キャリアデザインとは? 重要性や考え方を解説! 企業はどう支援する?

自分のキャリアを自ら主体的に設計する「キャリアデザイン」は、今の時代を生きるビジネスパーソンにとって非常に重要です。

社員のキャリアデザインを支援する企業も増えてきており、社員自身が今のポジションでやるべきことや企業内でのキャリアパスを明確にすることで、離職防止やエンゲージメント向上に役立てている例があります。

この記事では、キャリアデザインの意味や目的、設計方法について解説しています。

後半では、企業の人事担当者がどのようにキャリアデザインを支援していくのか、事例も交えて説明しているので、参考にしてみてくださいね。

1.キャリアデザインとは? 意味や定義

「キャリアデザイン」とは、将来のなりたい姿やありたい自分を実現するために、自分の職業人生を主体的に設計し、実現していくことです。

キャリアデザインが注目される背景には、バブル崩壊後に終身雇用や年功序列などの日本的雇用慣行が終焉なくなりつつあり、成果主義や中途人材の登用が一般的になってきたことがあります。キャリア形成やライフスタイルを会社に委ねるのではなく、自分で実現する「自律型人材」が求められているのです。

実際にキャリアデザインを設計する際は、

  • 知識・スキル
  • 行動特性
  • 仕事に対する価値観
  • 周囲に期待されていること
  • 目標やありたい姿

などを洗い出し、自己理解を深めた上で、目標やありたい姿になるためにどのようなキャリアを築くべきなのかというプロセスやアクションを明確にしていきます。

ただ単に職歴を決めるのではなく、価値観やライフスタイルまで含め、自分らしく働くためにどのような職業を選択するのかを決めるのが「キャリアデザイン」なのです。

キャリア形成・キャリアプラン・キャリアパスなどとどう違う?

キャリアについて調べていると、キャリア〇〇という言葉が多く、意味や定義がわからなくなりますよね。

図でまとめると、このような形です。

キャリアデザイン関連用語の定義
  • キャリア形成…仕事を通じて職業能力を習得する活動
  • キャリアプラン…キャリア形成のための具体的な行動計画
  • キャリアパス…一つの企業の中で目標とするポジションや職歴に就くため必要なステップ

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2.キャリアデザインの必要性と目的

キャリアデザインが必要な理由とは? 注目されてきた背景

キャリアデザインが現代社会で注目されてきた背景には、社会情勢の大きな変化によって、企業の雇用や個人のキャリア観が大きく変わったことがあります。

社会、企業、個人の観点でキャリアデザインが注目された背景を見てみましょう。

①社会の変化

  • バブル崩壊やグローバル化によって経済構造が急激に変化した
  • 将来の保証が難しいVUCA(不安定・不確実・複雑・曖昧)時代となった
  • 人生100年時代となり、国・組織・個人がライフコースの見直しを迫られるようになった

②企業の変化

  • 終身雇用や年功序列などの日本的雇用慣行が崩壊し、成果主義となった
  • 即戦力となる中途人材の採用が当たり前となり、人材の流動性が高まった
  • 生産性の向上という視点から従業員のモチベーションやエンゲージメントが重要視されるようになった

③個人の変化

  • 自ら考え主体的に行動する「自律型人材」が求められるようになった
  • 働き方や労働への価値観が多様化した
  • 転職が当たり前となり、自己実現のために「なぜ働くのか」「どう働くのか」が見直されている

このような激しい社会的変化の中で、人生の中での働き方や生き方そのものが問い直されています。キャリア形成を企業に依存せず、自分の「ありたい姿」を実現するために、自ら主体的にキャリアを設計するキャリアデザインが必要なのです。

また、人材の流動性が高まっている時代だからこそ、企業は社員が自分らしい働き方を考えるサポートをする必要があります。社員一人一人が今の仕事に対する意味を見出し、充実感や満足感を持って仕事をすることで、離職防止やエンゲージメント向上につながります。

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キャリアデザインの目的とは?

キャリアデザインの目的は、主に2つです。

①自分らしい働き方の「軸」を見つけ、自己実現する

キャリアデザインでは、ただ会社という枠組みでどうキャリアアップしていくかだけではなく、自己理解を深め、自分のありたい姿や自分らしい働き方からキャリアを考え、自己実現について考えていきます。

キャリアは完全にコントロールできるものではなく、異動や転勤を命じられるなど、変化を強いられる場面もあります。

そのようなとき、自分のありたい姿や自分らしい働き方という「軸」があれば、偶発的なキャリアもチャンスととらえ、自己実現という本来の目的のために前向きに仕事に取り組むことができます。

②行動を明確化する

自分が将来目指す「ありたい姿」「なりたい自分」がはっきりすると、そこから逆算して、

  • 将来の「ありたい姿」になるためにどのようなステップを踏むべきなのか
  • 今のポジションではどのような目標を達成し、自己研鑽(けんさん)するべきなのか

このようなアクションが明確になります。

今の自分のアクションが自己実現につながっていると思えるので、モチベーション高く仕事に取り組むことができます。

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3.キャリアデザインの考え方・設計方法【6ステップ】

実際にキャリアデザインの設計方法について説明します。

キャリアを構成する要素とは?

まず押さえておきたいのが、キャリアの構成要素です。

キャリアは、次の3つに分解して考えることができます。

  1. 知識・技能:業務を遂行するための能力的資源・資産
  2. 行動特性・思考特性:物事の行い方の傾向性、物事の考え方のクセ
  3. マインド・価値観:仕事・キャリアに対する意識・価値観・動機

キャリアデザインは、この3つの要素を多角的な視点で洗い出しながら、将来の目標やキャリアステップを明確にしていきます。

キャリアデザインの設計方法6ステップ

キャリアデザインは、次の6つのステップで考えていきます。

  1. STEP1:過去を振り返る
  2. STEP2:信頼性の高い心理テストや適性検査を行う
  3. STEP3:周囲からフィードバックをもらう
  4. STEP4:将来の目標やありたい姿、なりたい自分を書き出す
  5. STEP5:キャリアステップを考える
  6. STEP6:今自分がやるべきことを決める

それぞれのステップについて詳しく説明していきます。

STEP1:過去を振り返る

まずは、自分の過去のキャリアを振り返りながら、次の点について書き出していきます。

  • 行った業務
  • 知識・資格・技能
  • ビジネススキル
  • 困難に対する行動
  • やりがいに思ったこと
  • 嫌だったこと

これらを書き出すことで、次のことが明らかになります。

  1. 知識・技能⇒どういった知識や技能、ビジネススキルがあるのか
  2. 行動特性・思考特性⇒困難に対してどのような行動をとる傾向があるのか
  3. マインド・価値観⇒どのようなことを大事にしていて、どのようなことが嫌いなのか

次の表を参考にしてみてください。

※クリックで拡大

STEP2:信頼性の高い心理テストや適性検査を行う

次に、客観的に自分を見つめるために、信頼性や妥当性の高い心理テストや適性検査を行っていきます。

参考までに診断できるサイトのリンクを掲載しました。インターネットでの無料診断は、あくまでも目安になります。信憑性の高い本格的な診断は、有料や書籍で行うことができますよ。

①知識・技能に関する診断

KiSS-18…対人関係を円滑にする社会的スキルを、18項目による尺度で測定することができるテストです。

参考 『KiSS-18』国立青少年教育振興機構

◆ストレングスファインダー…行動特性や思考パターンから、自分の強み(才能)を導き出す診断ツールです。下記のWEBサイトか書籍からテストを受けることができます。

参考 クリフトンストレングスオンライン才能テストJA - ギャラップ
②行動特性・思考特性に関する診断

◆エニアグラム…個人の特性を9つに分類する性格診断テストです。分類された性格タイプからは「行動のエネルギー源」「獲得へのアプローチ」「問題の解法方法」の3つの傾向を知ることができます。

参考 簡易タイプ診断日本エニアグラム学会

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③マインド・価値観に関する診断

◆キャリアアンカー…キャリアを選択する際に、最も大切な価値観や欲求を8つのカテゴリーに分類する考え方です。

参考 キャリアアンカー調査票ライフデザイン研究所

STEP3:周囲からフィードバックをもらう

さらに、自分の周囲の上司や同僚からフィードバックをもらうことで、客観的に見た自分を知ることができます。

①知識・技能について

◆自分に期待されていることをヒアリングする…キャリアデザインでは、将来のありたい姿と自分を取り巻く環境とのベクトルをすり合わせる必要があります。上司や部下、取引先などから期待されていることを整理してみましょう。

※クリックで拡大

②行動特性・思考特性について

◆ジョハリの窓…ジョハリの窓とは、自分と他人の認識のズレを理解する自己分析ツールです。自分が知らずに他人が知っている「盲点の窓」を知ることで、ビジネスパーソンとしての自分の思考のクセや思わぬ長所を発見することで、自己理解を深めることができます。

【企業研修】ジョハリの窓とは? 社内の人間関係が改善する自己分析ツール
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STEP4:将来の目標やありたい姿、なりたい自分を書き出す

ここまでで自己理解がだいぶ深まったと思います。

続いて、将来の目標やありたい姿、なりたい自分を書き出していきます。

ここでポイントとなるのは、キャリアを勝ち負けや良い・悪いで考えるのではなく、「自分らしいキャリアとはなにか?」という目線で考えることです。

※クリックで拡大

まだ「やりたいことがわからない」という場合

将来の目標を明確に持てる人は多くありません。特に若手の場合、まだやりたいことがはっきりわからないということもあるでしょう。

キャリアは偶発的なもので、100%個人の計画通りにコントロールできるものではありません。近年では、キャリアの方向性だけを決めておき、偶発性をチャンスとして捉えながらキャリアを漂流していくキャリアドリフトという考え方もあります。

もちろん目標と計画は必要ですが、大事なのは「ありたい姿(=軸)」を明確にしておき、偶発的なキャリアを発展のチャンスととらえることなのです。

STEP5:キャリアステップを考える

STEP4で目標やありたい姿が明確になったら、次に今の自分の地点から目標へたどり着くまでのキャリアステップを考えていきます。

何歳でどんな仕事に就くか、そこで目標や必要なスキルなどを書き出しましょう。

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STEP6:今自分がやるべきことを決める

最後に、今自分がやるべきことを明確にしていきます。

今の自分の仕事が将来のありたい姿につながっていると、自分で意味付けを行うことで、モチベーション高く仕事に取り組めるというメリットもあります。

次の項目を参考にして、「将来のキャリアにつなげるには?」という視点を持って書き出してみてください。

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4.企業がキャリアデザイン支援のためにできること

労働市場における人材の流動性が高まっているこの時代において、若手社員の定着や優秀人材の流出防止は企業人事にとって重要課題の一つです。そんな中、企業のキャリアデザイン支援の取り組みも広がってきています。

ここでは、企業がキャリアデザイン支援を行うメリット・デメリットや、施策のポイント、企業事例について説明していきます。

企業がキャリアデザイン支援を行うメリット・デメリット

企業のキャリアデザイン支援には、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

メリット

主に2つのメリットがあります。

キャリアに対する主体的な行動が期待できる

自分自身でキャリアを考え、今の仕事に意味付けを行うことによって、仕事に対する主体的な取り組みが期待できます。ひいては、社員のモチベーションやエンゲージメントの向上につながります。

若手社員の離職防止・定着へつながる

現在は3人に1人が3年以内に退職する時代です。若手社員の定着を課題に感じる企業も多いのではないでしょうか。企業がキャリアデザインを支援し、具体的なキャリアパスを見せることで、今自分がやるべきことの意味を理解した上で業務に取り組むことができます。また、キャリア面談やキャリアコンサルタントを活用すれば、現職と理想のギャップの早期発見・対応につながるので、突然退職を願い出てくる「びっくり退職」の低減につながります。

デメリット

やりたい仕事がない場合に離職の契機になる

業種・職種的な希望が強く、希望の仕事が今の会社にない場合、社員の離職の契機になってしまうというデメリットがあります。その場合は、ありたい姿や身に付けたいスキルといった本質的な部分に焦点を当て、本当にやりたい仕事が今の会社ではできないのか、人事担当者やキャリアコンサルタントが相談に乗るのがおすすめです。

企業のキャリアデザイン支援施策とは?

企業のキャリアデザイン支援のためにできることは、大きく分けて3つです。

①自己理解への支援
  • キャリアデザイン研修
  • 企業内キャリアコンサルタントの活用
②社員の希望を組織目標とのすり合わせるための施策
  • キャリア面談
  • 目標管理制度
③仕事や働き方の主体的な選択への支援
  • キャリア選択を支援する人事制度

各施策と、活用のポイントについて説明します。

キャリアデザイン研修

キャリアデザイン研修を取り入れている企業は多くあります。特に新卒や若手社員に対しては、マインドセットの機会として必要です。

集合研修として行うことのメリットは、フィードバックし合えることです。ジョハリの窓など他者からの意見が必要なワークが行えますし、グループで行うことで他のメンバーの意見から気づきを発見しやすく、理解促進につながります。

活用のポイント

活用のポイントは、1回きりで終わらせずに定期的に行ったり、他のキャリア支援施策で研修の内容を活用することです。キャリアデザインは、1回作ったら満足してしまうことが多いですが、定期的に振り返りが必要なものです。たとえば、定期的なキャリア面談で、キャリアデザイン研修時に考えたキャリアや目標に近づけているか、人事や上司が確認するといった活用がおすすめです。

企業内キャリアコンサルタントの活用

企業内にキャリア相談室を設置し、仕事についての悩みやキャリアプランについて相談できる窓口を作るという支援です。仕事やキャリアプランに関する相談、育休産休からの復職支援、転職支援などを行います。政府も助成金を出すなど企業内キャリアコンサルタントの活用を推奨しており、導入する企業も増えてきています。メリットは、利害関係のない第三者的な立場を社内に作ることで、関係者には話しにくい相談も気軽にでき、問題の早期発見、解決につながるということです。コンサルタントは、人材開発を司る担当する部署がキャリアコンサルタントの資格を取得するパターンが多く、キャリアコンサルタントの養成講座なども多くあります。社外コンサルタントと提携することもあります。

活用のポイント

「ここは何でも話せる場所」という心理的安全を守ることが最も重要です。社員にとっては、「むやみに慰留してこない」「自分の話を忍耐強く聞いてくれる」「個人情報を大事にしてくれる」といったことがキャリアコンサルタントの信頼につながるのです。また、キャリアコンサルタントが各種人事制度を把握し活用することで、職場の問題を吸い上げたあとスムーズに解決できるような体制を整えておくことも重要です。

キャリアカウンセラーとは? コンサルタントとの違いは? 資格・仕事内容を解説
長びく経済不況により雇用環境が大きく変わり、また個人の考え方も「自分の望む生き方に合わせた職業選択」というワークライフバランスが浸透していきました。 そういった中で、学生・求職者・在職者などを対象に職...

キャリア面談

キャリア面談は、直属の上司や人事などと、キャリアの方向性を共有するための面談のことです。社員自身に気づきを促すことがねらいです。

活用のポイント

取り入れている企業も多いですが、一方で「何を話したらよいかわからない」と、キャリア面談を苦手とする上司も多くいます。そういった場合、あらかじめ社員に記入させるキャリアデザインシートを用意しておいて、シートをもとに目標を立てるなど、目的を明確にすることが重要です。実際に株式会社富士通ソーシアルサイエンスラボラトリでは、キャリア面談にて、現状のキャリアステージの確認・3~5年後の目標・1年間のスキルアップ計画等、綿密な計画を立てることに活用しており、明確な目的のもとに運用しています。

目標管理制度

目標管理を取り入れている企業も多いと思いますが、単なる数値目標としてではなく、社員の将来のキャリアをふまえた目標管理を行うことで、キャリア支援ツールとして活用することができます。

活用のポイント

目標を決める面談では、部下の将来のキャリアパスのために、上司が、今このポジションでどのような目標をクリアするべきなのかという問いをすることが重要です。キャリアパスと整合性のとれた目標を設定することができれば、モチベーションやエンゲージメント向上が期待できます。

MBO(目標管理制度)とは? 目標設定、評価、運用、OKRとの違い、メリット・デメリットについて
マネジメントで有名な経営思想家ピーター・ドラッカーが提唱した、組織における目標管理制度(MBO)。この目標管理制度は、組織貢献と自己成長の両方が達成できる個人目標を設定させ、その達成度で評価を行う人事...

キャリア選択を支援する人事制度

希望する部署への異動や、ポジションへチャレンジする制度の活用も重要です。具体的には、次のような人事制度です。

  • 自己申告制度…社員が異動や転勤の希望を出せる制度です。
  • 社内公募制度…企業が必要としているポストや職種の要件を、あらかじめ社員に公開し、応募者の中から必要な人材を登用する制度です。
  • 社内FA(フリーエージェント)制度…社員が自らのキャリアやスキルを売り込み、希望する職種や職務を応募できる制度です。社内公募制と併用して導入する企業が増えてきています。
  • 社内インターンシップ制度…希望する他部門の職務を、期間を限定して経験することができる制度です。
  • ジョブリターン制度…キャリアアップや自己実現、やむを得ない理由で退職した社員を再雇用する制度です。採用や教育へのコストが抑えられるだけでなく、別のフィールドで経験を積み成長した優秀人材のカムバックを促せる制度です。
活用のポイント
重要なのは、キャリア支援制度を最大限活用できる年間スケジュールに落とし込むことです。一つ一つの制度をバラバラに運営していると、社員がキャリアアップを望むタイミングで異動希望が出せないなど、せっかくの制度を生かせない状況になります。諸制度を最大限活用するために、自己申告制度の後にキャリア面談を設けるなどのスケジュールの設計が重要です。

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5.キャリアデザイン支援の企業事例

株式会社みずほフィナンシャルグループ

株式会社みずほフィナンシャルグループは、キャリア支援に積極的に取り組む企業の一つで、厚生労働省のキャリア支援企業表彰2014に選出されています。キャリアデザイン支援については、キャリアシートを活用したキャリア面談やキャリアアドバイザーの設置などを行っています。

キャリア面談は、毎年1回の面談でキャリアについて上司と話し合い、共有する機会となっています。社員は、事前にキャリアシートで職務履歴や業務経験を棚卸し、経験や学び、得意分野等を洗い出したうえで、これまでの経験を今後どのように活かしていきたいのか、希望するキャリアを実現するためにどのような取り組みをしていくかといったことを考えて面談を行います。

キャリアアドバイザーは、人事部キャリア開発室の資格取得社員で構成されており、みずほ銀行の支店長経験者などの豊富なキャリア歴のある社員や、女性もいます。社員は「自らのキャリアの方向性」「現在の担当業務との向き合い方」「部下(後輩)の育成・指導」「ジョブ公募・職系転換」「出産・結婚等ライフイベントとキャリア」等キャリア形成について気軽にキャリアアドバイザーに相談することができ、2013年度は計2,404名の社員が面談を受けるなど、社員にも浸透しています。

参考 株式会社 みずほフィナンシャルグループキャリア支援企業表彰2014好事例集

伊藤忠商事株式会社

伊藤忠商事株式会社は、2002年に日本の民間企業で最も早くキャリアカウンセリング室を設置した、キャリア支援において先進的な企業です。2013年には、厚生労働省の「キャリア支援企業表彰2013」を受賞しています。

様々な施策をキャリアカウンセリング室と連動させており、たとえば、若手社員に対しては仕事に対する動機や意味付けなどを図るために1・4・8年目の階層別研修と連動させ、全員に対して定期的なキャリアカウンセリングを実施したり、ハラスメントやメンタルヘルス不調の窓口としてほかの相談機関との連携も行っています。

キャリアカウンセリング室は誰でも気軽に来られる雰囲気を大事にしていて、社員への周知活動も積極的に行っているという点も特徴的です。相談内容は、職場における将来の不安や上司との関係、異動したい、あるいは新入社員が今の仕事は本当に自分のやりたいことだったのかという悩み、上司には言いにくいことなど多岐に渡っていて、今では若手社員から管理職や幹部社員まで、幅広い社員が訪れているそうです。

キャリアカウンセリング室の活動により、若手社員の離職防止や早期の問題解決、メンタル不調者の発生を未然に防ぐことにつながっている好事例です。

参考 伊藤忠商事株式会社となりの人事部 - 『日本の人事部』