モチベーションとは? 仕組み、低下要因、マネジメント方法について

社員のモチベーションを上手に管理して個々人の生産性を高めることは、組織全体の活性化にもつながります。そのためには、制度の改革だけでなく社員の仕事に対する満足度を高めるコミュニケーション、正当な評価を行うことが大切です。

今回は、人事担当者や経営者が知っておくべきモチベーションに関する知識をまとめました。

  • モチベーションが変化する仕組み
  • モチベーションの低下要因やマネジメント
  • モチベーションに対して人事ができること

各モチベーション理論を参考にしながら、社員のモチベーションを上げる方法を理解していきましょう。

1.モチベーションとは?

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モチベーションとは、意欲をかきたてる「動機」のことです。

仕事でミスを連発してしまい、モチベーションが下がってしまう経験は誰でもあるでしょう。その状態で仕事に取り組んでも、またミスをしてしまうスパイラルに陥ることも。つまりモチベーションの向上は、個人のアウトプットや生産性を高める大切なポイントといえるのです。

「モチベーション管理」を行うことで、組織の活性化をはかることができます。その際に注意したいのが、モチベーションは一人ひとり異なる点。組織としての方向性や組織活性化と、個人のモチベーションをリンクさせ、実践で応用できるように導きましょう。

モチベーションの構成要素

モチベーションには、「外発的動機付け」と「内発的動機付け」からくるものがあります。

外発的動機付けからくるモチベーション

外発的動機付けとは「○○のために仕事をする」という目的意識から生まれるモチベーションのこと。嫌なこと、やりたくないことであっても、「お金のため」「生活のため」に働いているという人は少なくありません。

モチベーションを管理する側からすれば、わかりやすい概念ですね。極端な話、結果を出せば出すほど給与に反映するというシステムをつくれば、外発的動機付けは十分達成できます。

しかし、ダニエル・ピンク氏の著作『モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか』をはじめとしたいくつかの見解によると、外発的動機付けだけでモチベーションを上げることは難しいとされています。

外発的動機付けはモチベーションを短期的に上げる効果があるものの、長期的に見ると社員のやる気や柔軟な創造力を奪ってしまうのです。そこで重要になるのが「内発的動機付け」という考え方でしょう。

内発的動機付けからくるモチベーション

内発的動機付けとは「自分がやりたいからやる」という心のなかから湧きでるモチベーションのこと。人間は、ゲームやスポーツなど何かに夢中になると、驚異的な集中力と熱心さを発揮します。たとえ金銭的には1円も得しないとわかっていても、「楽しいから自分の時間と労力をそこに費やす」のです。

「好きこそものの上手なれ」という言葉もあるとおり、楽しむと細部までこだわることができますし、向上心の赴くままに成長します。たとえば子どもですと「テストが近いから勉強しなさい!」と怒られたもののなかなかやる気が出ない…といった状態がよく見られますが、それは心理的に当然のことなのです。

上記のような内発的動機付けを仕事に対して感じるようになれば、社員は自主的に目的を見いだして成長し、会社の業績も伸びていくでしょう。

外発的動機付けを刺激するためには、お金や地位などを対価にしなければなりません。永久に社員の給与を上げていくことができない以上、企業は内発的動機付けを刺激する方法を考えるとよいのです。

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2.モチベーションが変化する仕組み

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ここからは、人間のモチベーションがどのように変化するのか説明します。

人間の心理を説明する理論はさまざまありますが、今回解説するのは代表的なモチベーション理論である下記の2つです。

  • 「マズローの欲求5段階説」
  • 「期待理論」

マズローの欲求5段階説

アメリカの心理学者アブラハム・マズローは「人間の欲求は5段階のピラミッド状になっていて、基本的に低階層の欲求が満たされるとより上層の欲求を欲する」という理論を発表しました。

5段階の欲求は下から順番に、

  • 生理的欲求(食事や睡眠などの本能的な欲求を満たしたい)
  • 安全欲求(安全かつ安心な暮らしがしたい)
  • 社会的欲求(孤独ではいたくない)
  • 尊厳欲求(他人から認められたり尊敬されたりしたい)
  • 自己実現欲求(自分の能力を発揮してより良い自分になりたい)

と積み重なっています。

人間の欲求は低階層から段階的に満たされていく

「給与を上げる」ことは、5段階のなかでも「生理的欲求」を満たす行為です。そして、治安も良く、物理的にも社会的にも成熟している日本では、生理的欲求と安全欲求はほぼ満たされています。会社組織に属している以上、社会的欲求もある程度満たされるでしょう。

つまり、ただ給与を払うだけでは尊厳欲求を満たすことができないため、そこでモチベーションが停滞してしまうのです。

期待理論

では、どうやって社員の尊厳欲求を満たせばよいのでしょうか。そこで活躍するのが、V・H・ブルームが生み出し、L・W・ポーターとエドワード・E・ローラー三世が発展させた「期待理論」です。

努力、成果、魅力の掛け合わせでモチベーションが変動する

期待理論を簡単に説明すると「努力したことで得られる成果が魅力的であれば人はやる気になる」というもの。

人間には向上心があるので、努力した結果が報われる(成果が手に入る)ことがわかっていれば努力できます。さらに、努力の結果手に入る成果が自分にとって魅力的なものであれば、長期的にモチベーションを維持できるわけです。

3.モチベーションの低下要因

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モチベーションの低下に影響する要素は9種類あります。モチベーションが下がることによる悪影響とともに見ていきましょう。

  1. 人事制度
  2. 成果主義
  3. 年功序列制度
  4. 組織への忠誠心
  5. 人事評価への不満
  6. 業績低迷
  7. 努力への評価
  8. 業績悪化と給与・賞与の減少
  9. 人件費の削減

人事評価時の面談・フィードバックによって社員のやる気を引き出したいと考えています。何か良いやり方、進め方はありますか?
「人事評価は、仕事に対してどれだけ応えたかをデータ化したものであり人格を判断しているものではない」と伝えましょう。 そうすることで社員に、 なぜ評価が低かったのか どうすればよくなるか と根拠をも...

①人事制度の変化

かつて日本の企業は、終身雇用や年功序列制度など安定的な人事制度を取り入れていました。しかし、みなさんご存じのとおり、バブル崩壊後の1990年頃からはアメリカ型の成果主義を導入する企業が急増しています。

社員から見ると「立場」や「給与」は社会的な自分の価値を示す一種のものさしです。企業にとっては人事制度変更によるメリットがあります。しかし、評価されづらくなった社員にとってはモチベーションが下がるきっかけにもなりうるでしょう。

②成果主義への移行により、給与制度が変更

成果主義は結果を出せる人のモチベーションを上げる一方そうではない人たちのモチベーションを下げることになりかねません。好調不調の波で給与が安定しなければ不安になりますし、直接売り上げに関係しない部署で働いている社員のモチベーションも上がりづらいでしょう。

③年功序列的にポストが上がっていくとは限らない

年功序列賃金制には、「長年頑張っていればポストが手に入る」というメリットがありました。地位が上がれば社員の尊厳欲求は満たされたのです。

しかし、昨今は景気の悪化などにより経営の効率化が進められるようになり、年功序列制度を廃止する企業が増えています。

年功序列制度がない社内では、限られたポストの奪い合いに脱落した人たちの尊厳欲求を満たすことはできません。企業としては昇進以外に社員の欲求を刺激できる手段を用意する必要があります。

④組織への忠誠心がなくなる

5段階の欲求に安全欲求があるように、人間は安定を好む生き物です。心理学にも「一貫性の原理」という法則があり、人間は一度こうだと決めたことを変更したくないという心理を持つことがわかっています。

安定を好むからこそコロコロと人事制度が変わってしまうと組織への忠誠心を失ってしまうのです。会社に対する忠誠心がなくなれば、人間関係も希薄になって離職率も高まるでしょう。

⑤人事評価への不満

人事評価への不満、つまり「頑張っても評価されない」ことへの不満は、転職理由でも上位に入ります。

⑥業績低迷により、仕事の達成感が得にくくなる

仕事の量や規模が小さくなって、社員が「やりがいがない」と感じてしまった場合、モチベーションは上がりません。

また、業績を改善するために大幅な組織改革を行った結果、社員が不信や不満を抱きモチベーションが低下した・・・という場合もあります。

社員のモチベーションが低下すれば、ますます業績が悪化してしまうでしょう。業績が低迷している場合は、制度の改革よりも上司の「大変な状況だけど君のおかげで良くなってきているよ」などちょっとした言葉で社員のモチベーションを上げていくことが大切です。

⑦仕事の成果を認められず、不満がたまる

社員が会社に不満を感じるのは、「自分は頑張っているのに会社が評価してくれない」「自分より頑張っていないと感じている人が評価されたとき」などです。

社員にとって大切なのは、「努力したら公平に評価してもらえる」と感じることができるかどうか。不満を放置すると離職の原因になることもあります。社員の気持ちを理解して、こまめに尊厳欲求を刺激しましょう。

⑧業績悪化の影響で、ボーナスや給与が下がる

給与や賞与の減少は社員のモチベーションをダイレクトに低下させます。また、生理的欲求を不足させるため、尊厳欲求を刺激してもモチベーションを保てません。

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⑨人件費の削減は社員にとってマイナスイメージ

人件費を削減すると、理由はどうあれ社員のモチベーションは下がります。ノー残業デーを増やす、強制的な飲み会を禁止するなど、給与を下げる場合は社員にとってメリットのある付加価値を考案しましょう。

4.モチベーションマネジメントの方法

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「動機付け」を行うことで、モチベーションを上げる効果が期待できますので、目標を設定しましょう。目標は明確に、また大きな目標とステップを踏むための到達可能な小さな目標の2種類を設定することが望ましいです。

たとえモチベーション研修を行っても、周囲のモチベーションが低いままでは、徐々に仕事への意欲が低下します。モチベーション研修の際チーム単位など周辺の社員と同じタイミングで研修を行いフォローと環境の整備をしましょう。

上記のように、モチベーションを上げるためには、自己肯定感を高める、モチベーションの高い仲間が集まる環境に身を置くことなどが大切なポイント。また、部下のモチベーションを上げる際には、信頼関係を構築することも必要不可欠です。コミュニケーションをしっかりと取り、チーム全体のモチベーションを向上させましょう。

モチベーションを上げるためには、職務満足を上げる必要がある

企業が社員のモチベーションマネジメントを行う上で、もうひとつ知っておきたいことが「ハーズバーグの二要因理論」です。

アメリカの臨床心理学者であるフレデリック・ハーズバーグは仕事に対する満足感を決める要因と不満足感を決める要因はそれぞれ違うものということを突き止めました。それが「動機付け要因」と「衛生要因」です。

動機付け要因

動機付け要因とは、仕事の満足感を上げるために必要な条件のこと。目標の達成や仕事の権限を委譲することでモチベーションを高められます。

具体的な方法としては、

  • 頑張れば達成できる程度の目標を設定する
  • 「責任は取るから自分の裁量で自由にやってみなさい」と仕事の権限を委譲する

などが挙げられます。

ただし、部署やチームのメンバー内でモチベーションにばらつきがある場合、全体のモチベーションが低下しやすいです。モチベーションのマネジメントをするときはチーム単位など集団で行うようにしましょう。

衛生要因

衛生要因は、仕事に不満を感じる条件のことで主に給与や待遇面の条件を指します。

人間が「尊厳欲求を満たしたい」と感じるためには、より低階層に位置する「生理的欲求や安全欲求、社会的欲求」が満たされている必要があります。これらが低いと仕事に不満を感じてしまうので、企業は積極的に人間関係や給与面の改善を図りましょう。

5.モチベーションを上げるために人事ができること

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具体的なモチベーションマネジメントの手法として、ここまで紹介してきた理論の使い方をいくつかご紹介します。

適切に人材配置を行う

同じ仕事をするメンバー同士の人間関係がギスギスしていると、仕事に対して不満足感しか生まれません。社員の人間関係にも配慮した上で人材を配置する必要があります。

また前述したように、周囲の社員が持つモチベーションからも影響を受けるため、基本的にモチベーションが高い人同士でチームを組ませるとよいでしょう。そうすることで、社員のモチベーション低下を防ぐことができます。

人事評価制度を充実させる

社員から見て、「頑張れば評価してもらえる」人事評価は、モチベーションを高めます。社員が成果を出したときの金一封や給与を決める際のプラス査定に加えて、成果が出せなくても貢献度や努力などの過程に応じて社員を評価できるシステムを導入しましょう。

社員ごとの貢献度を数値化して情報を共有すれば、人事や経理など直接関わりのない部署からも社員を評価してもらえます。

社員と企業方針の共有を図る

一社員の視点と管理職、経営者の視点はもちろん異なるものです。管理職や経営者からすれば当然のように理解している企業方針でも、社員は思ったほど理解していないこともあります。

  • 個々の社員が取り組む仕事が会社としてどう役立っているのか
  • なぜ自分の仕事が必要なのか
  • この会社は何のために存在する企業なのか
  • どれだけ社会に貢献しているのか

上記のような企業方針などを各社員が理解できる機会を作りましょう。仕事のやりがいを向上させることができます。

非金銭的インセンティブの導入など

社員の成果や努力に対して金銭的な報酬を与えるだけでは、長期的なモチベーション管理ができません。ハーズバーグの二要因理論における動機付け要因を満たすために非金銭的なインセンティブを導入するのもよいでしょう。

  • 上司やチームリーダーが積極的に社員を褒める
  • 「この仕事を成功させたら、つぎのプロジェクトは全面的に一任する」と期待を伝える
  • 社員がやりたいといっていた仕事や、仕事につながる研修を任せる

上記のような行動を通じて、仕事の満足感を高めましょう。

6.組織活性化とモチベーションアップ

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組織を活性化するには、社員のやる気を引き出すだけではなく、相互活力を高めることが必要です。社員一人ひとりにあった行動計画を立て、セルフマネジメントを行えるように導きましょう。

また人事は管理職を含んだ全社員のパートナーとして上司との関係に悩む社員や部下の扱いに悩む上司に対する人事施策・教育施策などを行うことが大切です。その際には、より実践的に満足を得られる要因を分析してモチベーションの要因を明確にし、組織活性化と個人のモチベーションがつながるよう心がけましょう。

モチベーションは、研修や教育を行っていても日々のなかで低下してしまうもの。研修や教育後にフォローを行うことも、モチベーションの維持に欠かせない大切なポイントです。

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