【資格が必要?】キャリアカウンセラーとは? コンサルタント・アドバイザーとの違い

長びく経済不況により雇用環境が大きく変わり、また個人の考え方も「自分の望む生き方に合わせた職業選択」というワークライフバランスが浸透していきました。

そういった中で、学生・求職者・在職者などを対象に職業選択や能力開発に関する相談・助言を行うキャリアカウンセラーが注目を浴びています。キャリアカウンセラーとはどのような専門職なのか、見ていきましょう。

1.キャリアカウンセラーとは?

キャリアカウンセラーとはスキルや知識、興味といったさまざまな特性から、一番良いキャリアを目指すヒントを探して、キャリアデザインを手伝う専門家のこと。

就職や転職、再就職やキャリアなどの課題を抱えるクライアントに対して、キャリアカウンセリングを行います。その中で適性を判断し、望ましい職業、自分らしく生き生きと働ける仕事を見つけて、総合的に援助していくのです。

キャリアカウンセラーは、

  • 企業内の人事部署
  • 教育関連部門
  • 人材紹介・派遣会社
  • 就労支援センター
  • 学校
  • 行政機関
  • 独立

など、幅広い分野で必要とされています。昨今、職場や仕事に対する不満を抱えて「キャリアのミスマッチ」から離職する人が増加。そんな中、キャリアカウンセラーの存在は重宝されています。

キャリアとは何か

日常の話題としてよく耳にして、日本語としてすっかり定着したキャリアですが、その言葉には、職業そのものだけでなく、業務・経歴・就職・出世・働き方・生活などさまざまな意味が含まれているのです。

厚生労働省『キャリア形成を支援する労働市場政策研究会』の報告書が提唱する「キャリアの概念」では、「時間的持続性ないしは継続性を持った概念」として定義されています。

また、その人の生活や生き方、生きがいなどを含めた「仕事を中心とした人生」という意味でも用いられているのです。

キャリアを積むということは、仕事の経験を積むだけではなく、仕事に取り組む過程の中で、身に付けてていく技術・知識・経験に加えて、人間性をも磨いていくものといえるでしょう。

キャリアデザインについて

キャリアデザインとは本人の経歴やスキル、知識、今後の方向性や現在の市場などの情報をもとに、今後の将来像を考え、自らの手で主体的に構築していく行動のこと。仕事を通じて実現したい将来像やそれに近づくプロセスを明確にすることが何よりも重要です。

キャリアデザインの過程においては、転職や職務の異動とともに、職務内容をさらに熟練させ、「こういう仕事をしたい」「こういう職種に就きたい」という将来像へと近づけていきます。

つまり、仕事を通してさまざまな経験やスキルを得ていく過程から、自らの持つ能力を生かすための仕事、職務の形成を進めていくのです。また近年、個人が積極的に自らのキャリア形成を担うようになりつつあります。

キャリアカウンセラーとは、クライアントのスキル・知識などの特性から、適正なキャリアデザインを手伝う専門家のことです

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2.キャリアカウンセラーとキャリアアドバイザー、キャリアコンサルタント、CDAとの違い

キャリアカウンセラーと似たような職種に、

  • キャリアアドバイザー
  • キャリアコンサルタント
  • CDA

があります。それぞれの違いを見ていきましょう。

キャリアアドバイザーとの違い

キャリアアドバイザーは、キャリアカウンセラーとほぼ同じといえます。主に人事部や人材紹介会社などで、働き方や業務などの仕事に関する相談に乗って、アドバイスを送る立場の人物で、資格がなくても対応可能です。

主な内容は、下記のようなものとなります。

  • 具体的に進学・昇進・就職・転職・ワークライフバランスなど、さまざまな相談内容に対応する
  • 面談やグループワークを通して、相談者が就きたい仕事、自分の能力を生かせる仕事が見つけられるように援助する
  • 相談者の適性を見極めて、適切なアドバイスを行う
  • 人材紹介会社や人材派遣会社にて転職や就職に関するアドバイスを行い、求人企業を紹介してサポート

キャリアコンサルタントとの違い

2016年までキャリアカウンセラーとキャリアコンサルタントは同義語でした。しかし、2016年4月、厚生労働省によってキャリアコンサルタントが国家資格とされたことから、違いが生じるようになったのです。

現在キャリアコンサルタントを名乗れるのは、キャリアコンサルタント試験に合格して、キャリアコンサルタント名簿の登録職業能力開発促進法に規定された、キャリアコンサルタント国家資格を持つ人のみ

また、キャリアコンサルタントは名称独占の資格であり、キャリアコンサルタントでない者は、紛らわしい名前を用いることはできません。

さらに守秘義務の責任が課せられており、「秘密を漏らした者」および「名称使用の制限に違反した者」には罰則が規定されています。キャリアコンサルタントは5年ごとの更新が必要です。

CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)との違い

CDAとはキャリアカウンセラーの実務家向け資格として、2000年に誕生した日本キャリア開発協会(JCDA)が認定する資格のこと。

JCDAが認定するCDA養成カリキュラムを終えて、国家資格であるキャリアコンサルタント資格試験の学科試験および実技試験に合格すると取得できます。

CDA資格では、取得すべき12の能力があります。

  1. 支援するスキル
  2. 固有なニーズを持つ人々への対応スキル
  3. 倫理的・法律的問題
  4. 指導と学習
  5. キャリア・デベロップメントのモデル
  6. アセスメント(評価)
  7. テクノロジー
  8. 労働市場情報および資源(リソース)
  9. 求職活動のスキル
  10. トレーニング
  11. プログラムの管理と実施
  12. 普及とPR活動

2019年5月現在、約18,000名の人がCDA資格を取得しています。

「仕事に関する相談に乗ってサポートする」という業務は同じですが、「キャリアアドバイザー」は資格がなくても可能であるのに対して、「キャリアコンサルタント」と「CDA」は資格が必要です

3.キャリアコンサルティングが必要とされる背景

キャリアカウンセラーのように、キャリアのコンサルティングを行うプロが必要とされる背景にあるのは、「社会環境」と「個人」の2つの大きな変化です。

90年代のバブル崩壊、2008年のリーマンブラザーズの経営破綻をきっかけとした世界同時不況によって、日本の経済および社会環境は大きく変化しました。長い経済不況により、従来の終身雇用制度、年功序列の慣行は失われ、成果主義、雇用形態の変化など、雇用環境は大きな変化を遂げたのです。

個人の価値観も仕事第一から、「人生の楽しみも重視する考え方」や「自分の望む生き方に合わせた職業選択」といったワークライフバランスが浸透し始めました。そういった社会と個人の変化から、各々が自らキャリアデザインすることが必要となってきたのです。

キャリアコンサルティングが必要とされる背景にあるのは、長い経済不況による「社会環境」と、ワークライフバランスを重視するようになった「個人」、2つの変化です

4.キャリアカウンセラーが活躍する場面と支援の例

キャリアカウンセラーが活躍する場として、

  1. 企業、人事部
  2. 人材紹介会社、人材派遣会社
  3. 公的機関や自治体
  4. 教育機関
  5. 研修やセミナー

が挙げられます。ここでは支援の例を取り上げていきましょう。

①企業、人事部

企業の人事部などに属する形で、社員に対してキャリアコンサルティングを実施します。

  • 採用や教育:人材計画、採用、人材配置、人材開発、人材管理など
  • 研修:人材開発、教育・研修の実施など
  • 社員へのカウンセリング:カウンセリング室の設置・運営、従業員へのキャリアカウンセリング、企業への提言など

近年、社内にキャリアカウンセリング室を設置し、キャリアカウンセラーを常在させる企業が増えています。

②人材紹介会社、人材派遣会社

派遣社員といった有期雇用契約者、転職希望者など、さまざまな人に対してキャリアコンサルティングを行います。それによって企業とのベストマッチング並びに当人の希望するキャリアデザインの実現を図るのです。

  • 派遣業界と人材紹介関連で行う業務は、以下のような内容になります。
  • 派遣業界:就業希望スタッフへの登録、マッチング・スタッフフォロー、キャリアカウンセリングなど
  • 人材紹介関連:職業紹介希望者への登録、マッチング・キャリアカウンセリングなど

現在、人材紹介・人材派遣・再就職支援業界では、雇用環境の悪化に伴って、転職に関する相談も増加しています。

③公的機関や自治体

失業率の悪化によって、行政機関や自治体では、求職者の就業支援・キャリアカウンセリングのニーズが高まりつつあるのです。

キャリアカウンセラーは、

  • ハローワーク
  • ジョブカフェ
  • 地域に存在する引きこもりの支援センター

などの公的機関や自治体に相談に来る人を対象に、キャリアコンサルティングやフォローを実施します。また一般の就業希望者以外にも、さまざまな人々(中高年者、女性、若年者、障害者)への就業支援として、勉強会やセミナーの企画などを展開しているのです。

④教育機関

各種教育機関にて、学生のキャリアデザインを行います。

その際、単なる進路相談や就職活動のアドバイスだけでなく、働くことそのものに関する授業やセミナーを開催したり、キャリアデザインの必要性について伝えたりするのです。場合によっては、キャリア形成に関する資料を作成したりすることも。

また近年では、高校・中学校・小学校にてキャリア教育を推進するため、教員免許を保持する人がキャリアカウンセラー資格を取り、「スクールキャリアカウンセラー」となることが望ましいと考えられています。

同じような動機でCDAを取得して活躍する人も増えています。

⑤研修やセミナー

企業または個人に向けて、さまざまな研修やセミナーを行い、キャリアコンサルティングを実施します。キャリアカウンセラーは、あらゆる業界・分野など活躍しているのです。

  • IT業界:業界就業者へのキャリアサポート・キャリアカウンセリング
  • 介護業界:介護施設利用者やその家族へのフォローなど
  • 研修トレーナー:企業、学校、各種研修、セミナーでのトレーナーや講演など
  • フリーカウンセラー:フリーでのカウンセラーや講演など
  • 管理職やマネジメント業務:日々のマネジメントでのメンバーフォロー、キャリアカウンセリングなど
  • 若年層向けの各種支援:ニートやフリーターや引きこもりの若者等への支援、就業支援、キャリアカウンセリングなど

キャリアカウンセラーの活躍の場は「企業の人事部」「人材派遣会社」「公的機関や自治体」「教育機関」など数多く、活動内容もキャリアサポートをはじめ、セミナー・研修・講演など多岐にわたります

5.キャリアカウンセラーになる方法、資格取得

キャリアカウンセラーになる方法として挙げられるのは、キャリアコンサルタントの資格取得です。ここではキャリアコンサルタントの資格取得について説明しましょう。

キャリアコンサルタントの資格取得を見据える

キャリアカウンセラーは、資格が必須の職種ではありません。企業の人事部や人材派遣会社では、資格を持っていなくても「スキルや知識がある」「社会人としてさまざまな仕事で経験を積んできた」人が、キャリアカウンセラーとして従事することもあります。

しかし、教育機関や公的職業支援機関でのキャリアカウンセラーの求人を見ると、「資格保有を条件」としているものが多いです。やはりキャリアカウンセラーに関する資格を何かしら持っていたほうがよいといえるでしょう。

キャリアコンサルタントの資格を得るには

キャリアコンサルタントは、2016年4月に職業能力開発促進法によって規定された国家資格です。キャリアコンサルタント試験は、以下のいずれかの要件を満たすことで受験できます。

  • 厚生労働大臣が認定する講習の課程を修了
  • 労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力開発及び向上のいずれかに関する相談に関し3年以上の経験を有する
  • 技能検定キャリアコンサルティング職種の学科試験又は実技試験に合格
  • 平成28年3月までに実施されていたキャリアコンサルタント能力評価試験の受験資格である養成講座を修了(平成28年4月から5年間有効)

キャリアコンサルタントの資格試験

登録試験機関として厚生労働大臣から登録を受けた日本キャリア開発協会が、試験業務規程などに基づいて学科と実技(記述と面接)の試験を実施します。受験料は、「学科が8,900円」「実技は29,900円」です。

試験科目は、以下の5つとなります。

  1. 職業能力開発促進法その他関係法令に関する科目
  2. キャリアコンサルティングの理論に関する科目
  3. キャリアコンサルティングの実務に関する科目
  4. キャリアコンサルティングの社会的意義に関する科目
  5. キャリアコンサルタントの倫理と行動に関する科目

合格すると名簿に名前が掲載されて、「キャリアコンサルタント」を名乗ることが可能です。

キャリアコンサルタントは国家資格であり、教育機関や公的職業支援機関ではキャリアコンサルタントの資格保有者が求められています

6.キャリアカウンセリングを用いた企業の事例

ここでは、キャリアカウンセラーの実務家向け資格としてCDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)を用いた企業の事例を紹介しましょう。

CDAとは

CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)とはアメリカのキャリアカウンセラー養成プログラムを、日本向けに構築して導入したもののこと。

アメリカでは、キャリアカウンセラー養成プログラムとして活動を支える貴重な基盤となっており、CDA同士の交流・情報提供も大変活発です。

1913年にアメリカで全米職業指導協会(現在の全米キャリア開発協会:NCDA)が発足。日本キャリア開発協会(JCDA)は、NCDAの国際提携機関で、さらに、2011年にはアジアキャリア開発協会(ACDA)が設立されました。

CDAの最大の特徴は、自律的成長を大切にするプログラムという点。経験を通して内省を促し、キャリアカウンセリングのスキルを修得できます。

富士通ソーシアルサイエンスラボラトリ:若手の支援

富士通ソーシアルサイエンスラボラトリでは、キャリアデザインサポート室を設置してキャリア研修や面談を行い、下記の内容で若手の支援を実施しました。

  • 1年目に新人の「キャリア研修」「トレーニー&トレーナー研修」を開催
  • 2年目には「2年目社員コンベンション」として、「若手社員面談によるモチベーションの維持・向上」「個人のキャリア形成のアドバイス」を実施

これらから離職率が2年間で0%になったのです。

サンリオ:採用や研修

サンリオでは、採用や研修の際にキャリアカウンセリングが活用されました。

  • キャリアサポートデスクを人事課内に設置し、社員のキャリアプランに関わる相談を受け付ける
  • 社員一人ひとりのキャリアプランが現実のものとなるようにサポートし、担当者のモチベーションも上がっていった

これらにより、サンリオ内定辞退率および3年以内の離職率は0%になったのです。

レッドフォックス:部下の育成

レッドフォックスは、開発の多くがプロジェクト方式のため、上長が変更することも多々あります。そのため、その変化に耐えられる柔軟性が求められているのです。しかし、そういった状況の中にいる社員は、苦労して不安や悩みを抱えることも多々あります。

そこでメンバーを長く見守る「師範」という存在を設けて、キャリアマネジメントが実施されたのです。

富士通ソーシアルサイエンスラボラトリやサンリオなどの企業では、キャリアカウンセリングを用いたことにより、数年間で離職率が0%という結果になりました