MBBとは? MBOとの違い、特徴、メリット、導入手順

MBOという目標管理制度に加えて、近年注目されているのが「MBB」です。導入している企業も増えているというMBBには、どのような特徴があるのでしょう。

1.MBBとは?

MBBとは、目標管理手法のひとつ。Management By Beliefの略で、「思いのマネジメント」とも呼ばれます。人材が多様化するなかで、組織全体を改革する人材マネジメント手法として注目を集めている手法です。

個人の思いや価値観などを共有して、実現できる目標を設定するためです。社員が十分に納得して目標に取り組めるようになり、成果やパフォーマンスの向上が期待できます。そのためMBBは企業において組織の改善や目標管理制度の補完などの目的で用いられるのです。

導入される目的

MBBの目的は、より質の高い目標管理。社員の意志や価値観を取り入れた目標設定が行われるため、目標やアクションに対する考え方が前向きになります。

業務のミッションにおける社員の理解度が高まるため、「業務に対してやりがいや楽しさを見出し、自ら意欲的に取り組む」という好循環が生まれるのです。企業全体の質の向上にもつながるでしょう。

「MBO」との違い

MBOとは、業務における目標設定を上司との面談で行い、目標の進捗度で評価する目標管理制度のひとつ。人事評価の参考にするため用いられます。

一般的なMBOの目標は業務プロセスの改善や一定の成果などが中心となります。対してMBBは社員の価値観や意志、想いなどを上司と共有し、目標設定に組み込むのです。

MBBでは、個人の思いや価値観などを共有して、実現できる目標を設定します。そのため「思いのマネジメント」ともいわれているのです

部下を育成し、目標を達成させる「1on1」とは?

・1on1の進め方がわかる
・部下と何を話せばいいのかわかる
・質の高いフィードバックのコツがわかる

効果的に行うための1on1シート付き解説資料をダウンロード⇒こちらから


【評価業務の「めんどうくさい」「時間がかかる」を一気に解決!】

評価システム「カオナビ」を使って評価業務の時間を1/10以下にした実績多数!!

●評価シートが自在につくれる
●相手によって見えてはいけないところは隠せる
●誰がどこまで進んだか一覧で見れる
●一度流れをつくれば半自動で運用できる
●全体のバランスを見て甘辛調整も可能

カオナビの資料を見てみたい

2.MBBが注目される背景

MBBが注目される背景には、成果主義を前提とするMBOにさまざまな問題があります。そこで個人を尊重するMBBが、組織づくりにおけるイノベーションを生み出す新たな手法として注目されているのです。

終身雇用制度や年功序列制度の崩壊

終身雇用や年功序列といった制度の崩壊により、若い層の人材確保が難しくなりました。終身雇用や年功序列制度は、「社員の忠誠心を高める」「協調性の強化」などを目的に導入されていたのです。

しかし1980年代末のバブル経済の崩壊といったさまざまな要素をきっかけに、企業でも人件費の削減などが課題となりました。そこで高い給与を得ている高年齢層の代わりに、人件費が安くて高い能力を持つ若い人材が必要となったのです。

このような人材育成を実現するためにMBBやMBOなどの手法が注目されるようになりました。

成果主義の浸透

欧米型の経営が注目されるようになったのも背景のひとつです。先ほどのバブル崩壊から、日本企業の経営手法は行き詰まりを見せるようになりました。そこでグローバル化を図り、欧米流の合理化やマーケットメカニズムなどを取り入れ始めたのです。

そして能力主義管理や成果主義といった思想が広まり、社員個人の尊重と人材の有効活用の両面に重きを置いた経営方法が模索されました。MBBはこの経営方法にマッチした手法といえるでしょう。

目標管理制度への注目度

前述した成果主義の一環として、目標管理制度が注目された点もMBBが知られるようになった理由です。社員それぞれが自分で目標を管理する「個別目標管理制度」が多くの企業で導入されました。

しかし社員が個人でつくる目標はバラバラで、企業の目標や方針と関連しないものも少なくありませんでした。また目標の達成を重視して無難な目標を立てるといった、モチベーションが下がる傾向も見られたのです。

企業の方針に沿いながら、意欲的に取り組める目標設定としてMBBが注目されました。

人材のグローバル化

グローバル人材をより多く生かし、生産性の向上などを図るために経営管理手法のさらなる欧米化が求められたのも注目のきっかけとなりました。日本の労働人口総数に占める外国人の割合は1.1%で、もっとも高いのはアメリカの16.3%、次いでドイツの9.4%。

欧米先進国と比較すると、海外人材を国内でまったく生かせていません。グローバル人材を活用するためには欧米型の経営手法を取り入れる必要があり、そのひとつがMBBでした。

MBBが注目される背景にあるのは、「終身雇用制度や年功序列制度の崩壊」「成果主義の浸透」「目標管理制度への注目度」「人材のグローバル化」の4つです

Excel、紙の評価シートを豊富なテンプレートで楽々クラウド化。
人事評価システム「カオナビ」で時間が掛かっていた人事業務を解決!
【公式】https://www.kanavi.jp にアクセスしてPDFを無料ダウンロード

3.MBBの特徴

MBBの大きな特徴は「社員を尊重する」点。社員の価値観が多様化する現代にて、人材の育成は企業にとって重要な課題でしょう。

社員の価値観や石を取り入れるMBBは、社員一人ひとりを尊重しながら、多様な人材を育成できるようになります。組織の強化や人材戦略の実現に欠かせないでしょう。

価値観の共有

MBBでは、経営者も含めた社員すべての価値観や考え方の共有が必要となります。社員一人ひとりの能力を最大限発揮して、経営上の成果につなげるためです。

年齢や性別、国籍などにかかわらず個人の価値観を組織と共有し、組織はそれら個々の価値を認める必要があります。個々の価値観を共有すると、その人の能力や特性を生かした目標設定が行えるのです。

仕事の意義を確認

仕事への意義となりえるのもMBBの特徴です。社員が持つ仕事の意義はさまざまで、多くはその根本に社員個人の価値観や考え方などが含まれています。

自分の価値観にあった仕事をするのはもちろん、社員の価値観などを理解してくれる上司や同僚などの存在が仕事の意義になる場合も多いです。

MBBの活用によって社員は仕事の意義をより強く感じられようになり、仕事へのモチベーションがアップするでしょう。

OJTやコーチングへの補完

上司との関係性を重視し、目標設定の前に価値観や考え方を共有します。OJTによる研修や訓練、コーチングによる導きなどにMBBを活用すると、社員個人に合わせた形に変化できるのです。

このようにMBBで補完すると、より質の高い目標や育成などの管理が実現できるでしょう。

MBBの大きな特徴は「社員を尊重する」点です。そのほか「価値観の共有」「仕事の意義を確認」「OJTやコーチングへの補完」などがあります

Excel、紙の評価シートを豊富なテンプレートで楽々クラウド化。
人事評価システム「カオナビ」で時間が掛かっていた人事業務を解決!
【公式】https://www.kanavi.jp にアクセスしてPDFを無料ダウンロード

4.MBBを導入すると得られるメリット

MBOは、ときに意欲や生産性の低下を招いてしまうというデメリットがありました。一方MBBには、仕事のモチベーションを自らの内に見出せるメリットがあります。MBBのメリットを知り、MBOと組み合わせると相乗効果が期待できるでしょう。

  1. 目標管理制度(MBO)との相乗効果が期待できる
  2. MBOにおけるMBBの生かし方
  3. リーダーシップの養成
  4. 組織の強化
  5. イノベーションの促進

①目標管理制度(MBO)との相乗効果が期待できる

従来のMBOでは、社員が自ら設定した目標を上司と話し合って決定していました。しかしMBBを導入すると、過程に社員個人の考え方や価値観をくわえられます。

その結果、社員の目標達成へ対するモチベーションが上がり、組織における目標達成がより実現に近付くのです。このようにMBBはMBOとの相乗効果を生む可能性があります。

②MBOにおけるMBBの生かし方

MBOで生じる「ダメ出し」をカバーするためにMBBが活用できるのです。MBOは業務遂行や目標達成のプロセスを目標設定の軸とします。重視されるのは、「何を」「いつまでに」「どうやって」「どの程度」などのアクションと結果。

達成できなければ「なぜできなかったのか」を問われ、評価は下がるでしょう。そこでMBBを組み込み、キャリア形成や社員個人の考えを目標設定の軸とするのです。MBOだけでは成しえない、社員を尊重した「人を育てる」評価ができるようになります。

③リーダーシップの養成

リーダーシップのなかでも「ソート(理念や思想)リーダーシップ」の育成に役立ちます。特定の分野や市場、顧客などの企業課題に対して、自社のソートと紐付いた解決策を提案するのがソートリーダーシップです。

MBBで価値観や自社への思いなどを把握すると、ソートリーダーになりうる人材を発見できます。

④組織の強化

MBBでは、組織成立に欠かせない「共通目的」「貢献意欲」「意思疎通」を特に重視しているため、組織強化にも活用できます。MBOだけではこの3要素を十分に得られないでしょう。

共通目的に自らの意志を反映させると、目標の意味や達成後のビジョンがより明確になります。モチベーションが高まって自社に対する貢献意欲が生まれ、目標達成のために周囲と十分な意志疎通が行われるのです。

こうしたサイクルが継続できれば、組織の強化につながるでしょう。

⑤イノベーションの促進

MBBにおける多様な価値観の共有は、イノベーションの促進につながります。さまざまな社員の価値観を共有すれば、ダイバーシティ人材が働きやすい環境をつくれるのです。

ダイバーシティ人材を活用すると新しいビジネスモデルや技術、手法などが創造されるでしょう。企業のイノベーションが促進され、企業価値の向上や経営成果の達成を実現できます。

MBBを導入すると得られるメリットは、「目標管理制度(MBO)との相乗効果が期待できる」「MBOにおけるMBBの生かし方」「リーダーシップの養成」「組織の強化」「イノベーションの促進」の5つです

部下を育成し、目標を達成させる「1on1」とは? 効果的に行うための1on1シート付き解説資料をプレゼント⇒こちらから

5.MBBを実施するためのポイント

MBBを実施するためのポイントは、仕事における「目的意識」と「シャドーワークの容認」、私生活をビジネスにおけるイノベーション創出につなげる「ワークライフインテグレーション」です。それぞれのポイントについて解説します。

  1. 目的意識を持つ
  2. シャドーワークを許可する
  3. ワークライフインテグレーションを重視する

①目的意識を持つ

MBBにて、目的意識を持たせることは大変重要です。自分の業務が夢や目標にどうつながっていくのかがわかれば、社員は仕事の意味を見出せるようになります。

そのためには「自分が何をしたいか」「どうなりたいのか」「何が正しいと思うか」などを聞き出し、企業と社員の両者にとって、もっともよい目標を考えさせましょう。このように設定された目標は、自主性や仕事に対するモチベーションを向上させます。

②シャドーワークを許可する

シャドーワークは、MBBにおいて効果的と考えられるためぜひ許可しましょう。シャドーワークとは報酬の発生しない影の業務で、社員自らが自発的に取り組む業務とされています。

たとえば独自に取り組んでいるプロジェクトといったものです。社員が自発的に考えて取り組むため、成長や結果につながりやすくなります。またシャドーワークを通じて習得したスキルが企業のイノベーションをもたらす可能性も高いです。

③ワークライフインテグレーションを重視する

MBBでは、ワークライフインテグレーションを重視します。ワークライフインテグレーションとは、仕事(ワーク)と私生活(ライフ)を統合(インテグレーション)すること。

仕事と私生活の両面から自社の働き方や組織体制、制度などを考えると、双方の課題を解決する方法が見えてきます。このような課題の解決方法もまた、イノベーションの創出につながるでしょう。

MBBを実施するためのポイントは、「目的意識」と「シャドーワークを許可する」「ワークライフインテグレーションを重視する」の3つです

マネジメントに役立つ資料を無料でダウンロード!⇒こちらから

6.MBBを導入する手順

MBBを導入する際はまず、自社が必要とする価値観を明確化し、企業と社員の価値観をすり合わせます。目標設定やアクションを実行する際、フレームワークを活用すると効果的です。またMBBが成功しやすくなる制度を導入すると効果が高まるでしょう。

STEP.1
環境整備
MBBでは社員のモチベーションが上がる環境作りから始めましょう。たとえばユニークな表彰制度やインセンティブ施策など。MVP表彰制度などは社員の競争心を高め、受賞者は周囲からの賞賛や成功体験を得られます。

インセンティブもモチベーションアップに役立ちます。金銭や物品のほかに、旅行などもよいでしょう。

STEP.2
目標設定
次に目標設定を行います。目標設定で重要なのは、社員個人の目標や価値観を仕事上の目標と融合させること。

まず社員自身が人生の中で何をしたいか、どうなりたいかなどの目標を設定したうえで、業務目標を設定しましょう。この双方をわずかでも融合させると、社員のモチベーションがアップします。

STEP.3
フレームワークの活用
目標達成に必要な内容を洗い出すため、フレームワークを活用しましょう。

たとえばナレッジマネジメントのフレームワークである「SCEIモデル」を使うと、社員の知識やスキルを明らかにでき、新しい知識やスキルの習得や他者への共有がスムーズになります。

「マインドマップ」は思考の流れを書き出すためのフレームワークで、アイデアの創造や整理に効果的です。

STEP.4
PDCAサイクルの導入
立てた目標を達成するための行動を管理する方法では、PDCAサイクルが有効です。PDCAサイクルでは「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(検証)」「Action(改善)」を繰り返します。

立てた目標や具体的な行動指針を定期的に確認し、結果を検証。改善が必要であれば計画を修正し、再度実行に移るのです。PDCAサイクルを回すと目標達成により近付きます。

MBBを導入する手順は、「環境整備」「目標設定」「フレームワークの活用」「PDCAサイクルの導入」です。それぞれ手順でやる事柄を確認して、漏れなく適切に進めましょう