360度評価のテンプレートについて紹介

360度評価とは、対象者の上司・同僚・部下など複数の人が人事評価をする手法です。360度評価のテンプレートはどう使うのかといった使い方とともに解説します。

1.360度評価のテンプレートとは?

360度評価とは、対象者の上司や同僚、部下などから人事評価を行う仕組みのこと。評価に複数人がかかわるため、扱うデータの多さから管理が負担になる場合もあるのです。そこで効率化に向け、アンケート項目や書式が用意されたテンプレートを使います。

360度評価とは?

360度評価では上司や同僚、部下や顧客など対象者を取り巻く幅広い立場の視点から人事評価を行います。立場が異なる複数の視点から見るため、評価材料をより多く集められるのです。

360度評価の目的を理解しておこう

360度評価の目的は、人事評価のために、より深く対象者の成果や行動を把握すること。これまでのように上司のみによる評価では、対象者の一部分しか見えていない場合も多くありました。

しかし複数人が評価によってさまざまな長所・短所がピックアップされるため、より対象者の特性が分かるようになるのです。

解決すべき課題を把握して「見える化」する

360度評価を取り入れれば、ビジネス環境が激しく変化しても管理職は自分の立場で解決すべき課題を把握できます。複数人から評価され、自分自身の仕事ぶりやマネジメント力が見える化されるためです。

与えられた時間内で業務を遂行する

360度評価を取り入れる際に大切なポイントは、設問の数を少なくすること。評価作業が短時間で済めば評価者の負担が減るからです。

設問が多すぎると回答に時間がかかり、評価者の負担となって適切な評価が得られない恐れもあります。設問数は10問以内にし、1人あたりの回答時間が10分程度になるようにしましょう。

必要に応じてフォローする

結果のフィードバックも重要です。評価の結果を踏まえ、「対象者に期待を伝え、新たな目標や課題を設定する」「より成長できると前向きに考えたうえで 適切な助言や指導を行う」などを行います。

企業のビジョンや方針を明確にする

まれに360度評価とフィードバックを継続していても、行動が改善されない場合もあるのです。その原因は、「上司が部下のマネジメントを上手にできていない」点にあります。

こういったときは、個人を型にはめず内面へアプローチするとよいでしょう。「社員の行動を良い方向へ改善させたい」というビジョンや方針を明確にするのです。

360度評価とは、対象者の上司や同僚、部下など多方面から人事評価を行う手法です。テンプレートがあるので利用してみるとよいでしょう

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2.360度評価を実施するときに重視したいこと

360度評価を実施する際、重視したい5つのポイントがあります。これらについて詳しく見ていきましょう。

  1. 管理職像を浸透させる
  2. フィードバックを前提とする
  3. 選択式設問と自由に記述できる設問を用意する
  4. 必要以上部下に気を使わない
  5. 実施にあたって過度な負担をかけない

①管理職像を浸透させる

360度評価を取り入れる際は、社員全員に評価の趣旨をきちんと説明しましょう。

「この質問はどういった管理職像のポイントに対応したものか」を回答者がしっかり理解してから評価作業ができるようにします。質問文や項目は、回答者の立場によって変えましょう。それぞれの状況で評価しやすい内容が異なるからです。

②フィードバックを前提とする

360度評価は、対象者が職場で取っている行動状態を観察し、本人にフィードバックするためのもの。したがって対象者の能力評価が目的ではありません。

フィードバックをすると、自身の日常業務や対人関係での行動を再確認できます。そこから優れた点をより伸ばし、至らない点があれば自覚して改善できるように促すのです。

③選択式設問と自由に記述できる設問を用意する

360度評価で設問を作る際は、「選択式設問」「自由記述式の設問」2種類を用意しましょう。

選択式設問は回答しやすく、集計作業も容易で結果を数値化できます。回答を集計して全体の傾向などを把握する際も役立つでしょう。自由回答式の回答は、結果の理由が分からないときに活用します。

④必要以上部下に気を使わない

評価時期の前後、対象の管理職は、「部下に対して必要以上に気を使わない」「部下からの評価を恐れない」ようにしましょう。

評価を境に態度が変わったら、周囲も驚いてしまいます。また「自分は部下にどう評価されるのか…」と思い悩むのは、精神の健康面からも避けたいものです。

⑤実施にあたって過度な負担をかけない

人事評価を実施する際は、回答者に負担をかけないよう配慮しましょう。回答者に負担となるのは、「時間や作業的な負担」「精神的な負担」の2つです。回答に費やす時間や労力によってほかの業務に支障が出ないよう、設問などを設定しましょう。

  • 個人の自分の主観で回答してよいと伝える
  • 誰がなんと回答したかの秘密は厳守する

と事前に伝えるなど、萎縮せずに回答できるように配慮が必要です。

360度評価の効果を実現するには、的確な質問を設定し、評価の対象者・回答者の両者がプレッシャーを感じない環境作りがポイントです。結果もきちんとフィードバックして、次につなげましょう

3.360度評価のテンプレートはどうやって入手する?

360度評価のテンプレートは、下記のような方法で入手できます。

  1. インターネットで探す
  2. 360度評価アンケートツールを利用する
  3. 360度評価システムを利用する

①インターネットで探す

360度評価のテンプレートは、インターネット上で見つけられます。無料のクラウドツールもあるので、試しに使ってみて合うなら有料版に切り替えるという選択もよいでしょう。

質問や回答、フィードバック用のテンプレート文書なども豊富です。自社にあったものを選んだり、設定を考えたりして最適なものを選択するとよいでしょう。

②360度評価アンケートツールを利用する

360度評価では、質問項目の設定が重要です。

「なぜ360度評価を行うのか」という目的を踏まえたうえで、「評価対象は管理職か一般職か」「誰に何を聴くか」「質問はいくつか」などを考え、「質問のタイプ」「質問文」「選択肢」のように設計していきます。

アンケートができたら、集計のシートを作るのです。メーカー提供のアンケートツールを利用する方法もあります。

③360度評価システムを利用する

企業で360度評価を本格的に導入する際は、メーカーから提供されている評価システムを導入するとよいでしょう。なぜならシステム内には、「人事評価」「社員アンケート」のテンプレートが何種類か備わっているからです。

これらを利用すれば一から構築する手間なく、目的に合ったものを選んで運用できます。

360度評価のテンプレートは、インターネットから入手できるので探してみましょう。アンケートツールやシステムを利用する方法もあります

4.360度評価のフィードバックコメントに悩んだら?

360度評価の結果をフィードバックする際、どうコメントしたらよいか、悩む場合もあるでしょう。ここではコメントのポイントについて、解説します。

  1. 改善点と良い点の両方を含める
  2. 具体性のある表現を使う
  3. ネガティブな言葉は避ける

①改善点と良い点の両方を含める

対象者にフィードバックのコメントをする際は、改善点と良い点の両方をバランスよく盛り込んで伝えましょう。それにより対象者は自信を持ちながら真摯に改善を進められます。

②具体性のある表現を使う

できるだけ具体的な内容を記載しましょう。それにより「どうしてこの点数を付けたのか」という評価の根拠が分かるため、対象者も納得しやすくなるのです。また「何を」「どれだけ」求めているかについても、分かりやすく表現します。

③ネガティブな言葉は避ける

ネガティブな言葉は避け、前向きで受け取りやすい表現を使いましょう。改善点についても言葉を選んで伝えると、同じ内容でも、対象者はより素直に耳を傾けやすくなります。相手が拒絶したくなるような「否定」などは避けましょう。

360度評価の結果をフィードバックする際のポイントは、「改善点と良い点の両方を含める」「具体性のある表現を使う」「ネガティブな言葉は避ける」です

5.【営業職&技術職】360度評価コメント例をそれぞれ紹介

360度評価では目に見える成果だけでなく、多角的な視点が必要です。どんなところに注目したコメントをすればよいのか、営業職・技術職それぞれの場合について見ていきましょう。

営業職の場合

営業職では、営業成績など数字に注目してしまいがちですが、組織の一員としての態度、向上心や貢献度といった点も評価の要素となります。

「スキルアップの努力をしているか」「目標を達成したか」「周囲とのコミュニケーションは円滑か」などにも言及しましょう。

スキルアップ

営業職は、営業成績がよければそれだけでよい訳ではありません。スキルアップをして成長し、より組織に貢献する姿勢が必要です。

「セミナーに参加した」「社外の交流会に参加し情報交換をした」などはコメントに取り入れましょう。また「レポート提出」「ノウハウの共有」「今後への期待」なども含めます。

目標値

「売上目標」「アポイントメント件数」「顧客数」「チームでの目標」といった目標を達成できたか、具体的にコメントに取り入れましょう。

たとえば「目標が達成率は90%だったが、努力しておりチームワークのよさは評価できる」のように、改善点と良い点をバランスよく配置します。

報連相

組織内で、円滑なコミュニケーションが取れているかも評価に必要です。この場合、社員同士の雑談や世間話ではなく、業務における「報・連・相」が対象になります。

  • 報告(結果を報告できているか)
  • 連絡(伝達事項を徹底できているか)
  • 相談(自己判断しないで相談できているか)

「これらが適切にできているか」「改善点があれば何か」を理解しやすいように伝えましょう。

技術職の場合

技術職の人事評価では、技術力に注目してしまいがちです。しかし実際に業務を円滑にしていくために重要な役割もあります。たとえば「スキルアップの努力をしているか」「工数削減や業務効率化への貢献」「周囲とのコミュニケーション」などです。

工数削減

技術職が、工数を削減できるよう働きかけていたら、コメントに取り入れて評価し、より前向きに進めるように促しましょう。

たとえば「周囲をよく観察し、作業に行き詰まった人へアドバイスをしていて、自分だけでなく全体の工数削減にも大きく貢献していた」「チーム全体の作業工程の見直しや資料整備などを行って、大幅な工数削減ができた」などです。

コミュニケーション

技術職にもコミュニケーション能力は、必要といえます。

  • 部署のメンバーとコミュニケーションの取り方がよかった
  • 管理職の立場で、他部署との交渉能力が優れていた
  • 作業工程についてチーム内で話し合い、工数削減に成功した

などについて、評価のコメントに含めましょう。

業種ごとに、フィードバックのコメントを作成する際のポイントは異なります。主要な業務以外でも多角的な視点が必要です

6.テンプレートに頼りすぎはNG!360度評価を運用するうえでの注意点とは?

360度評価を運用するうえで、何に注意すればよいのでしょうか。最後に360度評価を運用する際の注意点を6つ解説します。

  1. 報酬に直接反映しない
  2. 人材マネジメントを目的とする
  3. フィードバックを必ず行う
  4. 対象は社員すべて
  5. 執務態度を中心に構成する
  6. 評価の合計を平均値とする

①報酬に直接反映しない

人事評価というと、「昇給や賞与など報酬を決めるため」と考えがちですが、360度評価ではさまざまな関連性を持つ人たちからの評価になるため、これをもとに報酬を決定するとリスクが大きくなります。「360度評価は人材育成のためにある」考えましょう。

②人材マネジメントを目的とする

360度評価は、「人材マネジメントが目的」という点を、評価者や評価される側に周知徹底します。「報酬に反映させるものではない」という認識があれば、適切な評価の仕方やフィードバックの受け止めができるようになるのです。

③フィードバックを必ず行う

人事評価で重要な点は、「結果をフィードバックして対象者が納得し、行動の改善を進めること」。

フィードバックの際、「誰が何点を付けたか」「誰がどういう意見を記入したか」など個人名や点数といった内容を伝える必要はありません。適切なフィードバックのみを送りましょう。

④対象は社員すべて

評価対象にならない人がいると、多くの人が「どうして評価対象にならない人がいるのか」疑問に思います。公平な人事評価を行うためにも、全社員を対象にするとよいでしょう。

⑤執務態度を中心に構成する

評価項目を設定する際は、執務態度に関するものを中心に構成します。なぜなら日常の様子を観察することで、評価できるからです。

また評価を強いることはせず、「評価できない」「分からない」などの回答を認めましょう。なおプライベートを人事評価の対象にする必要はありません。

⑥評価の合計を平均値とする

360度評価の評価得点を算出する際は、評価の合計を集計して、平均値を対象者の評価得点とします。

360度評価では上司や同僚、部下からの評価を集めるものの、人によって差があります。そこで最高値や最低値ではなく平均値を最終得点とするのです。評価対象者には算出した平均値のみをフィードバックすれば、モチベーションアップや自己啓発に役立ちます。

企業の人事評価に360度評価を取り入れる際は、趣旨を周知して公平な人事評価を行い、必ずフィードバックしましょう。不必要なことは公表しないといった配慮も必要です