中小企業の人事評価制度とは? 導入メリットや進め方、事例を解説

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中小企業において、人事評価制度は従業員の成長を促し、企業の持続的な発展を支える重要な仕組みです。しかし、人手不足のため制度の整備が難しかったり、導入しても継続的な運用が課題となったりすることが少なくありません。そのため、十分に普及していないのが現状です。

この記事では、中小企業が人事評価制度を導入すべき理由や現状を踏まえ、適切な導入のタイミングや具体的な構築方法を詳しく解説します。また、導入成功事例や活用しやすいツールも紹介するので、自社に合った制度づくりの参考にしてください。

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1.なぜ中小企業に人事評価制度が必要なのか?

大企業のように豊富な経営資源を持たない中小企業にとって、優秀な人材の確保は重要な経営課題の一つです。実際、多くの企業が人材不足に直面しており、効果的な人事施策の導入が求められます。

ここでは、中小企業において人事評価制度が必要とされる主な理由を4つ紹介します。

①従業員を公平に評価するため

人事評価制度を導入すると、評価の基準や方法が明確になり、誰が評価しても一貫した結果を得られます。これにより、評価者による判断のばらつきを抑え、従業員間の不公平感を解消できます。

中小企業では特に、従業員一人ひとりの働きぶりが目立ちやすく、評価が偏るリスクがあります。しかし、明確な基準を設けることで公正な評価が可能です。その結果、従業員の不満が減り、職場の風通しも良くなるでしょう。

②一人ひとりのパフォーマンスを向上させるため

中小企業では、一人ひとりの成果が会社全体の業績に大きく影響するため、個々のパフォーマンス向上が欠かせません。

人事評価制度の活用によって、それぞれの強みや課題が明確になり、適材適所の配置が可能です。さらに、目標設定やフィードバックを通じて、自身の成長に向けた具体的な行動ができ、業務の効率化にもつながります。

③上司と部下のコミュニケーションを促進するため

人事評価制度では、上司と部下の間で定期的な面談やフィードバックが行われます。従業員は自分の業務に対する評価や期待される役割を直接把握でき、モチベーション向上につながります。

一方で、上司にとっても部下の考えや悩みを理解するきっかけとなり、適切なサポートや指導が行いやすくなるでしょう。

特に、中小企業は従業員数が限られるため、不満やトラブルが生じると組織全体へ影響が広がります。だからこそ、公正に評価しながら、日頃のコミュニケーションを促進し、部下との信頼関係を深め、組織の一体感を高めることが重要です。

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④定着率を上げ、採用コストを下げるため

適切な評価制度があると、従業員は「自分の働きが適切に評価されている」と感じ、仕事への意欲や満足度が高まります。その結果、離職を防ぎ人材の定着につながります。

特に中小企業では、新規採用や育成に十分なコストをかけるのが難しいため、既存の従業員が長期にわたり働ける環境が不可欠です。

適正な評価によって従業員のモチベーションを維持し、経営資源をより効率的に活用しましょう。

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2.中小企業における人事評価制度の実態

中小企業における人事評価制度の導入状況は、企業規模によって大きく異なります。

2022年に株式会社帝国データバンクが実施した「中小企業の経営力及び組織に関する調査研究」によると、従業員数5~20人の企業で人事評価制度を導入している割合は、35%と低い状況でした。

一方、従業員数101人以上の企業では87.2%が導入しており、企業規模が大きくなるほど導入率が高まる傾向です。

  

出典:中小企業庁「令和 3 年度中小企業実態調査委託費中小企業の経営力及び組織に関する調査研究報告書

小規模企業で人事評価制度の導入が進まない主な理由として、「従業員が少なく、経営者が全従業員の状況を把握しているため」が82.2%と最も多く挙げられています。また、「制度を設けても運用が困難であるため」との回答も14.8%に上り、制度の運用面での課題も浮き彫りとなっています。

出典:中小企業庁「令和 3 年度中小企業実態調査委託費中小企業の経営力及び組織に関する調査研究報告書

しかし、人事評価制度を導入している企業は、導入していない企業に比べて、売上増加率が高い傾向があります。

これは、適切な人事評価制度が従業員のモチベーション向上や業績アップに寄与し、結果として企業の成長につながる可能性を示唆しています。

出典:中小企業庁「令和 3 年度中小企業実態調査委託費中小企業の経営力及び組織に関する調査研究報告書

中小企業においても、限られたリソースの中で、人事評価制度の導入が求められます。

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3.中小企業が人事評価制度を取り入れるメリット

中小企業が人事評価制度を取り入れることで、以下のメリットがあります。

  • 評価基準の統一による公平性の確保
  • 人事評価プロセスの効率化
  • 従業員の成長促進と人材育成の強化
  • 人材不足の改善

評価基準の統一による公平性の確保

人事評価制度の導入によって、評価基準が明確になり、主観的な判断が防げます。

例えば、評価者が普段から従業員の仕事ぶりをよく把握していれば、日頃の姿勢や努力も考慮した評価が行われるでしょう。しかし、それらを十分に理解していない評価者が担当すると、公平性を欠いた厳しい評価になる可能性があります。

評価の基準が統一されていないと、従業員の不満につながり、会社への信頼を損なう原因にもなりかねません。公平な評価は、従業員の納得感を高めるためにも大切です。

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人事評価プロセスの効率化

人事評価には時間がかかり、特に基準が曖昧な場合、効率が下がります。従業員が増えるほど評価する際の負担が大きくなるでしょう。

統一された評価基準と明確なプロセスを設定すれば、評価作業の時間を短縮でき、業務の効率化が図れます。特に中小企業では、人事評価に割けるリソースが限られているため、評価制度の合理化で管理者の負担を軽減できるだけでなく、その他の人材育成や組織強化などにもリソースを割けるようになります。

従業員の成長促進と人材育成の強化

人事評価制度は、人材育成の強化にもつながります。特に、昇給や昇格の基準が明確であれば、従業員の意欲向上が期待できるでしょう。

明確な評価基準を設けることで、昇格に向けて取り組むべき課題や昇給に必要なスキルが把握でき、目標を意識しやすくなります。その結果、従業員はスキル習得や業務改善に主体的に取り組めるようになり、人材育成の効率も高まります。

人材不足の改善

適正な人事評価を行い、従業員のモチベーションを維持できれば、長く働く人が増え人手不足の解消が期待できます。

また、人事評価制度が整っていると、新たな人材の採用にもプラスに働きます。求職者の中には、入社後の成長機会や昇進の仕組みを重視する人も多いため、評価制度の明確な基準があることが魅力となるでしょう。適正な評価を受けられる環境は応募の動機づけとなり、入社後の安心感にもつながります。

これらのメリットを踏まえると、中小企業においても人事評価制度の導入は、組織の成長と従業員の満足度向上に貢献する重要な施策といえるでしょう。

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4. 中小企業が人事評価制度を導入する基準と目安

中小企業が人事評価制度を導入する際の基準や目安として、以下のポイントが挙げられます。

  • 従業員数が50人以上になったとき
  • 社内制度を見直すとき
  • 自社に合った人材を採用・定着させたい

従業員数が50人以上になったとき

従業員数が50人を超えると、経営者や管理職が全ての従業員の業務状況を直接把握することは難しいでしょう。そのため、統一された評価基準を持つ人事評価制度の導入がおすすめです。

また、従業員数が50人以下でも、管理職が5人以上の部下を抱える場合、評価の公平性を確保するために制度化が推奨されます。

社内制度を見直すとき

企業の成長や環境の変化により、従来の社内制度が現状に対応できなくなる場合があります。こうした状況下で人事評価制度を導入・再検討すれば、組織の柔軟性が向上し、従業員のスキルアップや適切な人材配置が望めます。

さらに、企業が成長するには、従業員の意識や働き方の改善も不可欠です。従業員一人ひとりの考え方や行動の変化によって、組織全体がより良い方向へと進んでいくでしょう。

自社に合った人材を採用・定着させたい

人事評価を通じて企業が求める社員像や評価基準が明確になれば、採用活動の際にそのビジョンをわかりやすく伝えられます。

また、企業の方針に共感する応募者をより多く集められ、採用の精度が向上するでしょう。

企業は自社に合った人材が採用でき、入社する側も「想像していた会社と違う」と感じるミスマッチを防げます。その結果、新しく入社した社員は企業の方向性を理解し、安心して働けるため、離職のリスクも低くなるでしょう。

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5.中小企業が人事評価制度を導入する際の方法

中小企業が人事評価制度を導入する方法として、自社で構築する方法と専門のコンサルティング会社に依頼する方法があります。それぞれのメリットとデメリットを以下にまとめます。

自社で人事評価制度を構築する

人事評価制度の導入を検討する際、まずは自社で進めようと考える企業も多いでしょう。ここからは、自社で制度を構築する場合のメリットとデメリットを確認しましょう。

自社で行うメリット

自社で人事評価制度をつくるメリットには、以下の点が挙げられます。

  • 外部に依頼するよりもコストが抑えられる
  • 企業の規模、業種、経営理念に合わせた制度が設計できる
  • 社内の状況や環境の変化に柔軟に対応しやすい

自社で行うデメリット

一方で、自社で人事評価制度をつくる場合、以下のデメリットがあります。

  • 適切な制度の設計が難しい
  • 制度の構築に時間と労力がかかる
  • 人事評価に関する専門知識が求められる
  • 客観的な評価基準の設定が難しい

特に、評価基準の策定や運用マニュアル作成には専門知識が必要です。初期段階で方向性を誤ると長期的な影響が出るため、慎重な検討が求められます。そのため、専門のコンサルティング会社に依頼する企業も増えています。

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専門のコンサルティング会社に依頼する

人事評価制度の構築を専門のコンサルティング会社に依頼する場合にも、メリットとデメリットがあります。それぞれ具体的に解説しましょう。

コンサルティング会社に依頼するメリット

専門のコンサルティング会社に依頼するメリットは、以下のとおりです。

  • 自社で設計するよりもスムーズに導入できる
  • 人事評価制度に精通した専門家のアドバイスを受けられる
  • 外部の視点から客観的な評価基準を設定でき、評価の偏りを防げる
  • 最新の人事評価に関する知識やトレンドを取り入れられる

導入を成功させるためには、コンサルタントと綿密に打ち合わせを行い、自社のニーズや方針を明確に伝えましょう。

コンサルティング会社に依頼するデメリット

専門のコンサルティング会社に依頼する際のデメリットも理解しておくことが大切です。

  • 専門家に依頼するため、コストがかかる
  • 自社の実情に適さない制度になるリスクがある
  • 導入後のサポートが十分でない場合がある

複数の業者から見積もりを取り、事前にどの程度のカスタマイズが可能か、導入後のフォロー体制が整っているかなどを確認した上で、最適な業者を選ぶことがポイントです。

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6.中小企業における人事評価制度導入の進め方

中小企業が人事評価制度を導入する際には、以下の手順に沿って進めるのが効果的です。

  1. 企業理念・ビジョンを確認する
  2. 目的・目標を明確にする
  3. 等級レベルを設定する
  4. 評価基準を設定する
  5. 評価方法を決める
  6. 評価シートを作成する
  7. 実際に運用・改善を行う

各ステップを詳しく解説します。

①企業理念・ビジョンを確認する

まず、企業の理念やビジョンを再確認しましょう。これらは組織の目指す方向や大切にする価値観を示すものであり、人事評価制度の土台となります。

理念やビジョンの明確化によって、従業員に共有したい目標や行動の基準が定まり、評価制度の一貫性が保たれます。その結果、納得感のある運用が可能です。

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②目的・目標を明確にする

次に、人事評価制度を導入する目的や目標を具体的に設定します。

例えば、「従業員のモチベーション向上」「業績の向上」「人材育成の強化」など、企業が達成したい成果を明確にしましょう。

明確なゴールを設定してから進めることで、評価制度の設計や運用がスムーズに進みます。

③等級レベルを設定する

役職ごとに、一般社員、リーダー、マネージャーなどの分類を行います。組織の規模に応じて、さらに細かい等級(グレード)を設定してもよいでしょう。

等級制度は、職務の難易度や責任の大きさに基づいて分類され、昇進や昇格の基準としても活用できます。等級ごとに求められるスキルや成果を明確に定めることで、客観性が高まり、公平な評価につながるでしょう。

④評価基準を設定する

各等級や職種に応じた評価基準を策定します。人事評価の主な基準として、以下の3つがあり、各項目は5段階評価を使用するのが一般的です。

  • 業績評価:成果や目標達成度を評価する
  • 能力評価:業務に必要なスキルや能力を評価する
  • 情意評価:仕事への姿勢や意欲を評価する

これらの評価基準は、企業の方針や目的に合わせたバランスの調整が大切です。必ずしも均等に配分する必要はなく、自社にとって最適な比重を考えることで、より効果的な評価制度を構築できます。

例えば、事業拡大を目指す場合は、成果を重視した業績評価を中心に据えることも一つの方法です。

また、組織の風土や求める人材像に応じて、能力評価や情意評価の比重を調整します。適切な評価基準の設定は、従業員の成長を促し、企業全体の発展につながります。

⑤評価方法を決める

続いて、評価の方法を決定します。代表的な人事評価の方法には、以下があります。自社の方針や目的に応じて、複数の手法を組み合わせると効果的です。

  • 目標管理制度(MBO)
  • コンピテンシー評価
  • 360度評価

多くの企業が導入しているのが目標管理制度(MBO)です。これは、従業員が自ら目標を設定し、その達成度に基づいて評価する手法です。評価の透明性が高く、従業員が納得する結果につながるだけでなく、主体性を伸ばす効果も期待できます。

コンピテンシー評価は、優秀な従業員の行動特性をモデルとして設定し、それと照らし合わせて同じような行動が取れているかどうかを基準に評価する方法です。企業が求める人物像を明確に示せるため、組織の方針に沿った評価にも適しています。

360度評価は、上司だけでなく同僚や部下など複数の関係者から評価を受ける方法です。一人の評価に偏らず、多角的な視点で判断できるため、客観性が保たれます。

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⑥評価シートを作成する

評価基準、評価方法まで決定できたら、個人ごとの目標を反映した評価シートを作成しましょう。

評価シートは、目標や具体的な行動、評価や点数などを記載しやすいように設計し、人事評価に役立てます。評価シートのテンプレートを用意しましたので、ぜひ参考にしてください。

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<情意評価シートのサンプル>

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⑦実際に運用・改善を行う

目的や目標を設定し、評価基準と手法が確定したら、実際に制度を運用します。多くの企業では、年1回または半年に1回のペースで人事評価を行います。しかし、従業員数が少ない中小企業では、四半期ごとや必要に応じて頻度を増やすことも有効です。無理のない範囲で、人事評価を効果的に活用しましょう。

また、運用中に発覚した課題や問題点は、定期的に見直し、制度の改善を図ります。従業員からのフィードバックを積極的に取り入れることで、評価制度の効果をより高められます。

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7.中小企業における人事評価制度導入のポイント

中小企業が人事評価制度を導入する際には、以下のポイントを押さえましょう。

従業員の納得を得る

人事評価制度を円滑に運用するには、従業員の理解が必要です。制度にはさまざまなメリットがありますが、全員がすぐに受け入れるとは限りません。例えば、給与の減少を心配し、導入に否定的な意見を持つ従業員もいるでしょう。

そのため、運用前に全従業員向けの研修や説明会を実施します。その場では、目的や仕組みを丁寧に説明し、納得してもらえるよう努めます。

従業員が制度の意義を理解すれば、より積極的な行動が望めます。さらに、適切な運用によって、組織全体の成長につながるでしょう。

シンプルで分かりやすい制度にする

人事評価制度は、誰もが理解しやすい内容であることが大切です。評価者だけでなく、すべての従業員が制度の仕組みを把握していなければ、適切な運用は困難です。

特に、評価基準や待遇に関わる部分は、公平性を保つためにも明確に伝えます。そのため、導入時には専門的な言葉を避け、わかりやすい表現で説明しましょう。従業員の理解を促すことにより、スムーズな運用が期待できます。

フィードバックを行う

人事評価を実施しても、フィードバックがなければ効果を十分に発揮できません。評価結果を伝える際には、その根拠や今後期待されること、改善点を具体的に説明することで、従業員は自身の課題や目標を明確に理解できます。

評価が単なる賃金や待遇を決める手段になると、従業員の成長やモチベーション向上にはつながりません。人事評価の目的である従業員のパフォーマンスや定着率向上を実現するためにも、面談を通じた適切なフィードバックを継続的に行いましょう。

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評価者の教育を行う

評価者の主観が評価に影響を与えることは避けるべきです。不公平な評価は従業員の不満を招き、組織の信頼を損なう原因にもなります。

そのため、評価者向けの教育や研修を実施し、目的や評価基準の正しい理解、効果的なフィードバックの方法などを習得させましょう。これにより、評価者の認識を統一し、公平かつ一貫性のある評価が可能です。

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人事評価システムの導入を検討する

中小企業では、限られたリソースの中で効率的に評価業務を進める必要があるため、人事評価システムの導入を検討することも有効な方法です。

このシステムを活用すれば、評価データを一元管理できるほか、進捗状況を可視化できるため、管理業務の負担が軽減されます。

また、評価結果の分析やレポート作成もスムーズに行え、より戦略的な人材マネジメントに活かせます。これにより、評価制度の運用がより効果的に進むでしょう。

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8.中小企業の人事評価制度導入事例

さいごに、中小企業が人事評価制度を導入した事例として、以下2社の取り組みを紹介します。

  • 大浦貴金属工業株式会社
  • 株式会社ふらここ

大浦貴金属工業株式会社

大浦貴金属工業株式会社は、貴金属加工品や貴金属化成品の製造・販売を手掛ける企業です。

1963年の創業以来、安定した成長を続けてきましたが、事業の拡大に伴い人材の安定確保が課題となりました。そこで、求める人材像を明確にし、経験者採用を積極的に活用しています。

具体的には、メインバンクから紹介された人事労務の専門家を採用し、人事評価制度の構築を依頼しました。この取り組みにより、求める人材像と連動した人事評価制度の設計・運用に成功しています。

このように評価を単なる査定の手段ではなく、従業員の成長を促す仕組みとして定着させることで、従業員の理解も深められるでしょう。

さらに、明確な人材像の設定によって、企業の方針に合う応募者がより多く集まり、安定した人材確保につながっています。

参照:中小企業庁「中小企業・小規模事業者の人材活用事例集

株式会社ふらここ

株式会社ふらここは、雛人形や五月人形の企画・制作・販売を行う企業です。

販売が軌道に乗るにつれ、人材の確保や社内体制の強化が課題となりました。そこで、採用・育成・評価を公正に行うための制度を整備しています。

具体例は、全従業員が関与し、約1年をかけて評価制度や研修体系、福利厚生制度をまとめた「人事の手引き」を作成した点です。自分たちで制度を作ることで納得感が生まれ、運用に対する満足度も向上しました。

また、業務の属人化を解消するため、マニュアルを作成し、作業の可視化と効率化を進めています。

このように働きやすい環境を整えたことで、メイン顧客層と同じ属性を持つ女性従業員の採用が増加し、女性目線を活かした商品企画が可能になりました。これが売上の拡大にもつながっています。

参照:中小企業庁「中小企業・小規模事業者の人材活用事例集

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人事評価制度 中小企業のQ&A

中小企業の人材不足は深刻化しています。採用した人材の育成に力を注ぎ、一方で職場定着を促すための評価体制の構築が求められます。 離職率を低く維持するには、評価に対する満足感や納得感の向上が第一です。社内アンケートなどで定期調査し、組織の状況に合わせ人事評価制度を常に更新しましょう。 また、評価結果を人材育成や能力開発に活かすための仕組みづくりにも注力するとよいでしょう。
評価対象の従業員の数が多い組織では、年次評価といった評価対象期間が長い制度が設計されやすくなります。 一方でスタートアップやベンチャーなど、組織規模が小さい企業のビジネス環境は変化が目まぐるしく、半年や一年といったロングスパンの評価では、運用しにくくなります。また、成長志向の人材も集まりやすく、四半期や月次といった短いサイクルでフィードバックを実施し、人材育成を強化している組織も多く見られます。
限られた資源のなかで定期的に運用される中小企業の人事評価制度は、評価業務の効率化が欠かせません。 中小企業向けの人事評価システムを導入すると、評価業務を1/10に削減できる、ペーパーレス化できる、人的ミスがなくなる、などのメリットを得られます。 数多くの中小企業から人事評価システムとして利用されているカオナビは、利用人数に応じた月額料金設定で、低コストで導入できます。