ユーザー会レポート

1000年永続企業を目指して!5年間の人事制度改革とそのためのカオナビ活用

2023年8月9日

マナベル

こんにちは!カオナビ カスタマーサクセスグループ ユーザー会担当です。

2022年10月19日(水)、ユーザー会「マナベル」を開催しました。今回は、「『自律自走の組織』を目指した5年間の人事制度改革」をテーマに、1000年永続する企業を目指しつつ、建築土木事業に取り組む林ホールディングスさまにご登壇いただきました。

ご参加できなかった皆さまにもこの知見を取り入れていただけるよう、当日の内容をまとめましたので、ぜひご一読ください!

※掲載内容はすべてユーザー会当日時点の情報です。

「マナベル」とは?

「マナベル」はカオナビを使いこなしているユーザー様をお招きし、実践例を直接学んでもらうセミナーです。さまざまな業種のユーザー様にご登壇いただいており、「カオナビ導入の経緯」「カオナビを使ってできたこと」「ぶつかった壁とその乗り越え方」など、赤裸々なトークが必見です。
カオナビではそのほかにも、導入目的別の使い方を解説するセミナーや、ユーザー様同士で活用方法をディスカッションし合う交流イベントも開催。今後、開催予定のセミナーは、以下をチェックしてみてください!
サポートサイト『セミナー・ユーザー会』

ご登壇者紹介

仲田 衣美香 さま

林ホールディングス株式会社
人事総務本部 人財開発部 取締役部長

2017年の入社後、人財開発部、ダイバーシティ推進部を経験し現職に至る。
林ホールディングスの持続的な成長のため、時代の変化に臨機応変に対応できる企業づくりに取り組む。経営計画およびビジョンの達成のための組織創りと人財育成、組織カルチャーの変革/浸透、社員一人ひとりが自分らしく働きがいを持って活躍できる職場環境の実現、D&Iなどさまざまな施策を推進する。

森根 国光 さま

林ホールディングス株式会社
人事総務本部 取締役本部長・デジタル戦略部部長

1998年に新卒入社。経理部、企画総務部、3D推進事業部、DIC推進事業部を経験後、現職に至る。
現在は、人事総務本部 取締役本部長・デジタル戦略部部長として、これまでの幅広い経験を活かしつつ活躍中。
経営の視点でのDX推進や組織におけるデータ管理統括・データ活用の促進、社員が働きやすい環境整備の推進などを行っている。

※ご登壇当時の情報です。

1000年永続企業のために取り組む、自律自走の組織づくり

※ここからは実際にお二方にお話しいただいたセミナー内容です!

まず、最初のテーマである「自律自走の組織づくり」に関して、仲田から紹介いたします。

前提として、当社は、昭和38年に林組という名前で土木事業を営む企業としてスタートしました。その後、昭和52年に現在の主力事業でもある、生コン事業を開始しました。その後も土木を中心に事業を展開し、現在は11の事業を展開しています。

こうして多くの事業を展開するなかで、外的要因・内的要因ともに、さまざまな課題が発生しており、自律自走の組織が必要だとの考えに至ったのが2016年でした。

まず、外的要因として、国内の建設投資が年々減少し厳しい状況でした。また、少子高齢化やもともと人が集まりにくい業界であることによる、人材不足といった課題もありました。内的要因では、次世代への事業承継があったタイミングでした。また、社内で高齢化が進んでおり、社員の構成比率でも中高年がどんどん増えていることも課題の1つでした。その一方で、社会基盤を支えるコンクリートは安くて耐久性もあると、有用性が再認識されたタイミングでした。

実は、コンクリートは世界で水の次に多く使用されています。それだけではなく、SDGsの文脈でも注目を集めています。例えば、CO2を吸収したり、あるいは老朽化によるひび割れを自己修復したりするコンクリートも開発されています。

こうした状況を活かして発展するため、そして変化の多い時代を当社が生き残っていくためにも、自律自走の組織作りが急務であると考えました。

また、当社の場合、1000年永続企業を目指しているため、これを実現するためには、お客様を守ること、社員を守ること、日本の社会へ貢献できるような会社になっていくことが必要です。そして、そうなるためには、企業の成長の源である人が極めて重要です。このような人の成長を組織の成長に繋げていきたいという想いから、人的資本経営を目指しました。また、会社という森を作る土壌が社員であり、社員がいるからこそ会社が栄えるという信念のもと、笑顔と感謝が溢れる風土、働きがいと遣りがいを感じられる企業にしていきたいという想いもあります。これを実現するためにどんな経営をしていくかを経営陣たちが討議を重ねた上で施策を決定しました。

そして、その施策を実行してきたのがこの5年間でした。前段が長くなりましたが、その具体的な実施施策について今からお伝えをしていきます。

ハード面とソフト面、両方から施策を行っていきました。まず、ソフト面の施策からお伝えしていきます。

社内向け施策としては最初に理念浸透に取り組みました。その後、リーダー育成プログラムの導入、中途入社者に対する理念研修などを実施しました。

ソフト面での対外的な施策では、「 『人が集まる魅力ある会社へ進化』プロジェクト」を大きく打ち出し、リブランディングを5年間かけて実施していきました。また、当社の目指すものの1つである「おかげさま経営」の精神を、対外的なお客様宣言やありがとうキャンペーンを通じて、社員たちに浸透させることも行いました。さらに、ユニフォームを刷新して全社一丸の精神を社員に定着させることも目指しました。

続いて、ハード面です。まず人事制度改革として、評価制度・従業員紹介制度を刷新しました。そのほかにも、コンプライアンス委員会および安全衛生委員会の設置・内部通報制度を行い、システムインフラの導入を進めました。そのなかで導入したのが、カオナビです。

理念浸透に人事制度改革。制度構築から浸透までに奮闘した5年間

ここからは、いくつかの施策について詳しくお伝えしていきます。

理念浸透については、会長塾、部門長塾、フィロソフィ手帳という3つの施策を行いました。会長塾は、代表が各営業所や各支店に出向き、直接社員の方たちに企業理念を伝えていくものです。これを部門長が行う場合に部門長塾と呼んでいます。フィロソフィ手帳は、有志17名で策定した、理念を実行するための32項目をまとめた手帳です。いつでも携帯できる冊子を使って理念浸透を仕組み化することで、理念を社員の行動レベルにまで落とし込めるようにしました。

続いて、「『人が集まる魅力ある会社へ進化』プロジェクト」です。

ここでは、進化していくことを外部に打ち出すだけでなく、実際に「ありがとうエピソード」を社員から募り、1256件のエピソードを集めました。そしてそれらのエピソードからいくつか抜粋したものを冊子にまとめ、社員やお客様に配布するということも行いました。また、「ありがとうを伝える」と書かれたバッチを社員に身に付けてもらっています。こうすることで、感謝の気持ちを忘れないこと、そしてそれをお客様にも伝えていくことを忘れないでもらいたいという想いでの施策です。

そして、ハード面の施策として行ったのが、本日のテーマでもある人事制度改革の1つである評価制度の改善です。
階層別、職種別、社員等級別にコンピテンシーモデルを再構築していきました。その再構築に際して、カオナビを導入することとなったんです。

さらに、働きやすい職場環境を整えるための取り組みもスタートしました。これまでの人事制度の棚卸しを通じて現状を把握し、そこから問題点の明確化を行いました。そして一つ1つ運用を改善していきました。具体的には、「人財憲章」「賃金憲章」という昇進・昇格基準を明確化し、公正に運用するためのガイドラインを設けました。そして、それを冊子にして社員に配布することで基準の透明化も実現しました。

ただ、会社を変えるためにはこれだけでは不十分です。そこで、ここまで紹介してきたことのほかにも、いろいろな改善を行っていきました。

例えばガバナンス強化です。48の新しい規定を作ったり、一部の改定をしたりしました。それ以外には、仕事相談室というキャリア支援室、社内の緊急連絡網の整備、アセスメント研修など、たくさんのものを整えていきました。また、会社側が一方的に作って終わりではなく、社員たちが活用できるようにといった部分も工夫しました。例えば、コンプライアンスなどに関する冊子を作って各営業所に置いてもらい、周知活動を余念なく行うといったことです。

以上が当社が5年間かけて行ってきた、人事に関する大きな取り組みとなります。

改善を重ね一歩一歩進める、カオナビを活用した評価制度運用

ここからは、具体的なカオナビの活用について、システム設計を担当した森根からご紹介をしていきます。

カオナビ導入のきっかけは、平たく言うと時代の変化への対応が必要だったことでした。

時代の変化のなかで、経営戦略と人材戦略の連動、戦略人事の実現が求められるようになりました。また、先が読めない時代である分、キャリア開発も変化しています。そのほかにも、新しい経済合理性や新しい組織社会、これらを人事としてどのように考え、どのように進めていくべきか。また、こうしたなかで時代に合った経営判断をしやすくするには何を取り入れていく必要があるのか考えました。

そして、評価運用に関する課題もありました。データの保管場所がバラバラだったり、チェックや集計に時間がかかったりといった課題です。こうしたさまざまな課題を解決する手段の1つとして、カオナビの導入を決定しました。

現在メインで使っているのは、スマートレビューです。評価の運用や効率化のために2019年12月から運用しています。また、人材データ活用のためにプロファイルブックとシャッフルフェイスも同時に運用を開始。2021年11月からはボイスノートの活用を始めました。

導入までのスケジュールですが、カオナビさんと契約したのが2019年の10月なかばでした。そこから約2ヶ月準備をして、スマートレビューとプロファイルブック、シャッフルフェイスの運用を開始することができました。

スマートレビューでは、それぞれの等級や職務、階層ごとに、また11ある事業部も考慮しながら評価シートを設計することとなり、50シート程度が必要になりました。

こちらが当社が現在利用しているスマートレビューです。

ご覧いただいている通り非常に細かいシートとなっています。しかし、こうしたシートで負荷がかかったとしてもシステムで問題なく運用できる点は非常にユーザー目線のシステムだと感じています。

当社ではもともと評価はExcelを使っていたので、既存のフォームがありました。それをできるだけ崩さないままカオナビで実装したのですが、それが可能なくらい自由度の高いシステムです。

シート設計の際は、当社もそうして運用を進めましたが、最初に作り込みすぎるよりも、運用しながら少しずつ最適なものを目指して変更していくのがよいのではないかなと思います。また、帳票機能を使えばExcelへの変換もできますので、どうしても紙じゃないとできない部分はそれを活用して柔軟に対応しつつ運用しています。

続いて、プロファイルブックについてです。

評価するにあたっても、その人の属性を知っていないと正当な評価は難しいですし、これまでどういう風に評価が推移してきたのかも重要になってきます。

例えば、絶対評価としては良いとしても、去年と同じレベルのことを今やっているのであれば、人材育成の観点からするともうちょっと頑張ってほしいことを評価のタイミングで伝えられるのが望ましいですよね。そこで、これまでの面談記録や本人のヘルスケア情報を盛り込めるように設計したものの、十分には活用しきれていないのが本音です。

どうしても入力項目が増え、評価者が面倒くさがって入力しないという事態が起きてしまっています。この部分は改修し、入力しやすいシートとしていく予定です。

また、人ってやはり日々成長して変化していくものだと思うので、その成長を記録することも今後はやっていきたいです。

シャッフルフェイスは、タレントプールとして今後活用していく予定ではありますが、まずは経営陣や組織責任者が組織内の分布がどうなっているのかを見れるように設計しています。現状は組織図を眺めるだけになっていますが、今後は人件費の変動も含めた配置転換のシミュレーションができる状態を作っていきたいと考えています。

従業員の幸福度を測るボイスノート活用法

続いて、ボイスノートについて、設計を主導した仲田からお話いたします。

まず、当社としては、タレントマネジメントと戦略人事をやっていこうという方向性でした。そのなかで、私の所属している人材開発部の弊社の考えるミッションは3つありました。まず1つ目は、グループの企業価値を高めること。2つ目がグループの全体最適を考えること。そして3つ目が、組織と人事面での課題を把握し、解決することです。

この実現のためには、社員一人ひとりが自分らしくやりがいを持って働き、自らの能力を最大限に発揮できる職場環境を作っていくことが必要だと考えて、ボイスノートの設計に至りました。

では、ボイスノートをどう活用しているかというと、当社では「働く人の目には見えない幸福感」をいかにしてマネジメントするかを重要な経営課題としています。

そのため、現在の社員の感情を把握することを目的としてボイスノートを活用してみることにしました。働く人の幸せ不幸せを定量的に診断するため、14項目を設定して社員に答えてもらったんです。

カオナビの場合、結果もボタン一つで表示がされるので非常に簡単に実施することができました。

一人ひとりの結果をレーダーチャートにしていくことによって、一目で組織に対する満足度と不満度がわかるようになりました。もちろん、感情は日々変化していくものですが、少なくともその時点の感情はこれで可視化することができます。

これを活用して面談を行うことが、当社では非常に多いです。

例えば、本人の回答では成長という因子が著しく低いけれど、上司からは成長しているように見える場合、なぜ本人はそう考えてるのかを面談で尋ねていきます。すると、本人の心や本音が見えてきて上司としてのアプローチ方法も定まってきます。

推移も確認できるので、前回からの改善や異変があればそれをもとに会話をし、対策を考えていくこともできます。

ボイスノートの導入以後、上司と部下の相互理解が進み、チームワークが高まるという効果が実際に感じられました。診断の実施は、わたしとしてもチーム状況と個人のパフォーマンスを掛け合わせて分析し、それを組織戦略に繋げていくことができると改めて認識する機会となりました。また、社員の声は重要な経営テーマであることにも気づかされました。

そこで、社員の声を経営にフィードバックして、経営の課題として捉え直してもらうような動きも取りました。こうしたなかで、利益を上げていくことと同時に社員の方全員が幸せになるにはどうしたらいいのかを会社として考えていくことも必要で、この二つの視点を持つことで、これから林ホールディングスはもっともっと成長企業にしていけるのではないかと、新たな糸口を得ることもできました。

このようにカオナビはさまざまな使い方ができ、多くのいい影響を組織に与えてくれるシステムです。本日紹介したもののほかにも、実はまだまだ企画しているものがたくさんあります。今後もカオナビを活用して、当社の生産性の向上とともにダイバーシティの促進に繋げていけたらと思います。

以上です。ありがとうございました。

【Q&A】

Q:面談をうまく進めるために、面談担当者に対して行っている取り組みはありますか?

A:評価者訓練をオンラインとオフラインで行っています。そのなかでは、とにかく話を聞くことを大事にしてくださいと伝えています。また、面談サポートという、面談がうまくできなかった際に誰かに代わりに面談をしてもらえる体制も作りました。こうして、会社全体が一人ひとりの社員をサポートしていける仕組みづくりを進めています。

Q:ボイスノートを利用した社員の幸福度診断は、どのくらいの頻度で行っていますか?

A:全社で行うのは年に1回で、4月に行っています。ただ、グループ内には人材育成に力を入れており、もっと頻繁に実施がしたいという企業もあります。その場合は個別に対応していますので、グループ内のとある企業で年に4回行ったこともありました。

最後はみなさまと記念撮影

ユーザー会を終えて

今回は、福岡の地で、ユーザーのみなさま同士も和気あいあいと交流しながらのユーザー会でした。1000年永続企業を目指す林ホールディングスさまならではの、長期的な視点も取り入れた人事制度改革についてお話いただきました!

また、そのなかでのカオナビの活用方法もご紹介いただき、運営側としてもこんな風に活用いただいているのか!と勉強させていただいたユーザー会でした。みなさまも、人事制度変革はもちろん、日々のカオナビ運用にも活かしていただけると幸いです。

カオナビのユーザー会では機能の使い方に限らず、さまざまなテーマを取り扱っていく予定です。「カオナビに集めたデータを採用や経営に活かす方法が知りたい!」「いま取り組もうとしている○○の人事施策について相談」など、ぜひお気軽にご意見をお寄せくださいませ!

また、カスタマーサクセスチームでは、Twitterも運営中。セミナー情報や便利な活用テクニックなどを定期的につぶやいていますので、チェックしていただけると嬉しいです!

それでは、今後もカオナビをどうぞよろしくお願いいたします!

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マナベル

2023.08.09