人事考課規程とは? 人事考課規程の作成は誰がやるのか、その手順や書き方、注意点について

多くの企業が取り入れている人事考課規程について、目的や作成方法や手順など、人事考課規程の全般を解説します。

1.人事考課規程とは?

人事考課規程とは、人事考課の決まりを定めたもので、社内規程のひとつになります。代表的な項目には、「取締役会規程」「賃金規程」「賞罰規程」「個人情報管理規程」などがあり、項目ごとに規程書類をつくるのです。

また人事考課とは、従業員の業務成果や能力、会社への貢献度などを一定の基準をもとに公平に査定し、これを給与・賞与・昇格・配置・異動などに反映させるものとなります。

公正な人事考課のための評価ルール

人事考課規程には、公正な人事考課のための評価ルールが明記されています。たとえば実施方法の項目では、自己評価・他者評価によって公正に評価するためのルールを示しており、考課者の遵守事項などを詳細に記しているのです。

また人事考課の適用範囲として、考課の対象となる従業員の勤務期間やその他条件なども明記して、公平性を確保しています。

人事考課の目的

人事考課の目的は、人事が公平に査定した評価結果を賃金管理・異動配置・能力開発などに活用すること。

公平な評価はモチベーションだけでなくスキルアップ、会社の業績アップや利益拡大などにつながります。従業員が納得する公平な評価、そして評価の可視化によって、従業員満足度の向上も期待できるでしょう。

人事考課規程は就業規則の一部

人事考課規程は就業規則の一部と見なされています。形式的に人事考課規程は、就業規則に絶対に記載する必要はなく、社内ルールがある場合に限って記載するものです。

たとえば基本給の決定要素を就業規則で明らかにしている場合、就業規則に人事考課規程の記載がなくても問題ありません。ただ会社と従業員とのトラブルを避けるためには、内容を従業員に周知しておく必要があります。

人事考課規程は「相対的必要記載事項」

労働基準法では就業規則に記載すべき事項を、「絶対的に定めておかなければならない事項(絶対的必要記載事項)」「規程を定めるか否かは自由で、定めた場合には必ず記載しなければならない事項(相対的必要記載事項)」の2つに分けています。

人事考課規程は相対的必要記載事項ですので、後者のような対応を行うのです。また相対的必要記載事項には、その他退職金に関する事項・出張旅費規程・表彰および制裁に関する事項などがあります。

人事考課の決まりを定めた人事考課規程は相対的必要記載事項になります。覚えておきましょう

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2.人事考課規程の作成は誰がやる?

人事考課規程は、就業規則の相対的必要記載事項になります。会社独自で定めた場合に記載する必要があり、各企業が必要に応じて設定するのです。では、人事考課規程が設定されている就業規則は、誰が作成するのでしょうか。

社内で作成

就業規則およびその一部を従業員が作成しても、問題はありません。就業規則は、従業員と事業主との労働関係でのトラブルを防ぐための働き方のルールです。作成義務は事業主にあり、労働基準監督署に届け出る義務があります。

つまり法律に則った作成が必要ですので、誰が作成するかではなく、一定の作成手順に従って作成するほうが重要なのです。

人事コンサルタントなどへ依頼

人事考課規程の作成を人事考課コンサルタントへ依頼することも可能です。人事考課に関する事柄を相談できるだけでなく、下記のようなこともサポートしてくれます。

  • 人事考課制度の設計作成
  • 制度骨格を決めるまでのサポート
  • 人事考課マニュアル作成
  • 人事考課表の作成
  • 考課者の訓練の実施

社会保険労務士に依頼

人事考課規程の作成を社会保険労務士に依頼することも可能です。企業の労働管理・社会保険に関するさまざまな手続きを事業主に代わって行う専門家で、人事考課制度に関わる事柄だけでなく就業規則もまとめて見てもらえます。

また事業主の依頼だけでなく、労働者側に関わる労災保険の給付申請手続きなどの代行も行ってくれるのです。

就業規則および人事考課規程は、自社従業員・人事考課コンサルタント・社会保険労務士いずれも作成できます

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3.人事考課規程を作成する手順

就業規則および人事考課規程の作成者は特に決まっていません。作成する一定の手順が重要となっています。項目は下記のとおりです。

  1. 考課の対象を決める
  2. 考課項目の選択
  3. 考課方法の策定
  4. サンプルの作成

①考課の対象を決める

考課の対象を決める際は、職種・等級・階層別に作成するとバランスがよくなるとされています。デメリットは、細分化によって職種別・階層別のバランスが取れなくなる可能性がある点です。

階層の分類は管理職・一般職、職種の分類は生産部門・スタッフ部門・営業部門程度に分類するとよいでしょう。

②考課項目の選択

人事考課を評価する基準は、「業績考課」「能力考課」「情意考課」の3種類です。この3つは、従業員の肩書きや職務によってウエイトが高くなります。

たとえば業績考課では上位等級の従業員ほど成果を問われ、能力考課や情意考課では必要な技能や知識、やる気を評価されるのです。この3つの考課について解説しましょう。

業績考課

業績考課は、ある期間内でどの程度目標を達成できたかを評価します。具体的な項目は、下記のとおりです。

  • 設定した業務目標の達成度を評価する「業績目標達成度」
  • 業務における課題をどれだけクリアしたかを評価し、課題を改善し克服していれば高い評価を得られる「課題目標達成度」
  • 売上など直接結び付かない日常業務を評価する「日常業務達成度」

能力考課

能力考課は、実際の業績とは関係なく従業員が業務を行うための知識やスキルを評価します。具体的な項目は、下記のとおりです。

  • 企画力や実行力
  • 管理統率力
  • 上司や同僚などとの連携
  • 人的ネットワークを構築できる能力
  • コンプライアンスに対する意識
  • トラブルへの対応力
  • リスクマネジメント能力

情意考課

情意考課は、仕事に対する基本姿勢や勤務態度を評価します。情意考課の代表的な項目は、規律性・積極性・責任性・協調性の4つです。情意考課は、具体的な数値で評価するのと異なり、考課する人の主観が入りやすくなっています。

1人ではなく、部下や同僚など異なる立場の人からの評価を集めると、正確な考課ができるとされているのです。

③考課方法の策定

考課方法は、絶対評価と相対評価に分かれます。

  • 絶対評価:他の従業員と比較せず、考課対象となる従業員だけを見て考課する方法
  • 相対評価:他の従業員と比較して対象従業員を考課する方法

人事考課に絶対評価を設定すると従業員のモチベーションも高まるうえ、公平な考課になりやすいです。従業員も納得しやすいでしょう。

④サンプルの作成

人事考課規程のサンプルシートやテンプレートをインターネットからダウンロードして利用すると便利です。業種や職種に合わせたさまざまなタイプがあるので、自社の抱える課題やニーズに合った使いやすいテンプレートを探しましょう。

たとえば考課表サンプルには、管理職・営業職・技術職などに細分化したテンプレートがあるのです。

人事考課規程は、自社の実態に合わせて一定の手順で作成します。人事考課のテンプレートをダウンロードして活用しましょう

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4.人事考課規程の書き方

人事考課規程の書式・様式は、法的に定められていません。インターネット上に有料または無料で配布されている人事考課の専門家が作成したテンプレートやひな形を、自社に合わせてカスタマイズしましょう。

人事考課規程はテンプレートやひな型をもとに改変

さまざまある人事考課規程を作成する際のテンプレートやひな形を、自社の人事考課に合うよう手を加えて作り変えるとよいでしょう。カスタマイズにより、自社にピッタリ合ったシートが作成できます。

合わせて人事考課表の作成

人事考課規程を作成する際、人事考課表を合わせて作成しましょう。人事考課表とは、会社が従業員に対して業務に対する姿勢・業績・業務を行う能力などを自己評価するシートのこと。

1年に1回、もしくは半年に1回配布され、上司・部下・同僚・本人が記入します。人事考課シート・人事評価シート・自己評価シートなどと呼ばれる場合もあります。

人事考課表の項目

人事考課表の項目は、「成果」「業績」「能力」「プロセス」があり、営業職・事務職・専門職など、職種によってその内容は異なります。

成果と業績は、営業職であれば売上や契約数など具体的な数値が目標に設定されるでしょう。事務職や専門職は、時間や業務工程など目標設定を数字で表せるように工夫すると、評価が明確になります。

人事考課規程を作成する際のテンプレートやひな形は、そのまま使用するのではなく、自社に合うよう作り変えましょう

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5.人事考課規程作成時の注意

人事考課は、従業員の昇給や昇格など処遇を決定する大事なもので、従業員にとっては仕事へのモチベーションにも関わります。そのため、人事考課には公平性・客観性・納得性といった観点が重要になるのです。

こうして視点から、人事考課規程作成時の注意点を解説します。

法律に違反しないか

人事考課規程が労働基準法に抵触しないよう注意しましょう。次に挙げる項目に反する場合は法律違反となります。

  • 均等待遇(労働基準法3条)
  • 男女同一賃金(労働基準法4条)
  • 昇進等についての男女差別的扱い禁止(男女雇用機会均等法6条)
  • 不利益取扱いの禁止(男女雇用機会均等法9条、育児・介護休業法10条)
  • 不当労働行為(労働組合法7条)

公平な考課基準であるか

公平性を備えるためには、人事考課の基準を従業員に公開し、公平な考課ができるよう考課者のトレーニングをしっかり行う必要があります。従業員が不公平・不満を感じる理由は、下記のとおりです。

  • 人事考課基準が不明確
  • 考課者の価値観や経験によって人事考課に差がある
  • 考課結果のフィードバックがない
  • 考課結果についての説明がない

考課基準が正当であり従業員に共有されているか

人事考課基準を明確に定め、従業員に広く公開し、会社全体で共有しましょう。考課基準が明確になれば、従業員は自分の考課がどのような理由で下されたのか理解できます。

納得いかない考課は、従業員の不満がたまるきっかけとなり、モチベーションの低下も引き起こします。従業員が納得して仕事に取り組めるよう、人事考課基準は正当なものにしたうえで、公開しましょう。

考課担当が感情に左右されていないか

考課担当者が感情に左右されると、従業員が納得できる人事考課から遠ざかります。では一体どうすればよいのでしょう。その方法はさまざまありますが、一般的に使われているものは下記のとおりです。

  • 1人ではなく複数の人が考課する「360度評価」
  • 従業員自らが目標を設定し管理・評価を行う「目標管理評価」
  • 具体的なモデルを設定しそれを基準として評価する「コンピテンシー評価」

従業員のモチベーションアップにつながる内容か

従業員のモチベーションアップにつながる人事考課項目を設定しましょう。人事考課の結果が昇格・昇給・賞与にどう反映するのか、その判断基準を明確にします。

また「賃金基準や管理職手当の見直し」「基本給と諸手当の見直し」などを行い、個人の職責の重さや業績への貢献度に反映させるのです。これにより、従業員のモチベーションがアップし業績も向上するでしょう。

人事考課規程をうまく運用するポイントは、公平性の確保です。それにより従業員のモチベーション向上やスキルアップも期待できます