「OKR」とは? | 無駄を削ぎ落としたシンプルな目標管理ツールによるマネジメント・コントロール

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先進企業のイノベーションを支えるOKRによるマネジメントOKR(Objectives and Key Results;「目標」と「主要な結果」)は、Intel発祥で、現在Google, LinkedIn, Zyngaなどが、野心的でイノベーティブな、高い次元の目標を達成するために導入している目標管理の手法です。

不確実性が高く、厳しい競争環境でしのぎを削るこれらの企業にとって、優秀なメンバーたちは最も重要なリソースです。同時に、多様なバックグラウンドや価値観を持つ彼らの努力の方向を束ねて、組織の方針に沿わせていくためのコミュニケーションを、いかに効果的に起こしていくかが、マネジメントの中心課題 でした。

こうした課題に挑む企業の一つであったGoogleが、2000年代前半頃から全社でOKRを活用し始め、大成功を収めていると発表したことをきっかけに、同社がイノベーションを生み出し続ける秘訣として、大きな注目を集めるようになりました。

OKRとは

okr

OKRは、全階層の従業員に、企業にとって重要で野心的な組織目標を、効率的かつ有効に共有し、その達成に向かって全力を集中させるためのツールです。具体的には、四半期ごと(期限の設定は自由だが、四半期毎が一般的)にObjectives(目標)とKey Results(主要な結果)という、定量的で測定可能な目標と達成指標(結果)を掲げ、その達成度合いをスコアで判定していきます。

OKRとKPI

説明を文字で追っただけでは、「目標達成へ向けての数値管理」手法であるKPI(Key Performance Indicator:主要業績評価指標)との違いが判りづらいという声もあります(実際に、米国の人事系サイトにも同様の質問が多数寄せられています)。しかし、これらは同じ目標管理ツールでありながら、活用の目的と、使われるシーンが全く異なるものです。

OKRは、大局的な企業レベルでの目標定義や結果指標、コミットメントに対するコミュニケーションを促すために活用されます。CEOから、全階層の全従業員が例外なくOKRを設定することになり、そのコミュニケーションの過程で、組織文化の形成、伝播さえ実現します。

それに対し、KPIは戦略の実行に活用されることを目的とするものです。一旦決められた目標に対し、それを達成するための過程がクリアできているかを計測するための、プロセス管理の手法となります。導入・運用するかどうかも含めて、部門ごとに管理されることが一般的です。

OKRの特徴

OKRは、基本的にシンプルな目標管理のスタイルを取りますが、設定する目標と結果には特徴的な条件が付けられます。

Objectives(目標)の代表的な条件とは

Objectives(目標)は、主に次のような条件を満たしている必要があります。

  • 限界を超えることを目標とし、野心的でありながら現実的で、僅かに手の届かなさそうな高いレベルに設定すること
  • 最大限の創意工夫と努力をつぎ込んだ末の達成率が70%程度となるくらいが理想的(それ以上の達成率が見込まれるようでは、難易度・質の低い目標であるとみなされる)
  • 定量的で、測定可能なものであること
  • 四半期ごとに、多くても4~6個以内とすること(目標同士の衝突や矛盾を避けるため)

Key Results(主要な結果)の条件とは

Key Results(主要な結果)の条件は以下のとおりです。

  • 期限や数値目標といった定量的な指標を使った測定・評価が可能であること
  • 客観的な検証が可能であること
  • 一つの目標に対し、多くても5個以下に抑えること

OKR運用上のポイント

(1)目標設定

四半期ごとに、CEOによって企業のOKRが定義づけられると、それを達成するために必要なチームのOKRが定められ、次いで個人のものが設定されます。

OKRを定義づけていく上で重要なプロセスが、「OKRに関係するすべてのメンバーとコミュニケーションを取り、十分納得させ、同意を得ること」となります。 必要とあらば、一旦定義された文言を修正することもあります。こうしてすべてのOKRが揃う中で、組織トップから個人に至るまでの方向性が一点に収斂されていきます。

一旦定義されたOKRは、CEOのものから、チーム単位、個人単位のものまで、すべてが社内で公開されます。Google元CEOのEric Schmidtは「目標設定には、思考の量と勇気が必要とされる」と言います。OKRを見れば、各メンバーの思考と力量が、一目瞭然となるからです。

また、目指すべき目標と結果、およびそれらの優先順位を常に掲げることで、次のような効果が生まれることを狙います。

  • メンバーたちを目標にフォーカスさせること(ターゲットとなる仕事に集中できる。優先順位の低い瑣末な業務に終始するのを防ぐことができる。)
  • 責任の所在や貢献度合いを明らかにすること(自分の仕事が組織にとってどれくらいインパクトがあるか、また、どの程度までそれを達成できたかを常に確認できる。)
  • 連携強化やリソースの可視化を目的に情報を活用すること(どこで誰が何に取り組んでいるかが可視化される。)

(2)成果測定

四半期が終わると、CEO以下、全てのOKRを評価しスコア(0~1.0の10段階や%表示)を付けて公開するように要求されます。さらに各部門の責任者たちは、経営会議にて、スコアの根拠への説明が求められます。

ポイントは、評価には時間をかけないことです。目標・結果は、瞬時にレビューができるよう工夫されているので、本来時間がかからないはずだとされます。成果に対して余計なノイズを挟ませず、スコア自体よりも取組みの過程に注目して客観的に検証し、次期の経営・組織運営方針やOKRへと反映させていきます。

スコアはOKRによる目標管理のプロセス以外に使われることはなく、「記録にさえ残さない」(Google元CEO:Eric Schmidt)といわれています。検証や評価が当事者によって正直に行われないと、正しい分析が出来なくなり、業績向上につながらないと考えられているからです。

OKRと組織・人材マネジメントにおけるポイント

目標管理いう言葉が、人事評価のプロセスであると認識されていることが非常に多く、また、目標管理のプロセスが、「上司-部下間の期待値コントロールゲーム」であるとか、「協働回避のインセンティブが生じる温床である」といった批評がなされることもあるのですが、本来、目標管理と人事評価は別のものです。

目標管理のプロセスや結果を活用する人事評価制度の存在で、こうした混同が起こっているものと思われます(実際に、日本では成果主義導入を背景として目標管理を使い始めた企業が多いと言われています)が、そもそも目標管理とは、組織と個人の方向性をすり合わせ、人々の貢献意欲を引き出し、共通の組織目的を効率的に達成させることを目的とした、マネジメント・コントロール の手法なのです。

この本来の目標管理の効果を最大化するために設計されたのがOKRであり、この仕組みによって、組織に必要な本質的なコミュニケーションが促進されるよう、人事評価とは切り分けることが、OKRの運用にあたっての必須前提となっています。

そして、OKRの導入・運用に成功している企業では、仕組みを導入しただけでなく、メンバー同士が、顔と顔を突き合わせて、重要なコミュニケーションを取り続けるための、組織運営上の上手い工夫や努力が随所に見られると指摘されている点が、最も重要なポイントであると言えます。

経営学者のバーナードは「共通の目的」「貢献意欲」「コミュニケーション」を、組織が成立するために必要な3条件であると説きました。さらに、目的と意欲を支えるのがコミュニケーションであることから、組織の中心は、コミュニケーションであるとしています。(山根節『戦略と組織を考える-MBAのための7ケース』P.103)

ロックの目標設定理論(Goal Setting Theory)に代表される諸研究。本人が納得し、受け入れている目標であるという条件下であれば、より明確で難易度の高い目標を設定した方が、業績が高くなり、フィードバックによりこの効果がさらに高められることが、学術調査でも明らかになっています。

「マネジメント・コントロール(計画とコントロール)とは、組織の活動にとって必要なコミュニケーションが行われるように設計されたシステムないしプロセスのことを言う」。(山根節『戦略と組織を考える-MBAのための7ケース』p.103)


参考文献:
・Business Insider -This is the internal system Google uses to grade its employees ? you should use it, too , Jay Yarow 2015.10

Eric Shmidt & Jonathan Rosenberg – How Google Works, Grand Central Publishing , 2014.9

・Laslo Bock-Work Rules!: Insights from Inside Google That Will Transform How You Live and Lead, Twelve, 2015.4

・山根節『戦略と組織を考える-MBAのための7ケース』,中央経済社, 2003.6

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