製造業(工場、生産管理など)のKPI例【設定方法】

業種や職種ごとに効果的なKPIは異なります。製造業で業務の効率化や改善を図り、目標達成を目指すには、どのような指標が適切なのでしょうか。製造業におけるKPIの意味や必要性、製造業でよく使われるKPIの事例、設定方法や注意点などについて解説します。

1.製造業におけるKPIの意味

製造現場の生産性を向上させるためにKPIを活用する企業が増えています。なぜなら製造現場の業務を「見える化」してKPIで管理すると、効率的な生産体制や安全性を確保した作業環境を実現できるからです。

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製造現場での効率化は、現場で働く社員のモチベーションを高めるとともに、企業の利益向上にも貢献します

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2.製造業におけるKPIの必要性とは?

製造現場では、業務改善のためにさまざまな技術やシステムを導入する場面が多くあります。

たとえば作業のムリ・ムダ・ムラをなくすための技法である「IE(インダストリアルエンジニアリング)」を実践している企業は多いですし、2000年代以降は、効率化を追求するためにネットワークカメラを活用して作業をコントロールする企業も増加しています。

これらを導入するだけでなくKPIで管理することで、現状分析や改善を継続的に行えるとともに組織全体の目標達成へとつなげることができるのです。

製造現場でのKPIマネジメントは、現場で抱えるさまざまな課題を解決し、現場力を向上させるのに役立ちます

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3.製造業における国際基準のKPI「ISO22400」

ISOとは国際規格をつくる組織、またはその規格のことです。
そのなかでISO22400は、MES(製造実行システム)領域でのKPIを定めています。ISO22400は、次の6つの分類から構成されています。

  • 生産性
  • 品質
  • 能力
  • 環境
  • 在庫
  • 保全

さらに6つの領域のなかに細かい指標が設定され、合計34項目のKPIが定義されています。

ISO22400が定めるMES(製造実行システム)領域でのKPI

生産性

労働生産性、負荷度、生産量、負荷効率、利用効率、総合設備効率、正味設備効率、設備有効性、工程効率

品質

品質率、段取率、設備保全利用率、直行率、廃棄度合、工程利用率、手直率、減衰率

能力

機械能力指数、クリティカル機械能力指数、工程能力指数、クリティカル工程能力指数

環境

総合エネルギー消費量

在庫

在庫回転率、良品率、総合良品率、製品廃棄率、在庫輸送廃棄率、その他廃棄率

保全

設備負荷率、平均故障間隔、平均故障時間、平均復旧時間、改良保全率

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4.製造現場を見える化するKPI

製造現場を見える化するには、以下の3つの視点が必要です。

  1. 原価管理:企業の資源であるヒト・モノ・情報・カネを、部門や工程・品目ごとに管理する
  2. KPI評価:製造現場にKPIを導入して、目標達成度を測る
  3. 現場作業監視:作業状況をリアルタイムに捉える

各視点の概要を詳しく見ていきましょう。

①原価管理

自社の製造現場では、「材料費」「労務費」「製造経費」3つに分類される製造原価が発生し、それぞれをKPIで管理する必要があります

  • 材料費:期中にかかる原料費や燃料費
  • 労務費:製造に関わる人件費
  • 製造経費:機械の減価償却費や家賃などの材料費・労務費以外の経費

この製造原価を把握するための資料が「製造原価報告書(CR)」です。このCRはもちろん、製造工程、設備、時間、製品などのコストも把握した上で、KPIを設定しましょう。

②製造現場KPI評価

製造現場のKPIは、「ヒト」「モノ(材料費)」「設備」を管理して生産性を高めるために必要な指標です。KPIを設定する際は、生産の三要素であるQCD(品質、コスト、納期)の観点から検討しましょう。

設定したKPIは、「生産品目・スケジュール(製造指図)」と「工程・製造系列・設備ユニット」に分けて進捗を把握します。

そして日々の実績を週・月単位で集計して達成度を測る、評価結果に基づいて目標達成に必要な施策を検討・実施する、といった手順でPDCAを回しましょう。

③製造作業監視

製造作業の監視を行う理由は、製造現場のムリ・ムダ・ムラの原因を見える化して、分析するため。監視にネットワークカメラを使うことでリアルタイムに作業状況を把握できるでしょう。

たとえば映像で不良品などの異常が発生した瞬間が分かれば、現場でタイムリーに情報共有できるだけでなく、異常発生の原因分析などにも役立ちます。

また、品質を一定に保つ(標準化する)意味でも、製造作業の監視は必要です。また4M(人、装置、方法、材料)を管理することで、QCDを高めることもできます。

製造現場では、稼働率や総合設備効率、ライン編成効率、不良率、事故発生件数などがKPI指標となります

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5.製造業のKPIの種類

製造業で設定されるKPIには下記のようなものがあります。それぞれのKPIの概要と改善すべき課題を確認しましょう。

生産品目(モデル・アイテム)・製造指図単位のKPI

生産品目や製造指図ごとに原価率や不良率、工数、製造リードタイムなどをKPIに設定すると、改善すべき課題が明確になるのです。これは、予定していた「計画値」と実際のデータである「実績値」とを比較することで見えてきます。

具体例

生産品目・製造指図単位でKPIを管理する際、以下のようなものが課題として挙げられます。

  • 原価構成要素に原価の差異がある
  • 在庫滞留を含む製造リードタイムが長い
  • 量、日程、工数達成率が製造指図を満たしていない

設備・製造ユニット単位での改善につながるKPI

生産品目単位ではなく、設備や製造ユニット単位での改善を図ることができるKPIもあります。たとえば生産量や時間稼働率(どれだけ設備を効率的に使用できているか)などをKPIに設定すると、課題を見える化できるでしょう。

具体例

設備や製造ユニット単位でKPIを管理する際、以下のようなものが課題として挙げられます。

  • 生産量、製造指図数、工数達成率が低い
  • 就業や人材投入による労働生産性が低い
  • 設備稼働中の設備稼働効率が悪い

作業環境に関するKPI

製造業では、作業現場におけるKPI管理も大切です。たとえば事故発生件数を減らすためにルールを厳守させる、作業手順などのトレーニングを徹底させるなど、作業環境を改善することで生産性を向上できます。

製造現場ではタイムリーかつ継続的な改善が大切です。製造業のKPIには、なるべく短期間で評価できて継続してデータを取得できる項目が適しています

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6.製造業のKPIツリーとは? KPI例で解説

製造業でKPI管理を導入する際は、生産品目や製造指図単位、工程や設備・製造ユニット単位のほか、作業現場で必要な指標を設定します。下記に挙げた具体的な指標例を参考に、自社の製造現場に必要なKPIを検討しましょう。

一般的なKPIツリーの作り方やメリットはこちら

①生産効率を構成するKPIツリー

1つ目のKPI例は、生産効率を構成するKPIツリーです。

生産効率のKPIツリー例

②不良率を構成するKPIツリー

2つ目のKPI例は、不良率を構成するKPIツリーです。
製造工程でどれだけ不良品が出たかを測るだけではなく、部品・作業・設備のどこで不良が発生するかを測ることが改善に役立つでしょう。

不良率のKPIツリー例

製造現場でKPIを設定する際は上記のような体系に分類して、KPIで何を実現したいかを具体的に考えることが大切です

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7.製造業のKPI設定方法

製造業のKPIは、自社の製造現場に合ったものを設定することが重要です。

以下の項目に該当するものを指標にしましょう。

  • 改善の余地がある
  • 改善目標を立てることができる
  • 継続して実績を把握できる
  • 目標と実績を比較することで改善策を検討できる

KPIの設定における注意点

製造業でKPI管理を始めるにあたり、以下のようなことに注意しましょう。

目的を見失わない

システムや仕組みにとらわれず、KPIで管理する目的は何かを常に振り返り改善することが大切です。KPIの形が整ってからITシステムを導入しても遅くはありません。

時系列を重視する

時系列で把握できないものは、「見える化」による評価・検証ができません。時系列で比較できるものをKPIに設定しましょう。

現場の関係者が運用する

KPIの目標と実績にギャップがある場合、原因は現場にあります。権限を与えられた現場の関係者が、継続的に原因分析を行い、改善策を見出すことが大切です。

KPIを製造現場に導入する際は、注意点を加味しつつ、自社の製造現場に合う適切なKPIを設定しましょう

KPI設定のコツ「SMARTの法則」

SMARTの法則は次の頭文字をとって名付けられています。

  • Specific:具体的
  • Measurable:計測可能
  • Achievable:達成可能
  • Relevant:関連性がある
  • Time-bound:期限が明確

SMARTの法則に則ってKPIを設定・計測すれば、より効果的に目標設定から達成までが叶うはずです。

SMARTの法則についてさらに詳しい内容はこちら