組織課題とは?【具体例一覧】見つけ方、フレームワーク

組織課題とは、組織の目標達成を妨げる要因のこと。具体例や解決方法、組織課題解決に役立つフレームワークなどについて解説します。

1.組織課題とは?

組織課題とは、組織が理想としている状態を妨げている要因のこと。英語では「Organizational Problem」と現します。組織には「目指すべき理想」があり、この理想と現実のギャップを生じさせている要因が組織課題です。

例として、「制度や仕組みが社内で浸透しない」「人材育成がはかどらない」「社内におけるコミュニケーション不足」などが挙げられます。組織課題が顕在化しているときは、柔軟かつ効率よく対応し、早期に問題を解消する必要があるのです。

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2.組織課題の具体例一覧と解決方法

一口に組織課題といってもその内容や種類はさまざま。よく見られる組織課題の例と解消方法について説明します。

  1. 離職率の増加
  2. コミュニケーション不足
  3. 生産性の低下
  4. 経営方針の浸透不足
  5. 人材育成
  6. 次のリーダーが不在
  7. 人間関係の悪化
  8. 非効率な業務状況

①離職率の増加

離職率の増加は、多くの企業が抱える組織課題のひとつ。とくに早期退職(入社3年以内での退職)や若手社員の退職が増加すると、自社の将来を担う人材を失ってしまう恐れもあるからです。また再度採用コストが生じてしまうというデメリットも生じます。

主な解消方法として挙げられるのは、社員が満足感や納得感を得られる職場環境の実現。具体的な施策として挙げられるのは、公平な評価基準の導入、業務量の調整、ストレス対策やメンター制度の整備などです。

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②コミュニケーション不足

社員同士のコミュニケーション不足は、さまざまな問題を生じさせる組織課題です。組織では基本的にチームで仕事を行うため、コミュニケーションの良し悪しは事業に大きな影響をおよぼします。

コミュニケーション不足に陥ると、意思疎通がうまくいかずに認識相違が生じやすくなり、その結果チームの生産性や効率性が低下する恐れもあるのです。

コミュニケーション不足を解消する方法としては、社内SNSや社内掲示板の活用、チャットツールの導入、社内イベントによる社員交流の活性化などが挙げられます。

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③生産性の低下

生産性の低下は、企業の業績悪化につながる重大な組織課題です。生産性が低下する原因のひとつとして挙げられるのが、社員のモチベーションの低下。仕事に対する意欲が失われると業務効率が下がりやすくなり、その結果生産性の悪化を招いてしまうのです。

社員のモチベーションを高める方法には、「労働条件の見直し」「期待や役割を明確に伝える」「社員の意見を尊重する」「挑戦機会を与える」などが挙げられます。

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④経営方針の浸透不足

企業の経営方針や理念が社内全体に浸透していない状況は、社外へ大きく影響する組織課題です。

経営方針や理念は、社員全員が同じ価値観と方向性を持つための重要な基準。この基準が浸透していないと、各社員が異なる価値観で行動してしまいます。組織としての一貫性が失われるため、顧客や取引先から不信感を抱かれかねません。

企業方針を浸透させるためには、管理職が現場の社員の職務内容を把握し、自身の職務と企業方針の結びつきを各社員へ理解させる必要があります。

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⑤人材育成

「研修を実施してもなかなか人材育成がはかどらない」という組織課題に、頭を抱えている企業も見られます。人材育成は本業と両立させながら進めていかなければならず、手間や時間が取れない場合も多いからです。

個々の社員やチームに合わせて「OJT」「Off-JT」「e-ラーニング」などを使いわけると、人材育成を効率的かつ効果的に進められるでしょう。

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⑥次のリーダーが不在

「次世代のリーダーの不在」は中長期に渡る組織課題のひとつ。リーダーシップを持つ人材は、現場の業務をスムーズに進行させるために必要です。

さらに将来の管理職や経営陣の候補となる人材でもあります。そのような人材からバトンタッチする次世代のリーダーが生まれないと、企業の経営や存続が難しくなるかもしれません。

次世代のリーダーを生み出すためには、企業における理想のリーダー像を定義し、それを踏まえて候補者選定やリーダー育成施策を行う必要があります。

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⑦人間関係の悪化

社内における人間関係の悪化は、企業の利益や成長の足かせになり得る組織課題です。

価値観の違いによる衝突やトラブルが起こりやすくなり、それにともなって報告や連絡の遅延も生じる可能性があります。風通しの悪い職場環境は、社内いじめやハラスメントなどを引き起こしかねません。

社内の人間関係を改善する施策として交流イベントの開催、定期面談やメンター制度の導入、社員のメンタル状況を把握するツールの活用などが挙げられます。

⑧非効率な業務状況

非効率的な業務体制を組織課題として抱えている企業も見られます。なかでも紙や口頭などのアナログ的な手法による情報共有は、早急に対処すべき課題です。

紙の書類は紛失のリスクがあり、口頭での伝達は漏れが起こりやすいもの。いずれの手法も、大勢へ即時に共有するのは難しいでしょう。

このような業務体制が、業務効率を大幅に低下させている可能性も少なくありません。早期に情報共有や業務のデジタル化を検討すべきです。

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3.組織課題の見つけ方

組織課題には、すでに課題が顕在化している「顕在課題」と、まだ社内で認識されていない「潜在課題」のふたつがあります。それぞれの課題の違いと見つけ方を説明しましょう。

顕在課題の見つけ方

顕在課題とは、社員全員あるいは社員の一部がすでに認識している課題のこと。すでに課題が言語化されている、あるいは情報が共有されている状態なので、アンケートや面談、ブレインストーミングなどを使うと課題を特定しやすくなります。

  1. アンケートの実施
  2. 1on1での面談
  3. ブレインストーミング

①アンケートの実施

社員に対してアンケートを行って、顕在化している課題を明確にする方法です。スマホやパソコンから回答できるアンケートツールを利用すれば、社員は空いた時間を利用して回答できるでしょう。

ただしアンケートの場合は、得られる情報量が面談に比べて少なくなります。質問内容の選定や得られた回答の分析は念入りに行いましょう。

②1on1での面談

社員と面談を実施して組織課題を見つける方法です。社員との面談は基本1対1で行われるので、悩みや不満、社内における問題点などもより深く聞き出せます。

面談のポイントは、社員の本音を引き出すこと。そのためには日頃から部下との信頼関係を構築しておき、部下が話しやすい面談方法を選ぶ必要があります。

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③ブレインストーミング

ブレインストーミングとは、複数の人間が集まって話し合う会議手法のこと。各参加者は自由に発言できるため、課題の発見や整理、新しいアイデアの創出などが期待できます。

ポイントは、多様な意見を集めるために、できるだけ多くの部署から人を集めることです。

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潜在課題の見つけ方

潜在課題とは、まだ表面化していないもののこれから起こりえる課題のこと。潜在課題はまだ社員に認識されていない、あるいは言語化されていない状態です。課題を表に出すためには、客観的なデータを集めて分析する必要があります。

  1. ITツールの活用
  2. 業績結果の分析

①ITツールの活用

ITツールを活用すると客観的なデータを素早く集められるため、早期に潜在課題を見つけられます。その分解決策の考案と実行にも早く取りかかれるため、組織課題の解消までの時間も短縮されるでしょう。

また定量的データを用いるため、目標設定や効果の検証も容易です。ただしITツールの導入には一定のコストがかかりますので、費用対効果を十分に検討する必要があります。

②業績結果の分析

業績結果を分析すると、課題が見つかる場合もあります。たとえばPL(損益計算書)の財務情報を詳しく分析すれば、「売上が伸びていない」「減収幅が大きい」などの潜在課題が発見されるかもしれません。

業績結果を分析する際は、主観性を排除してあくまで客観的な数値データをもとに情報を整理しましょう。そのうえで戦略の方向性や費用対効果なども含め、多角的な視点で課題を洗い出します。

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4.組織課題解決のポイント

組織課題を解決するためには、各社員が意識と行動を変化させる必要があります。組織課題解決のポイントを解説しましょう。

  1. 組織目標の明確化
  2. プレイヤー目線を放棄
  3. 積極的な意見交流

①組織目標の明確化

メンバーが同じ方向性で仕事をするために、明確な組織目標が欠かせません。明確な目標がない組織ではメンバーがバラバラに動いてしまい、業務にミスや遅延、トラブルなどが起こりえるからです。

また目標のない組織では、メンバーのモチベーションが下がりやすくなります。簡潔でわかりやすい組織目標を掲げ、ニュースレターや社内SNSなどを活用して全社員と共有しましょう。

②プレイヤー目線を放棄

組織課題の解決において、リーダーシップを発揮するマネージャーは重要な役割を持ちます。しかし近年、マネージャーがプレイヤー化しているケースも少なくありません。

マネジメント経験の不足により、マネージャーになってもプレイヤー意識が抜けない人材も多いためです。マネージャーからプレイヤー目線を取り除くには、「管理職の本当の役割は何か」を理解させる必要があります。

③積極的な意見交流

組織内でメンバー同士が意見交流する場を設け、組織課題の解決に向けた対話や提案を促しましょう。

このときリーダーは、メンバーの意見を積極的に取り入れます。意見が採用されたメンバーは、組織課題の解決に役立てたと感じて、前向きに取り組もうという気持ちになれるからです。このようなメンバーが増えるほど、組織課題の解決に近づくでしょう。

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5.組織課題の分析や解決に役立つフレームワーク

業種や組織に適したフレームワークを活用すると、組織課題を可視化しやすくなります。組織課題の分析や解決に役立つフレームワークを解説しましょう。

  1. 7S
  2. MECE分析
  3. KPI(重要達成度指標、または重要業績評価指標)

①7S

7つの組織資源を分析して課題を見つけ出すフレームワークです。7つの組織資源は、「戦略」「組織」「システム」「スキル」「人材」「社風」「価値観」を指します。

さらに改善が容易な「ハードの3S」に戦略や組織、システムを、改善に時間のかかる「ソフトの4S」にスキルや人材、社風や価値観を分類し、それぞれの課題を洗い出していくのです。

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②MECE分析

物事のモレやダブリをチェックするためのフレームワークです。全体像から構成要素を切りわけるときに使います。

MECE分析を活用して組織課題の要因を切りわければ、有効な施策やアイデアを漏れなく検討でき、重複した施策やアイデアを排除しやすくなるのです。状況を整理できるため、本質的な問題が見つかるのも珍しくありません。

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③KPI(重要達成度指標、または重要業績評価指標)

組織の最終目標までに生じるプロセスを評価するための指標です。主に中長期的な計画における中間目標としてKPIを設定します。

KPIを設定すると、目標の達成状況や組織のパフォーマンスなどを定点観測できるようになるため、最適かつ迅速に施策の改善や軌道修正を行えるのです。

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