人事評価と好き嫌いの関係とは? 理由、評価エラー、解決策

人事評価の好き嫌いは人事評価エラーのひとつです。ここでは人事評価を好き嫌いで行う理由やそのデメリット、解決策について解説します。

1.好き嫌いで人事評価を行う企業は多い

人事評価とは、従業員のパフォーマンスや労働生産性を企業目標と比較して具体的、定期的に評価を行うこと。目的は企業ビジョンや方針の明示、適材適所の人材配置や従業員の育成です。

人事評価には、待遇の決定や従業員の成長を促す重要な役目があります。そのため公平かつ公正な評価が求められるものの、人が人を評価している以上、好き嫌いが影響してしまう場合も多いです。

また人事評価を導入していても形骸化したり、定着しなかったりする企業も少なくありません。

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人事評価に対する満足度

NTTコムリサーチと日本経済新聞による共同企画調査では、人事評価の仕組みに対して全体の約4割が不満であると回答しています。

理由を見ると「評価基準が明確に示されていない」が4割、次いで「評価者の好き嫌いで評価されてしまうため」が4割です。全体の約4割が評価者の好き嫌いで評価されていると感じていました。

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2.人事評価を好き嫌いで行う理由

なぜ公正公平であるべき人事評価に好き嫌いが影響されるのでしょうか。これにはさまざまな理由が考えられ、そのひとつに「情意面でのバイアス」があります。

情意面とは協調性や積極性、規律性などの意欲や態度を見る項目です。評価基準に能力や業績など明確な基準がないと、この情意面による評価のウエイトが大きくなります。

「被評価者の売上は変わらないけれど、明るく元気で頑張っているから高い評価にしよう」といった事例です。

情意評価とその必要性

数値化しにくい責任感の有無や積極性、協調性を見る情意評価は、企業のカラーを決めるために欠かせない要素です。情意評価は能力やプロセスの評価に隠れた部分を適正に評価できるものの、評価者の主観が入りやすくなります。

そのため従業員一人ひとりの人間性を推し測るための適性が評価者にあるか、見極める必要があるのです。

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3.好き嫌いは人事評価エラーのひとつ

人事評価エラーとは、評価者の好き嫌いや主観によって評価が揺れること。

人間が人間を評価する以上、どうしても評価基準がずれたり評価者の主観に影響されたりします。人事評価エラーを完全には防げないものの、知識をつけておくとエラーの発生を抑えられるのです。

  1. ハロー効果
  2. 中心化傾向
  3. 寛大化傾向
  4. 逆算化傾向
  5. 論理誤差
  6. 対比誤差
  7. 期末誤差

①ハロー効果

被評価者の目立った特徴に引きずられてほかの評価が歪められる現象のこと。たとえば営業成績が5段階評価中の5だった従業員に対して「営業成績が5なら勤務態度も5だろう」と、ほかの項目も事実に関係なく評価される現象です。

防止するには、それぞれの評価項目ごとに事実を収集するとよいでしょう。

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②中心化傾向

実際のパフォーマンスやポテンシャル優劣にかかわらず、評価結果が標準(中央)に集まる傾向のこと。実績にかかわらず、5段階評価の3に集中してしまうケースです。「評価に自信がない」「被評価者の実績や能力を的確に把握できていない」場合に発生します。

③寛大化傾向

評価が寛大になり不当に甘い評価をしてしまう傾向のこと。「被評価者からの反発を恐れている」「周囲からよく思われたいと意識している」「被評価者の仕事をしっかり把握していない」場合に発生しやすい現象です。

④逆算化傾向

結果ありきで評価をつけてしまう傾向のこと。たとえば昇格や昇進などの処分が先に決まっており、その基準に達するように評価内容を帳尻合わせする現象です。

「評価結果に対する被評価者からの不平を避けたい」「被評価者から尊敬や感謝を受けたい」といった心理的要因があると、この傾向に陥りやすくなります。

⑤論理誤差

被評価者が論理的に考えるあまり、独立している評価項目にも同一の評価、あるいは類似した評価をしてしまう現象のこと。たとえば「被評価者は一流大学の出身だから、職務遂行能力は高いだろう」と判断して高い評価をつけるケースです。

事実を正確に把握したうえで評価すると、防ぎやすいでしょう。

⑥対比誤差

評価者が自身と比べて評価を行ってしまうこと。自分が得意な分野においては厳しい評価を、苦手や分野や専門外の分野については甘い評価をつけてしまう現象です。評価基準を明確にし、評価者がそれを正しく理解すると防げるでしょう。

⑦期末誤差

評価期間の終盤にあった出来事が全体の評価に影響してしまう現象のこと。評価を行う直前の失敗や成功が強い印象に残り、過去の成功や失敗事例がそれに影響されてしまう状態です。被評価者に「評価時期にだけ頑張ればいい」と誤解させる恐れもあります。

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4.人事評価を好き嫌いで行うデメリット

人事評価を好き嫌いで行うと、どのようなデメリットが生じるのでしょう。

  1. モチベーションや生産性が低下する
  2. 離職率が増加する
  3. 訴訟に発展するときも

①モチベーションや生産性が低下する

「どれだけ実績を生み出しても正当に評価されない。反対に実績をともなわなくても評価者に好かれれば高い評価を得られる」と考えてしまった従業員のモチベーションをもとに戻すのは困難です。

生産性の低下は顧客に提供するサービスの質低下にもつながります。会社全体のイメージダウンを招く恐れもあるでしょう。

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②離職率が増加する

退職の理由に評価や人事制度への不満をあげる従業員は少なくありません。「努力しても評価に反映されない」「上司が変わるたびに評価が変わる」などの不満が会社に対する不満に、そして離職につながる場合も多々あるのです。

近年、会社に対する口コミをまとめたサイトも増えているため、人事評価への不満がそのまま外部に流出する可能性も高いでしょう。それを見た求職者が敬遠する可能性も考えられます。

③訴訟に発展するときも

人事評価に関するトラブルが社内で収束できず、訴訟問題に発展したケースもあります。たとえば評価要素以外の項目(女性の婚姻の有無)によって女性従業員が一律低評価を受け、その人事評価が違法だと判断された事例です。

基本、人事評価は使用者の広範な裁量にゆだねられます。しかし裁量の逸脱や濫用が認められた場合は訴訟に発展し、違法と判断される場合もあるのです。

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5.好き嫌いに左右されない人事評価のポイント

好き嫌いに左右されない人事評価を行うためには、どのような点に注意すればよいのでしょうか。ここではそのポイントを5つ説明します。

  1. 評価基準を明確化する
  2. 評価基準を社内で共有する
  3. 複数の評価項目を導入する
  4. 評価者のスキルを向上する
  5. 評価者同士ですり合わせる

①評価基準を明確化する

まず評価の基準を明確化して従業員の不信感を拭いましょう。主観的で曖昧な評価基準は、不公平な評価を招く恐れがあるため可能な限り排除します。

評価基準は誰が見てもわかりやすく、納得が得られるものを設定しましょう。明確な評価基準は業務の指標になり、従業員も自身の役割や会社からの期待を理解しやすくなります。

②評価基準を社内で共有する

人事評価の基準を正確に理解し、さらにそれを評価者同士で共有しあうのも重要です。評価の根拠を明確にしてそれを被評価者に伝えれば、相手の納得感やモチベーションも高まるでしょう。

また現場の状況に合わせて評価基準を適宜見直すのもポイントです。これにより組織全体で目標達成に向けた体制を作っていけます。

③複数の評価項目を導入する

評価項目を単数に絞ると好き嫌いによる影響が出やすくなります。できるだけ多くの項目で評価する、あるいは項目を順不同で用意して全体を評価すると、評価の誤差や好き嫌いの影響を受けにくくなるでしょう。

評価項目を順不同で用意すると、評価の偏りや揺れを防止して公平性も高まります。これにより多角的な評価が可能になり、評価全体に客観性を持たせられるでしょう。

④評価者のスキルを向上する

好き嫌いによる人事評価は、評価者のスキル向上でも防げます。人事評価の納得性と公平性を確保するには、以下3つの理解が必要です。

  • 評価基準の統一
  • 評価方法に対する理解
  • 評価制度そのものに対する理解

これらを獲得するためには、継続な評価トレーニングと評価者自身の正しい自己認識が欠かせません。人事担当者による評価結果の分析、評価者へのアドバイスなどが効果的です。

人事評価制度研修

評価者のスキルを向上させるトレーニングのこと。評価者が「公平で正しい評価をするための力をつける」「人事評価制度そのものを正しく理解する」ための研修です。

人事評価制度の目的を正しく認識できていない管理職も少なからず存在します。「人事評価制度が機能していない」「評価者の評価スキルに課題がある」と感じる場合、人事評価制度研修を検討してみるとよいでしょう。

⑤評価者同士ですり合わせる

評価者同士であらかじめ評価の基準をすり合わせておくと、好き嫌いに影響される人事評価を防げます。具体的には第三者によるチェック機構や評価の二段階制の導入です。

つねに同一の人物のみが評価し続けていると、どうしても評価基準に偏りが生じるもの。そこで第三者の意見を取り入れて評価基準の認識をそろえ、公平性を高めるのです。

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6.好き嫌いに左右されない人事評価を行う手法

好き嫌いに左右されない人事評価を行うには、以下の手法も効果的です。どちらも客観性が高く評価者の好き嫌いに影響されにくいため、被評価者のモチベーションや生産性を下げない納得度の高い人事評価を行えます。

  1. コンピテンシー評価
  2. 目標管理制度(MBO)

①コンピテンシー評価

高い業績を残している従業員の行動特性(コンピテンシー)をベースに評価基準を作成した、人事評価制度のこと。高い業績を残した従業員のインタビューや行動を観察して思考を調査、分析し、人事評価項目に反映させるのです。

コンピテンシー評価では、業務の成果とプロセスの両方から人事評価を行います。これまでの成果主義や曖昧な基準で行われていた評価が抜本的に見直されるため、納得性・客観性の高い人事評価が可能です。

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②目標管理制度(MBO)

従業員一人ひとりの目標を経営目標や部門目標と連動させて業績アップを目指す評価制度のこと。具体的で分かりやすい目標を設定するため、評価にブレが生じにくくなります。

ただし「目標から外れた業務の優先度が大きく下がる」「目標をあえて低めに設定してしまう」などのデメリットもあるのです。組織目標に沿った主体的な目標を立てるとよいでしょう。

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