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マネジメントで有名な経営思想家ピーター・ドラッカーが提唱した、組織における目標管理制度(MBO)。この目標管理制度は、組織貢献と自己成長の両方が達成できる個人目標を設定させ、その達成度で評価を行う人事制度として用いられています。
ここでは、
- 目標管理制度の概要
- 日本企業に取り入れられるようになった背景
- 制度導入のメリット
- デメリットとその解消法
- 効果的な運用方法
について説明いたします。
目次
1.目標管理制度(MBO)とは?

目標管理制度とは、従業員一人ひとりの目標を経営目標や部門目標と連動させることで、業績アップを目指すマネジメント手法です。組織または個人で目標を設定し、その達成度によって評価を定めます。英語でManagement By Objectives(MBO)と言い、経営思想家ドラッカーが自著で提唱しました。
目標管理制度の具体的な項目は4つあります。
- 能力開発目標
- 職務遂行目標
- 業務改善目標
- 業績目標
期間終了後に行う自己評価と上長評価によって次期への課題を明確にして、目標を実現していきます。
ここで注意したいのは、「目標管理」は一方的に決められた目標の達成を推奨するものではないということ。社員が自ら設定した「自分にとって望ましい目標」を、上司がその適正度を確認して組織目標とリンクさせながら、達成に向けてサポートしていくマネジメントです。
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目標管理導入のきっかけは成果主義の普及
本来「目標管理」は人事評価を行うためのものではありません。しかし日本の企業では、人事制度にも「目標管理」の考え方が取り入れられています。その背景には、成果主義の普及があるといえるでしょう。
「目標管理」が導入されるようになるまで、多くの日本企業では、「個人の成果」によってではなく、「個人に期待される職務遂行能力」によって処遇を定める「職能資格制度」が用いられていました。
日本独自の職能資格制度が持つ欠点
職能資格制度は、終身雇用と年功序列を前提とする制度のため、「高い成果を出した若手社員」よりも「勤続年数の長い社員」が優遇される傾向にありました。そのうえ明確な評価基準がなく、客観的に評価を定めることが難しかったのです。
従って、成果に見合った地位・賃金を得られない優秀な社員の意欲低下を招く、社員の実績に関係なく人件費が増加してしまうといった欠点も生じていました。さらに、バブル崩壊によって低迷した日本経済の影響で、日本企業はコストカットを余儀なくされたのです。
こうした情勢の中で人件費を抑えつつ、貢献度の高い社員に高い賃金を支払うという成果主義的な仕組みが必要になり、「目標管理」の考え方が注目されるようになりました。
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2.MBO(目標管理制度)とOKR・KPIの違いを整理
目標管理制度を意味する「MBO」と混同しやすい関連語句に、OKRやKPIがあります。目標管理制度の意味や役割を正しく理解するためにも、それぞれとの違いを解説しましょう。
MBOとOKRの違い

OKRとは「Objectives and Key Results」の略称で、組織の目標達成を強力に推進するための目標管理フレームワークです。Googleをはじめとする米国のシリコンバレーを代表する有名企業が導入していることで知られています。
MBOとの大きな違いは、成長を促すためにあえて高めの目標を設定する点です。達成率70%ほどの目標を設定するケースが一般的で、そのため人事評価制度とは切り離して運用されることが多いです。
目標は会社全体の目標と連動して設定し、MBOよりも短期間で運用して、目標設定とフィードバックのサイクルを早めていく特徴があります。
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MBOとKPIの違い
KPIとは「Key Performance Indicator」の略称で、重要業績評価指標のことです。KPIが目標の達成度を図るための具体的な指標であるのに対し、MBOは目標管理の制度や考え方を指します。MBOの中で設定される目標の達成度を測るために、KPIが用いられることがあります。
たとえば、MBOで「市場シェアを拡大する」という目標を設定したとしましょう。その目標達成に向けたKPIとして「新規顧客獲得数」「既存顧客からの紹介数」「ウェブサイトのトラフィック数」などを設定できます。
KPIから目標達成の進捗を常に把握し、必要な改善策を講じることで、目標達成率向上を目指せるのです。
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3.目標管理制度(MBO)のポイント5つ
自らプロセスを管理しながら目標を達成して自己評価することを制度化した目標管理制度は、自主性が高い制度なので、上手に運用すれば社員が意欲的に取り組んでくれます。制度における目標設定のポイントは5つです。
- 具体的でわかりやすい目標
- 目標のレベルが高すぎたり低すぎたりしない
- 期間を設ける
- 具体的な取り組み方を明記
- 会社の戦略や自分の役割と関連がある
とくに目標のレベルは「今のままでは難しくとも、創意工夫により達成可能な程度」とすることが大切です。今できることの範囲内で目標を設定したのでは、たとえ達成したとしても成長にはつながりません。
「やったことがない領域だけれども学びながらチャレンジする」くらいの目標を立てて、達成に向けてストレッチすることが重要です。これを自主的に実施するのは難しいことなので、上司のフォローが肝になります。
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4.目標管理制度(MBO)のメリット
- 人事考課
- 能力の開発や育成
- モチベーション向上
①人事考課のためのMBO
目標とその結果が明確なので、評価が容易にできるのが特徴です。多くの企業で人事考課(人事評価)にMBOが組み込まれていて、労務行政研究所の「2010年1月人事労務諸制度実施状況調査」によると、導入企業は約7割にものぼります。
②能力の開発や育成
社員は自己統制しながら目標に向けて創意工夫をするため、能力開発につながります。少し頑張れば達成できそうな目標を設定することで、その「少し」の部分をどうするか、自分でコントロールするからです。この繰り返しが、能力を高めます。
③モチベーション向上
「認められたい」「役に立ちたい」という意識を満足させることで、スタッフのモチベーションは高まります。MBOにより設定した目標は、企業の役に立つ目標だと、上司も認めているものです。そのため目標を達成することで、「自分は企業の役に立つ人材だ」という自信につながります。
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5.目標管理制度(MBO)のデメリットと解消法
デメリットは間違った運用法を原因とするものが多く見られます。
- 目標を低めに設定してしまう
- 目標から外れる業務はやらなくなる
- 社員のモチベーションの低下
①目標を低めに設定してしまう
個人の高評価、昇給のために目標を低めに設定する、ということは起こりがちです。
目標管理制度と評価制度・報酬制度が連動している企業は多いため、目標の達成度が個人の給料に関わってきます。そのため個々の社員は達成度を上げようとするので、あらかじめ目標を低めに設定しておこうという傾向が出てきます。
これを回避するには、評価時に目標の難易度もきちんと加味することです。
②目標から外れる業務はやらなくなる
目標を低めに設定するのと同様、こちらも評価に影響する業務に集中したい(評価に影響しない業務はやりたくない)という思いから起こる問題です。
目標達成以外に、行動評価や業務に対する姿勢の評価(一般的にいう「情意評価」)を評価基準に含めることで、ある程度は回避できます。
③社員のモチベーションの低下
目標設定に慣れていない社員や、目標達成能力が低い社員はモチベーションが下がっていきます。
マネージャーはフィードバックを続け、彼らが目標を達成するように導く必要があります。
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6.目標管理制度(MBO)の流れ
目標管理制度を円滑に運用するためには、適切な手順を踏むことが肝心です。流れは4つあります。
- 制度運用のための適切な目標設定
- 目標から実際の行動を計画して実行
- 日報や定期面談による進捗確認
- 客観的な評価・評価後のフォロー
①制度運用のための適切な目標設定
まずは目標管理制度に不可欠な「目標設定」をするところから始めます。公正な評価や一人ひとりの能力向上には適切な目標を設定することが重要です。
組織目標に沿った個人目標を設定
目標管理制度をうまく機能させるためには、いきなり各社員に目標を設定させるのではありません。まずは企業や部署といった組織単位の全体目標を設定し、決定した目標を全社的あるいは各所属社員に知らせましょう。
下位の各社員が設定すべき目標は組織目標につながるものでなくてはならないからです。さらに全体的な目標を共有することで、社員全体を一体化させるという目的もあります。
個人目標の設定には自主性が重要
各社員の目標は、上司が一方的に決めるのではなく本人が主体となって設定することが重要です。自分で目標を設定することで、「強制されてやっている」という意識ではなく「組織へ貢献すると同時に自分の成長のためにもなる」という意識が芽生え、モチベーションが高まりやすくなります。
明確な目標達成基準のビジョンを共有する
目標設定の段階では「このときまでにこうなっていれば目標達成とする」といったビジョンを本人・上司ともに明確にイメージできていることが大切です。目標達成基準に関するビジョンが本人と上司で異なると、目標達成評価の段階で自己評価と上長評価にギャップが生じてしまいます。
たとえば自己評価よりも低い評価が下されてしまうと、本人が目標管理制度や評価者に不信感を抱いたり、モチベーションを保てなくなったりするでしょう。このような事態を防ぐために、適切な目標設定を定められるよう本人と上司がともに考える必要があるのです。
部下が目標を設定できたら、上司は次のような点を確認します。
- 組織目標につながる目標か?
- 社員の能力に対して簡単すぎる目標ではないか?
- 実現不可能な目標になっていないか?
さらに、必要があれば話し合いの上で目標を調整し、最終的な目標を決定しましょう。
目標設定とは?【設定のコツを一覧で】重要な理由、具体例
目標設定は、経営目標達成や個人のレベルアップのために重要なもの。適切な目標設定ができないと、最終的なゴールが達成されないだけでなく、達成のためにやるべきことも洗い出せなくなってしまうでしょう。
今回は...
②目標から実際の行動を計画し、実行する
目標達成までのプロセスは、PDCAサイクルで管理します。
- 計画(Plan)
- 実行(Do)
- 確認(Check)
- 改善(Act)
このうち計画(Plan)にあたるのは、設定した個人目標に沿って実際の行動計画を立てる段階です。この段階では、設定した目標を達成するためにどのように行動をするか、という具体的な計画を考えます。
できる限り、「現在30分ほどかかっている◯◯の業務を15分でできるようにする」のように、数値を使った行動計画を立てさせるようにしましょう。こうすることで、最後の評価段階で達成度を客観的に判断しやすくなるうえに、行動計画を立てた本人も目標実現に向けて行動しやすくなります。
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③日報や定期面談による進捗確認
目標の進捗確認や見直しには、部下に日報を作成してもらったり、週に一度・月に一度などの定期的な面談を行ったりすることが有効です。これらの段階は、PDCAサイクルでいうところの確認(Check)にあたります。
一度立てた目標だからとそのまま各社員に任せきりにするのではなく、設定した目標が適切だったかどうかなどを問いかけ、自己の振り返りを促します。場合によっては目標や行動計画を再度設定する必要も出てくるでしょう。
そこで上司からアドバイスを行うことも重要ですが、目標・計画の修正に関しても、目標設定時と同様に本人を主体として検討させるようにします。この段階が、PDCAサイクルにおいての改善(Act)です。
こうして上司に一方的に強制されることなく、社員自身が自らを振り返りながら改善を繰り返すことで、問題解決能力に優れた人材へと成長できるでしょう。
目標管理制度(MBO)において面談の適切なタイミングは?
期初や期末などある程度決められた期間に面談を行います。人事評価のタイミングに合わせて行う場合も多いでしょう。
しかし中には目標の達成度合いを気にしすぎて、上司が部下に詰問してしまう場合も。大手企業の組...
④客観的な評価・評価後のフォロー
毎期末には個人目標の達成度を評価します。まずは各社員に自己評価をさせ、その後上司が評定を行うという流れです。
この目標管理制度では、努力量ではなく、あくまでも「目標達成度」という視点で客観的な評価を下すことが重要でしょう。目標達成が叶わなかった場合は、「何が問題だったのか」「次はどのようにすれば目標を達成できるか」といったことを該当する社員に考えさせ、それをサポートすることで社員の成長を促します。
納得感を高めるコミュニケーションを行う
「目標達成度を評価しなければならない」とはいえ、なかには「努力をしたものの結果が出なかった、一段階上の評価まであと一歩だった」という社員も出てくるでしょう。
こうした社員にも客観的な評価を行わなければ公平性を保てないという点は、目標管理制度運用の難しいところです。評価者としても、伝えづらいと感じる方は多いかもしれません。
各社員が納得したうえで目標管理制度を続けるには、社員の努力や姿勢を制度の外でフォローすることも必要です。高い評価をつけることができなかった理由を説明したり、努力を認めたり、「次もこの調子で頑張ってほしい」といった言葉掛けなどをしたりしましょう。
同様に、本人の自己評価よりも上長評価のほうが低かった場合も、その評価の隔たりについて説明する必要があります。本人から自己評価の理由を聞き取ってから、なぜ会社側はこの評価を下したのかを丁寧に伝えるのです。
こうしたコミュニケーションに気を配ることで、上司と部下の間にある信頼関係を損なうことなく、納得のいかない評価による社員のモチベーション喪失を防ぐことが可能になります。
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7.目標管理制度(MBO)の効果的な運用方法2つ
目標管理制度を効果的にする運用方法は2つあります。
- タイムリーなフォローによる進捗管理
- 目標管理システムを導入してオペレーションを効率化
①タイムリーなフォローによる進捗管理
目標管理制度で、部下や組織内のメンバーの能力を引き出し成果につなげるにはどうしたらよいでしょう。そこで重要なことが下記の方法です。
- 部下のセルフコントロールに任せる一方で、リーダーがアドバイザーとサポーターに徹する
- プロセスをしっかり管理する
- 目標を確認する
- 必要ならば軌道修正をうながす
「目標を理解し、具体的な行動計画を立て、プロセスを検証し、修正を加える」(PDCAサイクルによる管理)を意識してしっかり行うことが重要なのです。
具体的な内容と課題
「目標の設定段階」では、面接などを通して組織目標と部下とで目標にズレがないかを確認したり、双方のベクトルを合わせて目標の適正化を図ったりしなければなりません。
「目標の実行段階」からは、部下の職務の進捗状況を随時把握して、状況に合わせたきめ細やかなサポートを行う必要があります。最後の「統制段階」では、部下と一緒に結果を分析して、次期の目標達成に必要な改善ポイントを明らかにしていきます。
このように目標管理制度は上司による「面談のスキル」が大変重要な制度です。年功序列制度のもとでの評価よりも評価者への負担が大きくマネジメント力が必要とされます。適切な運営のためにはミドルマネジメント層の育成が最も大きな課題でしょう。
②目標管理システムを導入してオペレーションを効率化
目標設定のための資料作りや面接時間の増大により、本来の業務が圧迫されてしまっては本末転倒です。
現在は多彩な「目標管理システム」がリリースされており、自社に合わせてカスタマイズ可能なクラウドサービスもたくさんあります。下記のようなシステムなどは便利です。
- 制度によって異なるワークフローや参加者・対象者の選択などがすべて自由に設定できる
- マウス操作だけで簡単に評価シートを作成・出力してフィードバック面談で利用できる
こうしたサービスを活用すれば、管理者が資料やレポート作成に費やす無駄な時間がなくなるため作業負担軽減に役立ち、その分面談などのコミュニケーションにじっくり取り組めるでしょう。目標管理制度の効率化が実現すれば、業績アップにもつながります。
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8.目標管理の具体的な手法とコツ

目標管理を成功させるためには、単に目標を設定するだけでなく、効果的な手法や運用のコツを知ることも大切です。ここでは、目標設定の具体的な手法とコツを紹介します。
SMARTの法則
SMARTの法則は、目標設定の質を高めるためのフレームワークです。設定した目標が以下の5つの要素を満たしているかを確認することで、目標が曖昧になるのを防ぎ、達成可能性を高められます。
| Specific: 具体的に | 「何を」「なぜ」「誰が」「いつ」「どこで」といった要素を明確にする |
| Measurable: 測定可能に | 目標の達成度合いを、数値や客観的な事実で測れるように設定する |
| Achievable: 達成可能に | 目標を現実的に達成可能なレベルに設定する |
| Relevant: 関連性のある | 個人の役割や会社の全体目標、部門目標と関連性のある目標を設定する |
| Time-bound: 期限のある | 達成期限を設定する |
SMARTの法則とは? 目標設定の意味・メリット・具体例を解説
「SMARTの法則」は、目標を具体的で達成可能な形に落とし込み、実行力を高めるためのフレームワークです。ビジネスシーンはもちろん、自己成長やキャリアを考えるうえでも役立つため、現在も多様な場面で活用さ...
マンダラチャート
マンダラチャートは、思考を整理し、多角的な視点から目標達成に必要な要素を洗い出すのに役立つフレームワークです。漠然とした目標を具体的な行動に落とし込む際に有効で、大谷翔平選手が高校時代に活用したことで有名になりました。
マンダラチャートの作成方法は、以下の通りです。
| ①中央に最終目標を書く | 3×3のマス目の中央に、達成したい最終目標を記入 |
| ②周囲に8つの要素を書き出す | 中央の目標を達成するために必要だと考える8つの主要な要素を周囲の8マスに書き出す |
| ③各要素をさらに具体化する | 各要素をそれぞれ新しい3×3のマス目の中央に配置し、その要素を構成するさらに具体的な8つの行動やサブ要素を周囲のマスに書き込んでいく |
| ④具体的な行動まで深掘る | これを繰り返すことで、最終目標から派生する、具体的な行動レベルまで思考を深掘りする |
マンダラチャートを使うことで、目標達成に必要な要素を網羅的に洗い出せ、漠然とした目標を具体的な行動計画へと落とし込みやすくなります。
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ストレッチ目標
ストレッチ目標とは、現実的に達成可能ではあるものの、現在の能力や状況からすると少し背伸びが必要な、挑戦的な目標のことです。OKRで設定されるのは、このストレッチ目標です。
MBOにおいても、成長を促進し、達成意欲を高めるためにストレッチ目標を設定するのは効果的でしょう。
ただし、達成が不可能な目標では、かえってモチベーションを低下させ、諦めにつながる恐れがあります。現状の少し先にある、努力と工夫で届く範囲に設定することが重要です。
また、ストレッチ目標に取り組む従業員には、積極的にフォローアップすることも大切になります。
ストレッチ目標とは? ビジネス上の意味、目的や書き方、事例
ストレッチ目標とは、背伸びしないと手が届かない難易度に設定された目標のことです。ここではストレッチ目標の目的や設定する際のポイント、ストレッチ目標を設定するメリット、デメリットについて解説します。
...
目標管理システム
目標管理システムは、目標管理のプロセスを効率的かつ効果的に運用するためのITツールです。制度の形骸化を防ぎ、MBOをより効果的に機能させてくれるでしょう。
目標設定から進捗管理、評価、フィードバックまでの複雑なプロセスを一元的に管理し、運用をサポートします。
さらに、システムによっては目標管理シートの作成も可能です。面談記録の履歴もシステムに残せるなど、継続的な目標管理に取り組みやすくなる機能が搭載されています。
過去の目標達成データや評価データを蓄積・分析することで、目標設定の傾向や社員のパフォーマンス特性などを把握し、人事戦略や人材育成計画の立案にも役立てられるでしょう。
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目標管理制度(MBO)を導入する際のポイントを解説!
目標設定のポイントや、効果的に運用する方法を解説しています。
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9.目標管理の運用で起こりがちなよくある失敗と注意点
目標管理制度は、適切に運用されれば組織と個人の成長を促す強力なツールです。しかし、その運用方法を誤ると、さまざまな問題が生じ、かえって組織に悪影響を与えることがあります。
ここでは、目標管理の運用で陥りがちな失敗と、それに伴う注意点について解説していきます。
管理職のスキル不足
目標管理制度の成否は、管理職のスキルに大きく左右されます。管理職が目標管理の本来の目的を理解していなかったり、必要なスキルが不足していると、制度が形骸化する大きな原因となるのです。
たとえば、管理職が部下の目標設定を適切にサポートできないと、曖昧で効果のない目標が設定を招きます。上司には、部下との対話を通じて、挑戦的かつ実現可能な目標を引き出すスキルが求められるでしょう。
また、目標達成に向けた定期的な進捗確認や、適切なフィードバックが不足すると、部下は方向性を見失い、モチベーションが低下してしまいます。
管理職向けの目標管理研修を定期的に実施し、目標設定、フィードバック、コーチングのスキルを向上させることも重要です。
成果のみを評価
目標管理制度が、達成された成果(結果)だけを評価する仕組みになってしまうと、多くの弊害が生じます。
目標達成に至るまでの努力、工夫、挑戦、学習といったプロセスが評価されないと、従業員は結果を出すためなら手段を選ばなくなったり、困難な目標へのチャレンジを避けたりするようになるでしょう。
また、長期的な視点や組織全体の利益に繋がる活動よりも、短期的に数値として現れる成果ばかりを追い求める傾向が強まります。
さらに、自分の成果だけが評価されるとなると、他部署との連携やチーム内での協力意識が希薄になり、個人主義に陥る恐れも生じます。
目標管理制度では、成果評価に加えて行動評価や能力評価もバランスよく組み合わせることが重要です。評価面談では、結果だけでなく、そのプロセスや努力、学びについても深く対話し、評価に反映させましょう。
従業員のモチベーション低下
目標管理が適切に運用されないと、本来の目的であるモチベーション向上とは裏腹に、従業員のやる気を削ぐ原因となることがあります。
たとえば、一部の従業員にだけ過度に困難な目標を課したり、職務内容と関連性の低い目標を設定すると、不公平感からモチベーションが低下するでしょう。
また、評価基準が曖昧であったり、評価者によってばらつきがあると、評価結果に対する不満が生じます。
さらに、上司との面談が形だけの報告会になったり、十分な対話がないと、従業員は目標管理を「面倒な作業」と捉えるようになり、目標管理自体が形骸化してしまいます。
目標設定の段階で、従業員との丁寧な対話を通じて納得感を高めることが重要です。そのほか、評価基準の明確化や評価者の育成、必要に応じたサポートを行うことも大切になります。
目的の乖離
目標管理制度の導入目的が、本来の「従業員の成長促進」「組織目標の達成」からずれてしまうと、制度全体が機能不全に陥ります。よくあるのが、目標管理が「人事評価や給与決定のためだけのツール」と化してしまうことです。
評価と密接に連動しすぎると、従業員は評価のために目標を低く設定したり、見栄えの良い行動だけをしたりするようになる恐れがあります。
また、各個人がバラバラに目標を設定したり、目標設定や進捗確認が義務的な作業になったりすると、組織全体としての相乗効果は期待できません。
制度導入時、そして運用中も、目標管理の本来の目的を継続的に全社で共有し、浸透させることが重要です。評価のためだけでなく、成長のためのツールであるということを従業員に理解してもらいましょう。
カオナビならあらゆる人材情報をデータベースに集約。部下の現状把握やフィードバックに必要な人材情報にスムーズにアクセス可能です。
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10.目標管理の運用にはカオナビがおすすめ
目標管理の運用にはタレントマネジメントシステム「カオナビ」がおすすめです。カオナビはクラウド型のシステムで導入スピードが速く、初期費用と利用人数に応じた月額利用料で始められます。
直感的な操作が可能なため、初めてのシステム導入でも安心できるでしょう。
カオナビには、MBO運用の機能が搭載されています。具体的にできることや導入事例を紹介しましょう。
カオナビでできるMBO運用
カオナビでは、評価シート作成から配布・回収・内容確認や承認をすべてシステム上で完結できます。
MBO評価テンプレートをベースに、自社のフォーマットに合わせた評価シートの作成も可能です。目標の達成度合いを入力すれば、得点の自動計算も行い、評価運用を効率化します。
評価運用が効率化されることで、しっかりとフィードバックの時間を取れるようになり、目標管理の質が高まるでしょう。
また、項目単位で閲覧権限を設定できるため、見せたい・見せたくない内容の制御も簡単に行えます。人材データベースには評価結果や面談内容を記録でき、その内容は関係者とも手軽に共有できます。
組織で一体的な目標管理が行えるようになり、組織目標の達成の効率化にも貢献するでしょう。
カオナビの導入事例
ここでは、カオナビを導入し、目標管理・評価運用で成果を出した事例を紹介します。
アビリティーセンター株式会社
カオナビ導入前、同社ではMBOをエクセルで運用していました。期初の設定目標の確認とフィードバック、期末の評価査定のすべての工程をエクセルで回しており、その労力が大きい点が課題でした。
また、時間的な問題からコミットを疎かにしてしまい、MBOが形骸化している恐れがありました。
そこで、融通が利く柔軟性と簡単にフォーム設計ができる手軽さとわかりやすさを決め手に、カオナビを導入。カオナビ導入後は、SMART REVIEWでMBOを管理し始め、評価業務が1/10に効率化されました。
また、常に最新版の目標管理シートにアクセスでき、社員の切り替えもスムーズで、管理コストの問題は劇的に解消されました。
結果として、社員に向き合う時間を得られ、会社が目指す管理体制を構築できました。
参照:アビリティーセンター株式会社|導入事例|カオナビ【シェアNo.1】社員の個性・才能を発掘し、戦略人事を加速させるタレントマネジメントシステム
バンドー化学株式会社
同社は、MBO評価と年1回のコンピテンシー評価を運用していました。カオナビの導入で評価業務を年間100時間以上削減し、フィードバックの可視化することで、従業員の納得度も向上しています。
カオナビ導入前は、紙とエクセルで評価運用しており、工数の多さが課題でした。フォーマットの柔軟性や導入スピードの速さ、総合的なコストパフォーマンスの高さに魅力を感じ、カオナビを導入。
カオナビのSMART REVIEWでは管理職が記入した評価はすぐにクラウド上で共有され、人事部からの督促や不備のアラートも簡単に送信できるようになったことで、人事評価業務をトータルで年間100時間削減できました。
参照:バンドー化学株式会社|導入事例|カオナビ【シェアNo.1】社員の個性・才能を発掘し、戦略人事を加速させるタレントマネジメントシステム
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