HRとは? 意味、人事部との違い、業務の具体例、話題のHRテックについて

最近転職サイトなどでHRという言葉を見かける機会も増えました。このHRとは、Human Resourcesの頭文字を組み合わせた言葉で、いわゆる「人事部」のこと。

ここでは、

  • HRの意味
  • 人事部との違い
  • 業務の具体例
  • 話題のHRテックについて

などのテーマからHRについて詳細に解説します。

1.HRとは?

HRとはHuman Resourcesの略で直訳すると「人的資源」、すなわち「人材」のこと。たとえば、development of human resourcesは「人材育成」を意味し、転職サイトでよく見かけるHRは、いわゆる「人事部」のことを指します。

人事部は人事課、人事担当とも呼ばれ、人材の採用から配置、教育などまで、企業において人材に関する業務を行う部署です。

人事部とは?

人事部は、ヒトという経営資源を最大有効活用するために存在し、企業によって人事部の構成には若干の違いがあります。

「労務管理」を担当する独立した組織が存在しない事例、本社の人事機能を補完するため事業部ごとに人事担当組織が組成されている事例などさまざまです。

HR(Human Resources)の使い方

「HR」という言葉は、外資系企業では下記のように使用されています。

  • HR Manager
  • HR Associate
  • HR teams

近年では、新卒採用や中途採用の募集で「HR」という言葉を使用する機会が増えているのです。また、SNSなどで会社名の後に「HR」と表記している人は、人事部に勤務していると解釈できます。

HRとはHuman Resourcesの略で、いわゆる「人事部」のこと。日本でも採用時にHRという言葉を使用する機会が増えています

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2.HRと人事部の違いとは?

日本とアメリカでは組織体制や人事システムが異なるため、両者を横並びで見ることは難しいですが、あえて比較すると、HRは日本企業の人事部に最も近い機能やミッションを指します。

現在では一部の人事部に該当する組織がHRを名乗っていますが、かつてはPersonnel Departmentという呼称が一般的でした。

現在呼称が変化しているのは、「管理的な部門」から「事業のサポート部門」へと役割を変化していくべきだという考えに基づいているからです。しかし、残念ながら、日本企業の人事部は現在でも「管理的な部門」であるのは否めません。

日本企業はアメリカ企業の組織を機能ではなく、使命で研究していく必要があります。そのような意味では、「人事部=HR」とはならないかもしれません。

HRの特徴まとめ

HRは人を単なるWork Force(労働力)と捉えるのではなく、会社が持つ資源であるという考え方に基づいた言葉です。経営資源である「ヒト・モノ・カネ・情報」の「ヒト=人的資源」にフォーカスする専門的なセクションとして位置付けられます。

最近では、Resource「資源」からさらに進んでCapital(資本)という表現を使用する会社もあり、人事部をHRからHuman Capital Managementという組織名称にしているところも出てきているのです。

Human Capitalとは経済学の概念で、人が持つ知識などの能力を資本として捉える考え方のこと。「人的資本」と表現され、具体的には資格や学歴によって測定されます。

HRは人を単なるWork Force(労働力)と捉えるのではなく、会社が持つ資源であるという考え方に基づいた言葉です

3.HR業界の構造と要素

HR業界とは、人材確保などの重要な課題を解決する人事支援サービスなどを行う企業が属する業界のこと。HR業界は、企業の人事部を軸と捉え、人事を支援するサービスなどを行う企業をひとつの業界としています。

似た言葉に人材業界がありますが、人材業界は一人の人を人材と捉え、それを軸として関連するサービスがカテゴライズされひとつの業界としています。両者に属するサービスに重複する点も多いですが、そもそもの分類軸が異なっているといっていいでしょう。

HR業界は大きく、

  1. 採用
  2. 人材育成・研修
  3. 人事・労務
  4. システム・業務ツール

の4種類に分けることができ、これらに「HRテクノロジー」を連携させるイメージです。

①採用

HR業界の「採用」分野に含まれるものは、新卒採用やキャリア採用、アルバイト・パート
・派遣・業務請負など。社員の採用や募集を担当するHRの「採用」機能がこの分野に該当します。HRは採用を管理し、人材を有効活用する役割を担っているのです。

②人材育成・研修

HR業界の「人材育成・研修」分野に含まれるものは、階層別研修やテーマ別研修、職種別研修など。社員に対する研修制度を構築し、人材を育成し「能力開発」を行う機能がこの分野に該当します。

③人事・労務

HR業界の「人事・労務」分野に含まれるものは、組織風土や人事制度、雇用管理・賃金
・福利厚生など。企業全体の賃金管理などを行う「労務管理」機能と、「人事制度の企画・立案」機能がこの分野に該当します。

④システム・業務ツール

HR業界の「システム・業務ツール」分野に含まれるものは、人事・業務システム、適性検査・アセスメントなど。人事管理を一元管理できる人事管理システム、職務適性の検査、評価などがこの分野に該当します。

HR業界は企業の人事部を軸と捉えた人事支援サービスがカテゴライズされています。その種類は大きく4種類に分かれます

4.HRの目的と役割

企業は保有する経営資源を事業活動に投入し、利益を追求するもの。経営資源には、「キャッシュ」「原材料」「取引先」「労働力」などさまざまなものがありますが、これらをまとめると「ヒト・モノ・カネ・情報」に分類できます。

この経営資源のうち、ヒトについて最終的な役割を担う部署がHRです。企業によってヒトの活用方法は異なりますが、HRはヒトという経営資源を最大限に活用するための機能を担う部署といえるでしょう。

企業内においてHRが担うミッション

HRは個別機能ではなく使命で語られることも多いです。厳密には、労務管理や給与管理などではなく、人的資源である「人材」が企業の業績に貢献するように人材戦略の策定や人材戦略の実行を行うことが主なミッションとなります。

「人的資源の獲得」「人的資源の動機付け」「人的資源の育成」「人的資源の定着」の4大使命を達成するためにHRは存在していると説明する会社もあるほどです。

かつてPersonnel Departmentと呼ばれていた時代の主要な業務から、HRは現在、その使命や在り方まで大きな変化を遂げつつあります。

HRは経営資源のうち、ヒトについて最終的な役割を担っている部署です。HRは個別機能ではなく使命で語られることが多くなっています

5.企業におけるHRの必要性とは?

では、企業におけるHRの必要性にはどのようなものがあるのか見ていきましょう。

人事情報の一元管理

組織にHRが存在するからこそ、人材情報を集約化できるのです。大企業であればあるほど、ライン内に人材情報がとどまりやすく、ヒトを最適に有効活用する機会を損失しやすくなります。

新規部門や人手が足りない部門への人事異動を迅速に計画するには、全社の人材情報の集約化が重要です。

HRが人事異動を行うための権利、人事権を持つケースも増えています。「中小企業にHRは必要ない」という意見もありますが、それは誤りでしょう。

HRは組織と人をつなぎ、情報などを共有するインターフェースのような役割を担うもの。HRが存在しなければ、組織の人材情報は分散し、時代の変化などに合わせて適切かつ迅速な人事判断は難しくなるでしょう。

効率的な人材育成

次に挙げられるのが、経営資源であるヒトをライン部門に委ねることは非効率的という点です。ライン長の仕事はヒトに限定されず、モノ・カネ・情報といった経営資源への責任もあります。

それゆえに、ヒトという経営資源の有効活用について必ずしも得意とはいえません。これは特に社員の労務管理や能力開発という人事に関する機能を考える際に重要なポイントとなるでしょう。

もちろん、ライン長はOJTを通してヒトの育成に大きな役割を果たしていますが、効果的なOJTプログラムを企画・立案したり、これまでプレイヤーであったライン長をトレーナーとして育成したりといったものは、やはりHRの役割なのです。

社員のモチベーション管理

最後は、ヒトのモチベーション管理。ライン長の最も重要なテーマは部門の業績を最大化させることですので、場合によっては部下の育成の優先順位が下がり、部下を自らの手足のように使ってしまう可能性があるのです。

このような場合、組織内で目標を見失わずに成長する人材もゼロではありませんが、大半が自らの役割を見失い、モチベーションも低下させてしまうでしょう。

HRは、社員が働く喜びを見失わないようにしなければなりません。これは、社員の処遇を決める際や人事制度の企画・立案を行う際にも重要なポイントとなります。HRが主体となって全社的観点からヒトという経営資源について関与することは重要でしょう。

HRが組織に存在するため、人材情報が集約化できます。さらに人材育成、ヒトのモチベーション管理も可能です

6.HRの機能と仕事

ここからは、HRが持つ4つの機能とその仕事内容を解説します。

  1. 戦略的パートナー
  2. 制度設計と運営
  3. オペレーション
  4. 人材開発、組織開発

①戦略的パートナー

戦略的パートナーのイメージは経営陣の参謀役です。HRは経営者、事業責任者にとっての戦略的パートナーである必要があります。事業戦略を十分に理解し、ヒトと組織の面から戦略を立案・実行するプロフェッショナルとしての役割があるのです。

②制度設計と運営

制度設計と運営もHRの役割です。事業戦略に基づいて人事制度を構築し、制度の管理・運営を行います。経営戦略だけでなく、社員の生活にも直結するため、公正で現実的な制度の構築が必要不可欠です。

③オペレーション

HRのオペレーションエリアは広範囲に及び、給与システム、人事システムの運用、労務管理、福利厚生などを行います。現場の社員の声をオペレーションに効率的に反映させることはHRの重要な機能のひとつです。

④人材開発、組織開発

昨今の労働力不足の観点から、社員の能力をいかに開発していくかなども重要となっています。ビジネスをけん引する人材の育成、社員のモチベーションを高める風土づくりなどに取り組むことは、HRの機能として注目されているのです。

HRの機能には、戦略的パートナー、制度設計と運営、オペレーション、人材開発・組織開発の4つがあります

7.HRの具体的な業務内容

ここからは、HRの具体的な業務内容5種類について詳しく解説します。

  1. 採用
  2. 処遇
  3. 人事制度の立案
  4. 労務管理
  5. 能力開発

①採用

「採用」機能とは、社員の募集と採用を担当するもの。事業拡大や退職に伴い、新たな人材を採用する必要が生じた際に実施されるのが人材採用です。採用では、組織内の現状や人材需要、求める人物像の把握から内定者のフォローに至るまでさまざまな業務があります。

企業によっては、「すべての社員の採用はHRが行う」ケースや「正社員採用はHRが行うが、非正規社員は各部門や事業所に委ねる」ケースも。

また、「採用プロセスの初期段階は各部門が担うが、最終段階はHRが担う」ケースや「初期段階をHRが担い、最終段階を各部門が担う」ケースもあります。

どのようなケースにおいてもHRは、全社の採用を管理し、ヒトの有効活用のバランスを取る必要があるのです。

②処遇

「処遇」機能とは、社員の配属先や人事異動、昇進・昇格・昇給といった一人ひとりの社員の処遇を決定するもの。処遇に際しては、組織が求めている人物像を明確化し、人事異動の実施や人員配置の最適化を行わなければいけません。

また、組織内における適切な行動指針を示す必要もあります。この「処遇」機能も企業ごとにHRが具体的にどのような役割を担うかは異なるのです。

HRはこの処遇の実行を通して、人員配置の最適化や社員のモチベーションの向上を図ります。適切な処遇を実行するには、人材情報の集約化は欠かせません。

③人事制度の立案

「人事制度の立案」機能とは、社員の処遇決定の基準となる評価制度や報酬制度を構築すること。ヒトという経営資源を最大限に有効活用するという点では非常に重要な機能で、企業の特徴・特色がはっきりと現れるのです。

人事制度が企業にマッチしていないと社員のモチベーションの低下や離職率の悪化という事態を招く可能性もあります。

人事制度は、組織運営の安定化と社員のモチベーションの向上を目的とした施策。HRを持つ組織の場合、ほとんどが企画や立案などをHRが行い、最終決済は経営層が行います。

HRに与えられた役割を正しく理解し、仕事内容を現実に即して考えることで、最適な人事制度の企画・立案が可能となるでしょう。

④労務管理

「労務管理」機能とは、企業全体の賃金管理を行うこと。大企業においては労働組合との折衝も重要な役割となります。

ブラック企業が社会問題となっている昨今、長時間労働による労災認定のリスクや民事上の責任論が高まっているのです。このような中で企業は、担保として安全配慮義務を果たすことが求められています。

HRは、企業が独自に残業時間基準を設け、その基準を超過している社員については個別面談を行ったり、上長からの意見聴取や該当社員の業務内容の棚卸しをしたりするなど、「リスクヘッジ」機能も併せ持つようになってきました。

つまり、単なる労務管理だけではなくなってきているのです。企業によっては、労務管理は労務部などが行う場合もありますが、その場合もHRと該当部署が連携を図ることは大切でしょう。

⑤能力開発

「能力開発」機能とは、社員への研修制度を構築することで、各種研修の企画・立案、研修プログラムやマニュアルの作成などを行います。

社員はヒトという経営資源で、企業が最大の利潤を追求するためには必要不可欠です。この経営資源が無価値または時代遅れとならないように能力開発に投資する機能を担っています。

HRは、たとえば企業が固定資産の陳腐化を防止するために適時新たな設備投資を行うのと同様に、ヒトに対して能力開発という投資を行うのです。能力開発では、対象者の意見などをしっかりと聴き、慎重に進めていきます。

HRの具体的な業務内容は、採用、処遇、人事制度の立案、労務管理、能力開発といった5つの機能になります

8.HRテック(HR Tech)とは?

HRテック(HR Tech)とは、ITの活用によって人材育成や採用活動、人事評価などの人事関連の業務を効率化したり、新たな価値を生み出したりする技術のことで、HR(Human Resources)とテクノロジー(Technology)を組み合わせた造語です。

金融とテクノロジーを組み合わせたフィンテック(FinTech)に続いて、企業の注目を集める領域となっています。アメリカではすでに、数十億円規模の資金調達に成功する企業も多く出現しているなど、日本でも非常に注目度の高い分野なのです。

なぜ今HRテックが必要とされるのか?

では、なぜ今HRテックが必要とされているのでしょうか?

人材マネジメントの重要性が高まっている

HRテックの必要性が高まっているのは、経営における「人材マネジメント」の重要性にあります。その背景には国内の産業構造の変化があり、現在、サービス業がGDPの約75%を占めているのです。

サービス業においては、各社員で提供する価値が変わります。高い価値を生み出せる人材にはより高い価値を出してもらえるように、生み出す価値が低い人材はフレキシブルな人事施策によって改善する必要があります。

この問題はサービス業だけにとどまらず、製造業などすべての産業に該当するのです。そんな中、どのような人材を採用し、どのように育てるかといった、社員の付加価値を高める「人材マネジメント」は重要となるでしょう。

人事業務の効率が悪い

企業の人材マネジメントにおける課題のひとつに人事業務の効率の悪さが挙げられます。人材マネジメントをより良いものにするには、新しい取り組みを考案し、実際にそれに取り組まなくてはなりません。

しかし、人事にはルーティンワークが多いです。そのため、人材マネジメントを改善するための時間がなかなか確保できません。そこで活躍すると見込まれているのがHRテックなのです。

データが一元管理されていない

企業によっては、組織や従業員に関するデータがバラバラに管理されており、集約されていないことも。そもそも、データが残ってすらいない場合もあるでしょう。

このような状況では、人事は乏しい勘や経験に頼るしかありません。人材マネジメントは人事施策全般を通して、組織と従業員のパフォーマンスを最大化する必要があります。このためにも、データを一元管理する必要があり、HRテックの活用が有効となるのです。

HRテックの導入効果

HRテックを活用すれば、採用や労務管理といった手間のかかる仕事を効率化でき、人事担当者の負担も軽減できるでしょう。また、コストをかけず高品質なWebサイトが作成できるサービスを利用すれば、自社の魅力を発信してブランディングにつなげられます。

労務管理でクラウド人事労務ソフトを活用すると、書類の自動作成などが可能となるため、人事の仕事を大幅に削減できるでしょう。これは、HRテックの導入を考えている企業としては最も取り入れやすいものです。

そして効率化によって生まれた時間は、組織や従業員のパフォーマンスを高めるための人事施策を考えたり実行したりするために使えます。

HRテックとはITを活用し、人事関連の業務を効率化したり新たな価値を生み出したりする技術のこと。現在、HRテックの必要性が高まっています

9.HRテックの導入事例

最後に、HRテックを実際に導入した企業の事例をご紹介します。

日清食品ホールディングス

日清食品ホールディングスは2020年度の営業利益を2015年度の1.6倍程度に伸ばす目標を掲げました。達成するためには、国内外にいる社員の能力や適性を正確に把握した適切な人材配置が欠かせません。しかし、社員の能力や適性を判断するためには、社員の所属する部署や過去の人事評価などだけでは不十分です。

しかも、グループ全体の国内にいる社員数だけでも約2,000人。この課題を解決するために、日清食品は膨大な人事情報と顔写真とを紐付け、クラウド上で一元管理するシステムを導入しました。

日清食品が導入したのは、カオナビ(東京都港区)が開発した同名のサービス。導入により、外部サーバーの高い処理能力を利用し、顔写真に紐付けた人事データにいつでもどこでもアクセスできるようになったのです。

夢真ホールディングス

夢真ホールディングスは、建設業界への人材派遣業のリーディングカンパニーです。

近年の建設需要の拡大と人材不足から人材派遣の需要が拡大する中、時代に対応した競争力を身に付けるには、現状の人事管理体制では不十分との判断から、2019年4月に「人事部」を新たに立ち上げ、「カオナビ」を導入しました。

目的は、内勤スタッフの人材情報の一元管理とマネジメント体制の確立。人材マネジメントを行うことで、会社と社員のエンゲージメントを高めることも狙いのひとつでした。

カオナビの導入により、社員の顔と名前が一致し、コミュニケーションが促進され、マネジメントのための人材情報がストックされ、一元管理できるようになったのです。

日清食品ホールディングスと夢真ホールディングスは「カオナビ」を導入して、人事管理体制の強化を図っています