人材アセスメントとは? 導入のポイントと期待される効果

人材アセスメントは第三者による客観的な評価を取り入れて社員の人材育成・能力開発をうながす企業にとって欠かせない評価ツールです。昇進や昇給、昇格などの適性を数々のシミュレーションや面接、心理テストなどで測り事前に設定した「あるべき姿」にもっとも適した人材を割り出す効果があります。

人材アセスメントは、戦後アメリカの企業で始まり、日本でも旧来の人事評価より適切な評価ができるとして急速に導入が進んでいるのです。人事部として、人材アセスメントの意味や導入の際の注意点などを再確認しておきましょう。

1.人材アセスメントとは?

assessment_toha英和辞書でアセスメント(assessment)という英単語を調べると、課税するための評価や査定と記されています。ここから派生して環境開発・製品開発・介護・看護・医療・福祉分野などにおいてアセスメントという言葉が使われるようになりました。

その意味は「ある物事が周りの人やもの、環境に及ぼす影響について事前に調査し評価をすること」です。ニュースなどで、環境アセスメントという言葉を耳にすることもあるのではないでしょうか。これは新たな地域を開発するプロジェクトの際、事前に開発業者が自然破壊など地域への影響について調べ、自治体などへ報告するもので、自然を無視した開発を抑えるために義務付けられています。

人事における「人材アセスメント」は?

人材アセスメントは企業や組織で人材を適切に配置するため事前に対象となる人物の能力や適性を客観的に評価することです。外部の訓練されたアセッサー(評価者)により、グループ演習や討議、面接などさまざまな場面を通して正確な評価がなされます。「あるべき姿」に適した人物であるかを測るテストのようなものです。

人材アセスメントを行うと社内の風通しが良くなりさらに作業効率もアップするということで、昨今話題になっています。

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2.人材アセスメントが登場した背景

人材アセスメントは、米軍OSS(戦略対策部)がスパイの養成を目的として開発したプログラムがもとになっており、日本ではバブル崩壊後、社会に浸透していったといわれています。

第三者による公正な審査のため人材評価の判断材料として非常に信頼性が高く、評価を受ける社員はもちろん評価基準の不透明さに不満を感じる社員も納得してくれる可能性が高いと評判の手法です。どのようにして適正な人材を見つけ出すのでしょうか。

昇進・昇格者の厳選

実際に人事評価を行い昇進・昇格を判断するにしてもどういった人物がその役職にふさわしいかを見抜くことは非常に困難でしょう。役職に就いた際、当初想定していた働きと異なり業務が滞る、といった状態はよくあるからです。

そういったリスクを回避し真に適正である人材を見いだしてくれる手段が人材アセスメントです。

人材アセスメントはリーダーの育成にも役立つ

各セクションにリーダーを配置しても、その人の能力が役職に追いつかない場合もあります。そういった場合は、人材アセスメントを通した育成を行いましょう。

次世代のリーダー候補者を見極めるには、一度にすべての側面を見るのではなく段階的に見ていくことが有効です。まずは現段階の活躍度合いをもとに候補者を割り出しそこから人材アセスメントを活用してリーダーとしての適性を確認しましょう。

3.従来の人事評価と人材アセスメントの違い

日本で従来行われてきた人事評価は、営業成績など業務の成果を踏まえた直属の上司による主観的な評価が中心でした。そのため、好き嫌いなど人間の感情が入ってしまう傾向にあったのです。

そのほかの問題もあります。営業部門と直接数字(売り上げ)につながらない管理部門の社員とを同じ人事評価上で比べることが難しい、評価される側は評価基準がわかりにくいといった点です。

人材アセスメントを導入すれば委託された外部のアセッサーによる公正・公平で客観的な評価が行われます。評価する側の人事部や上司、そして評価される側の社員も結果を冷静に納得して受け止めることができるでしょう。

客観性を持つため全員が納得できる

人材アセスメントでは、従来の評価にはなかった「客観性」があります。企業が求める適性や能力を第三者の視点から評価するため全員が納得する結果を導き出せるのです。また自己の成長では「現状」と「あるべき姿」の差を認識することが必要です。人材アセスメントによる第三者の客観的な評価なら、理想と現実のギャップを把握しやすくなります。

従来の人事評価と人材アセスメントとの違いは「人間の感情が関与することのない公平かつ客観的なジャッジメント」でしょう。

4.人事における人材アセスメントの導入の効果

企業、組織の人事部門において、どのような場面で人材アセスメントが活用されているか、その効果を見てみます。

昇進・昇格

営業成績の良さから管理職候補となった社員がいる・・・という例から考えてみましょう。その社員は営業に関する評価はよいですが、管理職としての能力があるとは限りません。そこで人材アセスメントを活用します。

営業成績や職務経験、そして直属の上司による査定などをもとにした人事評価にくわえて、人材アセスメントを導入することで、客観的に管理職として向いているか必要な管理能力があるか判断できるのです。

人材の発掘

新規プロジェクトの発足が続くとプロジェクトマネージャー候補が不足していきます。そのようなときに人材アセスメントを導入すれば、管理職志向の低い技術職も含めた全社員のなかから適性のある社員を発掘することができるでしょう。

新卒採用

新卒採用では成功例の陰でミスマッチングも多く発生しています。たとえば、面接では好印象だったが入社すると全く違う、入社したものの自分の持っていたイメージと違うと早期退職したなどです。採用試験に人材アセスメントを導入することでミスマッチングを抑えることができます。

5.人材アセスメント導入時のポイント

Scientific experiment laboratory study research人材アセスメントを導入する際のポイントです。人材アセスメントのコツをしっかりつかみ、採用や人事異動などの効率化に役立てましょう。

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目的の明確化

まず「なぜ人材アセスメントを利用するか」、つまり目的を明確化することが大切です。

次期リーダー候補を排輩出したい、部署をまとめる役職へと昇格させたい…そのためにはどんな能力を持つ者が適性であり、部内の風通しを良くするのかを見極めたいなど、まずは役職や人材要件をイメージし求める人材像を明らかにしましょう。

受験者・非受験者に対するケア

人材アセスメントを社内の全員に行うのではなく対象者のみに行う場合選定外の人も納得ができるようなケアが重要です。

まず、受験者に点数の高低だけを伝えてはいけません。点数の高低のみでは、受験者は「できた」「できなかった」という表面上の解釈しか得られないのです。組織に貢献できる自分の能力や自らの改善点に気づかないまま終わってしまいます。

結果がどういった意味合いを持ち、受験者はどうしていくとよいのか・・・先につながる内容を考えてもらえるようなコミュニケーションを図ることが大切でしょう。アセッサーは評価に主観を入れず、将来に向かうための前向きなフォローを受験者に行うことが必須となります。

評価項目の設定

その企業ごとの「職務に適した評価項目の設定ができているか」も重要なポイントです。受験者に求める能力をラベリングしますが、そのラベルが役職に合っていないといくら人材アセスメントで評価をしても役に立たない・・・という現象が起きてしまうので注意しましょう。

下記は、受験者に求める能力の例です。

  • 積極性
  • 分析力
  • 感受性
  • 決断力

次に、さまざまなアセスメント手法の具体例を見ていきましょう。

業績評価

仕事の質や量、与えられた仕事の成果や目標の達成度をもとに人事を査定する手法です。こちらは従来の人事制度においても大きなウェイトを占めていました。多くは目標管理制度とともに運用されており、目標達成度や利益の伸び率、経費削減率などの「数字」による評価が行われます。

管理職以上の場合になると、能力評価や情意評価を用いず業績のみを見て社員を評価する会社もあります。しかし、本来数字では評価できない職務に無理やり業績評価を導入し逆に現場の混乱を招いてしまう例も多いです。そのため途中経過を評価の対象とする「プロセス評価」を導入する企業も増えてきました。

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360度評価

MOAと呼ばれる360度評価は直属の上司による判断だけではなく、受験者と密に関わりのある人物を評価者にくわえます。その名のとおり「360度」から受験者を評価するツールです。

受験者は、周囲の評価はもちろん自身のコミュニケーション能力や業務遂行力に対する自己評価を照らし合わせて認識と現状のギャップを確認できます。

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適性検査

リクルートマネジメントソリューションズ社が提供するNMAT(管理者適性検査)やJMAT(中堅社員適性検査)などの適性検査も、人材アセスメントツールの一種です。

NMATは将来的な管理者候補のマネジメント能力などを診断することに長けており、下記のようなことが可能になります。

  • 能力開発に必要なデータをフィードバック
  • 昇進後の育成プログラム
  • 役職のタイプ別に効果測定ができる(ピンポイントでの人材選抜も可能)
  • 上級管理職の昇進判断

一方、JMATは中堅社員などを対象に行われるペーパーテスト方式のアセスメントツールです。

  • 基礎能力、性格や思考といった適性を3つの職業別に評価
  • 昇進の判断や担当職務の転換時に活用が可能
  • 従来の人事では見抜くことのできなかった課題や適性を見いだす

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能力開発のためには「学習効果の測定」が効果的

「個人への能力開発」を目的とする場合、研修などで学んだ内容がしっかりと定着しているかどうかを見極める「学習効果の測定」が効果的です。

測定の結果、知識・スキルなどがきちんと身についていたとなれば、その人材は学習意欲にあふれ、多くの社員をまとめることに長けている、と判断できます。「昇進・昇格試験」や「研修後の確認テスト」という名称で行われる効果測定がこのケースに当てはまるでしょう。

学習効果の測定は意欲喚起につながる

アセスメントの結果をフィードバックすることで意欲が喚起され、前向きになる受験者は多いでしょう。受験者のスキルレベルや知識の理解度など現状を客観的なデータとして詳細に記した上でフィードバックするため受験者本人が自分の強み・弱みを自覚する良い機会になるのです。

学習効果の測定は、次の目標設定につなげてもらうことで初めて意味を持ちます。

6.人材アセスメント導入の際の課題

企業・組織が人材アセスメントを導入する際の課題とはなんでしょうか。人材アセスメントの結果で昇進・昇格を決めて終わりではありません。結果を受け止めて社員の能力をどう開発していくかまで意識する、これが課題でしょう。

得られるのは客観的な情報

人材アセスメントで得られるのは、第三者による客観的な情報です。当然ですが、その情報をもとにどういった分析をしてどのように活用するかが重要になります。あくまでも人材アセスメントは「適性を見分ける手法」だということを忘れずに。

人材アセスメントを行うこと自体がゴールとならないよう気をつけましょう。

人材アセスメントは人間性の評価ではない

人材アセスメントは、ビジネスシーンにおいてその人物はどうか客観的な評価をもたらします。しかし人間性(人柄、価値観)のすべてを評価するわけではありませんので、理解しておきましょう。

人間性も管理職としての魅力になるという点に留意しながら社内評価の結果と合わせて活用していくことが大切です。

試験ではなく「研修」ととらえる

いくつかの会社では人材アセスメントを昇進・昇格における試験と位置づけていることも多いです。そのため、受験者の「意気込んだパフォーマンス」が強く出てしまい本来の行動や本質を見抜けない場合もあります。

人材アセスメントを「試験」ではなく「研修」としたほうが受ける側も自然体で臨むことができるでしょう。

人材アセスメントを通して社員に考えさせる

人材アセスメントを活用した人事異動で管理職になることを社員の目標とさせるのではありません。社員に「管理職になって何をしたいか、企業にどう貢献していくか」を明確に考えさせることで初めて人材アセスメントの効果が出るといえます。

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