ユーザー会レポート

1on1の効果を最大化!人事が押さえておくべき3つのポイント

2023年9月21日

マナベル

こんにちは!カオナビ カスタマーサクセスグループ ユーザー会担当です。

2023年6月27日(火)、ユーザー会「プロからマナベル」を開催しました。

今回のテーマは「1on1」。近年導入企業も増える「1on1」ですが、うまく運用できていないという声を聞くことも多くあります。そこで『シリコンバレー式最強の育て方-人材マネジメントの新しい常識1on1ミーティング-』の著者である世古詞一氏をお招きし、1on1の効果を最大化するために人事が押さえておくべき3つのポイントについてお話いただきました。

ご参加できなかった皆さまにもこの知見を取り入れていただけるよう、当日のセミナー内容の一部をご紹介いたします。ぜひご一読ください!

※掲載内容はすべてユーザー会当日時点の情報です。

「マナベル」とは?

「プロからマナベル」は外部から専門家をお招きし、人事のみなさまに関連する最新トピックについて解説いただくセミナー。専門家だからこその深い知見に触れることができる場です。

カオナビではそのほかにも、ユーザーさま自身がご登壇しカオナビの活用方法を紹介してくださるセミナーや導入目的別の使い方を解説するセミナー、ユーザー様同士で活用方法をディスカッションし合う交流イベントも開催。今後、開催予定のセミナーは、以下をチェックしてみてください!

サポートサイト『セミナー・ユーザー会』

ご登壇者紹介

世古 詞一 様

株式会社サーバントコーチ代表取締役
一般社団法人1on1コミュニケーション協会 代表理事

コーチング、エニアグラム、NLP、MBTI、EQ、成人発達理論、ストレングスコーチ、アクションラーニング、ポジティブ心理学、マインドフルネス、など、10以上の心理メソッドのマスタリーを持つ。個人の意識変革から、組織全体の改革までのサポートを行っている。

クライアントは、一部上場企業から五輪・プロ野球選手など一流アスリートまでと幅広く、コーチ・コンサルタントとして様々な人の人生とキャリアの充実、目標実現をサポートしている。

※ご登壇当時の情報です。

1on1の現在地とさらに効果を上げるために心がけること

※ここからは、実際に世古様にお話いただいた講演内容です!

まず、1on1の現在地を解説します。2022年にリクルートマネジメントソリューションズ社が行った調査によると、1on1の導入率は約7割程度です。その背景には、組織におけるコミュニケーションが大幅に減ってきていることが挙げられます。

ここで言う、組織におけるコミュニケーションは、大きく分けて2つに分類されます。1つは業務に関する話、2つ目は現在の仕事に対する気持ち・目指したいキャリアなど個人に焦点を当てたものです。現在不足しているのは、後者のコミュニケーションです。ここ十数年で働き方は大きく変化しました。働き方改革により残業が少なくなり、何気なく残業中に上司と雑談をするといった機会が減りました。さらにコロナ禍で普及したリモートワークにより、さらに雑談が少なくなったことは皆さまも感じられているのではないでしょうか。

そうした課題の解決策のひとつとして現在広まっているのが、1on1です。

一方で、1on1の効果として報告されているのは「上司と部下間のコミュニケーションが増えた」「社員のコンディションを把握できるようになった」といった程度に留まるのが現状。さらにステップアップするためにも、運営側である人事が1on1に対する上司側と部下側の課題を念頭に置いた上で、人事施策と連動させることが大事です。

【ポイント1:WHY】「1on1をなぜやるのか」を共有するのが大前提

1on1を運営する側である人事として押さえておくべきポイントを「Why – なぜやるのか」「What – 何を話すのか」「How – どんな風に進めるのか」の3つの切り口からお伝えします。

まず1つ目、1on1の目的である「Why – なぜやるのか」

これまで一般的に行われてきた面談は、目標設定や評価査定を行うための上司側が主体でした。それに対して1on1は、信頼関係を作ることや成長促進およびモチベーションケアが目的であり、中長期的な施策です。

では、人事がやるべきことは何か。1on1の本来の目的に沿った内容になっているのか日々検証していくことです。たとえば1on1で雑談をするという人もいますが、それがモチベーションケアや信頼関係構築に繋がっているのであれば問題ありません。ただ、そうしたことにつながっていないのであれば意味のない雑談となってしまい、徐々に回数が減り1on1が活用されなくなってしまう恐れがあります。こうした事態を防ぐためにも、メンバーやマネジャーに1on1の目的を共有することがまずは重要です。

【ポイント2:WHAT】3つの時間軸とジャンルから「何を話すか」を考える

続いてお話しするのは、「What – 何を話すか」

ここでは、「業務×個人×組織の要素をつなげられる対話」が重要です。
具体的には、それぞれの要素を過去・現在・未来の3つの時間軸から見た以下のようなテーマです。

なかでも特に大切なのが、「業務不安」に関する対話です。
業務進捗の確認ではなく、業務を進める上で引っかかっていることやモヤモヤしていることを聞くこと、つまりは「情報ではなく感情に焦点を当てて話していく」ことがポイントとなります。

もし不安が大きい場合も、部下の仕事を充実させるためのヒントは部下自身が持っていることが多いです。一方でそれを言語化できていないことがほとんどです。それを引き出したり整理したりしながら、部下のモチベーションを高めていきましょう。

未来軸で業務を考える際のテーマが「業務改善」です。ここでは、業務を進めていくための「How to」や業務の目的を改めて共有します。
また中堅以上のメンバーへの1on1は、会議に出すほどでもないものの抱えていることを引き出して実現していく手伝いができるとベストです。

なお、プライベートの話になるとハラスメントにならないのか気になり、踏み込めない方も多いかもしれません。その場合、「言わなくてもいいんだけど」「大丈夫だったらでいいんだけど」などとクッション言葉を使うことを推奨しています。

前提として1on1は部下のための時間。部下はこの話をしたいと思っているのかをしっかり確認しながら進めていきましょう。

【ポイント3:HOW】1on1の最後に「5つの成果」を確認する

最後にお話するのが、「How – どんな風に進めるのか」について。前提として、部下にはまず1on1の目的を理解してもらい、事前準備を促すことが必要です。そして、一回一回の1on1で、次の5つの成果のいずれかを1つ以上満たせているか、1on1の最後に確認することが大切です。

5つの成果のいずれかを満たしているかどうかは、充実した1on1であったかどうかの1つの目安です。また、これらの成果を引き出すために、上司側は傾聴や承認、質問などの支援型のコミュニケーションを取る必要があります。一方部下側は、まず話したいテーマの準備を行います。そして、1on1中では自ら考え、自ら思ったことを話すようにして、一問一答のやりとりにならないよう意識して臨むことが求められます。

【Q&A】ログはどうする?喋るのが得意じゃない社員には?リアルな人事の悩みに回答!

参加者からのご質問にも丁寧にお答えいただきました。

Q)1on1の記録を残しています。上司が代わった時、その内容は次の上司に共有しても問題ないでしょうか?

A)基本的には本人に許可を取ってからにした方がよいです。というのも、1on1においては対話の場が安心安全なものであることが重要です。一度「この情報が勝手にシェアされているかも」と思われてしまうと本音が出てこなくなってしまいます。心理的安全性を担保するためにも、上司が変わった場合に限らず、これはここだけにした方が良い情報なのか人に話しても良いのかはこまめに確認しておくのがおすすめです。

Q)信頼関係の構築と成長支援を掲げて1on1を促進していますが、成長促進という言葉が刺さらない社員が一定数います。そうした社員に対して、どうアプローチすれば1on1の重要性を感じてもらえるでしょうか。

A)まず大切なのは、その社員さんたちの声を聞くことですね。成長支援と言ってしまうと、「自分は成長したい気持ちは薄いからいいや」とシャッターを下ろされてしまう可能性があります。そのため、どうすればその人にとって良い時間になるのかを対話を通じて探っていきたいという姿勢で臨むのがよいのではないでしょうか。こちらからいくつか1on1の進め方を提示してみるのもよいと思います。

Q)あまり自分から話すタイプではないメンバーに対しては、どのように1on1を行えばよいでしょうか。

A)まずは「1on1という時間をどう活用するのかメンバー自身が考え、向き合っていくことが必要である」と伝えることが大切です。その上で、なぜあまり話さないのかを考えましょう。ただそういう性質の人なのか、そのテーマが嫌なのか、はたまた上司が嫌なのかによって対応策が変わってきます。もし性質が原因なのであれば、話すことを簡単に文章にまとめるなど準備してきてもらうことが有効です。話している最中に書いてもらうのもよいです。話すのが苦手な人は、瞬発的に自分の考えていることをアウトプットするのが苦手な場合が多いので、ゆっくり考えをまとめる時間を作ってあげると、スムーズに進むかもしれません。

ユーザー会を終えて

今回はオンラインにて、全国のカオナビユーザーさまに参加いただいてのユーザー会でした。明日から使える1on1の具体的なメソッドについてお話いただきました。

質疑応答ではユーザーさまからも多くのご質問をいただき、みなさまの関心の高さが伺えた回でした。みなさまも、早速自社での1on1運用に活かしていただけると幸いです。

カオナビのユーザー会では今回のように、カオナビの使い方だけに留まらない、さまざまなテーマを取り扱っていく予定です。「カオナビに集めたデータを採用や経営に活かす方法が知りたい!」「いま取り組もうとしている○○の人事施策について相談」など、ぜひお気軽にご意見をお寄せくださいませ!

また、カスタマーサクセスチームでは、Twitterも運営中。セミナー情報や便利な活用テクニックなどを定期的につぶやいていますので、チェックしていただけると嬉しいです!

それでは、今後もカオナビをどうぞよろしくお願いいたします!

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マナベル

2023.09.21