【総まとめ】人事考課の評価項目・評価基準は?

従業員を公正に評価し、組織全体のモラル向上に役立てる制度「人事考課」。1990年代、成果主義のもと注目を集めた考え方で、現在では目標管理制度(MBO)を組み込んだ「成績考課制度」に姿を変えて取り入れられることも増えています。

ここでは人事考課の評価項目・評価基準について解説します。

1.人事考課を構成する3つの評価軸

人事考課は、3つの要素で構成されています。

  1. 成果や業績を評価する成績考課
  2. 従業員の知識や能力を評価する能力考課
  3. 行動や態度を評価する情意考課

①成績考課(業績考課/成果考課)

成績考課は、業務を仕事の速さや量、質などによって評価する仕組みです。成果主義のもと、1990年代から人事考課に組み込まれるようになった目標管理制度(MBO)により、人事考課制度の中心的な構成要素となりました。

基本、一定期間の目標達成度や過程(活動)を客観的に評価します。過程の判断時には、上司だけでなく同僚や取引先などの意見も参考にして、できる限り公平な評価を行います。

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②能力考課

能力考課は、従業員の知識、スキル、経験など、職務を通して身に付けた能力を評価する仕組みです。特徴は、職能要件に照らして評価を行うこと。業務内容によって、必要な能力は異なるので、職能の規定や中身を点検して評価する必要があるでしょう。

また近年、成績優秀者の行動特性(コンピテンシー)を評価基準にしている企業が増えています。

それにより、

  • 難易度の高い仕事の達成度
  • 緊急時の対応結果

などを能力考課の評価ポイントとする場合が多くなっています。

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③情意考課(態度考課)

情意考課は、成績考課、能力考課ではカバーできない仕事への意欲や勤務態度を評価するもので、行動考課や執務態度考課と呼ばれることもあります。

評価者の主観に影響されやすい項目のため、上司だけでなく同僚や部下など、職務に関わる複数人による「360度評価」と呼ばれる方法を取ります。これにより、評価の客観性をできる限り担保するのが一般的なのです。

遅刻や早退などの勤怠だけでなく、チームワークなどの協調性、規律性なども加味した上で評価します。

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2.人事考課シートの項目

人事考課は「人事考課シート」を用いて進めます。人事考課シートに含める項目と、人事考課における評価の仕方を紹介します。

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成績考課の項目(目標設定の仕方)

現在、成績考課はほとんどの企業で目標管理制度に置き換わっています。目標管理制度とは、期初に被評価者が自分で目標を立て、期末に目標達成度を確認して、評価を行う仕組みです。

当然、業種や業態、職種によって、目標の内容は異なりますが、良いとされる目標は職種を問わず共通しています。

  1. 具体的で分かりやすい目標
  2. 目標のレベルが高すぎたり低すぎたりしない
  3. 期間を設ける
  4. 具体的な取り組み方を明記
  5. 会社の戦略や自分の役割と関連がある

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能力考課の項目

能力考課では、業績と関係のない項目を中心に評価します。項目は職種・業種によって異なり、業務に取り組む姿勢や意欲なども考慮する場合があります。最も基本的な評価項目は下記の4つです。

  1. コンプライアンスに対する意識
  2. 上司・同僚などとの連携
  3. 人的ネットワークを構築できる能力
  4. トラブルへの対応力などリスクマネジメント能力

仕事における課題や目標を明確に設定できるか、進捗状況を管理し適切な対処をしているかという観点や、目標達成や課題解決のための追求の度合いなども評価項目に加えるとよいでしょう。

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情意考課の項目

情意考課は、次の4項目で考査します。

規律性 組織のルールにのっとった行動ができているかどうかを査定
社会的な規範が守れる人物かどうかも評価に含めるとよい
積極性 上司の指示を待つだけでなく、自主的に行動できるかどうか査定
責任性 自分の責任を認識し、
与えられた役割を全うしようとする意思を持っているかを査定
協調性 職場に溶け込み、
チームや同僚とうまく付き合うよう努めているかどうかを査定

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3.人事考課制度の運用・評価方法

運用方法は目標策定・自己評価・上司評価・フィードバックの4ステップ

人事考課制度の運用手順

STEP.1
社員の目標策定
調査対象期間に達成すべき目標を直属の上司と相談し、双方が納得するものを策定
目標が明確であればあるほど、自己評価・上司による評価の際、適正な評価になる
STEP.2
自己評価
社員自身で目標の達成度やプロセスを評価
STEP.3
上司による評価
従業員の目標と実力の差を踏まえ、上司が最終的な評価を下す
STEP.4
フィードバック
STEP3.で出た評価をもとに、社員が達成できた点と不足点を導き出す
フィードバックは来期以降の新しい目標を策定するために欠かせない

人事考課制度の評価方法には「人事考課シート」を使用

人事考課制度の運用場面においては、多くの場合、人事考課シートと呼ばれる帳票が使われます。人事考課シートは、各企業や事業部門の人事制度に基づき、主に人事部門によって作成されます。そのあと従業員および評価者の手にわたり、

  • 評価決定までのプロセス
  • 評価者のコメント
  • 最終評価

などが記録されるのです。これらは、人事部によって管理され、必要に応じて加工され、その後の処遇検討や人材育成計画へと活用されます。

帳票を使ってのプロセス管理は煩雑で膨大な手間がかかるものでしたが、近年より進化して使い勝手の向上した人事考課システムを活用し、業務を効率的・効果的に行えるようになりました。

企業ごとにカスタマイズ、場合によっては年度や事業部門によってバラバラな帳票や査定記号などの情報をシステムで一元管理、というのは、大変な作業でしたが、近年HR Tech分野の発達により、作業の負荷は大幅に軽減されています。

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効率の良さと高度なスキルが求められる現代の人事考課

同一年次間での相対評価で済んでいた頃と違い、公平性を求めるために評価項目が細分化され、評価が難しくなっている傾向にあります。

評価者には、評価の納得性を高めるための効果的なフィードバックなどの高度なスキルも求められるようになりました。

また、人事部門も評価を行う現場のマネージャーたちも多忙です。その中評価やフィードバックという重要なプロセスに取り組むには、人事考課システムを活用して、考課の効率性と効果を上げることが不可欠になってきているのです。

多忙な考課者が高い評価スキルを求められる中、効率良く考課に取り組むために、人事考課システムが活用されているのです。

人事考課制度とは?【目的・効果・つくり方を簡単に解説】
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