【離職防止】人事評価への不満と対応策をわかりやすく解説

人事評価への不満の対応策として挙げられるのは、評価基準の公開やフィードバックの充実、評価制度に対する理解度の向上など。ここでは人事評価への不満を放置した場合に考えられる影響や、評価制度の見直しなどについて解説します。

1.人事評価に不満を持つ人は多い

カオナビHRテクノロジー総研が実施した「人事評価の満足度や不満の原因に関する調査」によると、「人事評価に満足している」と回答した人は全体の19%。一方で「人事評価に満足していない」と回答した人は41.3%。およそ5人に2人が人事評価に不満を持っていることがわかりました。

このように自社の人事評価に不満を感じている人の割合は、決して低くありません。その理由の多くとして挙げられるのは評価基準の不明確さや評価者によって評価にばらつきが出る点です。

参考 知っておきたい、人事評価の3つの現実カオナビHRテクノロジー総研

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2.人事評価への不満に対応しなかった場合

人事評価への不満を放置すると、企業にはどのようなデメリットが発生するのでしょう。

  1. 従業員のモチベーション低下
  2. 退職率の増加
  3. 訴訟のリスクが発生

①従業員のモチベーション低下

人事評価に不満を抱いた従業員が「実績を生み出しても納得のいく評価を受けられないなら、最低限の仕事しかしたくない」と考えるのも無理はありません。

モチベーション低下は当該従業員だけでなく、ほかの従業員にも伝播します。その結果、業務効率がダウンし、最悪、会社が立ち行かなくなる可能性も高いのです。

②退職率の増加

不満が解消されない人事評価が続くと、従業員は「もっと納得感のある人事評価をしてくれる会社が別にあるのではないか」と考えます。また近年、会社に対する従業員の口コミをまとめたサイトも増えてきました。

書き込みを見た求職者が「人事評価に不満な会社」というイメージを持ったら、離職率が増加する可能性もあります。また新規人材の採用が難航する恐れもあるでしょう。

③訴訟のリスクが発生

基本、会社の人事評価は使用者の広範な裁量にゆだねられます。しかしその人事評価に裁量の逸脱や濫用が見られた場合、訴訟に発展し、違法と判断される可能性も高いです。これはいうまでもなく、会社にとって大きな損失となるでしょう。

事実、損害賠償を争う裁判に発展したケースはいくつもあります。社会的評判や会社のイメージを大きく下げないためにも、人事評価に対する不満には慎重な対応が必要です。

実際に裁判になったケース

実際に裁判にもつれ込んだケースとして広く知られているのが、使用者の裁量権とその逸脱に関して裁判に発展した事例です。本事件では経営陣に対する批判発言をした従業員に対する降格処分について、不服申し立てが起きました。

謝罪を拒否した原告に対し、会社は原告を降格処分。さらにその後数年にわたって人事評価の最低ランクにあたる評価をくだしたのです。

裁判では降格処分に関する合理性は認められました。しかし事件後数年間の賞与にまで影響がおよんでいる点は裁量の逸脱にあたると判断し、違法の判決を下しています。

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3.人事評価に不満を持つ従業員への対応策

人事評価に不満を持つ従業員に対して、会社はどのように対応すればよいのでしょう。以下3つの視点から、人事評価に不満を持つ従業員への対応策について説明します。

  1. 評価基準の公開
  2. 上司とのコミュニケーション
  3. 離職兆候の早期発見
  4. 人事評価の理解度向上
  5. フィードバックの充実

①評価基準の公開

前述のとおり、人事評価に不満を抱く理由としてもっとも多いのが「評価基準のあいまいさ」です。

評価基準がわからないと、従業員は「どのような理由でこの評価になったのか分からない」「何を改善すれば評価が高くなるのか分からない」などの不満を抱いてしまいます。
不満を解消するためにも評価基準を公開して、相互の納得感を高めましょう。

②上司とのコミュニケーション

上司とのコミュニケーションが不足しているときも、人事評価に対する不満が生じやすくなるのです。

「評価に納得がいかないのは、上司が仕事内容を正しく理解していないからだ」「実績を生み出しても公正な評価をしてくれない」などの不満のなかには、相互のコミュニケーション不足によるものもあります。

積極的なコミュニケーションは互いの状況が把握できるだけでなく、成果以外の見えない部分の評価にもつながるでしょう。

③離職兆候の早期発見

先に触れたとおり、人事評価に不満を持つ従業員が離職を考えるのもあり得ます。会社とは人事評価に対する不満やモチベーション低下などの兆候を早期に発見し、適切にフォローしましょう。

「離職したい」と申出があってから引き止めるのは、決して容易ではないからです。定期的な従業員満足度調査やパルスサーベイなどの活用を視野に入れるとよいでしょう。

④人事評価の理解度向上

人事評価に不満を抱く従業員に対して、人事評価制度を丁寧に説明し、理解を深めてもらうのも重要です。

「どのような理念にもとづいて事業を進めているのか」「理念を達成するための評価基準は何か」「どのような行動が評価アップにつながるのか」などを正しく理解してもらえば、人事評価に対する不満も解消され、改善点も見つかります。

⑤フィードバックの充実

人事評価に不満を抱く原因として、適切なフィードバックが行われていないという理由もあります。

従業員に伝えるのは評価結果のみで、「なぜその評価になったのか」「何を改善すればよいのか」などのフィードバックがなければ、人事評価に不満を抱くのも当然でしょう。

「どうすれば目標を達成して評価を上げていけるか」「効率よくその目標を達成するにはどうすればよいか」など、具体的なアドバイスを交えたフィードバックで従業員に気づきを与えます。

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4.評価者の育成

人事評価に対する不満は多岐にわたるもの。フィードバックの充実や積極的なコミュニケーションで不満それぞれに対応しても、きりがありません。人事評価に対するさまざまな不満に対応するためにも、次のようなスキルを評価者に身につけてもらいましょう。

  • 公平公正な評価スキル
  • 適切な目標の設定
  • 人事評価エラーに対する理解と対策
  • 評価面談のスキル
  • 目標達成に導くためのマネジメントスキル

評価者研修

人事評価を行う評価者のスキル向上を目的とした研修制度のこと。目的は「評価者が正しい評価能力を身につける」「評価制度の運用を正しく理解する」です。

評価者研修によって人事評価制度の正常な運用、評価制度を活用した人材育成、公平な評価による従業員のモチベーションや生産性の向上などが期待できます。

7割の企業が実施

2016年に産労総合研究所が発表した「評価制度の運用に関する調査」によると、評価者教育を実施している企業は約71%。7割以上の会社が「評価者が正しい評価スキルを身につけることの重要性」を意識しているとわかります。

なお被評価者に対する研修もあり、こちらの導入率は約22%でした。割合は少ないものの、被評価者に評価制度の仕組みや評価される行動を理解してもらい、被評価者のモチベーションや意識レベルの向上に取り組む企業が増えているのです。

「正しい評価」ができる能力を養う

評価者研修の目的は、評価者が「正しい評価」をする能力を身につけること。さまざまなエラーが起きやすい人事評価では、先入観や偏見を排除した公平公正な評価が欠かせません。

また一言に「人事評価制度」といっても内情は企業によって異なります。評価者研修では「なぜそのような人事評価制度を構築したのか」「人事評価にて何を重視しているのか」など、評価自体の理解を深められるのです。

評価者研修を提供している企業

評価者研修はコンサルティング会社や社労士事務所、一般財団法人などさまざまな団体が実施しています。またインソースでは人材育成に重きを置いた研修を実施。ほかにも日本能率協会マネジメントセンターが主催する人事評価スキル養成コースでは、評価面談のロールプレイングを行いながら実践力を養う研修を実施しています。

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5.人事評価制度そのものの見直しも必要

人事評価制度に不満を抱く理由のひとつとして挙げられるのが、「社内の評価制度が社会の変化に追いついていない」。働き方改革関連法案の施行やワークスタイルの自由化など。

雇用条件および労働環境は日々目まぐるしく変化しています。それにもかかわらず社内の人事評価制度が旧来のままで変化に追いついていなければ、人事評価に対する不満は生まれやすくなるでしょう。

日本生産性本部が実施した「日本的雇用・人事の変容に関する調査(2019)」によれば、賃金体系に年功序列制度を導入している企業は47%。まだまだ人事評価制度がアップデートされていない企業も多いのです。

ワークスタイルの変化に対応しているか

働き方改革の推進により、リモートワークを導入する企業も増えてきました。リモートワークには通勤の負担がなくなり、働きやすい環境で働けるというメリットがあります。

しかし一方、「仕事ぶりを目で見て評価できない」「業務のプロセスを評価できない」といった課題も抱えているのです。リモートワークをする従業員が多い会社は、ワークスタイルの変化にあわせた人事評価制度の見直しが必要でしょう。

「人材育成」という目的を見失っていないか

人事評価に対する不満があげられたら、その制度が「人材育成」という目的を見失っていないか、今一度見直してみるとよいでしょう。

人事評価制度には「査定」と「人材育成」という2つの目的があります。これを査定のみにしてしまうと人事評価制度は正常に機能せず、従業員から不満が生まれる原因になってしまうのです。

人事評価に対して不満があがってきたら、評価結果を人材育成につなげる仕掛けを見直してみましょう。

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6.人事評価への不満に対応する新たな評価制度

人事評価への不満に対応するため、新たな人事評価制度を導入するのも効果的です。人事評価制度それぞれについて解説しましょう。

  1. コンピテンシー評価
  2. 目標管理制度(MBO:Management By Objectives)
  3. 360度評価

①コンピテンシー評価

仕事のできる従業員の行動特性(コンピテンシー)をもとに、評価基準や評価項目を設定する人事評価制度のこと。

この評価では理想的な行動特性を具体的な評価項目として設定します。そのため従業員にとっては高評価につながる行動をイメージしやすいといったメリットが、評価者にとっては主観の入りにくい基準の明確な評価ができるといったメリットがあるのです。

コンピテンシー評価はその公平さから従業員の不満があがりにくい評価制度としても知られています。

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②目標管理制度(MBO:Management By Objectives)

従業員一人ひとりに個人目標を決めてもらい、その進捗や達成の度合いによって人事評価を決めるマネジメント方法のこと。

個人目標を会社の経営目標や部門目標と連動して立てるため、個人と組織の成長を同時に達成できるうえ、従業員にとって不満の出にくい評価を行えます。

目標管理制度では、個人目標を達成した従業員は業績に寄与したことになるため、会社や上司から賞賛を得るのも可能です。モチベーションアップや生産性向上にもつながる方法といえます。

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③360度評価

ひとりの従業員に対して関係する複数の従業員が多面的な立場から評価を行う人事評価制度のこと。上司だけでなく部下や同僚などさまざまな立場から評価されるため、客観性を担保しやすいです。

テレワークが進み、上司が部下を直接見ることが少なくなってきた近年、複数の立場から従業員を適切に評価できる制度として注目を集めています。上司一人からの評価に比べて「まわりからはこう見られているのか」と納得しやすい評価ができるのもメリットです。

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