ユーザー会レポート

異動希望が1.8倍に!MYパーパス公開で導く「社員の自律的キャリア形成」

2023年6月28日

マナベル

こんにちは!カオナビ カスタマーサクセスグループ ユーザー会担当です。

2022年7月28日(木)、ユーザー会「マナベル」を開催しました。今回ご登壇いただいたのは、「健康応援企業」として、保険+健康という新たな価値を提供するSOMPOひまわり生命保険株式会社さま。

当日は、人財開発部企画グループの課長代理として、人事制度企画やキャリア開発支援に従事されている落合さまより、「社員の自律的キャリア形成のための支援」に関する具体的な取り組みをお話しいただきました。

ご参加できなかった皆さまにもこの知見を取り入れていただけるよう、当日の内容をまとめましたので、ぜひご一読ください!

※掲載内容はすべてユーザー会当日時点の情報です。

「マナベル」とは?

「マナベル」はカオナビを使いこなしているユーザー様をお招きし、実践例を直接お話いただくセミナーです。さまざまな業種のユーザー様にご登壇いただいており、「カオナビ導入の経緯」「カオナビを使ってできたこと」「ぶつかった壁とその乗り越え方」など、赤裸々なトークが必見です。

カオナビではそのほかにも、導入目的別の使い方を解説するセミナーや、ユーザー様同士で活用方法をディスカッションし合う交流イベントも開催。今後、開催予定のセミナーは、以下をチェックしてみてください!

サポートサイト『セミナー・ユーザー会』

ご登壇者紹介

落合 加奈 様

SOMPOひまわり生命保険株式会社
人財開発部 企画グループ 課長代理

2010年4月入社。4年間営業店での事務を経験し、2015年に人事部門へ異動。若手社員教育を中心とした能力開発に取り組んだのち、2017年10月より人事企画業務に携わる。現在は人事制度設計や働き方改革、社員のキャリア開発支援などの業務に取り組んでいる。

個人版パーパスとキャリア形成を紐づけるのが大前提

※ここからは実際に落合様にお話しいただいたセミナー内容です!

本日は、「自律的キャリア形成を支える社員情報の可視化」というテーマでお話しさせていただきます。当社としても、まだまだ取り組みの道半ばですが、これまでにさまざまなキャリア形成の取り組みを展開してきました。本日はその一部をご紹介してまいります。

また、キャリア形成を推進するにあたって、カオナビをどのように使っているのかもあわせてご紹介できればと思っております。

当社の中期経営計画では、働き方改革の一環として3年後に労働生産性を1.5倍とすることを目指しています。当社内の多様な人材の一人ひとりが最大限能力を発揮できることを目標に、場所や時間に捉われない働き方を実現するため、人事制度企画や社内インフラの拡充をまさに進めているところです。従来のような出社して定時で働くという働き方ではなく、社員一人ひとりが最適な働き方を選択し、時間あたりの成果を高めていくことを重視しながらさまざまな施策に取り組んでいます。

そのなかで、キャリアについては何をしているのかと申しますと、社員の主体性や自立性を高めることを目的とし、仕事経験に対する支援を行っています。当社の推進するキャリア形成の特徴として、パーパスを紐づけて考えることがあります。

パーパスとは、社会における個人や組織の存在意義を指すものです。企業が価値を高めていく上で重要な観点として、最近注目度が高まっています。みなさんのなかにもご存知の方は多いのではないでしょうか。

当社では、社員一人ひとりが自分自身のMYパーパスを明確にし、組織のパーパスとの重なりを探りながら、やりがいを持って働くための取り組みを行っています。そのなかで、自分のパーパスは何かを考えてもらっているんですね。具体的には、「自分はどんな人間なのか」「自分にとっての幸せはなにか」「自分が人生で成し遂げたいことはなにか」などです。

当社としては、社員一人ひとりのパーパスは、自律的に働くために重要なものであると同時に、個人の多様性を組織の力に変えるダイバーシティ&インクルージョンにとっても重要な要素であると考えております。

MYパーパスの浸透のために何をする?キャリア形成に向けた3つの課題

続いて、自律的なキャリア形成に向けた当社の3つの課題とそれに対する具体的な取り組みをお話していきます。

【課題1】MYパーパスをどうやって社内に浸透させるか

浸透のためのStep1として、トップからメッセージを発信したり、社長との座談会を行ったりすることで、MYパーパスについて経営層と社員が直接対話できる機会を作っていきました。

Step2としては、マネジメント・リーダー層に対しての研修を実施しました。すべてのマネジメントリーダーに自らMYパーパスを作ってもらうことで、MYパーパスを作るとはどういうことかを体感してもらったんです。さらに、パーパスづくりを体感してもらうだけではなく、パーパスドリブンな状態とはどんなことなのかを理解してもらうようなカリキュラムも加えました。

Step3として、研修をしたマネージャーたちのサポートを受けつつ、メンバー一人ひとりにMYパーパス策定してもらいました。そして、MYパーパスをカオナビのプロファイルブックに入力することを必須化したんです。これにより自分のパーパスが明確になるだけでなく、メンバーのパーパスも自由に閲覧できるようになりました。

そして最後、Step4として、策定および共有したそれぞれのパーパスをもちいて上司との1on1ミーティングやキャリア面談を実施しています。

【課題2】人事制度利用者の可視化

各種人事制度の利用者を集めた座談会なども行ってはいました。しかし、よりタイムリーに、そして人事部が主導しない、より自然な形で情報共有される仕組みを行いたいという考えから、カオナビの「プロファイルブック」の使用をはじめたんです。各種制度の利用実績を「プロファイルブック」の中に記載できるようにし、各自が好きなときに、制度を利用してきた社員の働き方をカオナビのなかで検索できる仕組みを作りました。

【課題3】社内コミュニケーションの低下

みなさんの会社でも課題となっているかもしれませんが、当社でもコロナ禍を契機にリモートワークのような、出社や対面を前提としない働き方が当たり前になっていきました。

働き方が変わっていくなかで、メンバー間の相互理解がうまくいかなかったり、コミュニケーションや人間関係が希薄になったりといった懸念が出てきたのも事実です。自律的なキャリア形成においても、ほかの社員への関心や理解、また他者との対話を通じた気づきは非常に重要です。そのため、ここでもカオナビを使ってなんとか非対面でもコミュニケーションを充実させられないかと考えました。

現在は、社員情報をカオナビのなかに公開し、一人ひとりの個性をシェアするプラットフォームとして活用しています。

業務に関連する情報はもちろん、趣味や特技、これまで住んだ地域、前職の経歴などを記入できるパーソナル情報シートも作成し、さまざまな観点から一人ひとりの社員を理解できるようにしました。このように、いつでもどこでもほかの社員の情報にアクセスできる環境を作ったことで、電話やメールでやり取りしたことあるものの一度も会ったことないような社員に同士でも、親近感を持って一緒にお仕事ができたり、関係性を深めるきっかけになったりしているのかなと考えています。

まずは目標設定から!カオナビ社内展開の4ステップ

ではここから、より具体的に当社でどのようにカオナビを活用しているのかをお話していきます。カオナビの社内展開も、MYパーパスの浸透と同じく4ステップで進めていきました。

【Step1】「スマートレビュー」で操作方法に慣れてもらう

当社では、年度初めに全社員が仕事目標の設定をしています。操作環境に慣れてもらうことを狙いに、まずこの目標設定をカオナビの「スマートレビュー」を使って行うことにしました。

【Step2】「プロファイルブック」で社員情報を全社共有

先ほどお伝えした仕事目標の設定が5月頃には完了します。そこで社員がカオナビの操作に慣れてから約3ヶ月ぐらい経過した8月頃から、プロファイルブックの機能の展開を始めました。

社員の個人情報を社内全体に共有するプラットフォームを作ることは初めての試みでした。そのため、きちんと理解してもらうために、プロファイルブックの入力をする目的を社内に丁寧に説明していきました。

氏名や役職といった基本情報のほか、過去の所属部署や担当業務も記載してもらっています。こういった情報は全社員に公開するものとして設定をしています。また、プロファイルブックの内容を見ながら1on1に臨むことを想定して、1on1面談記録シートも作成しました。これにより1on1のログもプロファイルブック上で管理できるようになりました。

【Step3】「プロファイルブック」情報のさらなる拡充

Step2で入力してもらった情報に加えて、どのような情報を公開していけば、キャリア形成における気付きやコミュニケーション活性化のきっかけになるのかということを検討しました。

ここでは、幅広い視点から検討しようということで、人事部以外も巻き込んだ部署を横断しての公募型のプロジェクトを立ち上げました。そのメンバーで、3ヶ月かけて入力してもらう情報の選定を行ったんです。

選定を経て、実際に記載してもらっている情報は資料の右下のものです。

MYパーパスはもちろんのこと、自身の強みやライフイベントに応じた働き方なども記載できるようになっています。

さらに選定の終了後も、プロジェクトの参加者には1ヶ月の間、協力をしてもらいました。何をしてもらったかというと、社内SNSでこのプロファイルブックの情報発信を行ってもらいました。このような社内浸透に向けた取り組みも継続して行ってきました。

あわせて、プロファイルブックを各職場で活用してもらうためのガイドも作成しました。例えば、自分が興味がある部署で働いている社員の情報が知りたいとき、短時間勤務のような人事制度を使っている社員の情報が知りたいとき、入社してなかなか接点を持てていない同期の様子が知りたいとき。このようなシチュエーションごとに「こんな風にカオナビが使えますよ」と、ガイドブックにして社内展開しています。

【Step4】人事制度と「カオナビ」の融合

実は当社では、全部署の業務内容や必要な能力要件を開示する部署ナビというツールも展開しています。一方でカオナビは、一人ひとりの情報を可視化できるツールです。この2つのツールをリンクさせて相乗効果を生みたいと考えており、プロファイルブック上に部署ナビのリンクを記載したりと相互リンクができるような環境を作っているところです。

今後はさらに活用を加速させて、社内公募制度などの人事制度や1on1との連携も強化していきたいと考えています。
また、カオナビの中で集約した社員情報を、今後の人事施策の検討を深めていくヒントにもできればと思います。

社内展開時の注意点は「社員への入念な説明」と「強制しないこと」

ここからは、カオナビを社内展開するにあたって注意した点を2点お伝えします。

1つ目は、社員への説明を入念に実施をしたことです。
やはり、社内に個人情報を開示することに前向きになれない社員はゼロではありませんでした。そのため、何を目指してカオナビを展開していくのか、どんな効果を狙っているのかをしっかりと説明しました。

重要なキーワードになったのはコミュニケーションの質の低下です。まさにコロナ禍の真っ只中に展開をはじめたこともあって、コミュニケーションの質の低下を防ぐためにという切り口で、社員にも理解をしてもらうことができました。

また、不適切な情報の取り扱いはしないことや、万が一不適切な情報の取り扱いがあった場合にはしっかりと対処するという点もしっかりと発信し、安心して利用してもらえるように進めました。

注意点の2つ目は、強制しないことです。

プロファイルブックの入力は全員に依頼しましたが、そのなかでも個別事情や個人的な心情などで難しいという社員もいました。そういった社員に入れなさいと強制するのは、ハラスメントをはじめとするようなトラブルの原因にもなる可能性がありますので、マネジメントリーダーに対しては事情を把握した上で、柔軟に対応してもらえるよう呼びかけました。

自主的な人事異動が1.8倍に!カオナビ活用がキャリア形成へ与えた影響

続いて、カオナビ導入後の変化をお話させていただきます。

まずコミュニケーションという観点では、「顔と名前が一致して連絡が取りやすくなった」「仲間意識が芽生えた」など、期待していた通りの効果が実際の社員の声として上がってきました。

また、キャリアという観点においても、「MYパーパス策定の後押しになった」「将来目指したい部署で実際に働く人を知ることができた」「自己研鑽の意識づけができた」といった声がありました。

定量的な効果もありました。

自ら手を挙げてチャレンジを行う公募制度への応募者が1年間で大幅に増加しました。また、従業員エンゲージメントスコアが大きく上昇した点も大きな効果でした。とくに、「職場に信頼できる人がいる」「1人の人間としての気遣い」というふたつの項目でスコアが上昇していました。良質なコミュニケーションが取れていることが実感できる結果でした。

内発的動機を高めたい。今後の自律的キャリア形成における課題

では最後に、当社の今後の自律的キャリア形成における課題を3つお話しいたします。

まず1つ目ですが、内発的動機を高める1on1の定着です。
マネジメントリーダーには部下との対話の質をより一層高め、パーパスの追求を支援することを今まで以上に求めていきたいと思っています。そのために、現在すべてのマネージャーに対して、会社のビジョンとMYパーパスを重ね合わせるための研修を行っているところです。

2つ目は、自律的能力開発を促すためのスキル定義ですね。
当社で活躍するために必要なスキルを定義して、具体的に何を学べばよいのかを明確にした上でカオナビと部署ナビに反映することを今考えています。
このような定義があることにより、キャリア形成における能力開発の道筋を見えやすくするという狙いがあります。

最後は、キャリアを考える機会を作っていくことです。自分自身の能力を改めて発見・認識してもらい、その能力をさらに高めていただきたい。そのような今後のキャリアの可能性を広げるための気付きを得られる場を提供していきたいなと考えています。

本日はいろいろとお話させていただきましたが、これらの取り組みはまだまだ道半ばの状況で始まったばかりです。本日ご参加いただいている企業さまの中でも、さまざまな取り組みをされているかと思いますので、このようなイベントと機に、たくさんの企業の皆様と意見交換をしつつ、当社の取り組みをさらにブラッシュアップしていければという風に考えております。

皆様に何か1つでも参考になるお話ができていれば幸いです。本日はご清聴いただきましてありがとうございました。

【Q&A】カオナビの権限はどうしてる?どんな情報が注目されている?参加者からの質問に回答

参加者からのご質問にも丁寧にお答えいただきました。

Q)登録されている情報の中で、特に交流に寄与している情報や、社員のみなさまの注目度が高い情報があれば教えていただきたいです。

A)ライフイベントに応じた働き方というところは、結構皆さん見ている印象ですね。当社では週4勤務制度を導入しており、その利用者の方には利用していることを記載していただいています。そのなかで、週4勤務を検討している育児中の社員がカオナビで利用している社員を検索して話を聞いてみた、というエピソードも耳にしています。育児と仕事の両立に悩んでいるような社員にとってはとくに、活用いただいている機能ですね。

Q)基本情報を社員の皆様全員に入力いただくとのことでしたが、定期的なアップデートはされていますか?また、カオナビ上にある1on1の面談記録の公開権限はどのようにされていますでしょうか?

A)まず定期的な基本情報のアップデートについてお答えします。当社は4月と10月に大きな人事異動がありますので、部署の経歴の追記や担当業務については、人事異動が終わったタイミングでアップデートの案内をしています。ただ、必ず入れてくださいといった強いメッセージでの発信は現状行っておりません。

続いての1on1の面談記録の権限については、マネジメントリーダーのみが閲覧できるようにしております。1on1したメンバーは面談記録を見ることができない状態です。

ご登壇後の交流会の様子

参加者のみなさまとKポーズで記念撮影

ユーザー会を終えて

今回の「マナベル」では、キャリア形成への取り組みについて、事例を交えながらわかりやすくお話しいただきました!MYパーパスの策定や公募制度など、既存の制度の運用と連動させ、さらなる浸透のためにカオナビを上手くご活用いただいているのが印象的でした。

また、本イベントではオンライン・オフライン双方よりたくさん質問も寄せられ、みなさまのこのテーマに対する興味関心が窺えました。

今回のようにリアルタイムで開催するセミナーは、登壇者に直接質問できるのが醍醐味。「ユーザーさんに直接相談・質問したい!」という目的でも、ぜひご参加いただけると嬉しいです!

カオナビのユーザー会では機能の使い方に限らず、さまざまなテーマを取り扱っていく予定です。「カオナビに集めたデータを採用や経営に活かす方法が知りたい!」「いま取り組もうとしている○○の人事施策について相談したい」など、ぜひお気軽にご意見をお寄せくださいませ!

また、カスタマーサクセスチームでは、Twitterも運営中。セミナー情報や便利な活用テクニックなどを定期的につぶやいていますので、チェックしていただけると嬉しいです!

それでは、今後もカオナビをどうぞよろしくお願いいたします!

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マナベル

2023.06.28