リクルートグループの中でも、「SPI3」などのアセスメントサービスをはじめ実効性の高いマネジメントソリューションで知られる大手人事コンサルファーム、株式会社リクルートマネジメントソリューションズ(以下、リクルートMS)。「個人と組織が相乗的に価値を高め合っている社会の実現を目指す」をビジョンに掲げる同社は、カオナビにとって最初の販売セールスパートナーであり、現在も深い協力関係にあります。

人事コンサルティングに活用する商材として、また、セールスパートナーとしてどのようにカオナビを捉えているか、同社HRM事業統括部 HRMサービス開発部 タレント・マネジメント・システムグループ マネジャーの牧園和修様、HRM事業開発部タレント・マネジメント・システムグループ コンサルタントの鈴木玄令様と、HRMサービス開発部 タレントマネジメントシステムグループ シニアコンサルタントの平島隆紀様にお話を聞きました。

*本記事の掲載内容は全て取材時(2022年9月13日)の情報となります

顧客の「ありたい未来」を創る人事分野の総合コンサルタント

貴社は、働く人のスキルや適正の分析、評価といった人材アセスメントの分野で老舗でいらっしゃいますね。

鈴木様:適正検査や心理検査などの人事測定事業を始めたのが1963年のことですから、そう言っていただくこともありますね。当時はそれまでの履歴書頼りの採用を覆す「常識破りの手法」などと言われましたが、今ではSPI3のような適性検査は一般的です。リクルートMSと社名変更したのは2004年ですが、その前からずっと、個々の人材をどう評価し、育て、組織の力にしていくか、ということに取り組んでいるんです。

リクルートMSとしては、人事分野の総合コンサルとして、さまざまな業界のお客さまに対応するトレーニング(研修・育成)、アセスメント(評価・査定)等の切り口で課題解決のお手伝いをすることで、お客さまの「ありたい未来」を、共に創りあげるスタンスで事業に当たっています。

HRM事業開発部タレント・マネジメント・システムグループ コンサルタント 鈴木玄令様

”進化“した顧客ニーズに合うタレントマネジメントシステムを探して

カオナビと販売パートナー契約を締結された2017年頃は、まだ「タレントマネジメント」の概念も、ニーズもあまりなかったように記憶しています。なぜ「カオナビ」を選ばれたのでしょうか。

牧園様:私たちのスタンスや当時のニーズに、ちょうどぴったり合っていたんです。

2000年代中ごろ、お客さまのニーズは主に人事業務のシステム化や業務効率化にありました。そこで、まずシステム化をメインに対応してきたわけですが、それが実現されてくると、徐々にニーズは変化していきます。データの活用・分析や軽快な操作性、設定変更や分析をお客さま自身で完結したい、といったものです。ただ、それまで取り扱っていた外資系の人材管理システムでは、こうしたニーズに応えることが難しかったんです。時間や費用、専門スキルなど導入・維持にかかるコストが大きくなりがちな上、日本の人事制度を想定したシステムではないので扱いにくいシーンもあります。そうして、メインターゲットとなる従業員数700~数千人程度の企業への提案には適さないシーンが増えていきました。

そこで、日本の企業文化や慣習に合った国産タレントマネジメントシステムを探したところ、「カオナビ」を見つけたんです。使いやすい上に柔軟性が高く、求める要件を幅広くクリアしたプロダクトでした。

HRM事業統括部 HRMサービス開発部 タレント・マネジメント・システムグループ マネジャー 牧園和修様

「使いやすさ」という機能面でお眼鏡に適ったわけですね。

鈴木様:機能もそうなんですが、私たちは協業を検討するとき、「ビジョンを共有できるか?」という点も重視しています。

リクルートMSのミッションが「実効性の高いマネジメントソリューションの提供により個と組織の健全な発展に貢献する」なのに対し、カオナビさんのパーパスは「"はたらく"にテクノロジーを実装し、個の力から社会の仕様を変える」。当時まだこのパーパスはなかったものの、長年「個人の能力」にフォーカスし、組織の中でそれを生かすという思想でビジネスをされてきた企業。われわれと考え方がマッチしていて、すごく近いスタンスだと感じ、お客さまに対し、共に価値を提供するパートナーになり得ると考えました。

平島様:リクルートMSのビジネスとの相性が良かったのも、協業した理由の一つです。

リクルートMSの強みの一つとしてアセスメントサービスがありますが、そうした提案を実践して生まれた「結果」を見せるツールは内製していません。最適な研修プログラムや人事評価制度を組めたら、受講実績やスコアの履歴、評価結果といったデータを見やすく管理したり、分析検討したりしたいですよね。そう考えると、項目・権限設定の自由度が高く、個社のニーズに合わせたシステム設計ができる「カオナビ」は、優秀な「器」だと言えます。

HRMサービス開発部 タレントマネジメントシステムグループ シニアコンサルタント 平島隆紀様

独自性の高い制度も実装できる。再現性を担保した提案が可能に

ソリューションを提供するリクルートMS様と、システムを提供するカオナビ。たしかに、両輪のような関係かもしれません。

牧園様:そうですね。実際成果も出ていて、コンサルティングを進める中で、課題解決に「カオナビ」をお役立ていただけそうなお客さまにご提案し、ほぼ全てのケースで成約しています。

やはり、設計の柔軟性が高く操作が容易というプロダクトの特徴が、人事コンサルのビジネスにマッチしているんでしょうね。

平島様:リクルートMSでは人事制度構築・改定のコンサルティングを請け負うことも多いのですが、制度設計とシステム選定は同時に進めます。なぜなら、人事制度は作って終わりではなく、むしろ制度改定がスタート地点。特に評価制度については、被評価者、評価者、人事担当など、全ての社員にとって進めやすい運用フローもセットで提案するべき、と考えるからです。実環境同様に設計ができるデモ環境が提供されているので、制度がある程度固まったら、実際に設計してみています。

人事コンサルが提案する評価制度には、テンプレート的なフローに収まらない仕様も含まれてきます。そうした独自性の強い評価制度も、「カオナビ」ならコンサルタントの意図通りに、自ら実装ができます。

顧客が最も気になるのは、「良い提案だけど、それ、実際システムに載せられるの?」という点です。その不安に、再現性を以ってお応えできるのはとても心強いですね。

鈴木様:顧客に選んでいただける理由は、手厚いサポート体制にもあると感じています。中でもサポートサイトは、それを端的に表すものではないでしょうか。本来はユーザー向けコンテンツなのですが、詳細に解説されているので提案にも活用しています。デモ環境で作り込むまでもない些細な問い合わせにも使えますし、実は私たち自身の商品知識の向上にも役立てています。

もちろん、ユーザーからの問い合わせ対応にも利用しています。

リクルートMSではサポートも承っているんですが、問い合わせの種類は操作方法と活用方法の2つに分かれます。サポートサイトで自己解決いただくケースが多いのか、操作方法に関する問い合わせはさほどなく、私たちからカオナビ社に問い合わせる場合も、スピード感を持って対応していただいています。その分、私たちの知見を生きる活用方法のサポートに専念できているんです。

制度設計から導入・運用サポート、活用までを一気通貫で支援してこそリクルートMSの価値をフルに提供できると考えているので、こうした「カオナビ」の特徴は非常にありがたいですね。

「カオナビ」のサポートサイト。サイトを確認するだけで不明点が解決できる、画像付きで分かりやすい構成になっている

対顧客、対パートナーとも手厚いサポート体制

顧客向けサポートの手厚さが、提案にも生きてくるんですね。

鈴木様:ええ。プロダクト、サポートともに品質が高いのは、粒度を問わず顧客の課題を解決し、やりたいことを実現できる「価値」を提供する姿勢の現れのように見えます。そうした面でも、カオナビ社とリクルートMSは目指すものが似ていると改めて感じます。コンサルティングやサービスは、提供する「価値」の一部、パーツだというスタンスですね。

定期的に開いている意見交換会でも、そうしたスタンスが窺えます。会議の場では、顧客からの声をリクルートMSから伝えるほか、開発の背景にある思想や、最近でいえばリブランディングの意図など、カオナビからも多様な情報が提供されます。創業者ご自身が人事出身で、現場で感じた課題の解決のために創業されたとは聞いていましたが、開発方針、サポート体制など、どれをとってもその「初心」に沿った一貫した思想が垣間見えます。ブレずに企業運営・サービス提供を続ける姿勢は、パートナーとして安心感がありますね。

牧園様:担当の方も対応が真摯で、とても頼りにしています。困難なオーダーがあっても、「できない」ではなく「どうすればできるか」と、常にポジティブなスタンスで相談に応じてくれるんです。ときに他部署の方もご協力をいただくこともあったりして、常に「並走してくれている」姿勢は、リクルートMSがバリューに掲げる「価値共創」を体現いただいていると感じます。

人事コンサルの案件は、実行、検証、計画とPDCAを回す形態で、そのスパンは年単位に及びます。当然、パートナーの皆さんとのお付き合いも長くなります。私たちがスタンスや思想への共感を重視する理由はここにあるんです。

“タレマネの民主化“に共に向き合っていきたい

カオナビとの協業で、今後、どういったことを進めていきたいとお考えですか?

牧園様:少し大きな話になりますが……タレントマネジメントは、「組織立った人材データの活用」ができている状態とも言い換えられると思います。仮にタレントマネジメントに習熟度があるとして、それを「タレマネ度」と呼ぶなら、日本企業の多くは、まだ4段階中の2段階目ぐらいにいると感じています。

1段階目は、紙とExcelでのデータ管理を卒業して、デジタルベースで一元管理ができている状態。2段階目は、集めたデータをある程度、人事業務に役立てられる状態。3段階目は、どこにどんな人がいて、何ができるかを把握し、適材適所に配置できる――従業員から見ると、異動選択の機会があって、社内公募、ハンズアップができる状態。そして4段階目は、人単位に加えてチームごとの能力把握ができ、意図通りにアサインができる状態、と考えています。

いま「4」まで実行できている日本企業はひと握りですし、どの企業でもできることではありません。ですが、知見を積み重ねてきたリクルートMSと、視座高く「個と組織」について考え続けるカオナビ社で、より高いレベルの“タレントマネジメントの民主化”に向けて、一緒に考えていきたいと思っています。

平島様:具体的な構想までは固めていないものの、やっていきたいと考えているのは、「カオナビ」というインフラにリクルートMSの持つサービスをアプリのように増やしていくということです。例えば、「タレマネ度4」の企業が増えたとして、転職の際に個人が組織を選ぶことができれば、それは理想に近い社会かもしれませんよね。その際、個人が磨くべき能力はなにか、それをどう、数値化できるか。そうした機能を現実に開発するかも含めて、一緒に検討・対話できる同志であり続けたいと思っています。

鈴木様:牧園が申し上げた「タレマネ度」の話は正直かなり視座が高く、ここまで高いレイヤーで考えてサービス開発に取り組んでいる企業はまだほとんどないのではないでしょうか。

データ一元化や業務効率化、配置検討といった顕在化しているニーズの解決に甘んじることなく、日本のタレントマネジメントの底上げの一翼を担うのはパイオニアであるカオナビ社だと思いますし、新しい価値観を見据えた最先端の研究・開発を一緒にできるのはリクルートMSだと考えています。働く人がより輝ける世界を目指して、今後も協業できればうれしいですね。