アセスメントとは?【意味を簡単に解説】医療・介護・看護では?

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「アセスメント(assessment)」とは、ものごとや対象を評価・分析し、適切な判断や対策につなげるためのプロセスです

医療や看護、介護、保育といった対人支援の現場では、利用者や患者の状態を的確に理解し、個別性に応じたケアを行う上で欠かせない手法です。

また、企業においては、人材の適性を見極める「人材アセスメント」や、リスクの洗い出しに役立つ「リスクアセスメント」など、経営判断や組織改善にも幅広く活用されています。

この記事では、アセスメントの基本的な意味から、各分野における活用方法、プロセスやポイントまでをわかりやすく解説します

この記事のポイント
アセスメントとは、人や物事を客観的に評価・分析し、最適な対応策を導く手法です。人材アセスメントでは、演習や面接、心理検査などを通じて個人の能力や適性を測定し、配置や育成に活用されます。プロセスは情報収集、分析・仮説立案、計画策定、評価・改善の4段階で構成され、継続的な実施が効果を高めます。氷山モデルを用いると、行動の背景にある価値観や信念まで把握でき、より深い理解につながります。様々な分野で有効です。

目次

1.アセスメント(assessment)とは?

アセスメントとは、人やものごとについて客観的に評価や分析をすることを意味します。英語の「assessment」に由来し、「評価」「査定」と訳されることが多い言葉です。

ビジネスの場では、従業員の能力やスキル、性格などを数値や事実にもとづいて評価し、その結果を人材配置や育成、問題解決に役立てることで、適材適所や能力開発を促進します

感覚的な印象ではなく、根拠のあるデータを使って判断するのがポイントです。

このアセスメントは、医療・福祉・教育・環境といった多様な分野でも広く用いられています。分野ごとに若干の違いはありますが、「情報を集め、客観的に評価する」という共通の考え方にもとづいています。

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2.アセスメントのプロセスをわかりやすく紹介

アセスメントの目的は、「人や状況を正確に把握し、最適な行動につなげること」です。ここでは、日常の具体的な場面を例にしながら、アセスメントの基本ステップをわかりやすく解説します。

たとえば、遊園地で一人で泣いている子どもを見かけたとします。このとき、どのように対応するのがその子にとって最善なのかを判断するには、冷静に状況を見極め、的確に考える力が求められます。

こうした判断力を支えるのがアセスメントです。このような場面をもとに、アセスメントの進め方を段階的にご紹介します。

なお、アセスメントの流れは分野や場面によって多少異なりますが、一般的には次の5つのステップに分けられます。

  1. 情報収集
  2. 情報分析
  3. 仮説立案
  4. 実行計画の策定
  5. 計画への評価

①情報収集

アセスメントの最初のステップは、「今、現場で何が起きているのか」を正しく理解するための情報を集めることです。

これは、目に見える表情や行動を観察するだけでなく、本人に声をかけて話を聞いたり、まわりの人に状況をたずねることで、いろいろな角度から情報を集めます。こうした幅広い情報をもとに、全体像を把握します。

情報収集の例

ここでは、「遊園地で子どもが一人で泣いている」という場面をもとに、どのように情報を集めればよいか、具体的な例を紹介します。

  • 本人に直接声をかけ、なぜ泣いているのか理由を聞く(対象へのヒアリング)
  • 体調やケガの有無を確認する(身体状態の確認)
  • 近くに保護者がいないか確認する(周辺環境の確認)
  • 近くにいた人に話しかけて、何があったのかを教えてもらう(第三者からの情報収集)
  • 保護者がどこにいるのか、再度子どもに尋ねてみる(情報の再確認)

②情報分析

次に、集めた情報をもとに状況を分析します。分析を行う際は、数値データや客観的な根拠をもとに考察することで、判断の精度が高まり、的確な予測や対応策を導きやすくなります。

情報分析の例

  • 子どもが一人で「お母さん」と泣いている
  • 目立った外傷はない
  • 近くにベビーカーや荷物がある
  • 「少し前まではお母さんと一緒にいた」という周囲からの証言があった

こうした情報をもとに、子どもの不安に感じている原因や今後起こりうるリスクを整理します。

③仮説立案

分析した情報をもとに、「なぜこの子は泣いているのか?」という仮説を立てます。仮説立案の際は、情報の因果関係や過去の事例も参考にしながら、複数の可能性を検討することが重要です。仮説が明確になることで、次に取るべき対応策が見えてきます。

仮説立案の例

この場面では、以下のような仮説が考えられます。

  • 母親と離れてしまい、不安で泣いている
  • 母親は近くにいるものの、何らかの理由でその場を離れてしまった
  • 外傷がなければ事故やケガによるものではない
  • 周囲の証言や状況から、母親は用事があり一時的にその場を離れた可能性がある

④実行計画の策定

立てた仮説をもとに、具体的な対応策を計画し、実行に移します。計画を立てる際は、まず達成したい目的を明確にしたうえで、実行に必要な手順やリソースを整理し、無理のないスケジュールを設計しましょう。あわせて、誰が何を担当するかを決めます。

実行計画の例

たとえば、先ほどの例では、以下のような実行計画が考えられます。

  • 母親が戻ってくるまで自分が子どもと一緒にその場で待つ
  • 子どもに安心感を与えるために自分が優しく声をかける
  • 10分以上経っても母親が現れない場合は、自分が迷子センターに連れて行き、館内放送で母親を探してもらう

実行後は進捗を確認しながら、必要に応じて柔軟に計画を見直しましょう。

⑤計画への評価

実際に計画を実行した後は、その対応が適切だったかどうかを振り返ります。取り組みの成果を振り返り、得られた気づきや反省点を次の改善につなげましょう

成果がすぐに現れるとは限らないため、継続的な取り組みと見直しが不可欠です。アセスメントは一度きりで終わるものではなく、評価と改善を繰り返すことで、より良い判断や対応につなげることができます。

評価の例

  • その場で待つことで、母親が無事に戻ってきて子どもが安心し泣き止んだ。計画は効果的だった(評価)
  • 母親が現れなかったため迷子センターに連れて行き、館内放送してもらうことで母親が見つかった(評価)
  • 子どもが一人で泣いていた状況や、その間自分が付き添っていたことを母親に伝えた(母親への情報共有)

このように計画が有効だったかを確認し、対応の精度を評価します。うまくいかなければ仮説を再構築し、臨機応変に対応する力が求められます。

さらに、対象者の反応や意見に耳を傾けることで、新たな課題や改善のヒントが見つかることもあるでしょう。

評価を記録しておくことで、次に同じような場面に遭遇したときに、よりスムーズで的確な対応が可能になります。

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3.アセスメントと氷山モデル

氷山モデルとは、目に見える行動や現象(氷山の水面上の部分)だけでなく、その下に隠れている「本人の特性」や「環境要因」(水面下の大部分)に着目し、全体像を把握しようとする視点です。

アセスメントの場面でよく用いられるフレームワークであり、次の4つの階層から成り立っています。

  • できごと:実際に起きたこと。表面化しやすく、注目されやすい
  • 行動パターン:繰り返し見られる習慣や反応の傾向
  • 構造:行動パターンに影響を及ぼす制度や環境などの要因
  • 意識、無意識の前提:前提となる信念や価値観、無意識の認知

氷山モデルの例

人の行動や反応を見るときは、目に見える出来事だけでなく、その裏にある考え方や無意識の影響もあわせて考えることが大切です。たとえば「クレーム」を例に、氷山モデルの視点で見てみましょう。

  • できごと:お客様からのクレームが相次いでいる
  • 行動パターン:製品の品質にばらつきがあり、サービス対応で同じようなミスが繰り返されている
  • 構造:社内の情報共有がうまくいっておらず、部門同士の連携も不十分
  • 前提・価値観:「品質の問題は生産現場だけの責任だ」という思い込みがある

このように、一見するとクレームという問題は表面的なものに見えますが、その背景には日々の行動のクセや組織の仕組み、さらには価値観や固定観念など、深い部分が影響していることがあります。

氷山モデルを使って段階的に掘り下げていくことで、見落としがちな根本原因に気づきやすくなるのです。

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4.企業にアセスメントが重要な理由

企業でアセスメントが注目されているのは、組織の現状や従業員一人ひとりの特性を客観的に把握し、経営や人事の意思決定をより的確に行うためです。アセスメントを導入することで、主観や経験則だけに頼らず、データにもとづいた公正な評価が可能となります。

ここでは、なぜ企業にとってアセスメントが重要なのか、その主な理由を5つ紹介します。

  1. 採用後のミスマッチ防止
  2. 人材の最適配置
  3. 意思決定の質向上
  4. 管理職候補の選定
  5. リスクマネジメントの強化

採用後のミスマッチ防止

アセスメントは、採用時に求職者とのミスマッチを防ぐための有効な手段です。履歴書や面接だけではわからない部分を、適性検査や実技評価などを通じて確認することで、応募者の本当の能力や考え方を把握します。

その結果、入社後に「思っていた仕事と違った」といったズレが減り、早期離職のリスクを防止できるでしょう。

また、自社の文化や期待する働き方と合致する人材を見つけやすくなり、定着率の向上にもつながります。採用時のミスマッチを減らすことで、結果的に採用コストや手間も抑えられます。

人材の最適配置

従業員それぞれの強みや適性を把握し、適材適所の人材配置を実現するうえでもアセスメントは有効です。スキルや能力を客観的なデータにもとづいて評価することで、各部署やプロジェクトに最適な人を選ぶことができます。

その結果、従業員自身の力を発揮しやすくなり、パフォーマンス向上やモチベーション維持につながるでしょう。

また、人手が不足している部署への応援や、新しく立ち上げるチームへの配置検討の際にも、アセスメントの情報が大いに役立ちます。

意思決定の質向上

アセスメントは企業の意思決定プロセスを支えるデータの一部です。市場や顧客、競合といった外部環境だけでなく、自社内の人材や体制に関する事実をまとめて分析することで、意思決定の信頼性や精度が高まるでしょう

たとえば、「誰にどんな業務を任せるか」「どの部署に注力すべきか」「どの役割が不足しているか」を数字や根拠にもとづいて判断できるようになり、戦略にも一貫性が生まれます。

管理職候補の選定

管理職やリーダーに求められる資質や能力は多岐にわたります。アセスメントを活用すれば、リーダーシップや判断力、対人スキルなどを多角的に評価できるため、管理職にふさわしい人材を客観的に選出できるでしょう

また、候補者の強み弱みが可視化されることで、育成計画も立てやすくなり、将来的にチームを牽引できる人材を確実に育てる土台ができます。

リスクマネジメントの強化

アセスメントは、企業が抱える潜在的なリスクや課題を早期に発見し、適切な対策を講じるためにも不可欠です。

たとえば、組織内の人間関係や業務の偏り、スキル不足などを客観的に把握することで、問題が深刻化する前に対応策を立てることが可能です。リスクマネジメントの観点からも、アセスメントの定期的な実施は企業の安定経営に直結します

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5.人材アセスメントとは?

人事分野で活用されているのが「人材アセスメント」です。従業員や求職者の能力、スキル、性格、行動特性などを多面的かつ客観的に評価し、その結果をもとに採用や配置、育成、昇進などの人事施策に活用します。

ここでは、その目的や特長、さらに企業向けの人材アセスメントツールについて詳しく解説します。

  1. 人材アセスメントの目的
  2. 人材アセスメントの特長やメリット
  3. 人材アセスメントと従来の人事評価との違い
  4. 企業向けの人材アセスメント手法

①人材アセスメントの目的

人材アセスメントの主な目的は、組織の目標達成に最適な人材を見極め、適材適所の配置や人材育成の効率化を図ることです。これにより、採用の質を高めたり、個々の強みや課題を把握して人材戦略に反映させたりすることが可能になります。

②人材アセスメントの特長やメリット

人材アセスメントは、主に「アセッサー」と呼ばれる外部の専門家が実施します。第三者の視点による評価により、主観的な偏りを排除し、信頼性の高いデータを得られるのが特長です。このアセスメントには主に2つのメリットがあります。

(1)昇進・昇格の意思決定をより的確に行える

人材アセスメントを活用するメリットの一つは、昇進や昇格の判断がより根拠をもって行えることです。従来の「成果が出ているから」「上司の推薦だから」といった主観的な評価に頼るのではなく、第三者による客観的なデータや多面的な視点から、候補者の能力や適性、行動特性を評価できます。

また、評価の透明性が高まることで、従業員の納得感やモチベーションの向上にもつながります。

(2)管理職やリーダーの育成に活用できる

人材アセスメントは、次世代のリーダー育成にも役立つ手法です。多くの社員に実施することで、それぞれの適性や能力の特徴が明らかになり、誰が管理職やリーダーに向いているかを客観的に見極めることができます

こうした分析結果は、個々の成長に合わせた育成プランや研修プログラムの設計にも活用できます。

③人材アセスメントと従来の人事評価との違い

従来の人事評価は、上司や同僚の主観や日常業務の実績にもとづく評価が中心でした。そのため、評価者のバイアスや属人的な判断が入りやすく、評価の公平性や納得感に課題がありました。

人材アセスメントは、事前に設定した評価基準やツールを用い、第三者が客観的に評価する点が大きな違いです。そのため、評価の透明性と納得感が高まり、被評価者の前向きな行動変容やモチベーション向上にもつながります。

④企業向けの人材アセスメント手法

ここでは、企業でよく使われる人材アセスメントツールを6つ紹介します。

  • 適性検査
  • インタビューや面接
  • 360度評価
  • エニアグラム(性格診断)
  • アセスメント研修
  • アセスメントツール

これらの手法はそれぞれ異なる特徴を持っており、目的に応じて複数を組み合わせて活用することで、より多角的かつ客観的に人材を把握することができます。

(1)適性検査

適性検査は、応募者や従業員の「能力」と「性格」の傾向を客観的に測るためのテストです。言語理解力・論理的思考力・計算力といった能力面や、協調性・ストレスへの強さといった性格面を数値で可視化できます。

代表的な検査には、SPI3(総合適性検査)、GAB(総合診断テスト)、NMAT(管理者適性検査)、JMAT(中堅社員適性検査)などがあります。費用が比較的抑えられ、大人数でもスムーズに実施できる点もメリットです。

ただし、適性検査の結果だけに頼るのではなく、面接や実務での様子と組み合わせて活用することが望ましいでしょう。

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(2)インタビューや面接

標準的な方法として、面接やインタビューも重要なアセスメント手段です。特別なツールを用意する必要がなく、比較的すぐに実施できる点が利点です。

対話形式でのやり取りにより、応募者の思考プロセスや価値観、経験に裏付けられた判断力を把握できます。

一方で、評価者の主観が入りやすい点は注意が必要です。また、受ける側も少なからず「良く見せたい」という意識が働くため、自然体での振る舞いや本来の性格が表れにくい可能性もあります。そのため、他のアセスメントと併用するのがおすすめです。

(3)360度評価

360度評価は、上司・同僚・部下など複数の立場から従業員の業務遂行や行動特性を多面的に評価する方法です。自己評価と他者評価のギャップを明確にできるため、個人の成長や組織改善に役立ちます。

特にリーダーや管理職の育成、現場の課題発見などに効果的で、近年は人材育成の現場でも広く導入されています。

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(4)エニアグラム(性格診断)

エニアグラムは、個人の性格を9つのタイプに分類し、その特徴や傾向を明らかにする診断手法です

<各タイプの特徴>

タイプ1:改革する人
タイプ2:人を助ける人
タイプ3:達成する人
タイプ4:個性的な人
タイプ5:調べる人
タイプ6:忠実な人
タイプ7:熱中する人
タイプ8:挑戦する人
タイプ9:平和をもたらす人

参照:日本エニアグラム学会「各タイプの特徴

この診断を通じて個々の行動パターンや人間関係の傾向を把握できるため、チーム編成やリーダー育成、職場のコミュニケーション改善などにも活用できます。

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(5)アセスメント研修

アセスメント研修は、実際の業務に近いシミュレーションやグループワークを通じて、参加者の能力や資質を評価する研修型のアセスメントです。

ディスカッション、プレゼンなどを通して受講者の行動や判断を観察し、評価者が観察・評価してフィードバックを行います。

外部の専門講師が評価を担当することも多く、専門的な視点からのフィードバックにより、従業員一人ひとりの強みや特性をより正確に見極めることが可能です。特に、管理職やリーダー候補の選定・育成に適しているでしょう。

(6)アセスメントツール(システム)

現在では、オンラインで受けられる検査や診断の種類が増えており、クラウドやAIを活用した先進的なアセスメントツールも登場しています。

適性検査や360度評価に加えて、従業員の情報管理機能などが一体化されているツールもあり、能力・性格・行動傾向といったデータを一元的に把握できるのが特長です。

情報の整理や分析がしやすく、採用だけでなく、従業員の配置や育成にも幅広く活用できます。また、自社の方針に合わせて評価基準を柔軟に設定できるため、人材戦略を強化したい企業にとって非常に有効な手段といえるでしょう。

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6.人材アセスメントを実施する際のポイント

人材アセスメントの効果を高めるには、次の3つのポイントを意識するとよいでしょう

  1. 目的を明確にして受験者に伝える
  2. アセスメント結果をフィードバックする
  3. 継続的な学習と効果検証を行う

①目的を明確にして受験者に伝える

人材アセスメントを効果的に行うには、まず「何のために実施するのか」という目的を明確にし、それを受験者にきちんと伝えることが大切です

たとえば「昇進候補の選定」「適材適所の人員配置」「育成方針の策定」など、具体的な活用目的をあらかじめ共有しておくと、受ける側も納得しやすく、前向きな姿勢で取り組んでもらえます。

また、実施前にアセスメントの内容や結果の使い方を丁寧に説明することで、受験者の理解が深まり、信頼性の高い結果が得られやすくなります。なお、特定の従業員だけが対象となる場合は、対象外の人への説明や配慮も忘れずに行いましょう。

②アセスメント結果をフィードバックする

アセスメントをただ実施するだけではなく、受験者に結果を丁寧に伝えることが不可欠です

フィードバックの際は、単に点数や評価を伝えるだけでなく、成長に向けた具体的なアドバイスや、今後の業務やキャリア形成にどう活かせるかを一緒に考える姿勢が求められます。

また、評価者の主観に偏らず、データにもとづいて結果を伝えること、前向きなサポートを意識することも重要です。こうしたやり取りを通じて、受験者は自分自身をより深く理解できるようになり、今後の成長への意欲も高まっていきます。

③継続的な学習と効果検証を行う

人材アセスメントは、一度行えば終わりというものではありません。アセスメントの結果をもとに、適切な人材配置や育成施策を行ったうえで、その取り組みが効果的だったかを定期的に見直すことが重要です。

特に、従業員のスキルアップや成長を目的とする場合には、結果にもとづいて研修やトレーニングを実施する企業が多いです。

こうした取り組みの後には、昇進・昇格試験などを通じて、スキルや意識がどれだけ向上したかを確認することで、成果を具体的に把握できます。

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7.医療・看護におけるアセスメントとは?

医療や看護の現場で使われる「アセスメント」とは、患者の健康状態や症状を多角的に評価・分析することです。現在も研究が進められている領域であり、さまざまな理論や枠組みが存在します。ここでは代表的な考え方をわかりやすく紹介します。

①目的

医療・看護分野でのアセスメントの主な目的は、患者の健康状態や症状を正確に把握し、個々に最適な看護計画を立案することです。アセスメントを通じて、患者が抱える問題や課題、優先順位を明確にし、必要なケアや介入方針を検討します

主観的な訴え(痛みや不安など)と客観的なデータ(バイタルサインや検査値など)の両方を総合的に評価することで、患者の全体像を的確に捉えられます。

②プロセスや手法

医療・看護におけるアセスメントは、下記の一連のプロセスで行われます。

「情報収集・分析」

「問題点の抽出」

「ケア計画の立案」

「実施」

「評価」

主な手法として以下が挙げられます。

  • SOAP
  • ゴードンの11の健康機能パターン
  • ヘンダーソンの14の基本的欲求

(1)SOAP

SOAPは、看護記録を整理・記載する際に用いられる手法の一つで、情報を体系的に分析するための枠組みとしても活用されています。以下の4つの項目に沿って記録することで、患者の状態を的確に把握し、適切な看護や治療の方針を立てることができます

  • S(Subject=主観的情報):患者本人の訴えや感覚など、主観的に得られた情報
  • O(Object=客観的情報):バイタルサインや検査結果など、客観的に観察・測定された情報
  • A(Assessment=評価):S・Oの内容をもとに、専門的な視点で状況を分析・判断した内容
  • P(Plan=計画):Aでの評価に基づき、今後の看護や治療方針を立案

看護アセスメントは、「S・O・A・P」のうち「A=評価」にあたる部分を担います。この評価を的確に行うためには、S(主観的情報)やO(客観的情報)の段階で、必要な情報をしっかりと集めておくことが欠かせません。

(2)ゴードンの11の健康機能パターン

ゴードンの11の健康機能パターンは、患者の生活を11の観点から幅広く見ていくアセスメントの方法です。以下の11の視点で、心と体のさまざまな側面を観察します。

多角的に情報を集めることで、患者の状態をバランスよく理解でき、見落としのない看護診断や、的確なケアプランの作成につなげることができます。

①健康知覚-健康管理
②栄養-代謝
③排泄
④活動-運動
⑤睡眠-休息
⑥認知-知覚
⑦自己知覚-自己概念
⑧役割-関係
⑨性・生殖
⑩コーピング-ストレス耐性
⑪価値-信念

出典:M.Gordon 著、松木光子・草刈淳子ほか訳「看護診断-その過程と実践への応用 原著第3版

(3)ヘンダーソンの14の基本的欲求

ヘンダーソンの14の基本的欲求は、人間が持つ基本的な欲求をもとに、患者の状態を包括的に評価する枠組みです。

患者の自立度やケアの必要性を明確にできるのが特徴です。①から順に満たされていくことで、心と体の健康が保たれている状態だと言われています。

①正常に呼吸する
②適切に飲食する
③あらゆる排泄経路から排泄する
④身体の位置を動かし、またよい姿勢を保持する
⑤睡眠と休息を取る
⑥適切な衣類を選び、着脱する
⑦衣類の調節と環境の調整により、体温を生理的範囲内に維持する
⑧身体を清潔に保ち、身だしなみを整え、皮膚を保護する
⑨環境のさまざまな危険因子を避け、また他人を侵害しないようにする
⑩自分の感情、欲求、恐怖あるいは気分を表現して他者とコミュニケーションをもつ
⑪自分の信仰にしたがって礼拝する
⑫達成感をもたらすような仕事をする
⑬遊び、あるいはさまざまな種類のレクリエーションに参加する
⑭正常”な発達および健康を導くような学習をし、発見をし、あるいは好奇心を満足させる

出典:ヴァージニア・ヘンダーソン著、湯槇ます、小玉香津子訳「看護の基本となるもの 再新装版

③医療・看護におけるアセスメントのポイント

医療や看護の現場では、アセスメントが異常の早期発見において非常に重要な役割を果たします。

そのためには、正確な情報を丁寧に集めることが不可欠です。ただし、異常ばかりに注目するのではなく、「その患者さんにとっての普段の状態(=正常)」を理解しておくことが大切です。

患者さんごとに基準は異なるため、バイタルサインや食事量、顔色、表情、会話の様子など、日頃の様子を把握しておくことが必要です。

血圧や体温といった数値だけで判断するのではなく、さまざまな観点から変化を捉える観察力が求められます。その人にとって「いつも通りか、そうでないか」を意識しながら、丁寧に観察し対応することがポイントです。

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8.介護や福祉におけるアセスメントとは?

介護や福祉の現場で使われるアセスメントとは、利用者の状態や要望などを幅広く把握し、その人に合った介護サービスやケアプランを立てるための評価・分析のことです。

ケアマネジャーを中心に、家族や他の専門職と連携しながら行われるのが一般的で、アセスメントシートとして書面化します。

ただし、アセスメントを実施するだけでは十分とはいえません。質の高いケアの実現には、作成したケアプランの目的や背景を職員全体で正しく理解し、現場で共通認識を持つことが大切です。

①目的

介護や福祉におけるアセスメントの最大の目的は、利用者が自分らしく生活できるように、個別性に配慮したケアプランを作成することです。

利用者の心身の状態や生活環境、家族の意向、本人の価値観や希望を総合的に把握し、必要な支援内容や優先順位を明確にします。

これにより、画一的なサービス提供ではなく、その人に合った質の高い介護・福祉サービスの実現が可能となります。

②プロセスや手法

アセスメントのプロセスは、下記の流れで繰り返し行います。

「情報収集」

「課題の整理・分析」

「アセスメントシート(ケアプラン)の作成」

「実施」

「振り返り・評価」

アセスメントシートにはさまざまな書式がありますが、厚生労働省が定めた「課題分析標準項目」の23項目をきちんとカバーしていれば、施設ごとに独自の様式を作成して運用しても問題ありません。

(1)厚生労働省の課題分析標準項目(23項目)

厚生労働省が定める「課題分析標準項目」は、令和5年に一部見直しが行われました。この項目は、ケアプラン作成時に必要な情報を整理するための基準で、全部で23項目あります。

そのうち、基本情報に関する9項目と、生活課題の分析に関する14項目に分かれています。

ここでいう「課題分析」とは、利用者の日常生活能力や現在受けているサービス、家族など介護者の状況などを把握し、生活の質(QOL)を維持・向上させるために、どのような支援が必要かを特定することです。

<基本情報に関する項目>

①基本情報(受付、利用者等基本情報)
②これまでの生活と現在の状況
③利用者の社会保障制度の利用情報
④現在利用している支援や社会資源の状況
⑤日常生活自立度(障害)
⑥日常生活自立度(認知症)
⑦主訴・意向(利用者や家族の主訴や意向)
⑧認定情報(利用者の要介護状態区分など認定結果の情報)
⑨今回のアセスメントの理由

<課題分析(アセスメント)に関する項目>

⑩健康状態
⑪ADL(日常生活動作)に関する項目
⑫IADL(手段的日常生活動作)に関する項目
⑬認知機能や判断能力
⑭コミュニケーションにおける理解と表出の状況
⑮生活リズム
⑯排泄の状況
⑰清潔の保持に関する状況(入浴や整容の状況、皮膚や爪の状況、寝具や衣類の状況に関する項目)
⑱口腔内の状況
⑲食事摂取の状況
⑳社会との関わり(家族等との関わり、地域との関わり、仕事との関わりに関する項目)
㉑家族等の状況(本人の日常生活あるいは意思決定に関わる家族等の状況、家族等による支援への参加状況に関する項目)
㉒居住環境(日常生活を行う環境、居住環境においてリスクになりうる状況、自宅周辺の環境やその利便性等について記載する項目)
㉓その他留意すべき事項・状況(虐待、経済的困窮、身寄りのない方、外国人の方、医療依存度が高い状況、看取り等に関する項目)

出典:厚生労働省「介護保険最新情報Vol.1178

③介護や福祉におけるアセスメントのポイント

質の高いアセスメントを実施するためには、利用者に寄り添って、本人の自己決定権や尊厳を尊重することが大切です。利用者や家族と「共に考える」姿勢で、困りごとや希望を丁寧に聴き取りましょう。

また、多職種と連携し、専門的な視点を取り入れることで、より的確な課題把握が可能になります。アセスメントは一度で終わらず、ケアプランを実施した後も随時モニタリングし、利用者状況に応じて計画を修正していくことが大切です。

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9.保育におけるアセスメントとは?

保育の現場におけるアセスメントとは、子ども一人ひとりの発達や日常の行動を継続的に見守り、その情報をもとに保育士が保育内容を振り返り、より良い支援や環境づくりにつなげるための取り組みです。

「発達アセスメント」とも呼ばれ、子どもの言動や表情、他児との関わりなどを観察しながら、個々の背景や気持ちを理解しようとする姿勢が求められます

①目的

保育アセスメントの目的は、子どもの発達状況や個別の課題を把握し、その子に合った適切な支援につなげることです。

特に「指導計画」や3歳未満児向けの「個別支援計画」を作成する際に活用され、保育者と保護者が発達の様子を共有しながら、支援の方向性をそろえる役割も果たします。

アセスメントでは、認知・運動・感情などの面から多角的に観察・評価を行い、得られた情報を記録として残していきます。こうしたデータは、子ども一人ひとりの成長に合わせた支援を考えるうえで重要です。

また、保護者や職員との連携を深め、子どもの健やかな成長を共に支えるための大切な取り組みでもあります。

②プロセスや手法

保育におけるアセスメントは主に以下の手順で進めます。

  1. 観察:子どもの表情や行動、発言などを日常の中で丁寧に観察する
  2. 記録:アセスメントシート(個人記録やエピソード記録)に記録する
  3. 振り返り:同僚や保護者と情報を共有しながら、その子への理解を深める
  4. 指導計画への反映:得た気づきをもとに、個別やクラス単位で保育計画を立て、実践し、再び観察へと戻る

アセスメントシートには、必要な情報を項目ごとに記入していきます。書式や項目の内容は、自治体や施設によって異なりますが、代表的な記入内容としては、以下のような情報が挙げられます。

  • 基本情報
  • 幼稚園や保育園などの在園記録
  • 発達記録(母子手帳に記録された健康診断の結果や、首のすわりといった発育の経過)
  • 心理検査履歴
  • 保育所や幼稚園での個別計画
  • 就学時の引き継ぎ内容

③保育におけるアセスメントのポイント

保育でアセスメントを行う際のポイントは、子どもの表面的な行動だけでなく、家庭環境や情緒面の変化に目を向けることです。

また、気になる点や小さな変化も漏れなく記録し、複数の視点から支援方針を考えることで、見落としのない支援につなげられます。子どもは日々成長するため、定期的に記録を見直し、支援内容を調整していくことも大切です。

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10.環境アセスメントとは?

環境アセスメントとは、新しく始める事業や開発が、自然や地域の暮らしにどんな影響を与えるかを、事前に調べて対策を考える仕組みです。こうした手続きを通して、環境への影響をできるだけ抑える工夫を事前に取り入れることが求められます。

①目的

環境アセスメントの最大の目的は、開発事業が環境に及ぼす悪影響を未然に防ぎ、環境保全に配慮された事業計画を実現することです。これにより、気候変動や生態系の破壊、大気・水質汚染などのリスクを抑え、持続可能な社会の実現に貢献します。

日本では「環境影響評価法(通称アセス法)」によって、大規模な道路工事やダム、発電所の建設などでは、あらかじめ調査を行い、地域住民の意見を聞くことが義務づけられています。

②プロセスや手法

環境アセスメントのプロセスは、主に以下の流れで進めます。

  1. 配慮書の手続き
  2. 方法書の手続き
  3. 環境アセスメントの実施
  4. 準備書の手続き
  5. 評価書の手続き
  6. 報告書の手続き

地域事情に詳しい住民や自治体の声を反映させつつ、事業者自らが環境への影響を調査・予測・検討することになっています。

参照:環境影響評価情報支援ネットワーク「環境アセスメント制度 環境アセスメント制度のあらまし(パンフレット)

出典:国土交通省 中部地方整備局「環境アセスメント法の目的など

③環境アセスメントのポイント

環境アセスメントの実施にあたっては、客観的かつ科学的な調査・評価を行うことが重要です。また、事業を進める初期の段階から環境への影響を考慮することで、あとから修正が必要になったり、地域とのトラブルが起きたりするリスクを減らせます。

さらに、調査結果や評価内容を公開し、住民や市民の意見をしっかり取り入れることで、事業に対する理解と信頼も得やすくなるでしょう。こうした姿勢が、開発と自然環境の両立、そして持続可能な地域づくりにつながっていきます。

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11.リスクアセスメントとは?

リスクアセスメントは、職場や作業環境における危険要因を把握し、そのリスクの程度を分析・評価する一連のプロセスです。

特に建設業や製造業など、高リスクな業界では日常的に取り入れられており、ISO 45001やISO 31000といった国際的な安全衛生マネジメント規格にもその重要性が明記されています。

近年では、職場の安全確保にとどまらず、企業の信頼性向上やコンプライアンス強化の手段としても注目されています。

①目的

リスクアセスメントの目的は、労働者の安全と健康を守るために、潜在的な危険や有害要因を事前に特定し、必要な対策を講じて事故や健康障害を未然に防ぐことです。

もし、リスクを放置したままにすると、労働災害や設備トラブルの発生だけでなく、業務の停止や社会的信用の失墜といった深刻な問題に発展する恐れもあります。

そのため、リスクアセスメントは、職場の安全管理だけでなく、企業の持続可能な運営にも不可欠な取り組みといえます。

②プロセスや手法

リスクアセスメントは以下の手順で進めます。

①危険性や有害性の特定:職場や作業に潜むあらゆるリスクを洗い出す
②リスクの見積もり:リスクの重大性(事故や健康障害の深刻度)と発生可能性、発生頻度などを点数化し、リスクの大きさを数値で評価する
③リスク低減対策の検討・実施:優先順位に応じて、リスク低減のための対策(本質安全化、保護装置の導入、作業手順の改善など)を検討し、実行する
④実施状況の記録・見直し:実施した対策やリスク評価の結果を記録し、継続的に見直しを行いながら改善を図る

出典:厚生労働省「リスクアセスメントの導入・実施手順

③リスクアセスメントのポイント

リスクアセスメントを効果的に行うためには、現場の全員がリスクの把握と対策に主体的に関わることが重要です。

事業者だけでなく、労働者も積極的に参加することで、潜在的なリスクの見落としを防ぎ、職場全体の安全意識向上につながります。

また、リスクの評価は主観に頼らず、客観的な基準や数値化を用いて行うことが求められます。

さらに、リスク低減策の実施後も継続的な見直しを行い、状況の変化や新たなリスクにも柔軟に対応することで、事故や災害の未然防止につながるでしょう。

12.ライフサイクルアセスメント(LCA)とは?

ライフサイクルアセスメント(LCA)とは、製品やサービスが環境にどのような影響を与えるかを、「原材料の調達」「製造」「流通」「使用」「廃棄・リサイクル」までのすべての段階で定量的に評価する方法です。

これまでの環境評価は、製造や廃棄など特定の工程だけを見ていましたが、LCAはその一連の流れ全体を対象とする点が大きな特長です。

国際的なルールである「ISO 14040」にも準拠しており、環境負荷の削減や製品の比較、環境に配慮した設計、企業のサステナビリティへの取り組みのPRなど、さまざまな場面で活用されています。

①目的

ライフサイクルアセスメントの目的は、製品・サービスの環境に与える影響を総合的かつ定量的に把握し、改善ポイントを明確化することです。

これにより、企業は自社製品やサービスの環境影響を客観的に把握し、CO2排出量削減や資源利用の最適化など、より環境に配慮した事業活動を推進できます。

また、消費者や社会に対して公平な情報提供を行い、持続可能な社会の実現に貢献することも重要な目的です。

②プロセスや手法

ライフサイクルアセスメントは、ISO(国際標準化機構)によってプロセス規定されており、次の4つの工程で構成されています。

  1. 目的と範囲の設定:評価の目的や対象範囲、分析の粒度などを明確にする
  2. インベントリ分析:資源やエネルギーの投入量、排出量など、ライフサイクル全体のデータを収集する
  3. 影響評価:収集したデータをもとに、CO2排出量や水質汚濁、資源消費などの環境影響を定量的に評価する
  4. 解釈:評価結果を分析し、環境負荷の大きい工程や改善余地のあるポイントを特定し、具体的な改善策を提案する

この一連の流れにより、製品やサービスごとの環境負荷の比較や、サプライチェーン全体の最適化が可能となります。

③ライフサイクルアセスメント(LCA)のポイント

ライフサイクルアセスメントは、新商品の開発だけでなく、既存製品の製造プロセスを再評価し、環境負荷のさらなる低減につなげることがポイントです。

継続的に実施することで改善点が明確になり、持続可能な取り組みにつながるでしょう。得られた結果を社内外と共有することで、SDGsや環境配慮への姿勢を示し、企業の信頼性向上にもつながるため、今後ますます重要性が高まっています。

13.まとめ

アセスメントは、ビジネス、人事、医療、福祉、教育、環境など幅広い分野で活用される評価・分析の手法です。特にビジネス分野では「人材アセスメント」の重要性が高まっています

企業が持続的に成長するためには、従業員一人ひとりの能力や適性を的確に把握し、最適な人材配置や育成に活かすことが不可欠です。

近年はデジタル技術の進展により、従来よりも精度の高い評価が可能となり、アセスメントの実用性も飛躍的に向上しています。

タレントマネジメントシステム「カオナビ」は、人材アセスメントに有効なツールです。スキル・経歴・パフォーマンスなどの情報を一元管理し、可視化することで、客観的なデータにもとづいた人事戦略の立案が可能になります。

アセスメントをうまく取り入れながら、個人だけでなく組織や社会全体の成長につなげていきましょう。

 


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アセスメントのQ&A

アセスメントとは、ある物事が周りの人やもの、環境に及ぼす影響について、事前に調査し、評価することを指します。たとえば人材アセスメントという場合、人材の性質・能力にあわせた人員配置を行うために、事前に人材を客観的に評価することをいいます。 介護、福祉、保育などの現場でも用いられる言葉で、その領域により厳密な意味は異なります。
人材アセスメントには、社内の人事評価にはない「客観性」が担保されます。 人材アセスメントを導入する場合、委託された外部のアセッサーによる公正・公平で客観的な評価が行われます。人事評価の評価者である上司も、第三者の視点から評価されることになります。
人材アセスメントが活用されるのは主に①人材の発掘、②採用、③管理職への昇格、といった場面です。 ①人材の発掘:たとえばマネージャー候補を発掘したいときに、管理職志向の低い技術職も含めた全社員のなかから、適性のある社員を発掘することができます。 ②採用:人材アセスメントを導入することでミスマッチングを抑えることができます。 ③管理職への昇格:人事評価にくわえて人材アセスメントも導入することで、客観的に管理能力を判断できます。