人事評価に不満がある社員の退職を防ぐ方法とは? 原因と対処法

人事評価は社員のモチベーションを大きく左右するものです。

自分が思っていたよりも評価結果が低く理由に納得できないと、社員は不満を抱き、退職を考えるきっかけになります。

人事評価に不満を抱いている社員はどのくらいいるのでしょうか。原因と対処法、納得度の高い評価制度のポイントについて解説します。

1.人事評価の現状とは?

会社の人事評価結果に満足している人はどのくらいいるのでしょうか。

「カオナビHRテクノロジー総研」によれば、会社の人事評価に満足している人は20%もおらず、非常に少数といえます。多くの企業で、人事評価の納得度の向上が課題となっているのが現状です。

また、「人事評価に不満がある」と答えた人の中で、「職場に満足している」と回答した人はわずか17%でした。人事評価に不満を持つ社員は職場満足度も低い可能性があるので、対策を講じないと退職に至るケースもあります。

参考 知っておきたい、人事評価の3つの現実~人事評価に関する調査結果より~カオナビHRテクノロジー総研

人事評価への不満点とは?

人事評価への不満は、多岐にわたっています。具体的には次のような不満点を抱いていることがわかりました。

  • 結果に納得感が無い
  • 評価者が信用できない
  • 理由に納得感が無い
  • 項目・目標設定が不適切
  • 期中での状況変化が考慮されていない

人事評価への納得度を高めるには、評価制度の納得度向上やフィードバック面談、評価者の育成など、さまざまな角度からの対策が必要です。

部下を育成し、目標を達成させる「1on1」とは?

・1on1の進め方がわかる
・部下と何を話せばいいのかわかる
・質の高いフィードバックのコツがわかる

効果的に行うための1on1シート付き解説資料をダウンロード⇒こちらから


【評価業務の「めんどうくさい」「時間がかかる」を一気に解決!】

評価システム「カオナビ」を使って評価業務の時間を1/10以下にした実績多数!!

●評価シートが自在につくれる
●相手によって見えてはいけないところは隠せる
●誰がどこまで進んだか一覧で見れる
●一度流れをつくれば半自動で運用できる
●全体のバランスを見て甘辛調整も可能

カオナビの資料を見てみたい

2.人事評価への不満が退職につながる原因

人事評価への不満が退職につながる原因は、主に次の二つが考えられます。

  • 評価の納得度が低い
  • 給与が上がらずモチベーション低下を招く

評価の納得度が低い

原因の一つには、評価制度や評価理由の納得度が低いことがあります。

具体的には、次のようなパターンが考えられます。

  • 評価項目が不適切
  • 目標設定が不適切
  • 評価結果に納得感がない
  • 評価理由に納得感がない
  • 評価者が信用できない

評価の納得度を上げるには、評価制度や運用の改善、評価者の育成などが必要です。

給与が上がらずモチベーション低下を招く

モチベーションに影響を与える要因(動機付け要因・衛生要因)

給与は不満を抱えやすい要素の一つです。評価結果が低いと給与が上がりにくいため、モチベーション低下を招く原因になります

エン・ジャパン株式会社の調査によると、退職を考え始めたきっかけ第1位は「給与の低さ」となっており、給与が低いと退職を考えるきっかけにもなります。

評価制度と賃金制度の連動をどう設計するのかは重要です。また、給与が上がらなかった社員へのフォローアップや研修なども重要な対策となります。

参考 8,600名に聞いた「退職のきっかけ」調査。転職理由は「給与」「やりがいのなさ」「企業の将来性」エン・ジャパン

Excel、紙の評価シートを豊富なテンプレートで楽々クラウド化。
人事評価システム「カオナビ」で時間が掛かっていた人事業務を解決!
【公式】https://www.kanavi.jp にアクセスしてPDFを無料ダウンロード

3.評価に不満がある社員の退職を防ぐ方法

評価に不満がある社員の退職を防ぐには、どのような対策が必要なのでしょうか。

次の5つの方法をご紹介します。

  1. 人事評価制度の改善
  2. 離職兆候の早期発見
  3. 評価者の育成
  4. フィードバックの拡充
  5. 評価が低い人材へのフォローアップ

①人事評価制度の改善

人事評価制度の納得度を高めるためには、評価者によってばらつきがでない、信頼性・公平性の高い制度を確立する必要があります。下記のチェックポイントを参考にしながら、定期的に制度や運用を改善していきましょう。

制度について

  • 人事評価の目的が明確になっているか
  • 人事評価制度の規定やマニュアルが制定されているか
  • 企業や部門、等級、役職に見合った評価項目が適用されているか
  • 評価基準や評価方法が明確であり、社員に公開されているか

運用について

  • 評価者研修など、公正性・納得度を確保するための教育・トレーニングが実施されているか
  • 評価者を監督する人材がいるか
  • 評価結果とともに、今後の改善点やアドバイスが的確になされているか

絶対評価をうまく取り入れる

評価制度と賃金制度が結びついている場合、企業の財的資源には限りがあるため、昇格・昇給をコントロールするために相対評価を用いている企業も多いのではないでしょうか。

しかし、相対評価の場合は高い評価をもらえる社員の人数が限られるため、自己評価とのギャップが生まれやすく、低い評価を受けた社員が不満を抱きやすくなります。また、客観的な評価理由を述べるのが難しく、納得度が低くなりやすいのです。

絶対評価は社員が結果に納得しやすくモチベーションが上がるといわれています。賃金制度との連携を考慮しながら、絶対評価を取り入れるのもおすすめです。

②離職兆候の早期発見

社員の退職を防ぐために、モチベーションの低下などの離職兆候を早期に発見し、フォローすることが大切です。社員から「退職したい」という申し出があってからでは、いくらフォローをしても引き止めることは容易ではないからです。

定期的な従業員満足度調査やパルスサーベイを活用することで、フォローが必要な社員を早期発見できます。

③評価者の育成

人事評価への不満点は多岐に渡っており、対症療法的にそれぞれの不満に対処してもキリがありません。さまざまな不満に対応するには、評価者である上司のスキルアップが必要不可欠です。

評価者である上司には、以下のようなスキルが求められます。

  • 適切な目標設定
  • 目標達成に導くマネジメント能力
  • 公平な評価スキル
  • 評価面談のスキル
  • 評価エラーへの理解

評価者研修などを取り入れ、評価者のスキルアップを目指しましょう。

④フィードバックの拡充

人事評価に不満を抱く原因として多いのは、「評価結果や評価理由に納得感がない」という理由です。フィードバック面談を拡充し、質を高め納得度を向上させましょう。

納得感の高いフィードバック面談にするためには、以下のポイントが重要です。

  • 部下の自己評価を聞く
  • 評価の客観的な根拠を説明する
  • 来期に向けて部下が取り組むべき課題を明確にする
  • 部下の人材価値が向上し、高評価を得られるようになるためにはどうしたらよいのか、具体的なアドバイスをする

近年では、1on1ミーティングを取り入れる企業も増えてきています。細やかな状況確認とフィードバックを習慣化することで、部下の成長をサポートでき、納得感の向上にもつながるでしょう。

【テンプレートあり】1on1ミーティングとは? ヤフーが導入した上司・部下の個人面談、目的、効果、質問項目について【導入方法、導入事例】
ヤフーが導入したことでも注目されている1on1ミーティングとは何でしょうか? 定期的に上司と部下が行う1対1の面談のことで、以下のような効果や有用性から話題となっています。 部下が自分の仕事を定期的...

人事評価の面談方法やポイント、質問、フィードバックとは?
人事評価というと給料などの待遇を決めるためのツールと思っていませんか? 確かにそのような側面はあります。しかしそのほかにも、 それぞれの従業員に強みと課題を認識させる 人材の育成につなげる モチ...

⑤評価が低い人材へのフォローアップ

人事評価が低いことを理由に辞めてしまう人もいます。評価が低いと、自分の頑張りが認められていないと感じ、「もっと自分を評価してくれる場があるのではないか」と、活躍の場を他社に移そうとしてしまうのです。

そのような退職を防ぐために、人事評価が低い人材に対しては適切なフォローアップをしましょう。

来期の課題にフォーカスする

評価が低いことが退職につながってしまう原因は、社員が低評価そのものに強いショックを受け、「どうしたら社内評価が上がるのか」という今後のビジョンまで考えられないということです。

フィードバック面談は、評価の結果だけを伝える場ではありません。なぜその評価だったのか、納得できる理由を伝えた上で、来期改善していくべき課題は何なのか、どうしたら評価をアップできるのかなど、具体的に見通しを立てることを意識しましょう。

スキルアップ研修やセミナーの参加を促す

評価が低い原因が、単にスキル不足である場合もあります。ビジネススキルや各職種に必要なスキルについて、研修を設けたり外部のセミナーへ参加を促すというフォローアップも有効です。

適性を見極め異動の検討をする

パフォーマンスが発揮できていない場合、現在の役職や職種、環境が適性に合っていないパターンもあります。特定のポジションで低評価が続いている社員に対しては、適性や得意分野を考慮し、異動などの配置転換を検討しましょう。

Excel、紙の評価シートを豊富なテンプレートで楽々クラウド化。
人事評価システム「カオナビ」で時間が掛かっていた人事業務を解決!
【公式】https://www.kanavi.jp にアクセスしてPDFを無料ダウンロード

4.納得度の高い評価制度にするために

社員が評価結果に満足し、モチベーションが上がる評価制度にするためには、評価制度の信頼性・妥当性・納得度を高めることが重要です。

納得度の高い人事評価制度のポイントや、具体的なチェックポイントについて紹介します。

納得度の高い人事評価制度のポイント

納得度の高い人事評価制度にするために、次の3つのポイントをおさえておきましょう。

  • 評価対象が明確であること
  • 評価者に信頼があること
  • 評価エラーに注意すること

評価対象が明確であること

第一に、「何を評価するのか」という評価対象が明確であることが重要です。評価対象が明確でないと、評価者・被評価者の間に認識のズレが生じ、不満を抱く原因となります。

評価対象として代表的なのは下記の3つです。

  • 業績……目標達成や組織への貢献度
  • 能力……職務遂行上のスキル
  • 情意……仕事に対する姿勢や態度

それぞれの評価において、評価項目と評価基準を具体的に決めましょう。数字やレベルなどの具体的な指標があるとわかりやすいです。

特に情意評価では、求める人物像などをスローガンとして掲げる企業が多いですが、解釈を明確にせずにあいまいなままにすると、評価者の主観的な評価になりがちです。具体的な行動にまで落とし込み、複数の項目を用意するようにしましょう。

評価者に信頼があること

人事評価に不満を抱く人の約40%が「評価者が信用できない」という理由を回答していました。人事評価の信頼性には、評価者の存在が大きく関わっているということです。

人事評価は人が行うものである限り、上司と部下には次のような関係が成り立っている必要があります

  • 日常的なコミュニケーションに基づく信頼関係
  • 上司による指示と部下からの報告がある関係
  • 日常的な観察と指導

信用できる人事評価は運用するには、信頼関係という日々の積み重ねが重要です。

評価エラーに注意すること

評価エラーとは、心理的な作用によって評価結果が歪められてしまうことです。人事評価は人が行うものなので、誤差や揺れは仕方がありませんが、不適切な人事評価を防ぐために正しい知識を身につける必要があります

代表的なものでは、目立つ印象に引きずられてしまう「ハロー効果」や、評価全体が甘くなってしまう「寛大化傾向」などがあります。

ハロー効果とは? 人事評価における問題点(評価エラー)の例、対策法を解説
人事評価の実施において気になるのは、評価者による評価エラーでしょう。こうした評価エラーの中に、ハロー効果と呼ばれるものがあるのですが、一体どのようなものなのでしょう。 ハロー効果の種類や実例 ハロー...

納得度の低い人事評価制度とは?

納得度の低い人事評価制度とは、どのようなものなのでしょうか。具体的な特徴を3つ挙げます。

  • 評価者によって極端に違う評価
  • 時期によって極端に違う評価
  • 説明のできない評価

特に、「評価者によって極端に違う評価」は、上司や部下が異動した際に起こりやすくなります。短期的に部下の能力が大きく変動することは考えにくいので、評価者側の問題です。上司が交代する際には、評価記録の引き継ぎをスムーズにできるようにしておく必要があります。

納得度の低い評価になってしまっている場合は、評価制度の仕組みから整えていく必要があります。評価制度の運用にばかり時間を取られ、制度の改善にまで手が回らないという場合は、人事評価システムなどを導入し、過去評価をデータベース化や運用の効率化をする必要があります。

納得度の高い評価になっている? 8つのチェックポイント

納得度の高い評価制度が運用できているか、チェックポイントをまとめました。参考にしながら、評価制度の改善に活用してください。

  1. 評価対象が明確になっているか
  2. 評価基準が明確になっているか
  3. 評価者に信頼があるか
  4. 評価エラーが起こっていないか
  5. 評価者が変わっても評価が極端に異なっていないか
  6. 評価時期によって極端に違う評価になっていないか
  7. 評価理由を客観的に納得できる理由で説明できるか
  8. 自己評価との差異を合理的に説明できるか

【コラム】評価制度と賃金制度を切り離す方法も

多くの企業では、評価制度と賃金制度が連動しており、評価結果が給与に反映されるのではないでしょうか。しかし、給与原資には限りがあるので、そのせいで評価が歪んでしまうこともあります。

そこで、給与と評価を分離させる考えが広まりつつあります

具体的には、給与について社員と直接面談をしながら話し合いで決めたり市場価値や委員会での総合評価などで給与を決めるというやり方です。評価制度と賃金制度を切り離せば、給与原資を気にせず評価ができるため、個人の目標達成に焦点を当てた絶対評価や、モチベーションアップのために多少インフレ気味(褒め言葉多め)に評価できます。

給与は、低ければモチベーションが下がりますが、高ければ高いほどモチベーションが上がるというものではありません。社員のモチベーション維持や社会的な承認欲求に焦点を当てるのであれば、このような新しい人事制度を取り入れるのも一つの手段となるでしょう。