コンピテンシー面接とは、応募者の過去の具体的な行動事実を掘り下げて聞き出し、成果を生み出す行動特性(コンピテンシー)を5段階のレベルで評価する面接方法です。第一印象や志望動機に左右されず、入社後のパフォーマンスを予測しやすい点が特徴です。
本記事では、コンピテンシー面接の定義と従来面接との違い、メリット・デメリット、コンピテンシーレベルの5段階、STARフレームワークを使った具体的な質問例、評価シートのサンプル、コンピテンシーモデルの重要性まで詳しく解説します。
目次
1.コンピテンシー面接とは?
コンピテンシー面接とは、応募者の過去の具体的な行動事実を掘り下げて聞き出し、入社後に成果を出せる人材かどうかを行動特性の観点から評価する面接方法のことです。
コンピテンシー面接とは、成果を生み出す行動特性を評価する面接方法です。応募者が何を考えどう行動するのかをもとに、能力や適性を判断します。
コンピテンシー面接では、第一印象や志望動機は質問項目に含みません。事実に基づいた具体的な過去の行動を掘り下げて応募者を評価します。明確な評価基準を用いるため、評価者ごとのぶれが生じにくいのも特徴です。
応募者の本質を見極められるので、実務経験がなくスキルを評価しにくい新卒採用や未経験者採用にも有効です。幅広い採用シーンで活用されています。
一方で、どんな特性を持っている人材が、自社で能力を発揮できるのか。 その要件を明確に把握することは簡単ではありません。
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2.コンピテンシーの意味とは?
コンピテンシーとは、ハイパフォーマーに共通してみられる行動パターンのことで、ある職務において優秀な成果を発揮するための行動特性と定義されます。
コンピテンシーとは、ハイパフォーマーに共通してみられる特徴的な行動パターンのことです。「ある職務や役割において優秀な成果を発揮する行動特性」などと定義されます。
高い業績をあげている社員がどのような専門技術やノウハウ、基礎能力を持っているのかを分析し、何がその人を「仕事のできる社員」にしているのか明らかにします。
業種・職種によって成果につながる行動はさまざまです。そのため、評価や採用に活用するには職種・階級によってコンピテンシーモデルを設定することが重要です。
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3.コンピテンシー面接と従来の面接との違い
コンピテンシー面接と従来の面接との違いとは、従来型が印象や志望動機を中心に主観的に評価するのに対し、コンピテンシー面接は行動事実をもとにコンピテンシーレベルで客観的に評価する点です。
コンピテンシー面接と従来面接の比較
| 比較項目 | コンピテンシー面接 | 従来の面接 |
|---|---|---|
| 評価対象 | 再現性のある行動特性 | 印象・優秀さ・志望動機 |
| 質問内容 | 過去の行動事実を具体的に掘り下げ | 取り組みの概略・志望理由 |
| 評価基準 | コンピテンシーレベル(5段階) | 面接官ごとの主観的基準 |
| 評価のばらつき | 少ない(基準が統一) | 大きい(面接官による差) |
| 入社後の予測精度 | 高い(行動の再現性を評価) | 低い(印象に左右される) |
従来の一般的な面接では、取り組んだことの概略や志望動機を中心に聞き取ります。また、その内容に経歴や学歴を加味して評価を行うため、印象に左右されることも多く、面接官との相性によって評価にばらつきが生じることも。
それに対してコンピテンシー面接では、行動した事実をもとにコンピテンシーレベルを評価していきます。応募者の具体的な行動や思考パターンから、入社後にも活躍できそうかを判断しやすくなり、ミスマッチ防止にもつながります。
面接についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
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4.コンピテンシー面接のメリット
コンピテンシー面接のメリットとは、評価者間のばらつきが少なく客観的な評価ができること、入社後のパフォーマンスを予測しやすいこと、採用のミスマッチを防止できることです。
コンピテンシー面接のメリット・デメリット
| 区分 | ポイント | 詳細 |
|---|---|---|
| メリット | 入社後に活躍できる人材か見極められる | 過去の行動事実から、成果を出せる行動特性を持っているかを判断できる |
| メリット | 面接官の面接スキルが標準化できる | コンピテンシーレベルという共通の物差しで評価するため、面接官によるばらつきが減る |
| メリット | 採用のミスマッチを防止できる | 印象ではなく行動の再現性を評価するため、入社後のパフォーマンスを予測しやすい |
| デメリット | サンプルとなる社員がいないと難しい | コンピテンシーモデルの基準となるハイパフォーマーが社内にいない場合、設計が難しい |
| デメリット | モデルの作成に手間がかかる | 行動特性の調査・言語化・レベル分けに時間と労力を要する |
| デメリット | 面接だけでは評価が難しい | コンピテンシー面接のみでは判断しきれない要素もあり、他の選考手法と組み合わせる必要がある |
入社後に活躍できる人材か見極められる
第一印象のよい人や高学歴の人が必ずしも入社後のパフォーマンスが高いとは限りません。面接では、「高学歴だから仕事ができるだろう」「部長だったならリーダーシップがあるだろう」と印象で判断してしまう評価エラーが起こることもあります。
コンピテンシー面接では、経歴、学歴、資格、第一印象などの表面的な情報に惑わさにくくなります。事実をベースに評価するため、入社後の活躍に再現性があるかどうかを見極められるからです。
Googleが採用する「構造化面接」
Google社では「構造化面接」を採用しています。構造化面接はコンピテンシー面接とほぼ同じものです。応募者全員に同じ質問をし、明確な基準にしたがって評価します。
Googleの社内調査では、成果を出す人材を見極めるのに効果があるという結果が出ています。過去の行動や仮説から、思考パターンと行動パターンを評価することで、入社後のパフォーマンスを予見しやすいのです。
自社で重視する資質を判断できる質問項目を取り入れれば、より精度の高い構造化面接を実践できるでしょう。
面接官の面接スキルが標準化できる
従来の面接では、面接官の経験やセンスが問われることが少なからずありました。応募者の嘘を見抜いたり印象や経歴から評価を行う必要があるためです。
コンピテンシー面接では、行動事実を聞き出す手法がある程度確立されています。そのため面接経験が少ない社員でも面接を行い評価が可能です。現場のメンバーも面接官として入りやすいというメリットがあります。
採用のミスマッチを防止できる
学歴や経歴、志望動機などの表面的な内容をもとに採用を判断すると、評価エラーが起きやすくなり、ミスマッチの原因になります。
応募者のコンピテンシーを評価すれば具体的に働くイメージができ、ミスマッチの防止が可能です。また、自社にマッチする人材を採用でき、育成コストの削減や離職率の低下にもつながります。
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5.コンピテンシー面接のデメリットや注意点
コンピテンシー面接のデメリットや注意点とは、コンピテンシーモデルの設計に手間がかかること、面接官のスキルが求められること、応募者の深い自己理解が前提となることです。
コンピテンシーのサンプルとなる社員がいないと難しい
応募者のコンピテンシーを評価するには、自社のハイパフォーマーを分析したコンピテンシーモデルの作成が必要です。
コンピテンシーのモデルとなるハイパフォーマー社員がいない、または少ないと作成が難しいというデメリットがあります。
コンピテンシーモデルの作成に手間がかかる
コンピテンシーモデルの作成には、
- ハイパフォーマーの特定
- ヒアリング
- 共通する考え方・行動特性・スキルをリスト化する
という工程が必要で、手間がかかります。
さらに精度を上げるには、部門・部署・職位ごとにコンピテンシーモデルを作成することが望ましく、長期的な取り組みが必要となります。
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コンピテンシー面接だけでは評価が難しい
現実的には、コンピテンシー面接のみで採用可否を判断することは難しいのも事実です。志望度や第一印象、人柄などがマッチするかも含めて総合的に判断したいという企業も多いのではないでしょうか。
一次面接をコンピテンシー面接にするなど、複数回ある面接のどこかに取り入れ、一般的な面接と組み合わせる企業もあります。
また、「コンピテンシーディクショナリー」「WHOグローバルコンピテンシーモデル」などの一般的なモデルケースを参考に取り入れることもできます。
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6.コンピテンシーレベルとは?
コンピテンシーレベルとは、応募者の行動特性を受動行動(レベル1)から周囲への影響・変革行動(レベル5)までの5段階で評価する尺度のことです。
コンピテンシーレベルの5段階
| レベル | 名称 | 行動の特徴 |
|---|---|---|
| レベル1 | 受動行動 | 指示されたことを忠実に実行する |
| レベル2 | 通常行動 | 自分で判断し、一般的な対応ができる |
| レベル3 | 能動・主体行動 | 自ら課題を見つけ、工夫して改善に取り組む |
| レベル4 | 創造・課題解決行動 | 独自のアイデアで成果を生み出し、周囲を巻き込む |
| レベル5 | パラダイム転換行動 | 既存の枠組みを変革し、組織全体に影響を与える |
コンピテンシー面接では、応募者の行動特性をコンピテンシーレベルで評価します。コンピテンシーレベルは5段階あります。
レベル1 受動行動
受動行動とは、人から言われて受け身な姿勢でやった部分的な行動を指します。
「一つひとつの行動を誰かに言われてやった」「やらざるを得なかったので仕方なくやった」という、主体性のない場当たり的な行動です。
レベル2 通常行動
通常行動とは、やるべきことをやるべき時にやったという当たり前の行動を指します。
マニュアルや作業手順などを意識して行動できますが、自らの工夫の余地が見られず、その状況であれば誰でも同じように行動するだろうという普通レベルの評価です。
レベル3 能動・主体的行動
能動・主体的行動とは、明確な意図や理由をもとに自ら判断したり、選択した行動を指します。
複数の選択肢の中でベストなものを選び、ルールの中で自分なりの工夫を主体的に行ったかどうかが問われます。
レベル4 創造・課題解決行動
創造・課題解決行動とは、状況を打破するために効果的な工夫を加えた行動を指します。
ポイントは2点あります。自分がやるべきことの範囲にとらわれないこと、またPDCAサイクルを回しながら目標を達成するための行動ができるかどうかです。
レベル5 パラダイム転換行動
パラダイム転換行動とは、既成概念にとらわれず、斬新なアイディアで周囲からも賛同が得られる状況を作り出す行動を指します。
これまでの常識では考えられなかったような方法で成果を上げた行動がこれにあたります。
ボーダーラインは各企業によりますが、レベル3以上が望ましいでしょう。人数調整により、レベル2を合格ラインとすることもあります。
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7.コンピテンシー面接の進め方
コンピテンシー面接の進め方とは、取り組み課題の設定・第1プロセスの特定・第1場面の特定・行動事実の列挙・工夫点や困難の掘り下げ・第2場面の特定という6つのステップで進める手順のことです。
- 取り組み課題の設定 — 応募者が経験した課題・テーマを特定し、深掘りする対象を決める
- 第1プロセスの特定 — その課題に対して、応募者が最初にとった行動プロセスを聞き出す
- 第1場面の特定 — 具体的にどのような場面・状況だったかを特定する
- 行動事実の列挙 — その場面で実際にとった行動を、事実ベースで具体的に列挙してもらう
- 工夫点や困難の掘り下げ — 行動における工夫した点や、直面した困難とその乗り越え方を掘り下げる
- 第2場面の特定 — 別の場面についても同様に質問し、行動の再現性を確認する
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8.STARフレームワークを使ったコンピテンシー面接の質問例
STARフレームワークとは、Situation(状況)・Target&Task(目的・課題)・Action(行動)・Result(結果)の4要素に沿って質問を行い、応募者の行動事実を体系的に聞き出す面接手法のことです。
- S(Situation)状況 — 「そのとき、どのような状況でしたか?」「チームの規模や役割分担を教えてください」
- T(Target&Task)目的・課題 — 「その取り組みの目的は何でしたか?」「どのような課題がありましたか?」
- A(Action)行動 — 「具体的にどのような行動をとりましたか?」「なぜその方法を選んだのですか?」
- R(Result)結果 — 「その結果、どのような成果が得られましたか?」「振り返って改善すべき点はありますか?」
コンピテンシー面接では具体的な場面について話してもらう質問を行っていきます。その際にわかりやすいのが「STARフレームワーク」です。
この「STAR」に沿って質問をすることで、具体的な行動や思考を掘り下げて聞き出せます。
それぞれについて、具体的な質問例をご紹介します。
Situation(状況)
- 取り組んだテーマ
- 背景
- 難易度
- 状況、場面、シーン
- 期間
「過去1〜2年の間にあなたがとくに力を入れて取り組んだ中で、成果が上がった取り組みにはどんなものがありますか?」
「あなたがそれに取り組もうと思ったときの状況や具体的なシーンを思い出してください」
Target&Task(課題)
- 問題、課題
- 役割、任務
- 目標、目的
「あなたがそれを行うにあたり、問題・課題と認識したことは何でしたか?」
「あなたはどんな立場でしたか?」
「設定した目標について教えてください」
「目標を設定したときに考えたことを、優先順位を含めて教えてください」
Action(行動)
- 実際の行動、発言とその意図
- 苦労した点、工夫点
「そのテーマに取り組むにあたり、最初に何をしましたか?」
「いつ、どこで、誰と、どんなことをしたのか、具体的に教えてください」
「どうしてそうしたのか、理由や意図について教えてください」
「とくに苦労したことや工夫したことを具体的に教えてください」
Result(結果)
- 結果、成果
- 影響を及ぼしたこと
- 周囲の反応
- 学び
「その結果はどうなりましたか?」
「それによって周囲にどんな影響を与えましたか」
「結果を受けて、こうすればよかったと考えたことや学びがあれば教えてください」
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9.【サンプル】コンピテンシー面接の評価シート
コンピテンシー面接の評価シートとは、評価項目ごとにコンピテンシーレベルを記録し、面接官が一貫した基準で応募者を評価するためのテンプレートのことです。
もっともシンプルなコンピテンシー面接で活用できる評価シートのサンプルです。
- Word形式⇒ダウンロードはこちらから
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10.コンピテンシーモデルの重要性
コンピテンシーモデルの重要性とは、自社で活躍できる人材の行動特性を定義することで、採用だけでなく人事評価や人材育成にも一貫した基準を持てるようになることです。
コンピテンシーモデルを作成し自社で活躍できる人材を定義すれば、マッチするハイパフォーマー人材かどうか判断しやすくなります。
コンピテンシーモデルは採用だけではなく人事評価や人材育成にも活用できるため、企業の人材力の向上につながるでしょう。
コンピテンシーをモデル化するには、サンプルとなるハイパフォーマーを把握することが必要です。そのためにまずは人材情報を見える化し、成果を出している社員を素早くピックアップできるようにしましょう。
11.コンピテンシーの理解に役立つ本
コンピテンシーの理解に役立つ本とは、コンピテンシー理論の基礎から実務への応用までを学べる書籍のことで、面接設計やモデル構築の参考になります。
コンピテンシー面接マニュアル
コンピテンシーの概念から面接の具体的な進め方、応用の仕方、企業の事例について書かれており、コンピテンシー面接を理解するのに最適な一冊です。
まんがでわかるコンピテンシー面接
『コンピテンシー面接マニュアル』を一部マンガ化した本です。読みやすいため新しく面接に参加する社員の取っ掛かりとしても活用しやすい一冊となっています。
【採用してもなかなか成果がわからない……】
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人材データを根拠に、自社で活躍する人材の採用を実現。 コンピテンシーの特定からモデルの設計の負担も減らします。 それがタレントマネジメントシステム「カオナビ」です。
12.コンピテンシー面接を導入する手順
以下では、「コンピテンシー面接」を実務で進める際の具体的なステップを紹介します。各段階のポイントを押さえることで、スムーズな実行につなげましょう。
よくある質問
コンピテンシー面接は新卒採用にも使えますか?
はい、新卒採用にも有効です。コンピテンシー面接は過去の具体的な行動を評価するため、学業・部活動・アルバイト・ボランティアなどの経験から行動特性を引き出せます。実務経験がなくスキルで評価しにくい新卒だからこそ、行動の質や思考プロセスを見極められるコンピテンシー面接が活きる場面は多いです。
コンピテンシー面接で応募者が具体的なエピソードを話せない場合はどうすればよいですか?
「いつ頃の出来事ですか?」「そのとき周囲にはどなたがいましたか?」など、場面を限定する質問で具体化を促すのが効果的です。それでもエピソードが出てこない場合は、別のテーマに切り替えましょう。具体的な行動事実を語れないこと自体が、その領域の経験値の低さを示す評価材料にもなります。
コンピテンシー面接の面接時間はどのくらい必要ですか?
1つのテーマについて行動事実を十分に掘り下げるには15〜20分程度かかるため、2〜3テーマで実施する場合は45〜60分が目安です。従来の面接よりも時間がかかる傾向がありますが、その分、応募者の本質的な行動特性を見極められるため、採用精度の向上につながります。

