ユーザー会レポート

制度は作って終わりじゃない!社内浸透まで見据えた制度改革とカオナビ運用の全貌

2022年6月17日

マナベル

ユーザー会

こんにちは!カオナビ カスタマーサクセス ユーザー会担当です。

12/7(火)、ユーザー会「マナベル」を開催しました。今回は「人事評価制度改定と同時にカオナビを導入!新制度と運用の効果とは」をテーマに、株式会社ポニーキャニオンの森ひとみ様がご登壇。さらに、同社の人事制度改革をサポートされた株式会社フィールドマネージメント・ヒューマンリソース(以下:FMHR)の山田博之様もお招きしました。
88名もの参加者の皆さま、ご出席いただき、ありがとうございました!

この記事では、今回ご参加できなかった皆さまにも森様のお話を共有できるよう、セミナー当日の内容をまとめましたのでぜひご一読ください!

「マナベル」とは?

「マナベル」はカオナビを使いこなしているユーザー様の実践例を、直接学べるセミナーです。様々な業種のユーザー様にご登壇いただいており、「カオナビを使ってできたこと」「ぶつかった壁やその乗り越え方」など、赤裸々なトークが必見です。

そのほかにも導入目的別の使い方を解説するセミナーや、ユーザー様同士で活用方法をディスカッションできる交流イベントも開催。今後、開催予定のセミナーは、以下をチェックしてみてください!

サポートサイト『セミナー・ユーザー会』

ご登壇者紹介

森 ひとみ 様

株式会社ポニーキャニオン
人事総務本部 人事総務1部マネージャー
(兼)HR戦略室

山田 博之 様

株式会社フィールドマネージメント・ヒューマンリソース
執行役員

人事制度改定に至った3つの背景

※ここからは実際に森様にお話しいただいた講演内容です!

まず、ポニーキャニオンが人事制度を見直そうと思った理由は次の3つでした。

  • ビジネス環境の変化
  • 事業領域の拡大
  • 報酬制度、評価制度への不満

当社の主な収益源は、これまでCDやDVDなどのパッケージ商品でした。ただ、この10年あまりのデジタル化やグローバル化の進展で、商品形態・取引先に大きな変化が起こりました。例えば、配信型コンテンツの台頭などです。おそらく今後もこうした状況が続くだろうと考え、ビジネス環境の変化に対応できる組織構造に変えなければ、という危機感がずっとあったんです。

ビジネス環境の変化に対応するためにも、ここ数年は既存事業だけではなく、新規事業にも注力してきたわけですが、その中で組織風土や求める人材像が変化し、評価制度を見直す必要性も出てきていました

そこで、具体的な課題を抽出するためにエンゲージメント・サーベイ(従業員への調査)を行った結果、若手ほど評価と昇給の紐付きが弱いことや、評価基準の不透明さに不満を持っていたんです。

年功序列の名残もあり、昇給するときは年齢とともに金額もある程度横並びになったり、あの人は何をしているか分からないけど、給与が高いと思われてしまったり、といった課題もありました。

そこで、人事コンサルティング企業であるFMHRの山田様の手も借りつつ、2021年1月から本格的に人事制度改革をスタートさせました。

まずは人物像の再定義からスタート!制度改革4つのポイント

ここからは、実際に行った制度改革の内容をお話します。

【改革1】ポニーキャニオンらしい人物像の再定義

制度改革にあたってまず、ポニーキャニオンらしい人材像の再定義から始めました。その際、ポニーキャニオンらしさとは何か、社内でインタビューを行ったんです。

すると、ある社員が『うちの人間はCUTE(キュート)だよね』と話したんです。このとき『これだ!』と思い、CUTEの頭文字を使って『Creative』『User First』『Talent』『Enjoy』という人物像を定義しました。そして、『Creativeな仕事をUser Firstで行い、Talentを磨き続けることを忘れずに、Enjoyしよう!』と、行動方針にも落とし込んだんです。

【改革2】各等級の役割や職責を明確化

人物像の定義を行う前、エンゲージメント・サーベイの結果を受け、すでに等級制度などの見直しは行っていました。ただ、山田様から人材像をもう一度描き直したら、等級もそれに合わせて見直さないといけない』という指摘を受け、改めて見直すことにしたんです。

大きくマネジメント職とスペシャリスト職に分けることで、元々あった複雑な等級区分をシンプルにしました。その上で、人物像や行動指針を自分たちの業務に落とし込めるように、グレードに応じて役割や職責なども定義していきました。

【改革3】相対評価の導入で貢献度の高い人をきちんと評価

エンゲージメント・サーベイの結果にも出ていたことですが、評価の不透明さの解消や、評価と昇給の紐づけを、よりクリアにしたいという想いがありました。

そこで、評価に関しては、さまざまな立場の人物が多角的に見ることで納得感を高めるため、360度評価(多面評価)を導入。さらに、山田様から「会社全体の生産性を考えると、社員のがんばりに序列をつけることも大事」とアドバイスをいただき、相対評価も導入しました。

山田様には「ビジネスの変革期においてはみんな汗をかいてるんだけど、その汗に対して価値の違いがある。ポニーキャニオンさんはそこを明確にすべきフェーズだと思います」とも、アドバイスをいただき、より貢献度の高いパフォーマンスをあげた人をきちんと評価する仕組みを取り入れたわけです。

まとめると、360度評価の結果をもとに、評価調整会議を通じて相対評価を行うことにしました

【改革4】評価と昇給の紐付けで若手社員のモチベーションアップ

次に報酬制度も、「自分が何をすれば、どう昇給するのか」が誰でもわかるように、評価と昇給を紐付けて可視化しました。「がんばったらこれだけもらえるんだ」と思ってもらうことで、若手社員のモチベーション向上につなげたいという想いがあります。

「直感的な操作」と「制度の再現性」がカオナビ導入の決め手!

制度設計と同時に、制度を運営する「器」となるツールも、並行して検討していました。

一般的に、人事制度改定はかなりのリソースが必要なため、制度設計を終えた後にツールの選定を行う企業が多いようでした。ただ、山田様いわく「制度の方向性によって、ツールに求める条件は変わっていくことがある。また、使うツールによって、制度の実現性も変わるかもしれない」ということでした。つまり、見直した制度とツールは密接に関わってくるものだと教えていただき、制度改定とツール選定は同時に進めることにしたんです。

このとき、選定のポイントは次の2つでした。

  • 直感的な操作で、人事だけでなく社員も使いやすい
  • 複雑な制度を再現できる柔軟性

評価制度は全社員に関わるものなので、最も重視したのは、人事総務部だけでなく社員にも使いやすく、直感的に操作できるか。加えて、新しくできる制度が複雑になっても運用できそうな柔軟性があるか、というのがポイントだったわけです。

今回の制度改革は、360度評価の導入や期中の振り返り面談のブラッシュアップに加え、評価調整会議による相対評価の導入も含めた大掛かりなもの。評価内容の管理やワークフロー設計が難しく、制度に取り入れたとして本当に運用できるのか、懸念もありました。しかし、山田様から「カオナビであれば運用できる」と力強いお言葉をいただき、カオナビの採用に至りました。

目に見えて「新しくなった!」と社員に伝えるためにも、制度だけでなくツールも同時に刷新したかったという狙いもあります。

新制度への不安解消にも効果あり!? カオナビ4つの使い方

新制度の運用にあたり、次はカオナビの使い方もご紹介します。

【使い方1】「プロファイルブック」でコミュニケーション活性化

顔写真付きで社員の情報を閲覧できるので、副産物的ではあるのですが、社員間のコミュニケーションを活性化するきっかけになりました。

というのも、カオナビにはIDカード用の顔写真を載せているのですが、入社当時の写真をいまだに使っている社員もいて…。実年齢と、写真撮影時の年齢が違うことがたびたびあったんです。すると、プロファイルブックを見るだけで「若い…!」「もはや誰か分からない(笑)」といった盛り上がりにつながりましたね。この盛り上がりのおかげで、新しい制度やツールへの不安を緩和できたかなと考えています

【使い方2】「スマートレビュー」で思い描いた制度をそのまま再現

「スマートレビュー」では複雑な計算式や閲覧権限を細かく設定できるので、思い描いていた制度をそのままかたちにできました

例えば、今回新たに導入した360度評価では「評価確定後は、これまで非表示だった上司のコメントをフィードバックのために表示」「上司のみ同僚のコメントが閲覧可」など、細かい設定が必要だったのですが、これも思い通りに設定できましたね。

また、対応状況や入力内容が一覧で分かる進捗管理画面は、顔写真付きで見られることもあり、「まだ何人評価が終わってなくて、誰の目標を見なきゃいけない」というのが、直感的で非常にわかりやすい

このフローがわかることはすごく重要だと考えており。なぜなら、期中のイベントがちゃんと行われていないことで期末にしわ寄せが来て、いろいろな問題が起こるためです。ただ、カオナビならフローとして見える化できるため、未対応者への催促など期中のイベントをコントロールできますよね。

いろいろな仕組みを作ったところで「現場はやらないんじゃない?」と、現場をコントロールできないと、新しい施策の提案をためらう可能性もあるかもしれません。ただ、カオナビがあることで「できる」と言い切れるんですよね。

さらに、評価の「仕上げ」となる評価調整会議でも、カオナビをフル活用しています。被評価者、評価者それぞれが複数にわたる360度評価の評価調整会議は、正直かなり大変です。でも、例えば「AマネージャーがBさんに付けたコメント、どんな意図があったの?」といったピンポイントな話題でも、タイムリーにそのコメントを参照しながら議論できる。おかげで、スムーズな会議進行に役立っています。

【使い方3】「ボイスノート」で自己申告書を集める

年に一度、人事と社員の面談があるんですが、そこでは自己申告書をボイスノート経由で集めています。社員から今後のキャリアや、今どういう風に仕事に向き合っているかを送ってもらい、それをもとに面談していくんです。

また、これまでExcelやGoogleフォームで収集していたのですが、ボイスノート経由でカオナビ上に情報を集めておけば、収集したデータを基にグラフがすぐに抽出でき、さまざまな資料作成が楽になるのでは、とも考えています。自己申告書やスキル情報がプロファイルブック上で一元管理されれば、評価運用の際に参照もできますし、ゆくゆくは配置や抜擢にも活用したいですね。

【使い方4】業界ならではのスキルを可視化

何を持ってこの人はスペシャリストなのか、今まで紙ベースでスキルなどを申請してもらい、比較・管理していました。ただ、カオナビを使うことにより、スキルの見える化や管理の効率化はもちろん、評価の際に各人のスキルを楽に参照できるようになったのは大きいですね。

特定業界ならではのスキルはたくさんあると思うんですが、それを比較的自由にデータベース化できるのは、やはりカオナビの大きなメリットですよね。

制度設計はゴールではなく”あくまでも通過点”

人事制度は設計して終わりではなく、どうやって定着させるかも考えていかなければなりません。そこで、制度の運用を促進するためにも、評価者向けに役割認識やスキルをインプットする研修を実施しています。

また、ケーススタディ形式のグループディスカッションで、アウトプットによる定着化も図っているところです。

被評価者向けには、「自分がどんな考え方や制度のもと評価されているのか」を理解してもらうために、評価制度の役割・運用のポイントを伝える動画を作成し、いつでも見られるようにしました

さらになるべく見直した制度について社員にどうだったのか、定期的に聞きながらブラッシュアップしていきたいと考えています。

最後になりますが、私自身、制度設計自体をゴールとは捉えていませんでした。もともと音楽の宣伝や制作をやっており、その当時は世に出るとき、完璧なものじゃなきゃいけないと思っていたんです。しかし、人事制度は作って終わりではなく、その後、走りながら改善していけば良いと考えています。

いきなり完璧なもの、全社員が納得するものはまずできない。一方で、社員の信頼感、納得感を担保するためにも事前に大きな骨は作っておき、後は現場の声にも耳を傾けながらトライ&エラーを繰り返していくことが大切だと感じています。

何より、会社を良くするためにやってるんだという強い気持ちを忘れずに、ぜひ制度改革を乗り越えていただければと思います。

【Q&A】ジョブ型雇用と経験の最大化は相反するのでは?

  • Q)相対評価は社員の人数が多いからできるのではないでしょうか?

A)確かに人数が少ないと相対評価はしにくいですよね。そのため、弊社でも人数が少ないグレードでは絶対評価を行いながら、両方をかけ合わせたかたちで導入しています。グレードや組織の人数に応じて、ここは相対評価なのか、もしくは絶対評価なのかを考えてみても良いですね。

  • Q)評価者が公開されることで、私情が入り、評価は甘くなりませんか?

A)逆にちゃんと見ようという意識が強くなっていると思いますので、甘くなることはないと考えています。誰がつけたかが明確だからこそ、これ甘すぎませんか?と突っ込まれた場合に説明責任を果たさないといけませんので。 むしろオープンだからこそ、私情を挟むことなく厳格に評価をしようという気持ちになるかもしれません。

  • Q)役員との調整で苦労した点は?

A)役員との調整は、正直まったく苦労しませんでした。カオナビさんの広告展開のおかげで、役員はほとんど全員が知っていましたし、画面を実際に見て、役員からも触りやすいという反応を事前に得ていたのが大きかったですね。

【参加者の声】悩みがほとんど同じで勇気づけられました

森様のお話しはここまで。

ここからは、参加された皆さまからのご感想を、一部抜粋してお届けします!

  • 制度内容も含め分かりやすかったです。どんな風に活用されているのかリアルに聞けて参考にしたいと思いました。
  • 人事制度改定に至った経緯や、改定後の運用・定着に関するお話が聞けて良かったです。
  • 悩みがほとんど同じで共感したり、勇気づけられました。
  • NGワードの「完璧なものを。全員で納得できる制度を。」が印象に残っています。全員が満足するものを目指したい、と思ってしまいがちなので、注意が必要だなとも思いました。「ただし、骨太の目標を立てておくこと」というのも納得できました。
  • 人材像から始まる改定の流れや、運用促進の内容が参考になりました。

ユーザー会を終えて

商品形態や取引先に大きな変化が起こる中、組織構造を変えなければという危機感から、人事制度改革に踏み切り、同時にカオナビの導入も開始したポニーキャニオン様。

森様の発言にもあった通り、制度設計自体をゴールと捉えずにその先の運用にも目を向けた内容だったからこそ、「新しい制度をどうやって社員に浸透させよう…」と考えている人事の方には特に、学びが大きかったかもしれません。

走りながら改善していくなど、正解がない人事の仕事だからこそ、トライ&エラーの必要性を感じた会でした。

ユーザー会ではカオナビの使い方に限らず、今回の制度改定のように様々なテーマを取り扱っていく予定です。「他のユーザー様からこんな話を聞いてみたい!」などありましたら、ぜひお気軽にご意見をお寄せくださいませ!

また、カスタマーサクセスチームでは、Twitterも運営中。セミナー情報や便利な活用テクニックなどを定期的につぶやいていますので、チェックしていただけると嬉しいです!

それでは、今後もカオナビをどうぞよろしくお願いいたします!

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