人事評価制度が失敗する8つの原因とは? 失敗例と対策を解説

人事評価制度が失敗すると、組織の課題解決どころか社員の離職やモチベーション低下につながってしまうことがあります。

この記事では、

  • 人事評価制度の失敗例
  • 8つの原因と対策
  • 目標管理制度(MBO)や360度評価の失敗例

について解説します。

1.人事評価制度の失敗とは?

人事評価制度を導入したにもかかわらず、「導入のねらいが達成できていない」「想定していなかった問題が出てきた」という悩みを抱えている企業も多いのではないでしょうか。

人事評価に満足している人は20%以下というデータもあり、人事評価制度の失敗が社員の不満や退職の原因になるケースもあります。

原因をそのまま放置すると人事評価制度が失敗に終わる可能性が高まります。人事評価制度がうまくいっていない原因を、制度の問題・導入の問題・運用の問題の3つに分け、改善していきましょう。

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2.人事評価制度の失敗例

人事評価制度が失敗していると、次のような状態が引き起こされます。

  • 社員のモチベーションが下がっている
  • 退職者が増えている
  • 現場に負荷がかかって継続ができなくなった
  • 評価者によって評価にばらつきが出ている
  • 制度が形骸化して機能しなくなっている

複数当てはまる項目がある場合、人事評価制度に原因があるかもしれません。

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3.人事評価制度が失敗する原因と対策

人事評価制度が失敗する原因を、制度・導入・運用の3つに分けてご紹介します。対策と一緒にご紹介していますので、人事評価制度改善の参考にお役立てください。

  • 制度に問題がある
    • 経営戦略と紐づいていない
    • 等級制度や報酬制度との連動がうまくいっていない
    •  評価基準があいまいになっている
  • 導入に問題がある
    • 導入意図が現場に伝わっていない
    •  検証しないまま全社導入した
  • 運用に問題がある
    • 運用に大きな負担がかかっている
    • 評価者が適切に評価できていない
    • フィードバックの質が低い

制度に問題がある

経営戦略と紐づいていない

人事評価制度が経営戦略と紐づいていないと制度が形骸化しやすくなったり、社員の成長を阻害する要因となります。

よくあるのが、経営陣と人事が連携を取れていないパターンです。「人事評価制度を導入する」ことが目的となってしまい、経営戦略と関連しない評価制度を採用してしまうのです。

経営戦略を達成する人材が育たず、費用対効果が低いどころか企業の業績ダウンにつながる場合もあります。

対策:戦略人事の観点を持ち、経営と人事が連携する

社員に「どのように成長してもらいたいのか」を具体的に提示する指標となるのが人事評価制度です。経営戦略にもとづいて、どのような目的で導入し、何を重視して評価するのかを明確にすることが大切です。

事業目的を達成するための「戦略人事」の観点を取り入れながら、経営陣と人事が連携して作成しましょう。

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等級制度や報酬制度との連動がうまくいっていない

人事評価制度は、独立して機能するものではなく、報酬制度・等級制度と連動して機能します。

処遇に関わる等級制度や報酬制度と人事評価制度の関連に納得性がないと、社員の不満やモチベーションの低下につながってしまいます。

成果主義や実力主義を掲げるならば、等級制度や報酬制度との連動は必要です。

対策:公平性と納得性を重視し、等級制度や報酬制度と連動させる

社員の納得性を高めるために、結果や努力には公平に報いる制度が必要となります。評価結果を給与や処遇に反映させたり、ボーナスの査定を評価ランクに応じた支給率にするなどの対策があります。

支払い能力がない場合は納得性を高めることにフォーカスし、表彰制度などの非金銭的な報酬制度を取り入れましょう。

評価基準があいまいになっている

評価基準があいまいな場合、評価者の主観が入り評価エラーが起きやすくなります。評価理由の客観性を欠き、公平な評価ができるかどうかは評価者のスキルに大きく左右されます。公平性と納得性がない評価は社員の不満につながってしまうため、対策が必要です。

一つの原因として、評価基準の中に「(期待・目標を)大きく上回っている」「やや上回っている」など、あいまいな表現が入っているパターンが考えられます。

対策:評価者と認識のすり合わせを行う

評価基準にはある程度のゆとりを持たせておいた方がよい場合もあるので、完璧に数値化しようとする必要はありません。

対策としては、

  • 評価者説明会で例を出しながら説明する
  • 客観的な事実をもとに評価を行うよう促す

など、評価者と評価基準のすり合わせを行っておくことが有効です。

導入に問題がある

導入意図が現場に伝わっていない

導入意図が現場に伝わっていないと、社員は負荷が増えただけだと感じてしまいます。また、目的意識が薄れ制度が形骸化する原因にもなります。

対策:導入前には社員説明会を開く

評価制度を新たに導入したり変更する場合は、社員説明会を開きましょう。経営戦略と関連した説明ができると社員の納得感が増します

人材育成のために必要な投資であることを説明し、現場からの理解を得ることが大切です。

検証しないまま全社導入した

実際に運用可能かどうかを検証しないまま全社導入してしまうと、想定外の問題が生じることがあります。

とくに、社員が多い企業では人事がトラブル対応に追われる可能性があり、さらに負荷がかかってしまうでしょう。

対策:工数を検証し、テスト運用する

制度の導入前には必ず、実際の運用フローや工数をブレイクダウンし、あらかじめ現場のリソースと照らし合わせ、現実的に運用可能かどうか確認しましょう。

社員が多い企業の場合、一部の部署でスモールスタートをしたり、一定期間テスト運用をするのがオススメです。

運用に問題がある

運用に大きな負担がかかっている

評価制度の大きな課題といえるのが運用の人的負担です。人事評価は、経営者・現場の両方に大きな負担をかけることになります。

組織の運用キャパシティを超えた評価制度を導入すると、継続できず頓挫してしまい、人事評価制度が失敗する原因となります。

対策:システムを導入し人的コストを減らす

運用には社員と人事それぞれに定期的に次のような手間がかかります。

  • 社員…目標設定、評価、面談
  • 人事…評価シートの作成、配布、回収、進捗確認、ファイリングなどのデータ管理

運用の人的コストを減らすには、人事評価システムを導入し、配布や回収、進捗管理、データ管理を自動化しましょう。

人材データベース機能のあるシステムなら、評価が自動的に人材情報に紐づくので、評価結果をマネジメントに活用しやすくなります。

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評価者が適切に評価できていない

評価者が人事評価エラーを正しく理解しておらず、主観の入った評価をしてしまうと適切な評価ができません。納得性がなくなり、社員の不満の原因となります。

評価についての知識や経験が浅い場合に起こりやすくなります。

対策:評価者研修を行う

評価者の知識や経験が浅い場合は、評価者研修で知識を身につけた上で精度を高めていく取り組みが必要です。評価者には、次のような幅広いスキルが求められます。

  • 適切な目標設定
  • 目標達成に導くマネジメント能力
  • 公平な評価スキル
  • 評価面談のスキル
  • 評価エラーへの理解

評価者研修では、座学やロールプレイングを通じて評価者としてのスキルを高められます。自社に講師を招いたり、外部研修に参加させるなどの対策を行いましょう。

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フィードバックの質が低い

フィードバック面談を実施していなかったり、評価理由を客観的に伝えられていないなど面談の質が低いと納得感を欠き、社員のモチベーション低下の原因となります。

対策:フィードバックの型を使って納得度を高める

フィードバックを実施していない企業は、まずはフィードバックを導入するところから改善していきましょう。

フィードバックには、

  • サンドイッチ型
  • ペンドルトン型
  • SBI型

の3種類があります。型を使うことで面談者によるばらつきを防ぎ、納得度の高いフィードバックを目指せます。

サンドイッチ型

課題や改善点を指摘する前後で、優れた点や肯定的意見を述べて、否定的意見を挟む方法

ペンドルトン型

テーマについてまずは部下が自分の意見や考察を述べ、上司は補足や反応を返す方法

SBI型
  • 「Situation(状況)」
  • 「Behavior(行動)」
  • 「Impact(影響)」

の順にフィードバックする方法

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4.評価手法ごとの失敗例と対策

目標管理制度(MBO)の失敗例

目標管理制度が人事評価に連動しすぎると、次のような失敗が起こりやすくなります。

  • ノルマ管理と化す
  • 低い目標を設定するようになる
  • プロセスが軽視されるようになる

目標管理制度はマネジメント手段の一つです。目標管理では社員のモチベーションを上げることを重視しましょう。上司と部下が力を合わせて課題解決に当たるスタンスが大切です。

目標管理制度導入の失敗例はありますか?どのようにすれば失敗を避けられるでしょうか?
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360度評価の失敗例

360度評価で起きやすいのは、次のような失敗例です。

  • 上司が部下への態度をゆるめるなど、社員同士の健全なコミュニケーションができなくなった
  • 一般社員が評価者になるため評価エラーが起こり、評価の納得度が下がった
  • 率直な意見にショックを受けてしまい、社員のモチベーションが下がった
  • ひとりが複数の社員を評価するので、現場で大きな業務負荷がかかった

360度評価を失敗させないためには、導入目的を考慮した上で等級制度や報酬制度への反映を検討することが大切です。モチベーションを上げる目的ならば切り離したほうがよいでしょう。

運用負荷が非常に高いため、業務効率化やシステム導入は必ず検討しましょう。

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5.人事評価制度を失敗に終わらせないためのポイント

長期的な目線を持って取り組む

人事評価制度は短期間で成果は出ません。そのことを経営陣や現場へ周知徹底し、理解を得ながら長期的な目線で取り組みましょう。

はじめから完璧な制度を作ろうとせず、随時修正や変更を行いながら人事評価制度を作り上げていきましょう。

試行錯誤することを前提に、編集しやすく軌道修正がしやすい評価システムを導入することが大切です。

現実的な制度設計を行う

いきなり運用工数の高い制度を設計しまうと、運用そのもので精一杯になり、制度の振り返りや改善に使う時間がなくなってしまう可能性があります。

制度を設計するときは、実際の運用フローや工数を洗い出し、現場でも実際に運用可能かどうかを必ず確認しましょう。

運用を効率化する必要があれば、人事評価システムの導入も視野に入れてみてください。

流行に惑わされずに自社に必要な制度を採用する

新しい人事評価手法が話題となり注目されることがありますが、必ずしも自社に合うとは限りません。導入事例やノウハウや少ないからこその難しさもあります。

「新しいから取り入れる」では意味がないのです。流行に惑わされず、経営戦略や戦略人事に合った制度を採用しましょう。

チャレンジする際は部署を限定してテスト運用をしたり、定期的に振り返る体制を作ることが大切です。

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