コンピテンシー評価とは? 項目例、メリット、導入手順を簡単に

コンピテンシー評価には、ハイパフォーマーの共通点の見える化が必須。
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職務ベースの評価として採用する企業が増えているコンピテンシー評価。日本企業の間で長く根付いてきた職能資格制度に代わって、近年普及しつつある評価手法です。

  • コンピテンシー評価とは何か
  • メリット・デメリット
  • 職能資格制度との違い
  • 導入時の注意点

などについて解説いたします。

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1.コンピテンシー評価とは?

コンピテンシー評価とは、仕事で高いパフォーマンスを発揮する人材に共通する行動特性(コンピテンシー)をもとに設計した評価基準で行う人事評価です。仕事における行動や思考を明確な基準をもとに評価するため、曖昧に評価しがちな業務プロセスを公平に評価できたり、評価の納得度が上がるなどのメリットがあります。

従業員の能力や適性を客観的に評価しやすくなる仕組みとして知られており

  • ストレス管理
  • アカウンタビリティー(説明責任を果たす能力)
  • 対人交渉能力
  • リスクテイクの判断
  • 重要事項の意思決定能力
  • タイムマネジメント

などの評価項目で構成されています。

またコンピテンシーを評価基準にすると、従業員の業務遂行上のプロセスが明確になるため、どのような能力が不足しているのかも明確になり、人材育成の効率化も見込めます。

コンピテンシーとは?

「コンピテンシー(competency)」とは高い業績を上げる人材の行動特性のことで、ハーバード大学のマクレランド教授が、1970年代に提唱した人事管理の概念です。

業務で高い成果を出す人には、学歴や知能、年齢と関係なく、その行動に共通した傾向があると分かっています。コンピテンシーは、この共通した傾向を、行動観察やインタビュー、アセスメントテストなどを用いて調査・分析し、行動特性としてまとめたものです。

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2.コンピテンシー評価と職能資格制度(能力評価)の違い

コンピテンシー評価 職能資格制度
(能力評価)
評価基準 具体的 抽象的・あいまい
評価内容 行動特性 能力・スキル・知識など
メリット
  • 効率的な人材育成
  • 評価のしやすさ向上
  • 評価への納得度向上
  • 戦略的人材マネジメントがしやすい
  • ゼネラリストを育成しやすい
  • 長期間での人材育成に適する
  • 異動・組織改編を行いやすい
デメリット
  • 導入の負担
  • 改訂・メンテナンスの負担
  • 人件費が高くなる
  • 年功序列に陥りやすい

コンピテンシー評価は、具体的な行動傾向を重視する評価方法で、知識や技術そのものよりも、スキルを使ってどのように成果を生み出しているか、という行動を評価基準とします。従ってスキルは、

  • 業務を効率的に構築できる
  • 人と親密な関係を築ける
  • 人の話を傾聴できる
  • チームの一体感を醸成できる

など具体的な行動傾向で表現するのです。

一方職能資格制度は、ジェネラリストとして総合的な能力はどの程度なのか、という観点から最終的な評価がなされるもの。評価対象とされる能力は、

  • 責任感
  • 確動性
  • 協調性
  • 積極性

のように抽象的で曖昧な項目で構成されるためり、評価者の主観に左右されやすい側面があるといわれているのです。実際の職務に必要な能力というよりは、

  • 必要だろう
  • 備えているだろう

という可能性を評価基準にしている点で、具体的な行動傾向を基準とするコンピテンシー評価と大きく異なります。

コンピテンシー評価を導入する場合、コンピテンシーの分析やモデルの作成が必要になってきます。すでに評価業務の負担が大きいと感じている場合、併せて評価業務の効率化を考えなければ、導入失敗の可能性が高まります。

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3.コンピテンシー評価が必要な理由:職能資格制度のデメリット

日本企業の間で、コンピテンシー評価の必要性が高まっている理由に、従来の職能資格制度は時代に合わなくなってきているのでは?という指摘があります。職能資格制度のデメリットとともに解説しましょう。

  1. 評価基準が曖昧、上司の主観で決まる
  2. 年功序列になりやすい
  3. 人件費が高くなる(給料が下がらない)

①評価基準が曖昧、上司の主観で決まる

職能資格制度では、ジェネラリストとしてどんな仕事にも対応できる総合的な能力が求められるため、

  • 知識や経験
  • 資格や協調性

などが評価基準になります。しかし、評価者が可能性をもとに判断して評価を決めるため、具体性や客観性に欠ける傾向になるともいわれているのです。また、評価は評価者である上司の主観が反映されたものになります。

公平性の担保は非常に難しいといえるでしょう。

②年功序列になりやすい

職能資格制度では経験が評価されるため、勤続年数が長くなるほど評価が高くなります。それが、日本企業特有の年功序列制を支える根拠の一つとなっている例もあるようです。

職能資格制度を採用している企業の場合、経験の浅い社員は、成果を挙げても昇格・昇給しにくくなり、評価に不平や不満を抱きやすいといわれています。

評価に対する不平や不満が重なれば、社員のモチベーションは低下。若手の退職者が増えたり、組織全体の生産性が下がったりすることも増えるでしょう。

③人件費が高くなる(給料が下がらない)

職務資格制度は、年功序列や終身雇用などの長期雇用を前提とした等級制度なので、基本、社員の勤続年数が長くなるほど人件費が高くなります。たとえ役職のつかない社員でも、勤続年数が長いほど給与面で優遇せざるを得なくなるのです。

社員の平均年齢が高い企業では人件費の負担が大きくなるでしょう。

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4.コンピテンシー評価を導入するメリット

コンピテンシー評価のメリットは、次の4点です。

  1. 効率的な人材育成が可能
  2. 評価者が評価しやすい
  3. 被評価者の納得度が高まる
  4. 戦略的人材マネジメントが行いやすい

それぞれの特徴について解説しましょう。

①効率的な人材育成が可能

コンピテンシー評価では、実際に高い成果を上げている社員の「行動」を評価基準として設定するため、現場に即した具体的で実践的な評価基準をもとに評価が可能です。

「何を努力すれば評価されるのか」が明確になれば、社員のモチベーションも高まりますし、能力開発や業績向上も期待できるでしょう。

本来高い能力や知識、技術を持つにもかかわらず業績が低迷している社員の場合、飛躍的に業績がアップするといわれています。

②評価者が評価しやすい

評価者にとってもメリットがあります。評価基準が明確であるため、評価内容に評価者の主観が入り込む余地が小さく、より本質的で公平な評価を行うことができるのです。評価者が、

  • 上下の人間関係
  • 自身の出世
  • 保身

などを気にして、評価を歪めることも減るでしょう。

③被評価者の納得度が高まる

被評価者は「どんな行動が足りないのか/足りているのか」を具体的なかたちで知ることができるため、評価内容の理解及び納得がしやすくなります。

能力やプロセスに基づく評価では、基準が曖昧になりがちです。しかし、コンピテンシー評価では、何を努力すればプラスの評価につながるか具体的に示されます。

被評価者は、何をすれば高い評価を得られるか明確に理解できるのです。評価への不満も減るため、周囲との信頼関係も強固になりますし、若手の離職率も低下するでしょう。

④戦略的人材マネジメントが行いやすい

誰がどんな行動を取ることができるのか明確になるため、社員の配置など人材マネジメントが実施しやすくなるのです。さらに行動の管理もできますから、適材適所の人材配置も可能になります。

  • 組織全体の業績向上
  • 各社員が能力を発揮
  • 不満やストレスの軽減

も期待できるでしょう。採用時にコンピテンシー評価を用いれば、

  • 人材の適性を知る
  • 採用後のミスマッチを防ぐ
  • 事前にふさわしい人材配置を考える

ことも可能です。

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コンピテンシー評価のメリットを享受するためには、コンピテンシーの分析やモデル作成を行い、その上で効率的な運用体制を敷く必要があります。導入検討は、現状の評価業務の負担を加味して、慎重に行いましょう。

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5.コンピテンシー評価導入のデメリット

コンピテンシー評価にはデメリットもあります。

  1. コンピテンシーの分析、モデル開発、導入が困難
  2. 特定したコンピテンシーが「正しい」とは限らない
  3. 環境変化に弱い(コンピテンシーの改定、メンテナンス負担)

コンピテンシー評価の問題点やデメリット、何がある?
理想となる基準が設定できない、自社に合ったコンピテンシーを作成できない、評価が個人の感情に流されてしまうことがあるなどです。 問題点やデメリットの克服を考えることで、コンピテンシー評価のスムーズな運用...

①コンピテンシーの分析、モデル開発、導入が困難

コンピテンシー評価には、決まったテンプレートがあるわけではなく、企業ごとに独自のコンピテンシーを定義したり評価基準を策定したりする必要があります。また、部署や職種、等級などから、具体的かつ細かく明示しなければならないのです。

評価基準を確立するには時間も手間もかかります。

  • 高業績者の行動を分析
  • 評価モデルの開発
  • 調整
  • 最終的な導入

まで多くの手順を踏まなければならず、導入のハードルは高いといえるでしょう。

②特定したコンピテンシーが「正しい」とは限らない

定義したコンピテンシーが、必ずしも自社の成果に貢献するわけではありません。

策定したコンピテンシー評価モデルが正しいかどうかは、何度も検証を重ねなければ分からないのです。コンピテンシー評価の運用と併せて、成果が上がるよう調整も必要となります。

③環境変化に弱い(コンピテンシーの改定、メンテナンス負担)

コンピテンシーは基準が明確で細分化されている分、柔軟性に乏しく環境変化に適応しにくいのです。

一般的に企業は、成長過程で事業フェーズが変化するため、都度、業務上必要とされる行動も変化します。行動が変化すれば、これまでのコンピテンシーの基準は意味を成さなくなるでしょう。

内容を改定することになれば、コンピテンシーの再定義やメンテナンスの労力やコストがかかります。また、評価基準が頻繁に変わると、社員は目指すべき方向が分かりにくくなることも。

ビジネス環境の変化に応じて、必要なコンピテンシーは変わっていきます。定期的なコンピテンシー変更など長い目で運用を考えるならカオナビ。資料の無料ダウンロードは ⇒ こちらから

6.コンピテンシー評価の導入手順

コンピテンシー評価の基準となる尺度や評価項目をつくる手順といった評価モデル開発の具体的な方法について解説しましょう。

Step1.推進チーム・プロジェクトの結成

まず、専任のコンピテンシーモデル開発推進プロジェクトチームを組織します。チームメンバーには、部門責任者や主任などの管理者と、実際にその業務で高業績を上げている社員を選んでください。

Step2.コンピテンシーの検討

プロジェクトチームを組織したら、チームで次の6項目について検討します。

  1. コンピテンシー・ディクショナリーを用意
  2. ハイパフォーマーへのインタビュー、観察
  3. コンピテンシーの洗い出し
  4. 企業ミッション・ビジョン、経営戦略とのすり合わせ
  5. 評価に用いるコンピテンシーの特定
  6. コンピテンシーのレベルを明文化

①コンピテンシー・ディクショナリーを用意

コンピテンシー・ディクショナリーとは、コンピテンシーを体系化し、包括的な尺度をつけたもので、21の代表的なコンピテンシーを抽出して構成します。

どのような要素がコンピテンシーになり得るのか、当たりを付けてコンピテンシーを抽出しましょう。

②ハイパフォーマーへのインタビュー、観察

高業績を上げるハイパフォーマーにインタビューを行い、他の社員と何が違うのかを見極め、成果に結び付いている行動特性を特定します。ハイパフォーマーの業務を観察する際に見つけた特性も、コンピテンシーになり得るかについて検討しましょう。

③コンピテンシーの洗い出し

ハイパフォーマーへのインタビューや観察から得た特性を、コンピテンシー・ディクショナリーの要素と照らし合わせて、コンピテンシー候補を洗い出します。

コンピテンシー・ディクショナリーはあくまでガイド。固定観念にとらわれず、自社に最適なコンピテンシーであるかどうか、慎重な検討が重要です。

④企業ミッション・ビジョン、経営戦略とのすり合わせ

洗い出したコンピテンシー候補から、企業のビジョンや経営戦略に合致しないものを確認します。合致しないと判断できる候補はリストから外し、より洗練されたコンピテンシーになるようブラッシュアップしましょう。

⑤評価に用いるコンピテンシーの特定

残ったコンピテンシー候補から、評価基準として採用する項目を絞り込みます。選定においては、

  • 成果への影響が大きい
  • 継続して社員の能力を育成できる

といったものを選びましょう。

⑥コンピテンシーのレベルを明文化

各コンピテンシーに3~5段階程度のレベルを設けて、人事評価時、利用しやすいようにします。公平性を保つためにも、レベルごとの達成度や習熟状態がはっきり分かるよう明文化するとよいでしょう。

Step3.テストして調整する

コンピテンシー評価のたたき台ができたら、評価基準が適正かどうかテストします。

テストでは自社のハイパフォーマーを評価基準に照らし合わせ、実際に高い評価になるかどうか確認しましょう。中程度の業績の社員についても、評価基準に照らして、ハイパフォーマーより高評価にならないかチェックします。

調整の必要がある場合は、随時修正してください。複数回にわたって複数人を評価すると、より精度の高いコンピテンシー評価基準を策定できます。

コンピテンシー評価を導入する際には、運用責任者に限らず多くの人に負担がかかります。負担を抑え、無理のない運用をカオナビで実現しませんか?

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7.コンピテンシー評価導入の注意点

コンピテンシー評価を導入する際、注意点が3つあります。

  1. 目的は成果
  2. 完璧に満たす人はいない
  3. 定期的な更新を行う

①目的は成果

コンピテンシー評価は、人事評価に活用できるモデル。そのため、人材育成や配置検討など人材マネジメントの精度や効率を向上させるフレームワークとして捉えられがちです。

しかしもともとは、「目的を達成するための行動」をベースに評価基準を決める仕組みとして考えられたもの。最終目的はあくまで「成果を上げること」なのです。

この本来の目的を忘れては、形式上コンピテンシー評価を導入できても、成果は限定的になってしまうでしょう。

②完璧に満たす人はいない

コンピテンシー評価を導入する目的の側面に、

  • 育成:各社員の行動特性を洗い出し、強みを伸ばす
  • 体制整備:弱みを把握して他の社員がフォローしやすくする

があります。すべてのコンピテンシーを高レベルで達成できる人材を見つけることが目的ではないのです。すべてのコンピテンシーを満たす人材はどんな組織でもほとんど存在しないという点を理解しておきましょう。

③定期的な更新を行う

定期的な見直しは欠かせません。ビジネスモデルや外部環境の変化に伴い、どんな行動が高業績に結び付くか大きく変わるからです。

  • 自社のビジネスモデルや競合他社と比較したときのポジショニング
  • 注力しようとしている領域

などに変化が生じた際は必ず、コンピテンシーとマッチングができているか見直しましょう。

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8.コンピテンシーモデルの具体例(サンプル)

コンピテンシー評価の土台となるコンピテンシーモデルの例として、WHO(世界保健機関)が”WHO Global Competency Model”を公開しています。

こちらを三重県立看護大学が日本語訳したものがあるので、自社のコンピテンシーの検討・比較にご活用ください。

WHOのものなので「保健」に関する項目が複数あります。自社に流用する場合はこの辺りを自業界に置き換えましょう。

❶コアコンピテンシー

1)確実で有効な方法でコミュニケーションを行う
定義:人々との会話や相互関係の上で、明確に自己表現でき、傾聴できる。また文章でのコミュニケーションもうまくできる。それによって情報の共有を確実にすることができること
適切な行い
  1. 対象となる相手のニーズにふさわしいコミュニケーションの方法や内容にそって、はっきりと話したり書いたりする
  2. うまく組み立てられた確実な方法で、情報や意見を伝える
  3. 人々が自らの考えを述べることを励まし、ゆっくりと時間をかけてその考えを理解し、熟考する
  4. 間違いなくそのメッセージを聞き理解する
  5. 人々に重要で関係の深い問題について知らせ続ける
不適切な行い
  1. 他の人と有用な情報を共有しようとしない
  2. オープンなコミュニケーションを殆ど促さない
  3. 他人の意見に耳を傾けず、遮ったり、反論したりする
  4. 人々との関わりの中でも、不適切に業界用語を用いる
  5. 口頭や文書コミュニケーションでも、一貫性がなく、重要な点を見逃しがちである
2)自分自身をよく知り、管理できる
定義:わかりにくい状況やプレッシャーに対して、自己反省しながらうまく対処すること。批判を建設的な発展の機会と考えて活用すること。継続的な学びの機会や、専門家としての成長の機会を求めること
適切な行い
  1. 明確な情報や方向性が得られないような状況でも成果につながる仕事をする
  2. プレッシャーがあっても生産的でいられる(やらされ的な仕事でも前向き)
  3. 困難な状況下でも前向きで、後退してもすぐ回復できる
  4. 建設的な批判を活用して、能力改善につなげる
  5. 以前の経験や失敗に学び、教訓を能力改善に生かす意思を示す
  6. スキルや知識や能力を高めるためにフィードバック情報(人の意見)を求める
不適切な行い
  1. わかりにくい状況に直面すると無力感を示す(どうしようもないとあきらめる)
  2. 困難な状況では感情のコントロールができない
  3. 建設的な批判に対しても、敵対的になり守りに入りすぎる
  4. 知識を補い、技術的格差をうめる機会を逸してしまう
  5. 変化すべきフィードバック情報が与えられても、同じような行動を継続してしまう
  6. 自らのストレスや、圧迫感を他人にぶつけてしまう
3)成果を出す
定義:良質な成果を生み出し、手渡すこと。成果実現に向けた活動を行うこと
適切な行い
  1. 仕事に対して、系統的かつ効率的に取り組んでいる
  2. 良質な成果を生み、顧客のニーズを満たすための現実的な解決策を編み出す
  3. 目標に向けた前進を常に進行管理しつつ、必要に応じて修正活動を行う
  4. 指示が無くても行動でき、問題を効果的に処理しながら変化をもたらす
  5. 自分の仕事に責任を持つ
  6. 仕事を完遂するまで見はなさない
不適切な行い
  1. より重要な事柄を犠牲にして、ささいなことにこだわる
  2. 不適切で他のニーズとぶつかるような解決策を見いだす
  3. 成果よりもプロセスをより重視する
  4. 不完全で不正確で厳密でない仕事を行う
  5. 最終目標に向けた進行管理を怠り、期限を守らない
  6. 意思決定が遅れ、行動が遅い
4)変化する環境の中で前進する
定義:新しいアプローチやアイデアを受け入れて、提案すること。変化に前向きに対応して適応すること
適切な行い
  1. 新しい考え方や仕事上の手法に対して受容的である
  2. 改革活動を積極的に支援する
  3. 改善の機会を認識して、現実的な解決法を提案する
  4. 活動プロセスの改善に向けた新手法や新技術の適用に努める
  5. 優先度や要求の変化に応じて、速やかにかつ効率的に対応する
不適切な行い
  1. 新しい要求や課題に直面した時に、変化をいやがる
  2. 新たな考え方に対して、柔軟な態度を示さない
  3. 仕事上の環境変化にもかかわらず、旧来の考え方に固執する
  4. 変化に直面すると前向きな展望を持てない
5)連携とネットワークを育てる
定義:同僚やチームメンバーとの良い関係を創り育てること。争いをうまく建設的に処理できること
適切な行い
  1. 成果を出すためにチームメンバーと協働する
  2. 同僚のチームメンバーと協力をすすめ、良い関係を創れる
  3. チームの決定に従って、支援し行動する
  4. チームの成功や短所についても連帯責任を受け入れる
  5. 争いを早めに見つけて、その解決を進める支援的行動を行う
不適切な行い
  1. チームの目標を犠牲にして、個人的な目標達成にのみ重点を置く
  2. 集団的な業務が求められるような状況で個別に活動する
  3. 知識や情報や専門性をチームメンバーと共有しようとしない
  4. チームに不和をもたらす
  5. 争いをなだめようとしない
  6. 同僚を支援せず、足を引っ張る
6)個性や文化の違いを尊重し、奨励する
定義:様々な経歴や考え方を持った人々と、建設的に仕事をする能力を示すこと。違いを認め、全ての人が貢献できることを請け合うこと
適切な行い
  1. 文化的、ジェンダー的な問題を理解し、配慮し、それを日常業務や意思決定に適用する
  2. 異なった文化や、性や経歴を持つ人々と良い関係を持ち、うまく仕事していく
  3. 型どおりの反応をしないように、自分の行いや態度をふり返る
  4. 他人の視点で乾事を考えてみる
  5. より効果的な成果をもたらすために、人々の様々なスキルや経験や知識を活用する
不適切な行い
  1. 他人の視点から物事を考えようとしない
  2. 人々や集団に対して、偏見を持ち差別する
  3. 理解できる型にはまった考え方に従って判断する
  4. 同じような文化や宗教やジェンダーや階層の人々とのみ関係を持とうとする
  5. 文化的な差違による全ての潜在的な争いを合理化してしまう
7)手本となり模範となる
定義:WHOの専門家として、倫理的、法的制限の範囲内で活動を行い、その遵守を他の人にも促すこと。明確な個人的・組織的管理や価値観に従って行動し続けること
適切な行い
  1. WHOの専門家としての倫理的・法的枠組みに従って理解し行動する
  2. 個人的・組織的倫理観や価値観にそぐわない行動を取る
  3. 他の人々とのつきあいが不透明でない
  4. 他の人々が専門家らしくない振る舞いや、非倫理的行いをした時には対処する。
  5. 信頼を維持し、取り扱いに注意すべき微妙な情報は慎重に扱う
  6. 自らの決定や活動に自信を持ち、それに責任を持つ
不適切な行い
  1. 倫理的な基準を損なってでも、個人的事項を優先させる
  2. 表明された原則と行動との間に矛盾がなく一貫している
  3. 外部から圧力がかかると、組織のポリシーや規則や手順に反する行いをしてしまう
  4. 熱慮や分別なしに、微妙な情報を扱ったりして、信頼を損なってしまう
  5. 自らの活動を決定に責任を取らず、他人に責任を押しつける
  6. 他人との合意や約束を守らない

❷マネジメントコンピテンシー

8)エンパワメント的で、やる気の高まった状況を作り出す
定義:課題や目標の達成に向けてスタッフを導き、動機づけること。全ての段階で求められる成果を出すことを自らやり甲斐を感じて責任をもって行うこと
適切な行い
  1. スタッフに明確な方向性を示し、彼らの目標を達成することを支援する
  2. 役割、責任、報告ラインが明確に定められ、理解され、承認されていることを確認する
  3. スタッフに適切に仕事を分配し、目標達成に必要な援助を行う
  4. スタッフへの信頼感を示して、率先した活動を促す
  5. スタッフと定期的に意見交換を行い、良い活動は認め、問題のある活動には対処する
  6. スタッフを励まして、個人的・組織的目標達成を促す
不適切な行い
  1. 自分の業務にのみ重点を置いて、マネジメントの責任を回避する
  2. 不明瞭で部分的な指示しか与えず、期待される成果についてはっきり述べない
  3. 他人をあまり信頼せず、他人に仕事を任さない
  4. スタッフの可能性を認めようとせず、人材育成にあまり注意を払わない
  5. 他人の貢献について認めようとせず、知ろうともしない
  6. 「悪い知らせ」は伝えようとしない
9)資源の効果的な活用を確実に行う
定義:WHOの戦略的方向性にそって優先度を定めること。活動計画を策定し、実行し、必要な社会資源を組み立て、成果を進行管理していくこと
適切な行い
  1. 環境を変化させることに重点をおいた明瞭な目的に向けた計画を策定する
  2. 優先度を決め、現実的な目標や時間計画を明らかにする。
  3. 成果達成に必要な財政的・人的資源を明確にし、組み立て、効果的に管理する
  4. 予期せぬ事態にも対応して、速やかに資源を再配分したり、優先度を再設定できる
  5. 資源や予定された活動の前進をモニターする指標を確立する
  6. 経費をモニターし、最も費用効果的な手法を活用するよう努める
不適切な行い
  1. 目標設定や実施計画が不明瞭で非現実的である
  2. あらかじめ優先度を設定しなかったり、優先活動からしばしばはずれてしまう
  3. チームや自分自身への影響をよく考えずに話をしてしまう
  4. 仕事の達成に必要な資源を明確にせず、組み立てもしない
  5. 変化に直面しても、資源の再配分や優先度の変更が遅れてしまう
  6. 自分自身や他人の目標や活動や予算を進行管理しない
10)部門組織をこえた協働を築き、推進する
定義:WHOに情報提供し、援助し、支援できる内外での協働を開発し、強化すること。組織間の底力や外部の底力者との連携を明確にし、活用すること
適切な行い
  1. 機関の成功に向けて、WHO内部との業務連携や、外部の協力者との連携を理解し推進するよう努める
  2. WHO内外で、相互に利益のある業務上の関係や連携を構築し維持する
  3. 成果を出すためのネットワーク構築を他機関にも促し支援する
  4. 成果を上げるためのWHO内外での協力推進の機会を作り出す
  5. WHOの異なる部門の人々にも呼びかけて協働する
不適切な行い
  1. WHO内外での良好な関係の構築や、相互活動の機会を進めることに、殆ど関心がない
  2. 機関の利益よりも、自分の利益を考えてネットワークを築いていく
  3. 互いにあまり影響を与えない個別の組織として、部門をとらえている
  4. 自らの業務分野を固守しすぎて、部門相互間の活動や介入を妨げる
  5. 乱立して仕事をして、機関内の他の活動の統合に向けた積極的な努力をしない

❸リーダーシップコンピテンシー

11)WHOを将来的な成功へ推し進める
定義:健康課題や活動がより複雑になってきていることを、広く理解していること。目標を分かち合う魅力的なビジョンを創り上げ、人々の健康改善に向けた現実的な前進をうまく実現するための筋道を立てること
適切な行い
  1. 国際的な公衆衛生に影響を及ぼしている要因の複雑な相互関係をよりよく理解している
  2. 新しい傾向を予想しながら、WHOの長期的な目標を推進するための機会を明らかにする
  3. WHOの明確で一貫したアイデンティティを開発し、明確にする上で積極的な役割を果たす。さらに、WHOの内外にこのことを表明する
  4. WHOの使命に沿っていて、かつ競合する優先課題間でのバランスがとれた戦略計画を策定する
  5. なしとげるために戦略を用いたり、すべての適切な手段を用いる
不適切な行い
  1. より広い背景で考えられず、仕事を自分の技術分野に閉じこめてしまう
  2. 戦略や計画を策定する際にも、突く地域的な視点でしか発想できない
  3. 他人と相談したり、一緒に考えたりすることなしに、戦略を策定する
  4. 明確で長期的なビジョンに基づいて、基盤づくりや活動をうまく進められない
  5. 矛盾した優先課題を含む計画を策定してしまう
  6. 成し遂げるための適切なプロセスを明確にしたり、活用したりできない
12)改革や組織的学習を進める
定義:学習や人材育成を促すような文化の創造を通じて、WHOを活気付かせること。革新的なアプローチや問題解決方法を支持すること
適切な行い
  1. 変化や改善を推し進めながら、WHOを成功に導く新しい方法を探り続ける
  2. 成果を出すための改革を他の人にも促すWHOの内外での学いる習と知識の共有を確実に行い、スタッフ間での学びあいを促す
  3. 組織効率を高める方法を見いだすために意見を求めていく
  4. 責任感を高め、WHOをエンパワメントしていく
  5. WHOの中で学習と人材育成の機会を創り出す
不適切な行い
  1. 継続的な学習や専門性向上を、殆ど進めようとしない
  2. 他人からの改革的・創造的提案を無視し、現状肯定に偏っている
  3. 他人と相談せず、結果を十分考慮せず、過激な方法でプロセスや手法を変えようとする
  4. 組織効率についての意見を求めようとせず、意見も採り上げない
  5. WHO内部での官僚主義的文化や階層的権力を維持しようとする
13)保健のリーダーシップ上でのWHOの地位を高める
定義:保健課題で、WHOをリーダーと見なすこと。WHOの使命に支援を求めること対象者からの援助を導くような方法で、調整し計画しコミュニケーションすること
適切な行い
  1. WHOの使命や事業をうまく推進する
  2. WHO内外の人々とうまく交渉する
  3. 活動がうまく展開できるように、他の人々との合意を得る
  4. 他人との関係で、権威を示し、信頼される
  5. 一連の適切な技術を用いながら、複雑で高レベルのメッセージを送る
不適切な行い
  1. 重要な課題について弁明したり推進したりできない
  2. 人々に影響を与えようとする時に、不適切な議論をしたり、有効でない協議を行ったりする
  3. 持続可能な合意を取り付けられない
  4. 信頼性に欠け、前向きな影響を与えられない
  5. 対象者に込み入ったメッセージを送れない

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コンピテンシー評価のQ&A

コンピテンシー評価とは、職務ごとに定義されたコンピテンシーモデル(行動特性)をもとに評価を行う仕組みです。 コンピテンシーとは、高い成果につながる行動特性のこと。成果を出す人には、学歴や知能、年齢とは関係なく、その行動に共通した傾向があることがわかっています。コンピテンシーは、この共通した傾向を、行動観察やインタビュー、アセスメントテストなどを用いて調査・分析し、行動特性としてまとめたものです。
コンピテンシー評価の導入効果には、下記3点があります。 ①人材育成の効率化 ②被評価者の納得度の向上 ③人材マネジメントの戦略化 コンピテンシー評価では、実際に高い成果を上げている社員の「行動」を評価基準として設定するため、人材育成に適用できます。 また、現場に即した具体的で実践的な評価基準をつくるため、評価対象者は納得感を得やすくなるでしょう。 誰がどんな行動を取りやすいか傾向も明確になるため、人員配置などタレントマネジメントも実現しやすくなります。
コンピテンシー評価と目標管理のふたつを評価制度として運用している株式会社マーケットエンタープライズの事例がわかりやすいでしょう。 目標管理で立てられる定量的な評価軸に対し、コンピテンシー評価は、パフォーマンスを発揮するために必要な行動評価という位置付けで運用されています。