業績連動型賞与とは? 成果主義との関係、計算方法、導入の流れ、事例

業績連動型賞与とは、企業業績と賞与額を連動させることです。ここでは業績連動型賞与について解説します。

1.業績連動型賞与とは?

業績連動型賞与とは、企業業績と賞与額を連動させる賞与のこと。従来、多くの企業は「基本給の〇カ月分の賞与を支払う」といった形で賞与額を算定していました。業績連動型賞与では、賞与額を営業利益に連動した形で決定します。

経団連による「2019年夏季・冬季賞与・一時金調査結果」によれば、業績連動型賞与を採用している企業は59.5%。業績連動型賞与が企業に浸透しているとわかります。

決算賞与との違い

決算賞与とは、企業の決算が終了した段階で支払われる賞与のこと。決算内容によって。利益が出ていれば支給・利益が出ていなければ不支給となるため、必ずしも支給されわけではありません。決算賞与は通常の賞与より不確定だと考えられます。

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2.業績連動型賞与と成果主義

業績連動型賞与と成果主義は密接な関係にあります。日本で営業利益といった企業業績に賞与を連動させる業績連動型賞与への動きが強まったのは、1990年代後半ごろからです。

現在、業績連動型賞与を採用している企業の多くは、「固定部分である基本賞与」「業績連動部分である業績賞与」を組み合わせて業績連動型賞与として支給しています。

こうした企業は経営の観点から、固定部分の縮小や業績連動部分の拡大に取り組む傾向があります。

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3.業績連動型賞与の計算方法

業績連動型賞与の計算方法は、各企業が個別に定めているものであり、その内容や計算方法は多岐にわたるのです。一般的な業績連動型賞与の計算方法を半期でみた場合、「半期の粗利益×労働分配率-既払いの人件費(給与・福利厚生費など)」で計算します。

このときの注意点は以下のとおりです。

  • 労働分配率は「労働分配率(%)=人件費÷付加価値×100」で計算
  • 労働分配率は人件費の増加により上がり、企業活動による付加価値の増加により下がる

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4.業績連動型賞与のメリット

業績連動型賞与のメリットは3点あります。それぞれについて解説しましょう。

  1. 経営の安定
  2. 支払いの透明性
  3. 従業員の意欲向上

①経営の安定

業績連動型賞与を採用して従業員に賞与を支払えば、企業は業績に見合った賞与額を負担するだけで済むのです。

業績が悪ければ支払い額が減り、業績が良ければ良い分だけを支払えます。そのため賞与過払いが原因となる経営圧迫リスクが減るのです。

②支払いの透明性

業績連動型賞与では、賞与額が企業の業績に連動します。そのため賞与額決定のしくみに、明確性と透明性が担保されるのです。

査定や上司との面談といったブラックボックスになりやすい要素をとおして決められていた賞与と比較すれば、各段に透明性が高まります。

③従業員の意欲向上

「人件費が経営を圧迫せず、安定経営となる」「賞与額の決定に透明性が担保される」ため、従業員は安心して仕事に取り組めます。業績が向上すれば、自身の賞与も増額されるため、モチベーション高く仕事をするようになるでしょう。

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5.業績連動型賞与のデメリット

業績連動型賞与にはデメリットもあります。それぞれについて解説しましょう。

  1. 賞与支給が不安定に
  2. 情報漏えい
  3. 従業員のモチベーション低下

①賞与支給が不安定に

業績連動型賞与の場合、賞与額は企業収益に比例します。そのため企業の経営が順調の場合には、賞与額も高くなるのです。また企業の経営が不調になれば、賞与額が極端に低くなる可能性もあります。このように賞与額に変動するリスクが生じるのです。

②情報漏えい

業績連動型賞与では、社内に自社の業績を公表しなければならなくなります。企業の重要な情報を全従業員が知るため当然、情報が社外に漏れ出るリスクも高まるのです。情報漏えいは、企業に致命的なダメージを与えかねない問題といえます。

③従業員のモチベーション低下

経営戦略や事業部の方針のなかには、従業員の意にそぐわないものや業績に反動しにくいものもあるでしょう。どんなに努力しても結果がでなかったとき、従業員のモチベーションが低下する可能性もあります。

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6.業績連動型賞与を導入する流れ

業績連動型賞与を導入するためには、何をすればよいのでしょう。業績連動型賞与導入の流れについて解説します。

  1. 導入目的の明確化
  2. 業績指標の検討
  3. 原資算定におけるルールを設定

①導入目的の明確化

まず・業績連動型賞与のメリット、デメリットを確認し、現状の給与制度などの問題点を整理します。そして導入する目的を明確にするのです。ここで決定した目的は、具体的な制度設計に関する土台になります。

業績指標の検討

下記5個の基準からひとつもしくは複数を選択します。

  • 売上高基準
  • 株主価値基準
  • 利益基準
  • 付加価値基準
  • キャッシュフロー基準

指標を選ぶときは、「経営戦略で重視している指標か」「従業員にも理解しやすいか」をポイントにしましょう。

売上高基準

売上高や生産高などを指標として用いるもの。採用する最大のメリットは、従業員にも分かりやすい指標である点です。

売上高や生産高は、目標や実績を算出しているため、指標としてかんたんに使えます。特に売上高を重視する傾向にあるサービス業や流通業などには最適です。

株主価値基準

ROAやROE、ROIやEVAなどの指標を用いること。株主価値基準を採用すれば、「P/Lの視点」「B/Sの視点」「株主の視点」など客観的で多角的な視点を賞与に連動させられるのです。ただこれらは一般の従業員が読み解くのには複雑過ぎます。

利益基準

営業利益や経常利益、当期利益やEBIT、EBITDAなどを基準にするもの。下記の点から多くの企業で用いられています。

営業利益は本業にかかわる利益で、賞与と連動させるにあたって納得性も高い

計上利益は全従業員に関連する項目であるため、全社的な制度設計の基準になりやすい

付加価値基準

売上高から他者からの購入物代金を差し引いた粗利益のこと。一般的に付加価値は企業の経営成果と考えられています。よって経営成果を業績連動型賞与で貢献に応じて従業員に分配するのは理にかなっているのです。

しかし現実的に付加価値を経営目標として掲げる企業は少なく、賞与と連動させている企業もさほど多くありません。

キャッシュフロー基準

会社における資金の流れを基準にすること。キャッシュフロー基準は、キャッシュフロー計算書を見ればその流れがわかります。

キャッシュフローは、支出より収入が場合にはプラスとなり、収入より支出が多い場合にはマイナスになるのです。業績連動型指標としてもわかりやすいでしょう。

原資算定におけるルールを設定

具体的には以下の2つから選択します。

  • 経営計画どおりのケース・計画を上回ったケース・計画を下回ったケースの3パターンでシミュレーションを行い、原資を算定する
  • 過去の指標と賞与実績を分析し、賞与支払い傾向と成果を把握して原資を算定する

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7.業績連動型賞与の業績指標を決める際の注意点

業績連動型賞与の業績指標を決める際の注意点があります。それぞれについて解説しましょう。

  1. 自社の経営目標に沿っているか
  2. 従業員にとってわかりやすいか
  3. 従業員の業務と関連しているか
  4. 業績向上につながっているか

①自社の経営目標に沿っているか

企業業績を単に従業員の賞与に結びつけることだけが目的ではありません。導入目的は、あくまでも業績の向上。よって業績を向上させるひとつの施策として指標を決定します。

②従業員にとってわかりやすいか

企業業績と従業員への賞与を連携させるためには、わかりやすい指標を使ったわかりやすい仕組みにする必要があります。そのため従業員に納得してもらえる業績指標を選択するのです。

③従業員の業務と関連しているか

企業業績と賞与を連動させるといっても、そこに用いる業績指標が従業員の業務とかけはなれたものではいけません。仕事や指標、業績や賞与の関係性がイメージできるような指標を選択します。

④業績向上につながっているか

業績連動型賞与のしくみを導入した後、それが業績連動型賞与の導入目的でもある企業業績向上に結びついているか、確認しなければなりません。業績指標選びは、確認が取りやすい指標を選択するとよいでしょう。

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8.業績連動型賞与の事例

業績連動型賞与の事例を3つ解説します。

  1. 関西電力
  2. 東京エレクトロン
  3. 日本航空

①関西電力

関西電力では2020年度以降の賞与から、業績連動型を採用しています。目的は業績と賞与との関連性を従業員に意識してもらうことです。経営利益の目標1,250億円を上回った分を賞与額として加算します。

②東京エレクトロン

東京エレクトロンでは、2017年度以降から「国際統一基準となる新人事制度の運用」「業績連動型賞与の運用」を始めています。

半導体製造装置やフラットパネルディスプレイ製造装置など景気に左右されやすい開発製造を担っているため、経営を安定させることが目的です。導入の結果、年度によって賞与支給額も変動しています。

③日本航空

日本航空では、2017年度から社内取締役7人に対して、業績連動型報酬制度を運用しています。目的は中長期的な業績と企業価値を強化するためです。

従来の制度では、役員報酬の総額についての上限を固定の基本報酬と賞与の合計4億5,000万円以内としていました。制度導入後は、そのうち3億5,000万円を業績連動型に切り替えたのです。