人的資源とは? 意味、活用方法、人的資源管理、人的資源開発について

少子高齢化による労働力の減少は大きな社会問題となっており、昨今企業の中では人的資源の重要性が叫ばれています。人的資源とは、どのようなものを意味しているのでしょうか。

今回は、

  • 人的資源の意味
  • 人的資源の活用方法
  • 人的資源管理や人的資源開発

などに言及しながら、人的資源について解説します。

1.人的資源の意味とは?

人的資源とは、経営資源「ヒト・モノ・カネ・情報」のなかで、ヒトのみを指して用いられる言葉です。

アメリカでHuman Resource Managementの概念が生まれたのをきっかけに、資源としての人材(従業員)の重要性が再認識され、広く認められるようになりました。

1990年代の半ば頃から企業が行うヒトに関するさまざまなマネジメントの総称として、日本でも広く認知されるようになったのです。

最近では、人材に携わる部門の名称を「ヒューマンリソース部」「人材開発部」とする企業も増加しています。こうした点から見ても、ヒトを経営資源として考えるマネジメントが浸透していることが実感できるでしょう。

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2.経営資源とは?

人的資源を含めた「ヒト・モノ・カネ・情報」の総称である経営資源についても確認しましょう。経営資源とは、経営を行う上で必要とされる有形・無形の要素をいいます。

経営資源の概念を提唱したのはイギリスの経済学者E・T・ペンローズ。著書『会社成長の理論』で、余剰となった経営資源の転用で経営の多角化を目指すという考え方を提唱しています。

3.人的資源の特徴と重要性

「ヒト・モノ・カネ・情報」の経営資源のうち、「ヒト」にクローズアップした人的資源の特徴とは、どのようなものなのでしょう。ここでは人的資源の特徴とその重要性について見ていきます。

①最も基本的かつ重要な要素

経営学者のピーター・ドラッカーは人的資源を「最も生産的、変化しやすい、大きな潜在能力」と位置づけており、4つの経営資源で人的資源が最も基本的かつ重要なものとしていることがよくわかります。

人的資源とはすなわち「ヒト」で、「モノ・カネ・情報」はすべて、ヒトによって操作されるもの。

  • ヒトがいて初めてカネが動く
  • ヒトがいて初めてモノがつくれる
  • ヒトがいて初めて情報が集められ活用できる

というように、企業活動のすべてはヒトから始まります。ドラッカーのいう「最も生産的」「変化しやすい」「潜在能力」とは、ヒトがすべての鍵を握ることを表すのです。

また、経済資源の残りすべてをヒトによりどのようにも変化できることも意味しています。企業活動の基本的かつ重要な要素がヒトということは、人的資源の第一の特徴です。

②行動の自由や自律性を求める

人的資源の特徴として、行動の自由や自律性を求める点が挙げられます。

ヒトは感情もあり、さまざまな発想もできる思慮深い存在でヒトの自由な発想、自由な行動から生み出される自由な経済活動は、人的資源が持つ大きな潜在能力といえるでしょう。

また、ヒトは規律性や自律性を尊重することも可能です。一つの経営目標に向かって組織的に統治された行動が求められる企業活動においては、それらの特性も重要になります。

人的資源の特徴として、自由と自律の両面を併せ持つヒトならではの存在価値が挙げられるでしょう。

③絶対的な管理手法が存在しない

人的資源の特徴には、もう一つ面白い側面があるとされています。それは絶対的な管理手法が存在しないことです。

他の経営資源である「モノ・カネ・情報」については、時代に合った新しい管理手法が次々と生み出されています。そろばんから電卓、パソコンへと目覚ましい進化を遂げたのは、ヒト以外の経済資源でした。

ヒトに関しては、パラダイム転換を起こすような目新しい管理手法は出現しません。感情や意思を持つヒトのマネジメントに関するパラダイムは、時代を超えても変わらない、いえ、変えられないものです。

また万人に共通する画期的な管理システムも存在しません。絶対的な管理手法が存在しないことは、人的資源を象徴する要素といえます。

4.人的資源と人的資本との違い

人的資源と類似した言葉に、人的資本があります。人的資源と人的資本、言葉の持つ意味にどのような違いがあるのでしょう。

  • 人的資本:「人に付随する能力」を意味。スキル・能力・知識などを指す
  • 人的資源:「人」を意味。能力に限定するのではなく、人そのものを指す

それぞれに意味の違いはありますが、人的資源に近い意味で人的資本が用いられることもあります。

5.人的資源管理(人的資源マネジメント)とは?

人的資源管理(人的資源マネジメント)とは、「人的資源を経営目標の達成のために活用すること、また活用するために制度設計・運用すること」を指します。

組織を統括するマネージャーが、組織のメンバーをどう効果的に活動させるかとプランを設計・運用すること、つまり、「人的資源の最適化」を意味します。

人的資源管理の目的

人的資源管理の目的は、人的資源を適性に配置・活用し経営戦略を実現することと考えられており、一言で表せば「戦略的人的資源管理(SHRM)」です。

組織や企業の課題解決のための戦略と、

  • 組織構造
  • 採用
  • 評価
  • 報酬
  • 配置転換
  • 昇進・昇格

など人的資源管理のコンビネーションを利用して戦略と人的資源管理との互換性・整合性を持たせたマネジメントを行うこと。最終目標は、マネジメントで経営戦略を実現することです。

人的資源管理の課題

人的資源管理施策と企業業績には、因果関係が証明されているのでしょうか。実は人的資源管理施策と企業業績における因果関係の有無は証明されていないのです。

たださまざまな研究により相関関係が成り立つ可能性があるとされてはいますが、因果関係の測定方法には、まだ合意形成が存在していません

人的資源管理と企業業績との間にあるブラックボックスのメカニズムには媒介変数やブラックボックスの数の設定など、細かな合意がなされなければならないのです。

現時点では因果関係について、

  1. 行動的視点
  2. サイバネティックモデル
  3. エージェンシー・取引コストモデル
  4. 資源ベースの企業観
  5. 権力・資源依存モデル
  6. 制度理論

といった6つの理論的モデルの援用がなされています。

人事労務管理との違い

人的資源管理と類似する言葉に、人事労務管理があります。人的資源管理と人事労務管理とは、どのような相違点があり、どのように使い分けがなされているのでしょう。

  1. 思想・前提
  2. 戦略的側面
  3. ライン管理
  4. 主要な管理手法

などの項目ごとに見ていきましょう。

①思想・前提

まずは両者を思想、前提といった次元で検討してみましょう。

人的資源管理 人事労務管理
契約関係の目的 契約を超えること 書面に明記された契約内容の正しい履行
規則面 柔軟性へのコミットメントが活動指針 「できそうなことの探求」に注力するため 手続き・体系性の統制が指針 明確な規則と遵守が求められるため
行動への枠組み、労働者に対する管理業務など 使命感・育成といった言葉がキーワード コンフリクトは強調されない 規範や慣習による実践が重視 コンフリクトは制度化

②戦略的側面

戦略的側面から見ても、人的資源管理と人事労務管理には大きな違いがあります。

人的資源管理 人事労務管理
鍵となる関係 企業と顧客 労働者と経営者
イニシアティブ 統合化 非常に断片的

事業計画との整合性を見ていても人的資源管理のほうが人事労務管理より整合性は高く、また意思決定も早いのが特徴です。人的資源管理と人事労務管理は、コインの表と裏のような間逆の特性を持ったものであるとわかります。

③ライン管理

ライン管理の観点から人的資源管理と人事労務管理の特徴を見てみましょう。

人的資源管理 人事労務管理
管理の役割 常に変革・革新を目指す 業務処理が中心
主要な管理者 経営トップ、部門長、ラインの各管理者 支援をメインとした技能 人事労務・労使関係の専門家 交渉力

求められる管理技能でも、両者の差異が認められます。人的資源管理と人事労務管理の違いは、ライン管理といった細部にも及んでいるのです。

④主要な管理手法

人的資源管理 人事労務管理
管理方法 企業全体の目標と統合されて行われる 重要度が高いものに位置づけ 企業全体の目標から切り離されて行われる 重要度も低くなる
報酬 パフォーマンスと連動 報酬が多数の固定的なグレードによる評価
コミュニケーション 直接的に行われる 間接的で限定的な流れ
職務設計や人材育成面 チームワークを重視 大きな教育訓練投資も惜しまない 職務設定は分業 人材育成も最小限度の教育訓練投資に従事

両者の特徴は大きく異なっています。

6.人的資源開発(人材開発)とは?:人的資源の育成

人的資源開発という言葉を聞いたことがなくても、人材開発という言葉なら耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。

人的資源開発すなわち人材開発とは人的資源の育成のことで「経営目標達成のために人的資源の生産性を高めるための取り組み全般」を指すものです。

狭い意味で捉えると、個人開発、すなわち従業員への教育や育成施策(OJTやOff-JT)のことを意味します。

広い意味で解釈すれば、人的資源開発(人材開発)のなかには個人だけでなく組織開発も含まれます。人的資源開発(人材開発)という言葉は、個人開発と組織開発の2つの要素で構成されていると理解すればよいでしょう。

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人的資源は、

  • 人的資源管理:人材に関する管理方法や制度
  • 人的資源開発:人材育成を目指す方法やテクニックを説く

で構成されているため、両者の体系的理解が必要です。

7.人的資源を有効活用する制度

人的資源を有効活用する制度は6つに分かれています。6つの制度の一つひとつ、もしくはいくつかを併用することで人的資源を有効に活用できるとされています。

  1. 雇用管理制度
  2. 人材育成制度
  3. 評価制度
  4. 報酬制度
  5. 福利厚生制度
  6. 労使関係制度

①雇用管理制度

雇用管理制度とは、

  • 人材の募集
  • 採用
  • 配置
  • 異動
  • 昇給・昇進

などを管轄する制度です。一昔前までは終身雇用制が一般的でしたので、新卒を採用、育成し、定年まで雇う流れの制度を1つ設計するだけで間に合いました。

しかし、終身雇用制が崩壊し、中途の入社や退社が当たり前になってきています。またさまざまな労働形態の労働者も混在しているため、企業内部に1つの雇用管理制度を置くだけでは難しい時代になってきたのです。

人的資源を有効活用するには、雇用管理制度を時代の変化や企業の方向性などとともに丁寧に考えることが重要です。

②人材育成制度

人的資源の有効活用には、人材育成制度も有効です。人材育成制度とは経営課題を克服し、目標を達成させるために必要な教育や訓練を社員に施すための制度です。

職務を通じて行うOJTや研修ルームに社員を集めて行うOff-JTといった方法で、新入社員研修、技能訓練、配置転換教育などが設計されてきました。

これからは個人のキャリア・ディベロップ・プランについてもトータルで捉えていけるような人材育成制度の構築が必要です。時代の移り変わりとともに、育成する人材像を的確に変化させた制度設計をすることで、人的資源は有効活用されるといえます。

③評価制度

評価制度とは、社員が自分の仕事にどのようなパフォーマンスができたかを評価するもので、企業の目標や業績、チームや組織に対しての貢献度を測ります。

従来の人事考課制度といわれる評価制度では、年功序列による職能資格制度が用いられていました。しかし現代は成果主義の時代で、人事評価制度の尺度も、成果に徹底した評価に変わりつつあります。

この変化を捉えつつ、社員のモチベーションを高めながらも公平な評価を可能にする人事評価制度を構築すれば、人的資源は最大限の効果を発揮できるでしょう。

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④報酬制度

人事評価制度に関係して、報酬制度も忘れてはなりません。報酬制度も、人的資源の有効活用に大きな効果を発揮します。

報酬制度は、人事評価制度によって決定した評価に従い、報酬が支給されるものですが、その際、限りある報酬源を客観的かつ公正に付与できるかどうかが課題でした。

以前は年功序列という物差しが機能していたため、報酬額は右肩上がりに設定されており、それは働く側に安心感をもたらしたのです。

しかし成果主義の台頭で、報酬制度に厳しい目が向けられるようになりました。成果をどう報酬に結びつけるか、その設計次第で人的資源の可能性はどのようにでも広がるのです。

⑤福利厚生制度

人的資源の活用に、無関係と思われるのが福利厚生制度です。しかし、

  • 健康保険制度
  • 雇用保険制度
  • 年金制度
  • 慶弔金
  • 寮や提携保養所制度
  • 貸付制度

など報酬以外にも労働者個人の利益として数えられるさまざまな制度があります。労働者を報酬以外の面からも支えることで、労働者の家族に対しても福利の向上を提供できます。

なかには、カフェテリアでバイキング形式の社員食堂無料提供を行い、労働者の評価も上々という企業もあります。福利厚生制度の充実は、人的資源の有効活用に一役買ってくれるでしょう。

⑥労使関係制度

  • 雇用管理制度
  • 人材育成制度
  • 評価制度
  • 報酬制度
  • 福利厚生制度

など、さまざまな制度を見てきました。実は、これら以外にも労使関係制度という人的資源を有効活用できる制度があるのです。

さまざまな制度の導入においては、労使協定や労働組合との話し合いが条件になっているものもありますし企業と労働組合との利潤分配がすべての制度に関わってくることもあります。

経営側が自由に制度設計できるものばかりではありません。労使関係制度でお互いの役割を明確に規定することも、人的資源の有効活用には不可欠なのです。

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