課題
- 人事異動の検討に大きな労力がかかっていた
- DX計画はあったものの、ペーパーレスが進んでいなかった
活用法
- カオナビで組織図をデータ化
- 目標管理と人事考課をカオナビに集約
効果
- 大幅な工数削減が叶い、人事考課制度の効率的な管理が可能になった
- 手書き書類から解放され、ほかの仕事に注力できるようになった
1886年に創立し、現在13学部(2025年度からは14学部)を備える文理融合の総合大学、関西大学を設置する学校法人関西大学様。独自のDX推進構想のもと、全学的に教育リソースを活用する仕組みに取り組んでおり、きめ細かい学習支援を展開するスマートキャンパス構想を展開しています。
今回は、人事局 局長 渡部 修様、人事局 人材開発課 新谷 良宏様、人事局 人材開発課 課長補佐 西口 卓至様にお話を伺いました。
※本記事の掲載内容は全て取材時(2025年1月16日)現在の情報に基づいています。
スムーズな導入にはわかりやすいUIが重要
──はじめにカオナビアカデミークラウドを導入された経緯についてお聞かせください。
新谷様:
導入の目的としては二つあって、ひとつは人事異動検討の方法の刷新。それからもうひとつがペーパーレス化です。
以前は、人事異動の検討について、全て紙の手書き書類で行っていました。また、人事考課制度は資格・等級に応じて多くの様式があり、年間1,500枚程度の管理が必要でした。チェック作業において、捺印ひとつでも不足すると差し戻しが必要で、修正のプロセスが何度も発生していました。さらにその紙の情報をデータベース化するのも相当手間でしたね……。
そうした課題に対する解決策としてタレントマネジメントシステムの導入を考えはじめたのが、2021年頃です。
渡部様:
たとえ軽微な変更であったとしても、やはり人事制度のルールに関わるということで、はじめはなかなか検討が進みませんでした。本学が掲げるスマートキャンパス構想とDX化※1の大きな流れがあったので、いずれはペーパーレスになっていく予定ではあったのですが、まだ時間がかかると思っていました。
※1 関西大学DX推進構想紹介ページ https://www.kansai-u.ac.jp/dx/
ところが、コロナ禍によってデジタル技術を活用した業務改革の動きが著しく加速するようになったのです。
人事局 局長 渡部 修様
──急速な変化だったと思いますが、導入はスムーズでしたか?
新谷様:
まずは人事の部局内のみ先行導入して、人事異動検討にカオナビを使うようになりました。人と人とのつながりが深い組織なので、本人の適性や関係性を考慮しながら配置検討する際には人材情報が可視化されたカオナビが最適でした。
次に人事考課もカオナビに集約しました。そうすると、全ての職員もカオナビを使う必要が出てくるため、新しいことへの反発も一部にはありました。ですが、PCが使える人ならカオナビも使える、というぐらいUIがわかりやすいことや、大学全体のDX推進の追い風もあって、危惧していたほどの混乱はありませんでした。
パッと見てわかるように入力画面をカスタマイズできたのもよかったのでしょう。一度やってみると簡単で扱いやすいことをわかってもらえたようで、評価運用2年目の今年度は問い合わせも減りました。
最近では、カオナビのおかげで人事関連のデータをすぐ確認できるという認識も学内他部署に広まっているようです。
人事局 人材開発課 新谷 良宏様
手書き→カオナビ化だからこそ実感する大幅工数削減
──導入後はどのようにお使いですか?
西口様:
人員配置のシミュレーションに組織図機能「シナプスツリー」を使っています。組織図を顔が見えるデータにできたことで、人員配置後のイメージがしやすくなりました。
異動案を「シナプスツリー」で作れば、決定版だけでなく途中経過も保存できますし、シミュレーション内容をメンバーへ共有することも容易に可能です。作業効率があがったので、検討時間に余裕が生まれました。
今後は、個々の経歴やスキル情報を踏まえて戦略的な配置検討や人材育成をできるようにしていきたいと思っています。
新谷様:
人事異動検討は以前、とても手間のかかる仕事でした。
本学には約50の部署があって、それぞれに資格等級ごとの段階があり、局長がいる、という組織構成です。それをA3の紙5枚ほどつなげたところへ書き出して、コピーをして切ったり貼ったりしながら異動を考えていました。手作業ですからケアレスミスも起きますし、やり直しになったり、できあがっても資料として何部も作らなければならなかったり。それはもう大変な時間がかかっていました。
「シナプスツリー」でかなりの工数削減になりましたから、以前のやりかたに戻れと言われてももう無理ですね(笑)。
「シナプスツリー」の画面イメージ。実際の組織図をもとにシミュレーションも可能
──人事考課の方はいかがでしょうか?
西口様:
人事考課も以前はすべて紙で管理していましたが、いまは評価ワークフロー機能「スマートレビュー」に集約しています。
目標管理、自己申告、人事考課表の3つのシートを運用していますが、作成者本人と管理者と人事ですぐに確認できますし、修正も即時に反映できます。紙ベースでは時間がかかっていた捺印の手間も省略化され、内容修正もカオナビなら簡単ですね。
今までは手間がかかるため修正自体に躊躇することがありましたが、期中に目標を変更するなど、今まであまり手をつけられなかったこともできるようになって来ました。
渡部様:
考課要素は職員の等級ごとに違うため、等級別に考課シートを使っています。
紙ベースでは間違った様式を使ってしまい提出し直しになるケースもありましたし、そもそも提出されたものの確認・整理も大変でした。カオナビでは対象職員に応じて等級別のシートを個別に設定できるので、様式があっているかの確認がそもそも不要になりますし、情報も蓄積しておけるため運用がかなり簡便になりました。
人事局 人材開発課 課長補佐 西口 卓至様
カオナビ活用を当たり前にし、さらに攻めのDXに期待
──工数削減とペーパーレスの両方が実現したのですね。今後の活用でお考えのことはありますか?
新谷様:
旧人事考課では、最終的に決定された点数評価を別のExcelシートに転記していました。転記やチェックも大変な作業となっていました。それがカオナビになるとCSVでダウンロードするだけ。2日程度かかっていた作業が一瞬で終わり、データの視認性も高めることができました。減った作業工数分は他の業務に時間を使うことができています。つまり効率化だけではなく、周辺業務をより良い状態に引き上げられる余力まで生んでいるのです。
とはいえ、人事の仕組みとしてはまだ独自でデータ管理している部分も残っています。現行の良いところを担保しつつ、カオナビに移行できるものは積極的に考えていきたいと思います。
西口様:
カオナビで可視化することで業務効率化が叶った部分がかなりありますが、今後は現行の基幹システムで管理している人事情報とカオナビの連携を進めていきたいと考えています。過去の経歴や資格情報など、どんどんカオナビにも蓄積して、タレントマネジメントに活用して行きたいですね。
とはいえ、データには表れない部分というのはまだあって、AI任せにはできない人間の調整も必要です。DXと人間らしさのバランスをとって運用して、第三者から見ても納得できる人員配置や人材育成の仕組みづくりを心掛けていきたいと考えています。
──DXの道筋をカオナビとともに考えていただいているんですね。
渡部様:
カオナビの利用状況は、飛行機で言えばまだやっと離陸したところといった段階です。それでも1990年代から関西大学で働いてきた私には、劇的な変化に感じます。
カオナビの運用が板について巡行飛行の段階になると、今度は人材配置だけでなく、さらなる戦略的な採用や人材開発を加速させるような、攻めのDXのステップに入るでしょう。業務効率化に留まらない、いろいろな活用アイデアが学内からも出てくることを期待しています。
- 設立:
- 1886年11月
- 職員数:
- 495名(2024年5月時点)