OKRを導入するには? 注意点、管理ツール、導入企業事例

OKRそしてOKR導入についてご存じでしょうか。ここでは、企業がOKRを導入する方法や注意点、導入によって得られる効果などについて解説します。

1.OKR導入とは?

OKR導入とは、組織の目標と個人の目標がリンクするマネジメント手法を導入すること。1970年代にIntel社で誕生したOKRは、今やGoogleやLinkedIn、メルカリなど世界中のさまざまな企業に導入されています。

OKRとは何か?

OKRとは、組織が抱える目標(Objective)に対していくつかの成果指標(Key Results)を設定し、相互を連携させながら目標達成までのプロセスを管理していくフレームワークのことで、Objective and Key Resultsの略語です。

OKRでは組織と個を連動させ、目標設定や進捗管理、業務評価などを高い頻度で行って、組織全体の成長を促します。

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OKRの特徴

OKRでは一般的に、1つの目標に対して3つほどの成果指標を設定するのが望ましいといわれています。目的は、指標を少なくして優先順位を明らかにし、チームや個人間の意思疎通を円滑にすること。

OKRとよく似たものにMBO(Management By Objectivesの略、目標管理制度のこと)やKPI(Key Performance Indicatorの略、重要業績評価指標のこと)などがあります。

OKRとMBOの違い

目標管理のフレームワークにはさまざまな種類がありますが、なかでもOKRとよく比較さのはMBO(Management By Objectives)でしょう。MBOとは、OKRより評価制度としての意味合いが強い目標管理方法のことで、2つには次のような違いがあります。

  1. OKR:人事評価に連動しないため組織や個人の目標がオープンになっている、四半期から半期に1回レビューを行うことが多い、達成率の評価水準は60%から70%
  2. MBO:目標が評価に直結するためクローズされている、振り返りは半年から1年に1回程度、達成率の評価水準は100%

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OKRとKPIの違い

KPI(Key Performance Indicator)もOKRと比較されることの多いフレームワークです。KPIは目標を100%達成するための指標で、日本語では重要業績評価指標と訳されます。

「目標に対して自分がどの位置にいるかを把握」という意味では似ていますが、OKRでは一見実現不可能にも思える壮大な目標を設定するのです。

OKRは組織と個が一丸になって高い目標を設定することに意味が、KPIは達成することに意味がある指標として区別されています。

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2.企業がOKRを導入する方法と注意点

国内外の多くの成長企業で導入効果が報告されているOKRですが、企業がOKRを導入する意味とは何でしょうか。ここではOKRが注目されるようになった背景や、具体的なOKR設置方法について解説します。

OKRを導入する理由

従来の目標管理では、組織の上層部が意思決定を行い、その実行を従業員に指示するトップダウン方式が主流でした。しかし近年、多くの企業が年功序列から成果主義へ、評価基準は時間から成果へとシフトしています。

OKRの本質は、従業員の意見を取り入れながら経営方針を固めていくボトムアップ方式。従来の経験則が通用しない不確実性の高いマネジメントにて、OKRを「自ら最適解を考え、市場環境に適応するための手法」として導入する企業が増えたのです。

OKR設定方法

全社的なOKR、部署やチームごとのOKR、個人単位でのOKRなど、OKRはさまざまなフィールドで導入されています。

OKRを導入する際は、はじめに「O(Objectives、具体性かつ測定可能性のある目標)」を設置するのです。目指す方向性やその目標を目指さなければならない理由などを踏まえて、慎重に決めなければなりません。

続いて「KR(Key Result、成果指標)」を設定します。ここでは納期や指標などの数値を加えて、定量化できるものを設置しましょう。

OKR導入のメリット

OKR導入にはどのようなメリットがあるのでしょうか。OKR導入の最大のメリットは、個人と組織のベクトルを合わせるため、組織をただの集団ではなく一体感を持って目標を追うチームに変えられること。

一般的に組織が拡大するにしたがって、個人のミッションや組織のビジョンがあいまいになります。OKRの実施により、組織全体で高い目標を追いかけ、生産性だけでなく働きがいやエンゲージメントの向上も目指せるでしょう。

OKR導入の注意点

OKRを導入すると業務の優先順位が明確になるため、コミュニケーションも活性化します。しかし一方で、デメリットも存在するのです。

OKR導入は、リソースの限られたスタートアップ企業やマネジメント体制が整っている企業に向いている反面、OKR設定や振り返りを頻繁に行えない企業、トップダウンでビジョンを浸透させたいと考えている企業などには向いていません。

またOKRは、決定すれば自然に共有されていくものではないため、定着するまでにコストと時間がかかるのです。

OKR導入を検討する際は、ほかのマネジメントと併用したり、一部の部署のみで導入したりするなどして、自社にあった運用方法を探していきましょう

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3.OKR導入で企業が得られる効果とは?

従来の目標管理手法に比べ、高い頻度で目標の設定や振り返りを行うOKRでは、企業が業績を伸ばすための目標達成に重きを置いています。目標と報酬制度が直接結び付いていないため、安直な目標設定や業績低迷を防ぐ効果が期待できるのです。

ここではOKR導入で企業が得られる効果について、具体的に紹介します。

働き方改革の実現

テクノロジーの進化やグローバル化、労働人口の急激な減少などさまざまな課題に伴って、日本は急速な働き方改革の実現に迫られています。

OKR導入には、業務の優先度を明確にし、無駄なタスクやアクションの削減といった側面があります。つまりOKR導入を生産性アップにつなげたり、働き方改革の実現を図ったりできるのです。

コミュニケーションを活性化させる

OKRを成功させるには、上司と部下が1対1になって話し合える面談の場を設ける必要があります。そこで振り返りや目標提起を綿密に行い、個人の課題や組織目標などの擦り合わせを行うのです。

1on1の面談を繰り返せば必然的に、社内全体のコミュニケーションも活性化するでしょう。たびたび面談を繰り返せば、目標や課題解決のための要点をより一層ブラッシュアップできます。

組織力が上がる

OKR導入の効果として特に注目されているのが、組織力の底上げです。全社的なOKRを決めていけば、あいまいな数値上の目的ではなく、より具体的な課題が明らかになります。

そして具体的な課題を共有して部門やチーム、個人のOKRとリンクすると、組織力の向上が図れるのです。進捗管理の頻度を上げ、課題達成に向けたPDCAサイクルを高速化すれば、目標の形骸化も防げるでしょう。

働き方の多様化が進む一方、ブラックボックス化しがちな業務も少なからず存在します。しかしOKRを導入すれば、これらの「見える化」が実現できるのです

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4.企業などでOKRを導入する際、管理ツールは必要?

OKR導入を考える際は、あわせて管理ツールの導入も検討しましょう。OKRを管理するツールには、無料で使用できる「Googleスプレッドシート」やクラウド人材管理システムの「カオナビ」などがあります。

管理ツールを使うべき?

OKR管理ツールを使うか、またどのシステムを使うかは、OKRを導入する組織によって異なります。ツール導入はあくまで手段であり、目的ではありません。

組織の規模や風土、従業員の業務量などに鑑みて不要だと感じた場合は、一旦管理ツールの導入を見送りましょう。

OKR管理ツールを導入する際は、「目的に応じてカスタマイズできる」「操作性が高く煩雑なシステムではない」という2つの観点から選ぶとよいでしょう

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5.参考にしたい!OKR導入企業と事例紹介

それでは実際にOKRを導入した企業の実例を見ていきましょう。各企業とも自社にあわせてカスタマイズしているため、運用スタイルはさまざまです。ここでは各企業の運用例や、それぞれの企業が得たOKR導入の効果などを紹介します。

OKRを導入している有名企業

さまざまな組織や業界で導入されているOKRですが、特に外資系企業や多国籍企業、スタートアップ企業などで多く使われる傾向にあります。OKRを導入している企業の事例を見ていきましょう。

  1. Google
  2. メルカリ
  3. Sansan

①Google

いわずと知れたシリコンバレーの多国籍企業、Googleでは2000年代初期にOKRの導入に成功し、世界中の企業に大きな影響を与えました。

Googleでは、達成可能と考えられる目標よりも高い目標を見据えた「ストレッチゴール」の設定を推奨しています。これは簡単に100%達成できる目標設定では、大きな成長は望めないと考えているからです。

70%達成できれば成功という考えをあえて示して、意欲的に挑戦できる体制づくりに成功しました。

②メルカリ

2018年に東証マザーズ(現グロース市場)への上場を果たしたメルカリも、OKR導入に成功した企業のひとつです。同社では従業員数が100名に満たない初期のうちからOKRを導入し、個人と組織との結び付きを強化しました。

メルカリでは、週のはじめに進捗や優先度などを共有するチェックインミーティング、週の終わりにチームごとの成果物を出し合うウィンセッションを実施しています。

OKRが単なる目標設定ではなく、コミュニケーションツールとして活躍していると分かる実例です。

③Sansan

法人向けのクラウド名刺管理サービスでおなじみのSansanでは、事業成長に伴ってOKRの設定に多大な時間を費やす点に課題を抱えていました。生産性の向上を重視した結果、目的不明瞭な現場の定量目標が増えてしまったのです。

そこで、各部門のチームプランを全社的なつながりとしてアクセスできる環境を構築し、個々のメンバーとの見える化を実現させました。

これにより事業スピードが早まり、柔軟な展開が求められるなかでも、事業成長に有効なプランを効率的に導けるようになったのです。

OKRはすべての会社で成功する目標・人材管理方法というわけではありません。自社の課題と目的を明確にしたうえで成功事例を学び、OKR導入を進めていきましょう