくださったのも、まさにそんな状況でした。マネジメントの手法はマネージャーそれぞれに依存していて、組織としての再現性がない。次世代人材の育成は、計画的に進まない——。
そんな課題を抱えてカオナビを導入したのが、2024年9月のこと。そしてそこからわずか1年半で、カオナビ機能を活用した「個人データ」と「組織データ」の可視化の設計・運用に至りました。
今回の東京ユーザー会では、チノー様の人材データに対する考え方と、実際の人材データ活用事例を包み隠さず語っていただきました。
※以下の内容は2026年5月21日開催イベントに基づくレポートです。
ご登壇者紹介
株式会社チノー
経営管理本部 人事企画室 主事
新卒で大手製造業メーカーに入社し、約14年間にわたり電子機器製品の設計・開発業務に従事。その後、人事制度改定への参画や組織運営業務を通じて人事領域に関わる業務を経験し、制度設計や運用などに携わる。キャリア採用で株式会社チノーに入社後は、人事制度の企画・運用および人材開発業務を担当。
■ご参考:カオナビ導入事例記事

集めるだけの「人材データ」にしない
山林さんのお話のなかで、終始一貫していたメッセージがありました。人材データは、「集めること」が目的ではない。
- 可視化で終わらせず、分析・活用までつなげて、現場で実際に使えるデータにする。
- 経営判断のためだけでなく、人材配置・育成・マネジメントなど、現場の意思決定にも活かす。
- そして何より、組織・人材の実態を正しく把握し、「経営と人事をつなぐ土台」として機能させる。
この3つの人材データに対する考え方が、チノー様におけるカオナビ活用の起点になっていました。
言葉にすれば当たり前のように聞こえるかもしれません。でも「データが揃ったら使おう」「可視化できたからOK」となりがちな現場において、最初から活用することを目的に置いて設計するというのは、なかなか難しいことかもしれません。
山林さんの実践が多くの参加者の心に刺さったのは、華やかなダッシュボードの数や導入スピードだけでなく、「なぜそう設計したか」という思想の部分が、一つひとつの施策にちゃんと宿っていたからではないかと感じています。
その思想を実装するために、山林さんがカオナビで活用したのが2つの機能です。
個人データの可視化には「マイボード(プロファイルブック内の機能)」、組織データの可視化には「ダッシュボード」——
シンプルな整理ですが、この使い分けが、上司が部下をより深く理解するための支援から、経営戦略と人材戦略を一致させるための組織判断まで、データ活用を一気通貫でつなぐ骨格になっていました。
マイボード—— 目的別に “誰に何を見せるか” を先に考えることが大事だった
カオナビを使い始めた当初、チノー様ではプロファイルブックのシートごとに権限設定をしていました。でもこれだと、情報が増えてくると一つひとつのシートを確認するのはなかなか大変です。
そこで、「マイボード」機能を活用し、個人データの集約化を実現しました。
以下は、実際にチノー様で作成している5種類のマイボードです。

目的別にボードを作成し、それぞれ「誰に何を見せるか」を決めて閲覧権限を設定する。
この「操作方法」より「設計の考え方」が参考になる、というのは当日の参加者の声でも多かったポイントです。
ダッシュボード—— 22個をつくったのは、経営が “知りたいこと” に応えるため
個人情報をマイボードで整理しながら、組織全体の状況は「ダッシュボード」で可視化しています。設計したダッシュボードはなんと22個以上。
チノー様では、組織データは3つの視点で可視化され、人事戦略や人材マネジメントの参考に活用されています。

ダッシュボードを活用してデータを時系列に整理することで、人材データの変化傾向や経年推移の把握、さらに中長期的な取り組みの効果確認にも活用できるのではとのことです。
経営層が「人材・組織」を数字で見られる状態になることで、人事と経営の会話が少しずつ変わってくるかもしれません。
人材データ活用が生んだ、嬉しいできごと
仕組みの話だけでは語りきれない変化が、チノー様では起きていました。
マイボードのキャリア開発支援ボードを活用することで、管理職が1on1の前に部下のキャリア志向・仕事への手応えを1画面で確認できるようになりました。30分の面談が「知らないことを聞く時間」から「知っている前提で、もっと深く話す時間」に変わってきているそうです。
そして、もうひとつ。キャリアプランシートに書かれた内容がきっかけとなり、上長の支援によって仕事と育児を両立する女性社員同士が集まって意見交換をする場が生まれました。人事が仕掛けたわけじゃない。上長と部下の対話の内容や質が変わり、現場での自発的な取り組みが生まれた、まさに人材データ活用が生んだ嬉しい好事例です。

ワークショップで出てきた「正解のない問い」たち
第2部は現地参加者30名によるワークショップ。テーマは「育成において、蓄積している人材情報を誰にどこまで公開し、どう活用するか?」でした。
まず個人ワークで、育成に必要だと思う情報を付箋に書き出します。キャリア希望、保有資格、1on1の記録、評価履歴、面談履歴、適性検査の結果、エニアグラム……。
「どう活用するか?」「誰に見せるべきか」という問いを頭に浮かべながら、各参加者が自社で貯めている人材データを想起して付箋に書き出します。
書き出した情報を「どんな人材を育成するために使うか」でグルーピングするグループワークへ。各テーブルの模造紙には、「新入社員」「若手リーダー」「管理職」などといった育成対象が並び、それぞれに必要なデータが貼り付けられていきました。


このワークで興味深かったのは、グループによってアプローチがまったく違ったことです。
- 等級の滞留期間を可視化できるのでは
- Must・Can・Willのフレームで人材データを整理
- エニアグラムやサーベイ結果を全社公開していいのか
- 本人に見えると本音が書かれなくなる情報をどう扱うか
各グループができあがったシートを全体に発表したあと、他グループのシートを見に行って情報交換。
「A卓の発表の等級の滞留期間について、ハッとさせられました!」
自分たちが考えていなかった切り口を、隣のテーブルから持ち帰れる。これが現地開催の良さだなと改めて感じました。


参加者の声
なぜその可視化を行おうと思ったのかの動機・背景から、マイボードの具体例までいただけて、一貫性のある内容でとてもとても参考になりました!
導入から運用までのスピード感がすごいと感じました。
組織の状況はダッシュボード、個人の状況はマイボードで作るというのは確かに、と思いました。
スクリーンショットを全部とりたくなるようなマイボード、ダッシュボードばかりでした。すぐ参考にさせていただきます。
カオナビの活用目的が「後進の育成」と明確になっていることから、取り組まれている施策の一貫性があり大変参考になりました。
山林さんの使い方は理想的でした。「目的」を大事に、使われる(生きている)シートを作るかが大事ということがよく分かりました。
ワークショップでは、付箋紙に書いた内容で各社の育成に対して集める情報の違いに驚きました。

答えを出し合える仲間が、ここにいる
今回は現地30名・オンライン115名、合わせて145名もの方にご参加いただきました。
食品メーカー、サービス業、商社など業種も規模もさまざまな企業の人事担当者の皆さまにお集まりいただき、ありがとうございました。
前半の山林さんのご登壇パートでは、参加者の皆さまが終始目を輝かせながら聴き、質疑応答で時間に収まらないほどたくさんの質問をくださったことが印象的でした。
人事のデータ活用に、「これが正解」という答えはありません。
でもチノー山林さんが見せてくださった「考え方のプロセス」、そして「なぜそう設計したか」という思想の部分まで包み隠さず丁寧に話してくださったことは、
多くの方にとって「自分たちもできるかもしれない」という手触りになったのではないかと思います。
そして後半のワークショップでは、そのお話を聞いたうえで「自社だったら?」と考えてもらえる時間をつくることができ、運営として何より嬉しかったです。
今回のユーザー会が、自社の人材データのあり方を少し立ち止まって考えるきっかけになっていたら。そして、同じ問いを持つ他社の人事担当者と「あのワークショップで一緒に取り組んだ方」としてつながるきっかけになっていたら、それ以上のことはありません。
カオナビが掲げるタレントインテリジェンスの世界 ——人材データとAIをかけ合わせることで、個の力を最大化し組織を強くし続けること——。その土台となる人材データの活用と実践がこんなふうに現場から生まれていることが、このユーザー会、カオナビキャンパスの大きな価値のひとつだと思っています。
また次回も、”正解のない問い”を持ち寄って、ご一緒できる場を作っていきますね。
今回のセミナー動画や資料はカオナビキャンパスオンラインでご確認いただけます。
https://www.kaonavi-campus.jp/s/details/manaberu-20260521-MCNJH7YC2NRVFIDNUFD6LQSH2SSQ
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