コンピテンシー評価の目的とは? 活用シーン、メリット、導入手順

コンピデンシー評価の目的とは、業務成績と行動評価を紐づけることです。ここではコンピテンシー評価の目的について、解説します。

1.コンピテンシー評価とその歴史

コンピテンシー評価とその歴史は、1970年代に遡ります。ハーバード大学の心理学者であるマクレランド教授らによる外交官に関する調査から、コンピテンシー評価は生まれました。

マクレランド教授らは、「業務において成果をあげた外交官には、異文化に対する偏見がないという共通した特徴がある」と見出したのです。成果には、潜在的動機や潜在的能力、行動特性などが大きくかかわるという見識に注目が集まりました。

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2.コンピテンシー評価が日本に導入された目的

コンピテンシー評価が日本に導入された目的とは、業務成績や行動評価を紐づけること。従来、年功序列や終身雇用が中心だった日本型雇用は、1990年代後半から成果主義へ転換が進みました。

しかし「直接成果や実績に直接結びつかない豊富な知識・技能・行動などが高いレベルにある点も評価すべき」という認識が社会で広がったのです。そして日本でも、コンピテンシー評価が導入されるようになりました。

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3.コンピテンシー評価を人事評価に用いる目的

コンピテンシー評価を人事評価に用いる目的とは、社員を具体的・客観的に評価できること。

コンピテンシー評価は、高業績を生み出す社員の行動特性をモデル化して評価基準とした評価制度です。一般社員にもわかりやすい評価基準であるため、戦略的人材マネジメントとして積極的に用いられています。

ここではコンピテンシー評価を人事評価に用いる目的について、3つの目的をあげてより詳しく解説します。

  1. 評価基準の具体化
  2. 生産性向上
  3. 社員の意識変革

①評価基準の具体化

評価基準は、具体的であるほど公平性や納得性を得やすくなり、評価しやすくなります。

コンピテンシー評価では、協調性や積極性、責任感といった抽象的な概念ではなく、具体的な行動特性を評価項目に用いるのです。よって評価基準の具体化は、評価のしやすさに結びつきます。

②生産性向上

社員が、ハイパフォーマーと呼ばれる高業績をあげる社員の行動特性を習得できれば、ひとり当たりの生産性を高められます。組織にハイパフォーマーとして行動する社員が多くなれば、当然、組織全体の生産性も向上するでしょう。

③社員の意識変革

企業がコンピテンシー評価を人事評価に導入すれば、企業は社員に対し「あるべき社員像」を明確に提示できます。社員としても目標が明確になるため、仕事への意識や日々の行動を変えるきっかけにできるのです。それにより社員の意識改革が進むでしょう。

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4.コンピテンシー評価を人材育成に用いる目的

コンピテンシー評価を人材育成に用いる目的とは、効率的な人材育成です。

コンピテンシー評価では、「ハイパフォーマーから得たコンピテンシーモデルを評価基準として設定する」「設定した評価基準を達成するための自発的な行動の実施を目指す」ことが求められます。

コンピテンシーモデルの実現に必要なスキルや知識の獲得に力を注げば、効率的な人材育成を実現できるのです。

社員のキャリア開発

コンピテンシー評価を人材育成に用いれば、キャリアやスキル開発も合理的に行えます。たとえば研修で社員自らコンピテンシーモデルを考案してもらう取り組みがあったとしましょう。

このような取り組みの場合、「コンピテンシーモデルに対する意識の創造」「仕事上でコンピテンシーを実践することで自発的、実践的な能力開発」を実現します。

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5.コンピテンシー評価を採用面接に用いる目的

自社の経済活動に最適な人材を採用するため、コンピテンシー評価を採用面接に用います。

「学力が高い」「入賞経験を持つ」社会的に評価が高い人材の採用より、自社にとって最適な人材の採用が重要です。コンピテンシー評価を採用面接に使えれば、自社が求める人材基準を採用に生かせます。

応募者も自分を生かす企業に就職できるため、企業と応募者、双方のミスマッチを防げるのです。

優秀な人材の確保

コンピテンシー評価を採用面接に用いる目的は、優秀な人材の確保です。しかし優秀の定義は、企業や業種、職種によってさまざま。

そこでコンピテンシー評価を採用面接に活用すれば、企業が定義するコンピテンシーのある人材を効率よく採用できます。それにより社員の成果も期待できるでしょう。

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6.コンピテンシー評価の特長とメリット

コンピテンシー評価には特長とメリットがあります。それぞれについて解説しましょう。

  1. 評価される側の公平性や納得感が高い
  2. 評価する側が評価しやすい
  3. 経営ビジョンが可視化される

①評価される側の公平性や納得感が高い

コンピテンシー評価では、どのような行動をとれば高い業績をあげられ、評価が高くなるかが具体的に示されます。よって評価される側の社員にとって、公平感・透明性の高い人事評価制度になり、納得を得やすくなるのです。

②評価する側が評価しやすい

コンピテンシー評価は、ハイパフォーマーの行動特性をコンピテンシーモデルとし、評価基準に落とし込みます。上司の主観を排除した基準になるため、評価する側にとっても評価基準が明確で客観性の高い評価がしやすくなるのです。

③経営ビジョンが可視化される

ビジョンや経営目標の達成に求められる行動様式をコンピテンシーに反映させれば、コンピテンシーを介して社員に経営ビジョンを伝えられます。経営ビジョンが具体的な行動で示されるため、社員により伝わるでしょう。

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7.コンピテンシー評価のデメリットと注意点

コンピテンシー評価にはデメリットと注意点もあります。それぞれについて解説しましょう。

  1. 導入までのハードルが高い
  2. コンピテンシーが正しいとは限らない
  3. 変化に対する修正のコストが高い

①導入までのハードルが高い

初めてコンピテンシー評価を導入する場合、「評価目的の設定」「ハイパフォーマーからのヒアリング」「コンピテンシーのモデル化」「評価基準の策定」などさまざまな工程を経るため、人事部の負担が大きくなります。

②コンピテンシーが正しいとは限らない

時間とコストをかけてコンピテンシーを策定しても、必ず業績が向上するとは限りません。つまり策定したコンピテンシーが正しいとは限らないのです。

③変化に対する修正のコストが高い

企業が求める人物像は、外部環境や事業のフェーズなどにも左右されます。たとえば一旦策定したコンピテンシーが陳腐化し、使えなくなる場合もあるのです。設定したコンピテンシーを修正する際、時間や手間などでコストがかさむ可能性もあります。

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8.コンピテンシー評価の導入手順

コンピテンシー評価には導入の手順があります。それぞれについて解説しましょう。

STEP.1
ハイパフォーマーにヒアリングする
高業績を上げている社員や・生産性の高い社員を抽出し、彼らがどのような行動特性を持っているのか、ヒアリングします。その際、「どんな行動をとったか」「なぜそのような行動をとったか」なども聴き出して、潜在的な意識も拾い集めるのです。
STEP.2
評価基準項目を作成する
ハイパフォーマーからヒアリングした内容を分析し、それを評価基準項目に作り変えます。評価基準項目は、「全社的」「各部門別」「職種別」「役職別」などで設ける場合も。しかし手間がかかるため、一般的な評価基準項目を活用する場合も多いです。
STEP.3
評価レベルを設定する
評価基準項目に振り分けたコンピテンシーをいくつかのレベルにわけ、レベルごとにコンピテンシーをまとめます。評価レベルは、5段階程度に設定するのが一般的です。社員はこの評価レベルを見て目標管理を行うため、適切な明文化も求められます。
STEP.4
実施する
期末に社員にコンピテンシー評価を実施し、評価基準に適合した行動をしたかどうか、評価します。評価結果はフィードバックし、社員はそれをもとに次なる課題に取り組むべく改善を進めるのです。

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9.コンピテンシー評価のモデル設計例

コンピテンシー評価のモデル設計例は3つあります。それぞれについて解説しましょう。

  1. 理想型モデル
  2. 実在型モデル
  3. ハイブリッド型モデル

①理想型モデル

企業が求める人材像をコンピテンシーモデルに設定すること。実在の人物である必要はなく、理想的な行動特性を持ち合わせた人物像を策定していきます。

しかしあまりに高い理想を設定すると、社員のモチベーションが低下するため注意が必要です。

②実在型モデル

実際に存在する社内の高業績をあげている人物にヒアリングし、行動特性を評価基準に落とし込んでいくスタイルのこと。社員から見ても、身近かつわかりやすいコンピテンシーになるため、納得感を得やすいです。

③ハイブリッド型モデル

ハイブリッド型モデルとは、理想型モデルと実在型モデルを合わせた設計例のこと。社内に実在するハイパフォーマーのコンピテンシーに、企業理念やビジョンなどを生かしたコンピデンシーを合わせるため、より強固な評価基準になります。