リーダーシップとは? 意味・定義、種類、具体例、能力、要素、開発方法について【リーダーシップって何?】

リーダーシップは、組織がプロジェクトを進めるうえで非常に重要なもの。しかし、人によってリーダーシップという言葉からイメージするものが異なるため、その定義はあいまいな点も多いです。

  • リーダーシップとは何か
  • 意味や定義
  • 種類
  • 具体例
  • 能力
  • 要素
  • 開発方法

などを多面的に見ていきましょう。

1.リーダーシップの意味とは?

リーダーシップとは「組織の中で目標を定め、チームをつくり(もしくは維持し)、成果を出す能力」を指します。リーダーシップのなかのlead(率いる)という言葉から、「チームを先頭で引っ張る」「指揮を執る」といったイメージを思い浮かべる人が多いかもしれません。

しかしそれらは、リーダーシップで求められたり必要とされたりする要素ではないのです。

近年リーダーシップについての考え方は、先天的な才能や資質ではなく後天的に身に付けられるもの、もしくは発揮できるというものが主流となっています。つまりどのようなタイプの人でもリーダーシップを発揮できる可能性はあるのです。

リーダーシップの定義

ピーター・ドラッカーによる定義

現代経営学の発明者としても有名なオーストリアの経営学者、ピーター・ドラッカーは、リーダーシップの本質について語っています。それは、「人を動かす」という意味とはまったく違ったものでした。

ピーター・ドラッカーはリーダーシップについて、3つの定義をしています。

  1. つき従うもの(フォロワー)がいること(≒信頼されている)
  2. リーダーシップを仕事ととらえている
  3. リーダーシップを責任と見る
①リーダーに関する唯一の定義は、つき従う者がいるということである

「信頼するということは、リーダーを好きになることではない。常に同意できることでもない。リーダーの言うことが真意であると確信を持てることである。それは、真摯さという誠に古くさいものに対する確信である。」

参考 『未来企業』Amazon.co.jp

ドラッカーは、リーダーについて「リーダーに関する唯一の定義は、つき従う者がいるということである」と語っています。これには少し注釈がいるでしょう。

「つき従う者」とは、「強制力を以て従わせられる者」ではありません。逆に「そのリーダーを信頼するがゆえに自らの意志に基づいて従う者」という主体的、能動的な意味で解釈されています。

組織の中には、「役職に就いている」「学歴がある」などの理由だけで、真にチームのメンバーから慕われているわけではないリーダーも多くいます日々の仕事ぶりが他者から評価され信頼を勝ち得た者のみが、リーダーの名に値するとドラッカーは説きます。形骸化した組織に、リーダーは存在しないのです。

②リーダーシップは資質ではなく仕事である

「リーダーたることの第一の要件は、リーダーシップを仕事と見ることである」

参考 『プロフェッショナルの条件』Amazon.co.jp

「リーダーシップとは人を引きつけることではない。そのようなものは煽動的資質にすぎない。仲間をつくり、人に影響を与えることでもない。そのようなものはセールスマンシップにすぎない」

参考 『新訳 現代の経営』Amazon.co.jp

ドラッカーによるとリーダーの要件とは資質やカリスマ性といったものではなく、リーダーシップを仕事と見ることのできる者とのこと。

意味のあるリーダーシップとは、「組織の使命を考え抜き、それを目に見えるかたちで確立すること」と考えたのです。リーダーシップは組織の使命を明確にメンバーに提示できることであり、リーダーとは「目標を定め、目標に対しての優先順位の基準を決めてその体制を維持していく者である」と説明しています。

さらにドラッカーは、リーダーに自らも目標に対して行動規範になることを求めています。仕事を成し遂げる者こそ真のリーダーであり、その者の行動こそがリーダーシップである、というのがドラッカーのリーダーシップの2つ目の定義です。

③リーダーシップを、地位や特権ではなく責任と見ること

「リーダーたることの第二の要件は、リーダーシップを、地位や特権ではなく責任と見ることである。優れたリーダーは、常に厳しい。事がうまくいかないとき、そして何事もだいたいにおいてうまくいかないものだが、その失敗を人のせいにしない。」

参考 『プロフェッショナルの条件』Amazon.co.jp

ドラッカーは、トルーマンの言葉を引用してさらにリーダーシップ論を展開します。ドラッカーが引用したのは「最終的責任は私にある」という言葉です。

チームでプロジェクトに取り組むとき、部下の行動は栄光を約束されたものばかりではありません。時に思わぬ失敗をもたらすことがあるでしょう。そんなとき、リーダーは部下の失敗に責任を取ることを心に構えなければなりません。

部下の力に不信感を持ったり恐れを感じたりせず、逆に「部下を激励し、前進させ、自らの誇りとする」と語っています。リーダーシップというと高圧的な態度で部下に接し、強制や命令、叱咤を繰り返すことで奮起を促すというイメージがあるかもしれません。

しかしドラッカーは、リーダーは融和的に組織をゴールに導きつつ、すべての責任は自分にあるという潔さを持った存在と捉えているのです。

リーダーシップは全員が持ち得るもの

リーダーシップとは、組織の中のトップを意味する言葉ではありません。リーダーシップとは、組織を構成する全員が持ち得るものと捉えるべきです。

メンバー全員がリーダーシップを持った状態が、目標に向かって価値あるゴールについて考え行動を起こすことにつながります。

一人のカリスマが君臨するより、組織の全メンバーがリーダーシップを持つ、つまり全員が自分の持ち場でリーダーシップを発揮すれば、アウトプットの質を圧倒的に向上できるのです。

持ち場で全員のアイディアやスキルが発揮されれば、その集積はそのまま組織の成果物になります。カリスマ一人分のアイディアやスキルなどはたかが知れていることをドラッカーはいち早く見抜いたのです。

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2.リーダーシップの種類・分類

ドラッカーのリーダーシップの定義から、リーダーシップに対する考え方がおおよそわかったところで、次はリーダーシップの種類・分類について考察していきます。リーダーシップはいくつかの理論で分類されています。5つの理論を見てみましょう。

コンセプト理論

コンセプト理論は、ビジネスにおける環境、組織の状況、メンバー構成などの状況に応じたリーダーシップの具体的な方法に着眼した理論です。条件適合型理論という前提がありますが、理論を代表するリーダーシップの方法には、下記のようなものがあります。

  1. カリスマ型リーダーシップ
  2. 変革型リーダーシップ
  3. EQ型リーダーシップ
  4. ファシリテーション型リーダーシップ
  5. サーバント型リーダーシップ

①カリスマ型リーダーシップ

カリスマ型リーダーシップとは、並外れた力を発揮するリーダーシップのこと。たとえば、Apple社の元CEOスティーブ・ジョブズ氏やセブン&アイ・ホールディングスの元CEO鈴木敏文氏などが発揮したリーダーシップです。

明確なビジョンを提示すると同時にリスクを一手に引き受けます。環境を現実的に評価しつつ、組織を構成するメンバーのニーズや感情に的確に対応し、理解を示すような特徴があります。

カリスマ型リーダーシップが機能すれば、企業を業界トップにも押し上げる力をリーダーは発揮するのです。

ただし、問題点もあることを忘れてはなりません。強烈なリーダーシップに甘んじた場合社員の自主性は失われます。リーダーへ依存すれば、次世代のリーダーの育成問題に大きな影を落とすでしょう。能力の差がプレッシャーとなれば、後継者は育ちにくくなります。

②変革型リーダーシップ

「企業の業績がV字回復した」といったニュースに象徴されるのが、変革型リーダーシップです。変革型リーダーシップは、経営危機に面した企業を大胆な改革により回復を遂げる場合に発揮されます。

組織内の危機感を醸成し、それをもとに企業の進むべき新たなビジョンを構築します。変革のための組織づくりをし、組織内で自発的な活動を促すのです。そうすると、早い段階で小さな成功がもたらされるため、その成功の積み重ねで企業の業績は回復します。

リーダーシップ論の権威であるハーバード大学ビジネススクールのジョン・コッター教授は、「リーダーシップは変革能力であり、マネジメントは管理能力である」と言っています。

現代社会は、マネジメント能力に長けているリーダーは多いものの、変革をもたらす能力を持ったリーダーが不在であることを問題視しています。

③EQ型リーダーシップ

EQ型リーダーシップは、リーダー自らが組織の構成員の感情やモチベーションに働きかけ、ポジティブな方向へと舵を取っていくリーダーシップです。組織のマインドを高め、チームワークよく組織を動かしたいときに有効なリーダーシップといえます。

EQ型リーダーシップはリーダーが自分の感情を理解するところから始まり、自分の感情をコントロールし、他者理解に進むのです。

他者理解のうえで他者の感情への働きかけをコントロールしていき感情を汲み取ってもらったメンバーは、リーダーに対する忠誠心を持ち、職務に対して意欲的に取り組みます。その結果、企業業績にも大きな利益をもたらすといったリーダーシップの形です。

現横浜市長林文子氏が、ダイエーの会長だった際、社員をほめる、認めるという形でリーダーシップを発揮したのがその成功事例です。

④ファシリテーション型リーダーシップ

多くのメンバーの自主的な意見を吸い上げる、ファシリテーション型リーダーシップがあります。リーダーとは組織を率いるものではなく、上下関係のない中立な立場と捉えています。

ファシリテーション型リーダーシップは、たとえば「君ならどうしますか?」「君ならどう考えるのかな?」といった傾聴や質問といった行為でメンバーの意見を最大限に引き出すのです。組織の課題すべてをメンバーが主体的に話し合い、意見をまとめ、行動に移していくことで組織を運営するのが特徴といえます。

日本全国でリゾート経営を成功させている星野リゾートの星野佳路氏の手法は、まさにこのファシリテーション型リーダーシップに当てはまります。

ファシリテーションを最大限に発揮し、自らの地位や権威を用いず傾聴を繰り返し行うことで、日本全国へリゾート展開する大企業へと変貌させました。

⑤サーバント型リーダーシップ

サーバントとは、召し使いのこと。サーバント型リーダーシップは、リーダーがあたかも召し使いのように振る舞いながらチームを率いていくリーダーシップです。ミッションやビジョンといった設定の最終意思決定はリーダーが行います。

実際のアクション過程において、リーダーは組織メンバーのサポートに徹し、メンバーはリーダーのサポートを受けながら顧客に満足を与えようとします。ピラミッド型の上位層が下位層に対し、支援を行うことでビジネスに良循環をもたらすのです。

2001年から2005年まで資生堂で社長に就いていた池田守男氏は、組織力の強化のため、このサーバント型リーダーシップを用いました。リーダーがサブマネージャーを支援し、サブマネージャーが社員を支援し、社員が顧客に対してサービスを提供する仕組みが構築されました。

PM理論(三隅二不二 みすみじゅうじ)

PM理論は、日本の社会学者である三隅二不二(みすみじゅうじ)氏が提唱したリーダーシップ理論です。

パフォーマンス(課題関連行動 Performance function)とメンテナンス(対人関連行動 Maintenance function)の組み合わせで構成されており、両方に優れたものを理想のリーダーシップとしています。PMの軸を使った組み合わせは4通りありますので、それぞれを見てみましょう。

  1. PM
  2. Pm
  3. pM
  4. pm

①PM

課題関連行動も対人関連行動ともに高く維持されているのがPMで、目標達成に力を入れながら、人間関係にも気を配る理想的なリーダーと考えられます。PMの文字が大文字なのにも訳があります。

大文字で記された場合には、その効果が大きいことを示し、小文字で記された場合は、その力が弱いことを意味します。

Pは

  • 組織の決まり事を守るためメンバーを徹底して指導する
  • スケジューリングに重きを置き、その進捗管理を徹底する

などが挙げられます。

Mは

  • 意見の対立があったとき、積極的に調整役として関与する
  • メンバーが自己の課題を達成できるよう、声かけや指南まで幅広く対応する

といった行動を指します。組織としての成果をあげる力とともに、組織をまとめあげる力も強靭であるとわかります。

②Pm

Pmとは、目標を達成することに重点を置くけれど、組織内の人間関係には大きく関与、配慮しないリーダー像です。

目標の達成に関するPの文字が大文字で、対人関連行動に関するmが小文字であることからも、その特徴がわかるでしょう。

Pの力を大きく伸ばすためにはどうしたらよいかについて2つの必要要素があります。

  1. 明確な目標提示とそこに行き着くまでの課程を具体的にイメージさせる たどり着くゴールと、そこまでの地図を明らかにすることで目標達成に大きく近づく
  2. 目標に向けた行動を徹底させる いくら地図があっても、寄り道をしたり亀のような歩みをしたりするのでは結果は出ない

組織内でそれぞれの行動をコミットメントさせたり、目標を意識する機会を多くつくったりすることで意識を高めることが必要です。

③pM

pMは文字通り、目標達成という結果よりも集団内における人間関係に気を配るタイプの行動理論です。Mを伸ばすための能力に必要な要素は、組織内の対人関係にある2つの構図です。

  1. 上司と組織メンバー 定期的な個人面談や上司からの声かけ実施といった具体的施策
  2. 組織メンバー同士 自由に意見交換できるミーティングの設置など

目標達成に力が及ばない部分があるので、企業としての即戦力にはなり得ないパターンですが組織内の風通しが良くなるため、組織の成熟期を待てば、何らかの結果を生み出す可能性も秘めています。

④pm

pmは、目標達成に関する力と対人関係行動に関する力が共に弱いという特徴があります。目標達成、人間関係の調整のどちらにも消極的なリーダーのパターンで、組織としては非常に問題です。

リーダーとしての存在意義がないとみなされる場合が多く、このようなリーダーシップを執る人材がその地位に長くいることは難しいでしょう。

企業はパフォーマンスを出し、経営目標を達成することを目的に日々活動しており、そのために円滑な組織運営は不可欠です。その両方に力を発揮できないのは、企業にとって致命的といわざるを得ません。

PM、Pm、pM、pmの4つのパターンのなかでこの位置に属することだけは避けるべきと考えられているゾーンです。

レヴィンのリーダーシップ類型

アメリカ人心理学者クルト・レヴィンのリーダーシップ論は、児童を対象としてリーダーシップの有効性を実験した結果から生み出されました。レヴィンのリーダーシップ論は、3つのパターンに分類されています。

  1. 専制的リーダーシップ
  2. 自由放任的リーダーシップ
  3. 民主的リーダーシップ

①専制的リーダーシップ

専制的リーダーシップとは、部下や組織は命令をすることでのみ動くという考えを前提にして、目標設定、作業工程、スケジュール管理といったすべての意思決定をリーダーが行うというパターンです。

組織は、専制的リーダーシップによって効率よく指示された仕事をこなすため、仕事量、パフォーマンスともに素早く結果を出せますし、高い生産性も短期間で実現するでしょう。

しかし、組織の成熟度を見るとどうでしょう。メンバー同士が不信感を抱いたり、指示がなければ何のアクションも起こさなかったりという疲弊し空洞化した組織が出来あがるのです。

専制的リーダーシップは未成熟でメンバーだけでは進路を安全に進むことのできない組織や、緊急性が高く一丸となって事態収拾にあたらなければならないケースでのみ、有効性を発揮できます。

②自由放任的リーダーシップ

自由放任的リーダーシップは、簡単に言えば、部下任せのリーダーシップです。部下や集団の取るべき行動に関して、作業プロセスにもスケジュール管理にもリーダーはまったく関与せず、部下の自由な発想と奔放なやり方で組織運営を行います。

自由放任的リーダーシップで成功を収めるのは、メンバー一人ひとりが高い専門性を持って活動できる場合や、集団としてのレベルが高い場合のみです。具体的には、専門分野を持った研究者が集まる研究開発部門などを思い浮かべるとよいでしょう。

専門家集団では個人の能力が最大限発揮できますので、自由放任的リーダーシップの有効性はいかんなく発揮されます。

ただし一般的な組織においては組織としてのまとまりに欠け、モチベーションも低下傾向になることは間違いありません。仕事の量・質ともに期待できないケースが多いでしょう。

③民主的リーダーシップ

民主的リーダーシップは、方針や目標といった組織で決定すべき課題にメンバーの意見を取り入れ、具体的な作業手順についてもメンバーの裁量に委ねるパターンです。

組織の目標設定では、積極的にメンバーの意見を取り入れますし、メンバー間には友好や協調が生まれてともに同じ目標に向かい進む意識が芽生えます

さらにアクションプランに関しても、メンバー一人ひとりの裁量に任せます。一人ひとりのモチベーションが高まるため専制的リーダーシップと比べると生産性は低いことも多いかもしれません。

しかし長期的視点から考えると、組織の円熟度は増して企業の経営課題に全社一丸となって取り組む社風をつくり出すことができるでしょう。

マネジメント・システム論(リッカート)

ミシガン大学社会調査研究所所長レンシス・リッカートが確立したのが、マネジメント・システム論です。現場監督者を対象として行った研究で、経営組織の業績と組織構成員のモチベーションとの相関関係を理論化しました。組織をシステムと捉えたこの理論は、4つのパターンで構成されています。

  1. 権威主義・専制型
  2. 温情・専制型
  3. 参画協調型
  4. 民主主義型

①権威主義・専制型

権威主義・専制型は、徹底した課題志向で、統制の主体はリーダーです。リーダーと組織メンバーがお互いに作用することはほとんどなく、統制的な機能はリーダーの手中にあります。古くからある権威を重んじる権威主義的管理方法で、リーダーは絶対的な存在になります。

メンバーはいかなる意思決定も認められないだけでなく、脅迫、懲罰などにより働かされ、ほんのわずかな報酬を与えられるだけです。

現代社会ではなかなか見られることが少なくなってきたパターンのリーダーシップ論ですが、成熟していない組織や、中小企業などで多く見られるワンマン社長が君臨している組織などでは、この権威主義・専制型のリーダーシップが根深く残っているケースもあります。

②温情・専制型

温情・専制型も統制の主体はリーダーにあります。権威主義・専制型のリーダーシップと違うのは、リーダーが温情を持っている点です。

リーダーは温情を持っているため、組織メンバーに対してある程度の思いやりがあり、信頼しています。一定の範囲でならメンバーの裁量も認めているのも特徴です。

しかし多くの意思決定においては、リーダーが専制的に主導します。ときに報酬、懲罰といったものをちらつかせながらメンバーの動機付けを行うこともしばしば。目標を達成するという観点から考えれば、専制的なリーダーのもとである程度の結果が出せるでしょう。しかし組織内の人間関係は希薄で脆弱です。

③参画協調型

参画協調型のリーダーシップは、統制の主体はかなりの部分で組織メンバーにあります。メンバー同士のやり取りもある程度活発になり、相互作用による効果も期待できるでしょう。リーダーの権限よりも、組織メンバーへの裁量委譲が特徴的です。

この場合目標を達成するという課題志向と、組織内の人間関係を構築する人間関係志向がほぼ同程度で捉えられます。

リーダーは基本方針や全体の決定権のみ保有し、その他の個別案件は個々に権限委譲され、部下はリーダーからの信頼のもと、コミュニケーションを取りながら積極的に目標達成に向けてアクションを起こします。状況によって懲罰なども用いられるケースもありますが、リーダーとメンバー、メンバー同士といった組織内の人間関係は良好に保たれるでしょう。

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④民主主義型

民主主義型のリーダーシップの統制主体は、組織メンバーです。評価と統治は全面的にすべての階層でリーダーからの権限委譲がなされています。どちらかというと、企業の目標を達成する課題志向よりも、組織内の人間関係に重きを置く人間関係志向が高まった状態になります。

リーダーは組織メンバーを全面的に信頼するため、上下左右のコミュニケーションが活発に行われ、メンバー全員で目標決定、プロセス構築、アクションプランの作成などに取り組みます。

モチベーションも非常に高いのが特徴で広範囲な相互作用が良循環を生み出します。民主主義のメリットを最大限享受したような組織運営を行うので、メンバーは働きやすい環境を得られるでしょう。

ただ目標達成志向が低下する場合もあり得るため、企業としてどの程度までそれを許容するのかの線引きは常に必要です。

マネジリアル・グリッド論(ブレイク&ムートン)

テキサス大学教授のロバート・ブレイクとジェーン・ムートンの共同提唱によって広まったのがマネジリアル・グリッド論です。リーダーシップにおける行動をスタイル分析した行動理論で、「人への関心(人間関心度)」と「業績への関心(業績関心度)」という2つの関心事から5つのパターンを導き出しました。

  1. 1.1型(消極型)
  2. 1.9型(人間中心型)
  3. 9.1型(仕事中心型)
  4. 9.9型(理想形)
  5. 5.5型(中庸型)

①1.1型(消極型)

1.1型と呼ばれているのは、人間関心度、業績関心度ともに低いパターンです。リーダーは部下やチームの目標といったものに無関心で、仕事で生じる責任を回避する傾向にあります。

自己防衛的な振る舞いも多く、部下に対して放任の態度を取るため、ある意味リーダーとしてのリーダーシップが機能していない状態を指します。取り組むのは与えられた仕事のみ、それもよりよい結果を追い求めることは少ないため成果も低いでしょう。

職場内におけるリーダーの存在感は薄く、組織としての統制も取れず全体が崩壊状態にあります。企業の目標達成どころか、組織としての存在すら危ぶまれるような危機的状況をもたらします。

②1.9型(人間中心型)

1.9型は、人間関心度は非常に高いが業績関心度は低いパターンです。企業の業績、組織の目標を犠牲にしてまでも、組織内のチームワークを重んじ、メンバーの意見に耳を傾けた人間中心の組織運営を指します。

リーダーと部下、メンバー同士のコミュニケーションは密で人間関係は良好なのですが、お友達グループのような組織で終わってしまいます

業績や成果を求められる営利団体である企業経営の観点から考えると、これは非常に問題です。確かに、心身ともに安定した職場は、企業の成長には不可欠です。しかし、そこにのみ重点を置くようでは経営が成り立たず、結果的にはメンバーの生活を保障することもできなくなってしまうでしょう。

③9.1型(仕事中心型)

9.1型は、人間関心度が低い一方で、業績関心度が非常に高いパターンです。リーダーが組織の人間を犠牲にしても、企業の目的や組織の目標達成に最大限の力を注ぐ、いわゆる仕事中心の思考が生み出したリーダーシップです。

職務遂行、業績の最大化がもっぱらの関心事項なので、リーダーが強力なトップダウン式統治で組織を引っ張ります。権力型リーダーのもとに動いた組織は、一定の成果、業績を残すことができるでしょう。

しかし職場内にコミュニケーションや配慮はなく、部下の育成といった視点も欠如しているため組織の成熟度もままならず、最悪の場合組織からメンバーが離れてしまうことにもなりかねません。

④9.9型(理想形)

9.9型は、マネジリアル・グリッド論で理想形と呼ばれるもので、人間関心度と業績関心度がともに高い状態で組織運営をするパターンとなります。

企業業績や組織目標といった結果に高い問題意識を持ちつつ、組織内の人間関係にも最大限の関心を払います。リーダーが組織メンバーに心を配り、綿密なコミュニケーションを取ることで、相互の信頼関係が芽生えます。

その結果メンバーはリーダーの献身的なサポートを受けて自らを成長させながら、組織の目標達成に向かって努力を重ねるのです。

すべてが友好的、協調的に進められるため、無理なく適度な成果が上げられるでしょう。バランス感覚を兼ね揃えた理想型リーダーがいることが、マネジリアル・グリッド論のなかで理想形とされている理由です。

⑤5.5型(中庸型)

5.5型は、人間関心度と業績関心度ともに中くらいであるパターンです。中くらいというと中途半端なイメージと思うかもしれませんが突出する部分がないバランスの良いリーダーシップのひとつであると考えましょう。

リーダーは、組織のメンバーに関してほどよく関心を持っています。無理のない範囲でコミュニケーションを取るので、メンバーの負担感も少ないでしょう。

また、企業や組織の目標に対しても、適度な意識を向けています。目標達成のためにやるべきこと、やらなければならないことに対してアクションを起こしプロジェクトを進めます。過労といった問題は無縁の、無理のない範囲で適度な成果をあげていける妥協型リーダーシップの形です。

SL理論(ハーシィ&ブランチャード)

SL(Situational Leadership Theory)理論は、1977年にハーシィとブランチャードによって提唱されました。「部下の成熟度」と「管理者のリーダーシップ」の相関関係をもとにリーダーシップ条件適合論を展開しました。

SL理論は、「仕事志向」と「人間志向」の強さによって4つのカテゴリーで構成され、それぞれのカテゴリーで指示決定に対しての指導の強弱、説得・参加型スタイルなどのリーダーシップの有効性を示しているのです。

  1. M1:指示型
  2. M2:説得型
  3. M3:参加型
  4. M4:委任型

①M1:指示型

M1は指示型で、指示の程度が高く、協労の程度が低い特徴を持ちます。この場合、リーダーは目標達成のノウハウを熟知している人物とみなされます。当然、組織のメンバーはリーダーを頼ります。

これが効果的に作用すればいいのですがメンバーへの一方的な指示はときに不信感や不愉快といった反発も招きます。目先の、いわゆる短期的な見通しや関心しか持っていないようにも受け取られかねないため、組織運営のリスクは高いでしょう。

②M2:説得型

M2は説得型で、指示の程度は高く、また協労の程度も高い特徴を持ちます。目標設定や仕事の組織化といったプロジェクトの成功に向けて熱く取り組むだけでなく、チームのニーズも満たしたチームプレーによって、社会連帯的指示を与えているかのようにも見えます。

一方で熱心な仕事の指示は時に必要以上の介入となり、メンバーに不快な思いをさせることもあります。せっかく築いたチームワークやメンバーとの信頼感も、誠意のない上辺だけの行為と思われてしまうシーンも多いでしょう。

説得型というだけあって相手の同意を得られるようコミュニケーションを取りながらリーダーとして目標達成に進む姿勢がこのパターンの特徴です。

③M3:参加型

M3は参加型で、指示の程度は低く、協労の程度は高い特徴を持ちます。リーダーは組織メンバーに対して暗黙の信頼を寄せており、信頼関係のもとメンバーに任せることで掲げている目標の達成を推し進めるのです。

基本的な考えは「和」で、「和」を保つことが最重要ポイント。人間関係が険悪になるような状況、「信頼できるリーダー」という自分のイメージが崩壊するような状況を極度に恐れていますのでときに仕事を犠牲にしてまでも「和」を重んじる傾向があります。

企業にとっては「和」の精神を保っている点は評価できますが、ときに仕事の結果にコミットメントできない場合もある点は看過できないでしょう。

④M4:委任型

M4は委任型で、指示・協労ともに低調に維持されるパターンです。リーダーとしてチームワークを良好に保ったり、組織の目標を達成したりといった求められる課題があるにもかかわらず、すべてを組織メンバー任せにし、自らの社会的責任を放棄しているかのように見られるリーダー像です。

組織メンバーに任せる、つまり下手な干渉を一切しない点は組織の内部に伸び伸びとした動きを生み出すかもしれません。

しかし、

  • 必要な仕事の組織化
  • アクションプランの作成
  • 進捗状況の管理

といった社会連帯的指示の提供を怠けていると見られても仕方がありません。組織の成熟度も4つのパターンで最も低いとされています。

3.リーダーシップを執るための具体的な行動

ジョン・アデアは、イギリスにおける組織に関するリーダーシップ論の第一人者です。3つの円からなる「行動中心型リーダーシップ」のモデルでもよく知られています。アデアの思想は、職種や業種などを問わずすべてのリーダーに当てはまる実用的なものであることから、非常に関心の高いものとなっているのです。

行動中心型リーダーシップ Action-Centred Leadership

行動中心型リーダーシップは、30年以上にわたって多くの企業文化に溶け込み、個人のリーダーシップスタイルとして活用されています。

行動中心型リーダーシップのモデルは、非常にシンプルな上に実用的なモデルです。3つの重なり合う円で描かれており、3つの円はそれぞれ「仕事(タスク)」「チーム」「個人」を表しています。リーダーは、この3つの円に働きかけることが責務となります。

アデアは、

  • 仕事を遂行する
  • チームを構築し、維持する
  • 個人(部下)の能力を開発する

これらの働きかけを行うことがリーダーシップを構成する要素と考えたのです。その理由はきわめてシンプルなものでした。

誰でも人は、自分のリーダーに「仕事を遂行する手助けを行ってほしい」「チームワークをつくり出してほしい」「個人の要求を満たしてほしい」と考えているからです。

リーダーシップ8つの機能的行動

アデアのリーダーシップは、3つの側面「仕事」「チーム」「個人」に働きかけることでそれぞれのニーズを満たすことです。さらにアデアは、リーダーが遂行しなければならない8つの機能を説明しています。

  1. 仕事を明確にする
  2. 計画する
  3. 説明する
  4. 統制する
  5. 評価する
  6. 動機づけする
  7. 組織化する
  8. 模範化する

①仕事を明確にする

アデアの言う8つの機能の一つは、「仕事を明確にする」ことです。

チームと個人に対して、仕事の目標を明確に、そして何よりSMARTに提示する必要があるとしています。

SMARTとは、

  • 具体的(Specific)
  • 測定可能(Measurable)
  • 達成可能(Achievable)
  • 現実的(Realistic)
  • 期限付き(Time Constrained)

それぞれ頭文字を取ったものです。SMARTの提示がリーダーシップの遂行に欠かせない要件とされています。

②計画する

次に挙げられているのが、「計画する」です。

アデアはリーダーが遂行すべき課題に、計画の立案をするだけでなく、計画の段階では複数の代替案を用意することも求めています。

このため、

  • 組織メンバーとタッグを組み打ち解けた雰囲気をつくる必要がある
  • そのうえで建設的、独創的な方法を共に編み出していく
  • 不測の事態に備えた計画の立案

などに言及しています。さまざまなケースを想定することが重要です。

③説明する

アデアが次に説くのは、「チームへ説明する」ことです。

チームへ目標設定や達成するためのアクションプラン、進捗状況などを説明することで、情報共有が促されます

同じ価値観を持ったチームの雰囲気は非常に良く、チームワークはより促進されます。同じ方向を向いて業務に取り組むため、目標達成もしやすくなるでしょう。同時に個々のモチベーションも高まるので一石二鳥のリーダーシップ機能といえます。

④統制する

リーダーシップを遂行するための機能には、「統制する」という概念も登場します。

アデアは著書『リーダーシップの技術』内で「優れたリーダーは最小のインプットで最大のアウトプットを出す」と書いています。そのためには、もちろんメンバー自身のセルフコントロールも重要ですが部下に対する効果的委任や指揮監督能力といったコントロールシステムを機能させる必要があるのです。

リーダーシップにおいて「統制する」という側面も、アデアは重要視しています。

⑤評価する

アデアは、業務の指示にとどまらず、その結果を「評価する」ことをリーダーシップの遂行要素としています。

リーダーはチームが得た結果からその業績や過程を評価し、個人の役割について査定を行います。評価の結果から指導を行うこともあるでしょう。

リーダーはチームの人員を正しく評価するための能力も求められます。つまり人の能力を見極める力に長けていなければ、リーダーシップは発揮できず、リーダーの仕事は務まらないといえます。

⑥動機づけする

リーダーには「動機づけ」を行うことも求められます。動機づけするための8つの法則があります。それらの法則は次の通りです。

  1. 自分自身がやる気になる
  2. モチベーションの高い人物を選び出す
  3. 各人を個人として扱う
  4. 現実的で挑戦的な目標を設定する
  5. 前進はモチベーションとなることを肝に銘じる
  6. 意欲をかき立てるような環境をつくる
  7. 公平に報酬を与える
  8. 認める

リーダーは、これら8つの法則に従って動機づけを遂行することが必要です。

⑦組織化する

リーダーは組織の編成にも取り組まなければなりません。優れたリーダーは自分が率いるチームについて、適切な組織構造やプロセスも含めた組織を体系化できることが求められます

チームとして機能し、チームの目標を達成するといった結果を出すための明確な目的と、それに対する効果的な命令が必要です。指示系統を作る組織化も必須項目でしょう。

また、組織は一旦組めばよいということではなく業務や方針転換時、フレキシブルに見直す必要があります。

⑧模範を示す

自らが模範となって、手本を示すこともリーダーの遂行すべきミッションです。

リーダーの姿を見て部下が育つ側面はどの世界にもあります。リーダーは、メンバー一人ひとりだけでなく組織全体に対しても規範を示すことが求められるのです。

悪い見本はすぐ目に付きますが、良い見本が個人やチームに浸透するには、時間がかかります。良い行動規範がチームに浸透するまでの間、辛抱強くポジティブな規範を示す必要があるでしょう。

4.新しいリーダーシップ概念、オーセンティック・リーダーシップとは?

新しいリーダーシップの概念「オーセンティック・リーダーシップ」もご紹介しておきましょう。

提唱者の一人とされているのは、米メドトロニック社の元CEOのビル・ジョージ氏です。著書『ミッション・リーダーシップ』(2004年)では「CEOには倫理観や道徳観が必要である」と述べています。

リーダーの条件として、

  1. 自らの目的をしっかり理解している
  2. しっかりした価値観に基づいて行動する
  3. 真心をこめてリードする
  4. しっかりした人間関係を築く
  5. しっかり自己を律する

と5つを挙げています。

『グロービスMBAリーダーシップ』(グロービス経営大学院著・ダイヤモンド社)でも、

オーセンティック・リーダーシップは、

  1. しっかりとした目的意識を備え、自らのコアの価値観に忠実である
  2. 高度なインテグリティー(統合性)を備え、永続する組織を築くことに献身する
  3. すべてのステークホルダーのニーズに応える企業を築き上げる気概を備え、かつ社会に奉仕することの重要性を理解する

上記3要素を持ち合わせる人物だとしています。

5.リーダーシップの開発:リーダーシップを高めるには?

リーダーシップの定義や重要性など、リーダーシップをさまざまな側面から考察してきましたが、最後にリーダーシップを高めるための方法について考えてみましょう。リーダーシップはどのように開発をすればよいのでしょうか。

参考 『Works140号』リクルートワークス研究所

Step1. リーダーシップの意味・定義を考え直す

リーダーシップを「持って生まれた特性」と考えていた時代には、類まれなる特性を持っている人物の特定が最優先課題でした。しかし現在、リーダーシップはどんな人物でも持つ能力という定義に変わっています。

リーダーシップという能力開発により、

  • 組織を構成する全員がリーダーシップを発揮して仕事に取り組むことが目標達成の近道
  • リーダーシップ開発の仕組みの再構築が求められている

といったようにリーダーシップの意味や定義をもう一度根底から考え直すことがリーダーシップを高めることにつながります。

Step2. リーダーシップ開発をいつから始めるか決める

リーダーシップの開発は一刻も早く着手、これもリーダーシップを高める方法の一つです。組織内で権威を持つポジションにたどり着く前の若手の時点から能力開発に着手すると、権限に頼らない真のリーダーシップが個々に定着します。

  • 目標設定
  • 目標とプロセスの共有
  • 率先
  • 規範
  • 支援

といったリーダーシップのキーワードになる要素を早い段階で身につけた人物が組織に多く配置されることで、組織全体も確実に進化を遂げられます。個々人及び組織のモチベーションも高まるでしょう。いかに早く能力開発を行うかが鍵となるのです。

Step3. 開発プログラムの構築

リーダーシップの能力開発プログラムは実践的かつ論理的に行うことがポイントです。

ビジネスにおけるスキルは、実践で生かされてこそのスキル。当然、リーダーシップに関してもプロジェクトなどを通して実践的な側面を肌で感じることが必要でしょう。

しかしそれだけではスキルの定着は図れません。講義やグループワーク、ペアセッションといった機会を設け、実践で感じた問題点や課題を掘り下げ、リーダーシップに関する判断的思考力を学ぶ必要があります。

実践と論理、両方のスキルを3年程度の期間で学べるプログラムを構築するとよいでしょう。

Step4. 個々人に自己認識を促す

自分とは何かを知ることで組織内でリーダーシップを生かせる自分を創造する、つまり、自分にはどのような強みや弱みがあり、それをどう生かせば組織内で自分らしく振る舞いながらリーダーシップが発揮できるのかを考える方法です。

自己認識を繰り返し行っていけば、自己受容の余裕が生まれます。そして「スーパーマンのような完全な人間は存在しない」ということが理解できれば、それが他者受容の土壌を養うことにつながります。チームメンバーそれぞれが自己を受け入れ他者を認めることができる土壌に、リーダーシップの芽は生まれるのです。

Step5. 個々人にリーダーシップ行動を促す

リーダーシップの能力開発は、一朝一夕にはいかないものです。最初から理想のリーダーシップを求めても、個人や組織はなかなかその通りに動けません。

  • プロジェクトの一部を自由裁量にする
  • 目標までのプロセスの構築は任せる
  • スケジュールの調整を委ねる

など、小さな積み重ねからリーダーシップを育んでいきましょう。任せられた部下は、責任を持って課題に取り組み、上司は部下を信じていいという安心感を増していくことができます。お互いの信頼関係を一つずつ構築しながらリーダーシップ能力を育むことが、リーダーシップ開発の近道でもあるのです。

Step6. 「全員によるリーダーシップ」を浸透させる

組織は個人の集まりですが、一人でもリーダーシップの考えを欠いた人物がいれば歯車は狂います。つまりリーダーシップの意識は組織にいるメンバー全員に浸透させることが大切です。

そのために組織の目標や行動指針にリーダーシップを盛り込んだり、具体的なアクションプランにリーダーシップが発揮できる場面を組み込んだりします。

そうすれば、スムーズに行動の変容が促され、自然とリーダーシップを組織全員が発揮でき、組織全員のリーダーシップ能力は効率よく開発できるようになるでしょう。

Step7. マネージャーの役割を再定義する

マネージャーといったリーダー的なポジションにいる人は、上司からの指示を部下に伝え、部下が指示通りの行動を忠実に行えるかを管理しがちです。しかし、それではリーダーシップ能力は開発されません。リーダーである者は、部下のリーダーシップ能力の開発こそが真の役割です。

  • 部下自らで考えさせる
  • 組織全員に考える機会を与える
  • 自分たちで考えたプロセスの実行を見守る
  • 自ら設定した課題達成のためのアクションに賞賛とアドバイスを与える

このような行為こそが、リーダーの役割です。マネージャーの役割を改めて定義する必要があるでしょう。

Step8. リーダーシップを発揮しやすい組織文化をつくる

実は、リーダーシップは企業内のさまざまな組織で、日々生まれています。しかし、せっかく芽吹いたリーダーシップの芽を、大きな木々にしていく組織文化がないために枯らせてしまうケースがあるのです。

ヒエラルキーが横行した組織内で階層ごとに能力開発を行うのではなく新入社員も中堅社員も管理職もいる組織全体、さらに組織や部門を超えてリーダーシップが発揮できる風通しの良い組織文化・企業社風を創造することが大切です。

社員一人ひとりの正しい評価が目標達成につながることを認識しましょう。

Step9. お互いのリーダーシップを高め合う組織文化をつくる

どんなプロジェクトでも求められるのが、PDCAです。リーダーシップ能力開発においても、PDCAは欠かせません。

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能力開発の仕掛けをプランニングして実践、その結果を考察してフィードバックすることは、お互いのリーダーシップを高め合う一番の方法です。

「上司だから言えない」「雰囲気を壊すから言わない」といったネガティブな組織文化においてフィードバックはできません。

組織に所属する全員が心を開き、「上司が部下に」「同僚同士で」「部下から上司に」、賞賛されるべき結果、改善すべき問題点などを自由闊達に話せるような組織文化を構築しましょう。

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