08

“ワクワクする大胆な目標”を立てるOKRで、働く人の可能性を開きたい

株式会社ドリコム
 | 経営企画部

大橋 甫さん

Interview

2019.03.28

国内としてはいち早く、人事評価制度にOKRを導入した株式会社ドリコム。その経緯や導入後の変化とともに、同社のテクノロジー活用法や人事の仕事の魅力などについてお話を伺った。

PROFILE

大橋 甫

株式会社ドリコム

2006年慶應義塾大学商学部卒業。同年エイベックス株式会社に入社。プロモーター、A&R業務を担った後、2012年に人事部門と異動し主に採用活動を担当。2017年株式会社ドリコムに入社。人事部を経て、2018年10月より現職。現在は人事業務とあわせ経営企画業務も担当。

突然の異動により人事の面白さを知る

御社は“ダビスタ(ダービースタリオン マスターズ)”を始め、数々のソーシャルゲームを手がけてらっしゃいますね。

「2001年に当時京都大学の学生だった社長の内藤が立ち上げたベンチャー企業で、現在のメイン業務はスマートフォン向けゲームアプリの開発・運営になります。その他、広告事業やメディアサービスなど、インターネットを軸にしたビジネスを幅広く手がけています。」

大橋さんはずっと人事畑を歩んでいらしたんですか?

「いえ、もともと音楽好きが高じて新卒でエイベックス株式会社に入社し、プロモーターをしていました。その後、A&R(アーティスト・アンド・レパートリー。アーティストと楽曲それぞれを発掘し、育成から制作、宣伝まで担当する業務)など、音楽業界において様々な業務を担当していました。そんな中、2012年に突然、人事への異動を命じられたんです。自ら希望を出していたわけではなかったので、辞令を受けた瞬間は『何かしたか……?』と思ってしまいました(笑) 」

まさに青天の霹靂ですよね。

「でも改めて考えてみると、音楽の現場も好きだけれども社内業務にも携わってみたい思いもあるな、と思い至りまして。会社も大きく変化しているところでしたし、人事という側面からできることもあるのではと、前向きな気持で異動しました。以降、5年ほど採用を中心に携わり、新しい新卒採用システムの立ち上げるなど、色々な経験を積ませていただきました。そのうち、人事の仕事って面白い!と思い始めたんです。」

ドリコムに入社されたのはいつですか?

「2017年の春です。転職の動機ですが、前職への不満というのは全く無くて、人事に異動してからもやりがいは十分あり居心地もよく、本当にいい会社でした。ただ、他社のカラーも知り、その中で自分の経験してきたことを踏まえて挑戦したい気持ちも芽生えてきまして ……。ちょうどそのときにドリコムで人事職を募集していて、面接を受けてみたら戦略や事業に関する考え方・志向が自分の考えと非常に近しいことがわかり、入社を決めました。大学時代に初めて使ったブログサービスがドリコムのものだったので、不思議な縁を感じます。偶然ってあるんでしょうね。」

面接の際、どういった点で考え方が近いと感じられたのですか?

「前職では、組織が成長していく中で、自社の企業文化をどう浸透させるかなど、価値観のずれから起きる問題がたくさんあることを痛感していました。でも “人を大事にする”という軸がブレなければ、どこかに解決方法はあるし、解決後の組織はもっともっと成長できるはず。人を大切にすることで組織を成長させようという思いが、ドリコムにも感じられたんです。

当時はちょうどドリコムも採用を強化しているタイミングだったので、逆に言えば僕自身も前職での経験が評価されたのかもしれません。入社した2017年は、年間100名ほど採用していましたね。」

目標管理制度をOKRへと移行し、“ワクワクする大胆な目標”を立てるように

入社後しばらくは採用がメインだったのですね。現在はどのような領域に携わってらっしゃいますか?

「2018年10月に改組があり、採用業務の掌管体制が見直されました。その結果、人事部から経営企画部へ異動になり、事業戦略の推進や計数管理などの一般的な経営企画業務とあわせ、労務業務や人事評価制度の設計・運用を担当するなど、幅広く経営管理業務を担っています。」

なるほど。採用から少し離れた現在、一番力を入れてらっしゃるのはどんなことですか?

「現在担当している業務の多くは未経験の領域なのですが、過去の人事業務で培った経験や問題意識を昇華させるという意味で、人事評価に関する業務に対しては大きな意義を感じています。その他にも組織変更が頻繁に行われるため、組織設計の仕事や、人材育成に関連した業務はやりがいを感じます。例えば、最近は来期の教育研修についての模索・検討に注力しています。今日もちょうど部長職を対象とした管理職研修があり、ストレスチェックの結果をマネジメントにどう活かすかなどについて外部講師を招いて学んでもらいました。その他、チームのキャリア開発や会社のルールについての研修も管理職向けに行っており、今後どのように拡充していくか、日々検討を重ねています。」

現在抱えていらっしゃる人事的課題はありますか?

「リーダー人材の育成です。サクセッションプランのもっと手前ですね。これまでは職種がデザイナーやエンジニアなど専門的に分かれていたため、職種的なスキルは高まっても、ヒューマンスキルやコンセプチュアルスキルを高めることに注力しきれてなかった反省はあります。」

職種として求められる能力と、リーダーとして求められる能力は、別であるということですね。

「そうです。だからこそ、人事評価方法はかなり重要な要素だと考えています。目標管理についても、2018年の4月にMBOからOKR(Objectives and Key Results)へと変更しました。」

非常に早い段階でOKRを導入されているように思いますが、MBOからOKRに変更された理由を教えていただけますか?

「導入理由は、MBOよりもOKRの思想の方が、ドリコムが大切にする考え方に合っていたからという、ごく単純なものです。もともとドリコムは100という目標を無事達成するよりも、200を目指して7~8割の160を達成するほうがいいというOKRの考えに近い経営思想。だからOKRを入れよう!というよりは僕らが目指すことをやろうとしたら一番フィットするのがOKRだった、という方が適切かもしれません。」

すばらしいですね。

「ドリコムでは、O(Objects)・ムーンショットの部分を“ワクワクする大胆な目標”という言葉にして上司部下で会話してもらっています。」

新たな評価制度の導入に対し、反発はありませんでしたか?

「反発ということはなかったと思います。導入にあたり、管理職全員にOKRに関する本を配布したのですが皆さんすごく読んでくれましたし、導入後も多くの社員が自発的にOKRの振り返りをやってくれているほどです。もしかしたら、人事よりもOKRに詳しい管理職もいるかもしれません。トップダウンの大胆な方針変更であっても、丁寧に説明をすれば、きちんと納得し受け入れてくれると感じており、社員には感謝してます。」

それだけ人事の方がきちんと現場と向き合い、コミュニケーションを取られているからこそスムーズに進んだんでしょうね。

「現在(2019年2月取材当時)OKRの2回目の運用評価中なので、抱えている課題がどう向かっていくか楽しみでもあります。」

「神様がどうジャッジするか」という言葉を胸に、常に人事業務に向き合う

課題解決に対し、テクノロジーは活用されていらっしゃいますか?

「カオナビの導入をはじめ、人事業務の効率化という側面で活用することが多いですね。あらゆる人事データをエクセルでまとめる作業に追われ、タレントマネジメントにまで行き着かない……といった“人事あるある話”はよく聞きますよね。それらの工数が減ることで、きちんとマネジメントに注力できるというのは大きいと思います。ちなみにOKRにおける各自のオブジェクティブや等級は、全員カオナビで公開しています。」

それはすごいですね。今後、こんなふうにテクノロジーが進化してほしいといった希望はありますか?

「様々なスキルや成果、感覚的に掴んでいた事柄が可視化されるといいなと思います。経営目標を達成するためにヒトというリソースを掌るのが人事の役割だとしたら、その目標達成がまずは大切。とは言え、目に見えにくいものが可視化されることで、社員が楽しく働ける可能性を広げてあげられるのではないかな、と。

もともとエンタメ業界にいたせいか、何かを生み出すクリエイティブな才能を支え、より良くしていきたい気持ちが強いんです。傍からは理解されにくいような才能も、もしかしたらテクノロジーの発達によってすごいスキルとして可視化されるかもしれない。そういうスキルを持った人と一緒に仕事をしたら自分も楽しいだろうと強く思います。本当に人間って面白いですよね。だからこそ、常に人間と対峙している“人事”という仕事も面白い!(笑)」

では、これからの人事に求められる要素は何だと思いますか?

「本質的に人を知り、寄り添えることでしょうか。様々な人事制度がありますが、ルールに基づき画一的にそれを適用し人を評価するのではなく、個々の意志、価値観や人生にきちんと寄り添うことが人事業務の真価を問われる部分だと考えます。その部分が欠けてしまっていては、どんなに優れたテクノロジーやツールを導入しても、社員の働きやすさにはつながらないと思うんです。」

大橋さんご自身も、人への理解に心を砕いてらっしゃるのでしょうね。

「そういう意味では、なるべくフラットでいることを心がけています。社員とマンツーマンで接する機会も多いですが、その際に自分の物差しだけで判断していないかどうか、常に意識しています。人事業務は自分の評価ひとつで、社員の人生を左右してしまうかもしれない重要な業務ですから。」

とは言え、フラットであり続けるというのは非常に難しいことですよね。

「前職で人事に異動した時の上司から『人事として何かを考える時は、常に神様がどうジャッジするか考えるべき』と言われたことがあり、今でも心に焼きついています。人間だから人物評価に際して、少なからず個人の感情は入ってしまうものですが、それでも“神様だったらどう判断するのか”を意識することで客観的な評価視点を得ることができ、間違いにはならないだろうと。一人事として、自身が負う責任と有する権限を振り返り、戒めるために、度々思い起こす言葉です(笑)」

人事なら読むべし! オススメの1冊

人望が集まる人の考え方
著:レス・ギブリン、弓場 隆(翻訳)
刊:ディスカヴァー・トゥエンティワン

例えばこの本の中で、人の関わり方は『①相手から奪い取る、②与えてもらうために媚びる、③ギブアンドテイクの精神で公平な交換を行う』の3パターンしかないという一説があるのですが、折に触れて『③と思ってコミュニケーションしてきたけれども実はあの時のコミュニケーションは②を行ったのではないか』など振り返っています。その他の内容も人の本質がわかるものばかりで、人事として大切な人間理解に役立ちます。

会社概要

社名 株式会社ドリコム
設立 2001年
事業内容 ゲーム事業、広告・メディア事業
従業員数 400名
会社HP
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

08

PROFILE

大橋 甫

株式会社ドリコム

2006年慶應義塾大学商学部卒業。同年エイベックス株式会社に入社。プロモーター、A&R業務を担った後、2012年に人事部門と異動し主に採用活動を担当。2017年株式会社ドリコムに入社。人事部を経て、2018年10月より現職。現在は人事業務とあわせ経営企画業務も担当。

ABOUT

“kaonavi HR Innovators”は、人事/HR領域で活躍するHR領域で活躍するキーパーソンが「人事の未来」を語るWEBメディアです。人々の働き方や人材の価値が急速な変化を迎えている今、人事のキーパーソンとして真摯に課題と向き合う方々に「人事/HRの在り方」、「テクノロジーの活用」などを語っていただくことで、人事担当者が抱える課題を解決に導くヒントをお届けします。